人獣細工 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 659
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470020

作品紹介・あらすじ

パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的だが、ミステリーの小林泰三より、ホラーの小林泰三が好き。 そぅ、思わされた一冊。
    前に読んだ『アリス殺し』より、コッチの世界観が合ってるんだろな……。
    収録順に簡単な感想。
    人獣細工:「人間とは?」的テーマの裏で、家庭環境、発表されない研究、その辺でオチは予想出来ました。表現や世界観は大好物。
    吸血狩り:インパクトのある冒頭と、ソレに呼応したラスト。少年の語り(作文)のような文体でサラっと読めてしまい、解説を読んで、そぅいう読み方もあるな、と全く気付かなかった。そして、八才の少年はどうやって十字架を作ったのだろう?
    本:「夢オチ」が21世紀になり、「上位概念オチ」「ヴァーチャル世界オチ」と進化をして、ソレらにも少々、辟易してたが、コレは納得。そして、麗美子、美香のその後は……。含みのある二重のエンディング。

  • 強烈だった。全体的にグロテスクだった。
    タイトルにもある「人獣細工」はグロテスクでかつ、ラストが…つまりそういうことですよね。。
    2つ目の「吸血狩り」はなんとなく、読めそうに見せかけてどちらとも描かれていないので、謎のまま。
    3つ目の「本」は人が狂う過程みたいのを読めて伏線もあって楽しめた。
    昔読んだ絶望の世界っていうネット小説の狂気を思い出した。
    何を持って正気というのか、狂気というのか。。

  • 小林泰三作品2冊目。グロテスクで狂気に満ちた3つの短編。
    『玩具修理者』でも思ったけれど、自分が何者か分からなくなるような、今まで信じていたものが当たり前でなくなり、足元から崩れていくような恐さを描くのが上手い。

    「人獣細工」
    先天性の病気で、医者である父にブタの臓器や皮膚を移植された娘が、自分が何者かを探っていく物語。

    父が残した記録をたどる内に、どんどん狂気に囚われていく娘。
    人道的・倫理的な問題を度外視し、医師としての探究のみに走る父親も恐いし、自分の存在自体があやふやになっていく恐さもある。
    何より技術の進歩だけを考えるなら、いつか起こり得ると思えてしまうのが一番恐い。

    「吸血狩り」
    吸血鬼に魅入られた従姉を助けようとする8歳の少年の話。

    彼は本当に吸血鬼だったのか、はっきりとは書かれてない。大好きな従姉を守るため、自分が信じたものを疑わずに突っ走る子どもの残酷さ。最後の一行がじわじわ恐い。

    「本」
    かつての同級生から送られてきた汚い本を読んだ者たちが順におかしくなっていく。呪われた本の正体を探る話。

    間に挟まれた芸術論の話が小難しくて苦戦したけれど、馴染みのある関西弁のせいもあり、途中からすいすい読めた。
    結構グロいし、得体の知れない恐さが高まってるところに、「しぇきなべえべえ」「わんつうすりふぉ‼︎」あたりで一気に脱力。小林作品によく出てくる平仮名表記。狂気じみた感じと可笑しみが程よくミックスされてて面白い。

  • ・人獣細工
    ドロシィー殺しに出てくる登場人物が主人公。ストーリーが興味深く読んでみたいと思い読んだ。
    遺伝子系の話がちょいちょい出て難しかった。
    結末は、やっぱりなと言う展開。倫理に反する感じが読書でしか味わえない楽しさかと。

    ・本
    「本」の内容が始めつまらなかったが徐々に気になる展開に。

  • ホラーっていうか狂気に満ちた作品。
    ですが 、
    「ダンシング!」「わんつうすりふぉ!」「コオ!!」のあたりがおかしくって。
    薄気味悪さを感じながらも笑ってしまう。

  • どの作品もクセがあり楽しめました。

    「人獣細工」は切なく物悲しい。
    「吸血狩り」は解説にもあったが、本編を読んだ後はそっちの方で解釈していた。映像にしたならオチの舞台をどこに持っていくかでどっちの解釈になるか決まるとこ。
    「本」は一番の好み。あの虚構と現実がぐんにゃり混ざり合うところがたまらない。

  • 「吸血狩り」がよかった。子どもをからかっちゃいけない。

  • 絶望感漂う心削るホラー短編集です。ぞわぞわします。
    「人獣細工」
    バイオSF的なホラーですね。病気のため身体のパーツをある動物から次々と移植していかねばならなかった少女が、自分とは何かを問うていくうちにある秘密に近づいてしまう。どこまでが人、どこからが人と言えるのか。
    「吸血狩り」
    少年が従姉妹を守るため吸血鬼を退治しようとするが……。物語自体はたいして盛り上がらないんですが、深読みできる構造は面白い。邪悪。
    「本」
    これもSF色の強いホラー。同級生たちに贈られた本により狂気に誘われる者たち。狂気の正体とは。

  • 読んでてすごいわくわくして引き込まれるけど、ラストしりすぼみしちゃう印象。小林泰三さん独特の発想は相変わらずすごいけど。笑

  • 「人獣細工」「吸血狩り」「本」の三作品が入った一冊。

    「人獣細工」
    一人の体の弱い少女が「移植」したその部位は、何と人間からではなく…
    自分とは何によって形成されるのか、何を以て自分と成すのか。相変わらずの泰三節が唸る作品。

    「吸血狩り」
    親戚のお姉ちゃんに気がある少年の淡くも狂気な心情と行動を描いた作品。「すり込み」のある恋とは何と狂美なことか。心を惑わすその揺らぎは美しくとも人を狂わせる。

    「本」
    昔の同級生から届いた一冊の本。但し書きのもたらす結果とは。真意とは。
    脳に「インストール」されたまま最後を飛ばさぬようご注意。

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プロフィール

1962年京都府生まれ。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門を受賞。『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他の著書に『人獣細工』『肉食屋敷』『家に棲むもの』『脳髄工場』『忌憶』『臓物大博覧会』『人造救世主』など多数。

「2016年 『失われた過去と未来の犯罪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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