人獣細工 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 754
レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470020

作品紹介・あらすじ

パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 三作収録の短編集で、「本」が一番面白かった。こういうふふふっと笑える終わり方が好き。
    平和なんだか平和じゃないんだか、みたいな。

    表題作は凝りすぎてて次節よくわからなかった。最後は切なかったけど。
    「吸血鬼狩り」はすらすら読める内容。怖くない。

  • 個人的だが、ミステリーの小林泰三より、ホラーの小林泰三が好き。 そぅ、思わされた一冊。
    前に読んだ『アリス殺し』より、コッチの世界観が合ってるんだろな……。
    収録順に簡単な感想。
    人獣細工:「人間とは?」的テーマの裏で、家庭環境、発表されない研究、その辺でオチは予想出来ました。表現や世界観は大好物。
    吸血狩り:インパクトのある冒頭と、ソレに呼応したラスト。少年の語り(作文)のような文体でサラっと読めてしまい、解説を読んで、そぅいう読み方もあるな、と全く気付かなかった。そして、八才の少年はどうやって十字架を作ったのだろう?
    本:「夢オチ」が21世紀になり、「上位概念オチ」「ヴァーチャル世界オチ」と進化をして、ソレらにも少々、辟易してたが、コレは納得。そして、麗美子、美香のその後は……。含みのある二重のエンディング。

  • 強烈だった。全体的にグロテスクだった。
    タイトルにもある「人獣細工」はグロテスクでかつ、ラストが…つまりそういうことですよね。。
    2つ目の「吸血狩り」はなんとなく、読めそうに見せかけてどちらとも描かれていないので、謎のまま。
    3つ目の「本」は人が狂う過程みたいのを読めて伏線もあって楽しめた。
    昔読んだ絶望の世界っていうネット小説の狂気を思い出した。
    何を持って正気というのか、狂気というのか。。

  • 三部作品で「人獣細工」が好きでした

    父は移植手術の第一人者、母は生まれてすぐに死、
    私は体が弱く移植手術しないと生きられない
    1歳で移植手術・・提供者は人ではなく「豚」だった
    ありとあらゆる臓器を豚から移植
    私のあだ名は「ひとぶた」「パッチワークガール」

    父の身体が急変し移植しないとダメな時に父親の一言
    「俺の身体に豚を入れるな」

    父親にとって私は「物」そこに愛などない!
    今後に役立つリアルデーターが欲しいのだ

    私は父の残した財産と「ひとぶた」として生きる

  •  3編のホラー短編集。玩具修理者のようなグロテスクな描写もちらほら。[本]の中の芸術論の雰囲気はエンデの[果てしない物語]に似ているかも。何もかも説明されてすっきりしたい方にはおすすめしない。怖いというより気味悪いのが好きならどうぞ

  • 実に著者らしい凶悪とも思える三編の中編が収録されている。『本』が強烈だが、他の二作も実に邪悪な雰囲気を醸している。『玩具修理者』の収録作二作が後の著者の作風を表しているとして、今回はそのうちのホラーの要素を増幅させたようなところがある。

    『人獣細工』
    テセウスの船を人体で表現した作品。人の臓器を人以外のもので置き換えていく時、どこからが人なのか。そしてどこまでが人なのか。人が人であることの定義を容赦なく問う。それが曖昧になることが恐ろしい。結末は予見できるが、むしろ予見できるからこそ到達してほしくない場所に着地するのが悍ましくもある。

    『吸血狩り』
    吸血鬼を撃退すべく勇猛に戦う少年の物語……として読めるが、そこには悪意あるリドルが口を開けている。これもまた単純な冒険譚でないことは察した上で読み進めることになるのだが、「吸血鬼」や「クトゥルフ」が混線していき、揺らぎ捻れて、最後にはこれまた信じたくないような着地をする。最後の一言が強烈で、物語の結末を一気に黒く染める。

    『本』
    今回の白眉。幻惑的で酩酊感のある展開はある意味黒い水脈に続く奇書の構造に近いものを感じる。だが、この作品に至っては文字通りの「奇書」と言えるだろう。伝染型のホラーや、ブラックユーモアを交えたスプラッタとも取れるが、この物語の本質は世界の揺らぎだ。今何を読んでいるのか、何を感じて何に影響を受けているのか、それは自身をいかに変容させるのか、独特な読書体験となり得る。途中の芸術論や共生体の話も興味深い。しかし読めば読むほどにやはり世界は揺らぐ。ラストシーンなどは邪悪そのものである。これがあるからこの人の作品は読むをやめられない。

  • 小林泰三さん三冊目。
    表題作『人獣細工』は、肉体的だけでなく精神的なグロテクスさをもまとっている。と、感じるのは、現在の倫理観に縛られているからだろうか。パンドラの箱は開けちゃいけないやね。
    『吸血狩り』はあんまり合わんかった。子供という幼い視点での一人称が苦手なんかなぁ。
    最期、『本』。曖昧な世界観は好みじゃないけど、「呪いの伝播」系のお話としてはすこぶる面白かった。

  • あらすじ
    パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。

  • 小林泰三作品2冊目。グロテスクで狂気に満ちた3つの短編。
    『玩具修理者』でも思ったけれど、自分が何者か分からなくなるような、今まで信じていたものが当たり前でなくなり、足元から崩れていくような恐さを描くのが上手い。

    「人獣細工」
    先天性の病気で、医者である父にブタの臓器や皮膚を移植された娘が、自分が何者かを探っていく物語。

    父が残した記録をたどる内に、どんどん狂気に囚われていく娘。
    人道的・倫理的な問題を度外視し、医師としての探究のみに走る父親も恐いし、自分の存在自体があやふやになっていく恐さもある。
    何より技術の進歩だけを考えるなら、いつか起こり得ると思えてしまうのが一番恐い。

    「吸血狩り」
    吸血鬼に魅入られた従姉を助けようとする8歳の少年の話。

    彼は本当に吸血鬼だったのか、はっきりとは書かれてない。大好きな従姉を守るため、自分が信じたものを疑わずに突っ走る子どもの残酷さ。最後の一行がじわじわ恐い。

    「本」
    かつての同級生から送られてきた汚い本を読んだ者たちが順におかしくなっていく。呪われた本の正体を探る話。

    間に挟まれた芸術論の話が小難しくて苦戦したけれど、馴染みのある関西弁のせいもあり、途中からすいすい読めた。
    結構グロいし、得体の知れない恐さが高まってるところに、「しぇきなべえべえ」「わんつうすりふぉ‼︎」あたりで一気に脱力。小林作品によく出てくる平仮名表記。狂気じみた感じと可笑しみが程よくミックスされてて面白い。

  • ・人獣細工
    ドロシィー殺しに出てくる登場人物が主人公。ストーリーが興味深く読んでみたいと思い読んだ。
    遺伝子系の話がちょいちょい出て難しかった。
    結末は、やっぱりなと言う展開。倫理に反する感じが読書でしか味わえない楽しさかと。

    ・本
    「本」の内容が始めつまらなかったが徐々に気になる展開に。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2021年 『人外サーカス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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