人獣細工 (角川ホラー文庫 59-2)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470020

作品紹介・あらすじ

パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 醜悪極まりない短編集。
    「人獣細工」は父親の執着こそが最もグロテスク。
    「吸血狩り」は従妹を奪われまいとする少年の妄執こそが邪悪。
    「本」は読んだ者が芸術に汚染されていくが、その本こそはこの本なのかもしれない。

  • 三作収録の短編集で、「本」が一番面白かった。こういうふふふっと笑える終わり方が好き。
    平和なんだか平和じゃないんだか、みたいな。

    表題作は凝りすぎてて次節よくわからなかった。最後は切なかったけど。
    「吸血鬼狩り」はすらすら読める内容。怖くない。

  • 個人的だが、ミステリーの小林泰三より、ホラーの小林泰三が好き。 そぅ、思わされた一冊。
    前に読んだ『アリス殺し』より、コッチの世界観が合ってるんだろな……。
    収録順に簡単な感想。
    人獣細工:「人間とは?」的テーマの裏で、家庭環境、発表されない研究、その辺でオチは予想出来ました。表現や世界観は大好物。
    吸血狩り:インパクトのある冒頭と、ソレに呼応したラスト。少年の語り(作文)のような文体でサラっと読めてしまい、解説を読んで、そぅいう読み方もあるな、と全く気付かなかった。そして、八才の少年はどうやって十字架を作ったのだろう?
    本:「夢オチ」が21世紀になり、「上位概念オチ」「ヴァーチャル世界オチ」と進化をして、ソレらにも少々、辟易してたが、コレは納得。そして、麗美子、美香のその後は……。含みのある二重のエンディング。

  • 強烈だった。全体的にグロテスクだった。
    タイトルにもある「人獣細工」はグロテスクでかつ、ラストが…つまりそういうことですよね。。
    2つ目の「吸血狩り」はなんとなく、読めそうに見せかけてどちらとも描かれていないので、謎のまま。
    3つ目の「本」は人が狂う過程みたいのを読めて伏線もあって楽しめた。
    昔読んだ絶望の世界っていうネット小説の狂気を思い出した。
    何を持って正気というのか、狂気というのか。。

  • 中短編・3つ。

    父親は、幼い私のために臓器移植を続けてきた。豚の臓器を。
    気持ち悪くて怖い、不安になる、自己がわからなくなる話。
    胃、肺、胆臓、肝臓、皮膚、子宮、網膜、耳、ありとあらゆる臓器が豚のものであるなら、私は豚ではないのか。
    「人格」とか「自分」を決定するものは何か悩ませる表題作「人獣細工」。

    8歳の少年が従姉妹を守るため吸血鬼と戦う「吸血狩り」
    突然、中学生時代の同級生から送られてきた不可思議な本の呪いにあう「本」
    どれも気味が悪くて怖くて、不安になるけれど面白い話でした。

  • 絶対に、豚肉を食べながら読んではいけない。

    「人獣細工」は、タイトルから予想されるほどグロテスクな話ではなかった。礼儀正しい端正なホラー小説。
    「本」という題の中編では、インターネット黎明期の用語が飛び交うシーンに吹いてしまった(笑)90年代あるある的な微笑ましい描写がホラーテイストを和らげてくれる。
    「吸血狩り」は読み返してゾッとした。最後の一行が怖い。

  • 『本』の話電波感があって好き。

  • 読後感がすっきりしない短編集でした。何だろ、読みが浅いのか、それぞれの主人公の思考や行動の切っ掛けが理解できず、かなり置いてきぼりをくらってました。「~殺し」シリーズは、最初から変な人たちと認識して読んでいたから全然気にならなかったんですけど、この作品はよく分からなかったなー。最後「で?」ってなった。

  • 三部作品で「人獣細工」が好きでした

    父は移植手術の第一人者、母は生まれてすぐに死、
    私は体が弱く移植手術しないと生きられない
    1歳で移植手術・・提供者は人ではなく「豚」だった
    ありとあらゆる臓器を豚から移植
    私のあだ名は「ひとぶた」「パッチワークガール」

    父の身体が急変し移植しないとダメな時に父親の一言
    「俺の身体に豚を入れるな」

    父親にとって私は「物」そこに愛などない!
    今後に役立つリアルデーターが欲しいのだ

    私は父の残した財産と「ひとぶた」として生きる

  •  3編のホラー短編集。玩具修理者のようなグロテスクな描写もちらほら。[本]の中の芸術論の雰囲気はエンデの[果てしない物語]に似ているかも。何もかも説明されてすっきりしたい方にはおすすめしない。怖いというより気味悪いのが好きならどうぞ

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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