脳髄工場 (角川ホラー文庫)

  • 角川書店 (2006年3月10日発売)
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本棚登録 : 903
感想 : 77
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470075

作品紹介・あらすじ

近未来。犯罪抑制のために開発された「人工脳髄」。天然脳を持つ少年を待ち受ける運命とは? 人間に潜む深層を鋭く抉った表題作ほか、過去から未来、そして宇宙までを舞台に名手が描く怪異と論理の競演!

感想・レビュー・書評

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  • はじめての小林泰三さん作品。
    「脳髄工場」という度肝を抜くタイトルと、一度見たら忘れられないカバーイラストに惹かれて手に取りました。

    短編集でかなり短い(数ページの)お話から、結構長い話まで様々なものを詰め込んだ、欲張りセットのような様相。

    私のお気に入りは、
    ・やはり何と言っても表題作の「脳髄工場」
    ・無気味さ、ホラー要素が際立つ「影の国」
    ・ループ物が大好物なので「声」
    ・ホラー×SF要素満載の「綺麗な子」
    です。

    「C市」も「わけのわからなさ」が好きだと感じましたが、この「わけのわからなさ」は自分が科学やら物理やら、そう言ったものに疎いせいもあるかな? と挙げるのは保留に(笑)

    どの作品も単に怖い、無気味、奇妙というだけでなくて、「考えさせられるテーマ性」を帯びているのが素敵なところです。

    「脳髄工場」では“本当の自分とは何か”というテーマが見え隠れします。本来のナチュラルボーンな自分と、人工脳髄を装着した後の自分はどちらが自分なのか? という主人公の懊悩は、現代人の私たちにとっても、ある意味共通の悩みなのではないでしょうか。
     例を挙げるとすれば、飲酒の前後の自分はどちらが本物か? という問いは、これに似たものがありますよね。

     次はどの作品を読もうかな……新しい楽しみが増えました。

  •  11編の短編、掌編が収録されており、どの作品も、今自分が抱いている価値観や常識がどれほどあやふやなものかを鮮明に表していることに「よくこんな狂った世界観がかけるなぁ。」とホラーの完成度と相まって驚いた。特に『脳髄工場』『友達』『綺麗な子』が面白かった。

  • (2024/01/10 2 h)

    かなり面白かった
    哲学的問やSF 的要素の強いホラー

  • アルデバランから来た男おもしろかった〜

  • 人工脳髄と天然脳髄…直球のディストピアSFなのに舞台は何だか昭和的なのが著者らしい気がする。

  • グロくてエンタメ性が強いだけでなく
    ウィットに富んだ皮肉で考えさせられる。

    「綺麗な子」「タルトはいかが?」
    が良かった。

  • 短編が11篇収録された小説。
    特に気に入ったのは、この2つだった。
    ペットも子供も機械だったら食事も排泄の世話も何もしなくていい。けれどいつかは終わりがきてしまう「綺麗な子」
    弟から届く手紙の一通一通を読んでいくと、どうにも様子がおかしくて……?という「タルトはいかが?」

  • ・世にも奇妙な物語や意味がわかると怖い話みたいな話の短編集
    ・タイトルと表紙からグロいのを想像していたが、あくまで気味の悪さを演出する程度のグロさで、不快にはならなかった。
    ・ホラーやSF、恋愛など、話のジャンルのバリエーションが豊富で驚いた。
    ・好きな話は「友達」と「停留所まで」

  • この頃の作品が一番好きだった。

  • 2021年9月 1冊め

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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