忌憶 (角川ホラー文庫)

  • 角川書店 (2007年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784043470082

作品紹介・あらすじ

直人の幼い記憶はいつも現実離れしていた。だが、現実の世界で不幸な目ばかりに遭遇する彼はやがて、幼いころの記憶が本当と思うようになり…。人間の記憶を独自の世界で紡ぐ3つの連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 「器憶」が個人的に良かった。
    二吉シリーズの第1弾ときいて読んでみました!
    「殺人鬼にまつわる備忘録」でよく分からないところが補完できたのが良いね。ちょっとグロいので苦手な人は注意かも。

  • 【2025年135冊目】
    やることなすこと全て上手く行かない男。男を断ち切ろうとした結果、腹話術に妄執する男に囚われる女。記憶障害を抱えながら生きる男。記憶に纏わる三つの連作短編集!

    ホラーというよりもSFみが強い物語たち。文体も不思議なものが多く、最初の方はお酒が入った状態で読んでいたので、余計に混乱しながら読んでいました苦笑

    どのお話も不思議でしたが、一番最後が一番好きでした。何も解決してないし、わからないまま闇の中って感じでしたが、まさに登場人物と同じ状態に陥っていった感じでした。

    現実と虚構の中を彷徨いたいときにおすすめです(?)

  • おもろくてすぐ読み終わった。
    クルオと博美がいちゃつくとこ胸くそわりい。
    三部目がもうちょい答えがほしかった。あと博美も実はへんなやつだったのでその後の掘り下げを期待してしまった

  • あまり面白くなかった。

  • 「記憶破断者」の二吉が本作に出ていたと知り、順番は逆ですが、手に取ってみました。3つの中編。「奇憶」二吉の友人でありダメな男、直人。彼が幼いころ見ていた景色を徐々に思い出し、最終的にたどり着くのは…。「器憶」直人の恋人だった女性と腹話術に夢中になった男性との話。このオチはなかなか強烈です。この後どうなったのでしょう。「?憶」二吉が前向性健忘になった理由と、肉の秘密が少しわかります。実は3作のなかでこれが一番怖かったです。ひいっと叫ぶような怖さではなくじわじわと沁みる気味の悪い怖さ。でもこういうの好きです。

  • 初小林泰三。おすすめにあがる「脳髄工場」はスプラッターっぽい?のでなかなか手を出せず、まずは短編からーと思ったけどぉぉぉ。

    食後に読んでみたら、もどすかと思った。最初、きつい。潔癖症でもない私でも、直人の部屋には住めない。作者が思い描く映像を、読者が受け取って脳内で組み立てるとき、言葉選びがどんぴしゃすぎて、もうほんと汚い。

    最後の二吉編は好きでした。直人の友人であったばっかりにぃ。

  • 「記憶破断者」のスピンオフ作品収録と聞いて(「垝憶」)読んだら、更に「遺体の代弁者」があるらしい。どんだけ引っ張るかな〜。
    奇憶→器憶→垝憶と、一応連作の体を取ってはいるが、登場人物が重複するだけじゃんか。。。と思ったら、「器憶」の入れ替わり(←コレ自体はどこかで読んだネタだけど)を伏線に、イヤな終わり方がステキ。あ、冷凍肉はちゃんと(?)お約束@グロホラーの使われ方をしています、特別料理って奴ね。

  • 記憶破断者の方から読んでしまったけれど、二吉が記憶を失うまでが多少なり補完できてよかった。

    「奇憶」「器憶」「垝憶」の三つの記憶にまつわる連作短編集。

    奇妙で奇怪な別の世界にいってしまったどうしようもない男の「奇憶」がわりと好きだな。ああショゴス二号。

  • 2015年15冊目は小林泰三の連作短編。

    「奇憶」
    何をやってもうまくいかない主人公、直人はつれづれなるままに幼少期の記憶を遡ってゆく。ソコには……。

    「器憶」
    直人の元恋人、博美。その現在の恋人が腹話術に没頭するあまりに陥ってしまったコトとは……。

    「土危(←変換できず)憶」
    直人の唯一の友人、田村二吉は「前向性健忘症」となり記憶をつなぎ留めるためノートを持ち歩いている。しかし、そこに書かれていたこととは……。

    最初の「奇憶」の登場人物をスピン・オフしたかのような連作短編。

    中身的には「土危憶」、オチは「器憶」で、個人的好みは並びの逆順かな。 どれも小林泰三的造りと世界観だが、「コレ」というインパクトには欠けてたかな。

  • "二吉は頭に触れてみた。
    予想した激痛はなかった。
    ただ少し歪になっているような気がする。
    その時になって、膝の上にノートが置いてあることに気が付いた。
    表紙には、「重要!まず一ページ目から読むこと」と大きく赤字で書いてある。
    表紙を捲る。"[p.174_垝憶]

    「奇憶」
    「器憶」
    「垝憶」

  • まさに“忌”憶。モノゴコロがいつ付いたか思い出せないなぁと思いながら。

  • いつものグロさがなくて残念。でも連作で、特に博美の腹話術の話は面白かった。結局冷凍庫の死体は誰?最初は直人かと思った。あと、直人の性格にイライラ。でもいるよね、こういう人。

  • 自己とは、継続的情報の積み上げ一一「キオク」から成り立っている。

    現実と夢は違う。
    では、記憶のなかでその境界線が見えなくなったら?

    自分が動かせる体が自分。
    では、その大前提が脆くも失われてしまったら?

    過去の経験から今の私がある。
    では、その一本の糸が綺麗に断ち切られてしまったら?

    「私」とは。
    人の「キオク」にまつわるホラー三部作。

    ***
    面白いです。
    今の自分を認識するにあたって、言うまでもない根本。それを覆すことで見せられる恐怖は、人の本質的なところを突いている気がします。

    ちなみにこの星4つは3つめの作品に。秀逸でした。
    ホラーってこういうことをいうのかもしれない。

  • ―――何をやってもうまくいかず、悲惨な生活を送る直人は、幼い頃よく見た夢の中を彷徨う。
    直人の恋人・博美は、腹話術に盲執する男の姿に幻惑される。
    直人の親友・二吉は、記憶障害となり人生の断片をノートに綴る…。
    彼らの忌まわしき体験は、どこまでが現実で、どこまでが幻想なのか。
    読者を狂気の世界へと誘う禁忌の三重奏…。著者初の連作ホラー。


    久しぶりに小林泰三の短編

    前のレビューでも書いたけど、小林泰三の物語は最初こそ確かな現実に基づいてるんやけど、読み進めるうちにいつの間にか「関節の外れた世界」へと誘われる。
    この不気味さは彼の作品ならではやと思う

    この本の中では最後の『き(土編に危)憶』が一番好きやな
    前向性健忘症が、ホラー要素とこんなに高い親和性を持つとは思わんかった(・∀・)



    ”わが世界へようこそ”

  • 忌記<器憶<<垝憶

  • 奇憶 / 初出 『奇憶』 祥伝社文庫 (2000.11)
    器憶 / 書き下ろし
    垝憶 / 書き下ろし

    カバーイラスト 森山由海
    カバーデザイン 森川結紀乃
    装幀 田島照久
    印刷 旭印刷
    製本 BBC

  • あなたの記憶はほんとうにただしいか。
    あなたの記憶はうしなっていないのか。
    あなたの記憶はこわいか。
    あなたの記憶はちぎれていないか。
    あなたの記憶はいつわっていないか。
    あなたの記憶はながされていないか。
    あなたの記憶はたべられていないか。
    あなたの記憶はほんとうにただしいか。

  • 読みやすい文体で、一気に読むことが出来ました。
     
    私は「ホラー」が苦手で普段はあまり読まないのですが、この本は変に怖すぎず、面白かったです。
    色々な思想が出てきて、それが、普段自分が考えていたことと共通する部分があり、面白かったです。「自分の意思はどこに存在するのか?」関連の話題が多かったように思います。
     
    ただ、極端に不潔な描写や、数ページですがグロテスクな描写があり、話として必要だったのかな、と思いました。

  • 小林さん初の連作短編だそうです。
    そういえば小林さんの連作って読んだことなかったなーと言われて気付く。
    で、良かったかどうかは……まぁ以下に。


    簡単な粗筋「奇憶」(他2作)。
    大学を中退し、アルバイトでさえもままならない青年。
    いつしか過去の思い出に浸るようになるが、その記憶の中には現実のものとは思えないものが存在した。
    夢なのか現実なのか分からない中で青年は――。


    個人的には1つ目の「奇憶」、好きでした。いかにもな小林さん調で。笑
    夢なのか現実なのか分からない世界は結構他のモノでも見るけれど、
    小林さんの世界観はいつも秀逸だと思ってます。

    が。
    正直な所感としては、総合的にそこまで面白くなかったです(毒)。
    いや、何ていうんだろ……連作といえば連作なんだが、なんか中途半端というか。
    作り的には、あせごのまんの『エピタフ』を思い出しました。
    ……それが良いか悪いかは他の人の判断に任せます。笑


    そして気になる所がひとつ。
    同じ「記憶」テーマでもう一度出したりするのでしょうか。
    というかむしろ出してくれなきゃ後味悪いんですが……。
    最後の話が「次回、最終回!」みたいな終わり方だった気がする。
    ちょっとアレで終わるのは反則だろう。
    出されたら出されたで微妙かもしれないが、ちょーっと出てほしいという気持ちが、ね。



    まぁ楽しめたといえば楽しめたので、小林さん好きの方はどうぞ。
    小林さんの作品を初めて読む!って方はやめておいた方が賢明です。笑

  • 小林やすみのロジカルなとこが4割、グロ6割な小説です。
    3話目が一番好き

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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