臓物大展覧会 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043470105

感想・レビュー・書評

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  •  グロさに定評がある小林泰三作品の中でも特に血生臭い作品。「透明女」は女性を解体している描写が妙にリアリティがあって読んでいて痛みを感じるような錯覚に陥った。

  • 冒頭の「透明女」がグロすぎで心折れそうになりますが、それを除くと、SFありミステリありのちょいグロバラエティ短編集といったところ。「悪魔の不在証明」は、緻密な論理展開とちゃぶ台ひっくり返しラストが小林泰三氏らしくて素晴らしい。読んでください。

  • 『悪魔の不在証明』が最高

    この中に神の存在「賛成派」「反対派」の意見が全て載っている。

    常に議論のテンプレとして携帯しておきたい。

  • 夏の終り頃購入し、長く積読にしていた1冊。
    完全にタイトル買い。購入後、同作者の『玩具修理者』『人獣細工』『肉食屋敷』『アリス殺し』(順不同)と別作品を発掘 、先に読んでしまって……。
    タイトル、プロローグと本編との関わりは薄く、期待していたモノとは異なるが、色とりどりの9編を取り揃えたあたりは大展覧会。
    「ホロ」ヴァーチャル・オチ的なのは個人的に、あまり好みじゃないかな。
    「少女、あるいは自動人形」は世界観は好きだけど、アレレ?って感じ。
    ショートショート的「釣り人」のオチは、ソコへ至るまでとのギャップに、思わず笑ってしまった。
    「透明女」「攫われて」はスプラッター描写に目を奪われがちだが、オチのスッキリしない感が好き。
    そして、後半4編はベクトル異なるが、ドレもイイ。
    「十番星」少年主人公モノ。環境問題を逆手にとり、人間が元凶かと思いきや、きいきいきい(←ふざけてるわけではありません)。
    「悪魔の不在証明」途中で何となく、オチの予想がついたが、イイ意味でモヤモヤする。
    「造られしもの 」ロボットSFモノ。オチとともにこのタイトルが秀逸。
    「SRP」コメディタッチのB級特撮モノ臭がプンプン。設定も、キャラも、オチまで大好物!
    以上が、全9編のザックリした、感想でした。
    そして、エピローグはプロローグと呼応し、ちょっとオドロな感じなのだが、9編目のラストの余韻を、逆に、醒ましてしまってんじゃないかな?なくても良かったような……。

  • 透明女はグロかった。透明女には悪気はなかったんだろうけど…。
    攫われてはなかなかの怖さだった。てっきり"僕"は犯人だと思ったけど、読み返してみると馨のようにも思えるし…どっちなんだろ。
    十番星はきいきいきい。
    造られしものはSFだけど衝撃のラストだった。本人は知らずに死ねたけど…。
    悪魔の不在証明もなかなかよかった。文筆家の話は真実なのかどうか。。

  • 痛くて気持ち悪い、怖い、ゾクゾクする、気持ち悪い、痛い痛い痛い。でもどんでん返しにゾワッとして、それが面白くて、こんなに面白いけれど、絶対に人には薦められなくて悩ましいね。
    9つの短編集。
    描きおろし作品の「透明女」と「悪魔の不在証明」の終り方の気味悪さは異常。「攫われて」はもう目眩がするくらい怖かった。

    「エヌ氏」が出てきたり、やたらと深呼吸を勧める変な刑事が出てきたり、SF戦隊物が急に始まったりと、変に緩急のある小説だった。

  • ホラー短編集ですが、SFありコミカルな話もありで多彩。グロテスクなものもありますが、不思議と後味は悪くない。
    初めの「透明女」が恐ろしくえげつないなと思えば、次の「ホロ」が綺麗なSFでびっくり。
    「攫われて」は痛そうで読むのが辛かった。
    後半四編「SRP」「十番星」「造られしもの」「悪魔の不在証明」はどれもお気に入り。

    「SRP」
    妖怪SF。稲生物怪録に科学特捜隊というすごい組み合わせ。楽しい。
    「十番星」
    ベタベタなホラーSF。少年向け古典SFホラーっぽさがよく出てて懐かしい気分になる。
    「造られしもの」
    ロボットSF。これも古典的ロボットSFの名作を意識している感がありますね。哀愁漂う。
    「悪魔の不在証明」
    小さな村に現れた宗教家と神の存在を議論するうちにとんでもない結末に。狂気だ。

  • 良い。

  • 好きな作家の一人。
    変態描写人間として、一目置いている先生であります。

    泰三。「タイゾウ」ではなく「ヤスミ」と読む辺りにすでに変質性を感じるぜぇ。


    「ぁぅぇぇぉぉぉっっヶッッャョュ」
    悲鳴ですよ。これ。

    こんな、よくわからない人間の表情とリアルな臓物の表情をグチャグチャと混ぜて…うげぇ

    ストレートで気持ち悪い表現を、ここまで全力投球できるものか…肩壊すぞ。

    ただ、気持ち悪いだけではなく人間の感情というか、ヒューマンドラマ的な要素もしっかり短編で纏めてくるあたりが巧いなぁと思う。きいきい。

    また、ホラーとSFの両面を話に巧く織り込んできいきいなので妄想好きの人は、はまり易いんきいきいきいんではないかな。

    気持ち悪いけど、後味が悪くない。
    だから、おかわりしてしまう。きいきいきい。


    今回の作品は他の作品に比べてクオリティがきいきいきいきいなので星三つ。
    「臓物大展覧会」という表題を掲げられる環境と地位にきいきい、星一つ。きいきい。

    きいきいきいきいきいきいきいきい。

  • 2010年5月13日読了。臓物まみれのスプラッター短編9編を収録。「透明女」など、のっけから読んでいてこれほど「いい意味で不快感」を覚える小説も珍しい・・・。とは言え各短編の本質は粘液とか肉にはなく、人間とより高次の生命体とのコミュニケーションの質的な差異というか、すれ違いの妙を描いたお話なども多く普通にSF小説として楽しめる。最後の「悪魔の不在証明」は「神の存在を証明できるか?」といういわば古典的なテーマを、この人らしいユーモアと狂気と臓物(結局これが出てくるのが笑えるが)をまぶして軽いタッチで描いており面白い。作品としては、タイトルとオープニングから連想させるようなトータルアルバム的統一感に欠けるのが残念だが。

著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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