落下する夕方 (角川文庫)

  • KADOKAWA (1999年7月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784043480012

作品紹介・あらすじ

別れた恋人の新しい恋人が、突然乗り込んできて、同居をはじめた。梨果にとって、いとおしいのは健悟なのに、彼は新しい恋人に会いにやってくる。新世代のスピリッツと空気感溢れる、リリカル・ストーリー。

みんなの感想まとめ

複雑な三角関係を描いたこの作品は、愛と憎しみが交錯する中で、登場人物たちの繊細な心理描写が印象的です。主人公の梨果は、元恋人の新しい恋人・華子と同居することになり、彼女の不思議な魅力に惹かれていきます...

感想・レビュー・書評

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  •  江國香織さん2連チャン。本作は96年刊行で、一般的な"普通の"感覚からズレている男女の、奇妙な三角関係が描かれています。受け入れ難い、共感できない、はたまた読了断念などという声も聞かれそうです。

     私は、好きか嫌いか問われたら「ビミョー」と答えそうです。ストーリー性と人物だけに注視すると不毛かもしれません。ただ、理解し難い登場人物たちの、繊細な心理描写や雰囲気が醸し出す独特の世界観は、嫌いではないなと…。

     静かに語られる生々しさや危うさ、暗さと絶望、軽やかさと美しさが、不思議にも上手く同居している気がします。曖昧な心理状態を的確に言語化するセンスなどは見事と感じました。

     珍しく映画(98年公開)も観てしまいました。原作小説からの映画は"観ない派"ですが、稀に誘惑に駆られます。原作とシナリオで江國さんの世界観の違いはどうなる? そして文庫解説が監督の合津直枝さんだし、さらに主演が原田知世、んで多くの国際映画祭に招待とな! よし、観よう!笑

     うん、やっぱりちょっと…←失礼。俳優の瑞々しさはいいとして、小説の長い時間軸が縮むことで、静かで深い内容が軽く感じました。やはり原作を読んだ無限の想像世界が、視覚・聴覚情報で限定される気がして仕方ありません。

     原作を超えることはできないと改めて思いました。それにしても江國さん、なんかすごいタイトルつけますね。直前読了作も、その深過ぎる意味を考えるのも乙ですね。

  • 著者、江國香織さんは、ウィキペディアによると、次のような方です。

    ---引用開始

    江國 香織(えくに かおり、1964年〈昭和39年〉3月21日 - )は、日本の小説家、翻訳家、詩人。父はエッセイストの江國滋。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。永遠に続く日常を温かで切ない感性が描いた、恋愛小説の新しい波。

    ---引用終了

  • 初めて江國香織さんの小説を読んでみました。本当になんと表現したら良いか分からないし、内容ちゃんと理解出来てないかもしれないけど。でも読んでて、不思議と癒されたし自分を大切にしようと思わしてくれる本でした。

    それは文章がとっても美しいからなのかも。あとヘチマコロンとか、強いぶどうの味がする飴とか、出てくるものたちもなんだか癒される響き。あと主人公が失恋を乗り越えるために、いつもより丁寧に暮らす描写に、自分も重ね合わせて、丁寧に自分を大切にしよって思わされた。失恋全くしてないけど、なんだか共感出来た。

    それにしても華子はどんだけ魅力的なんだ!あの自由さに人は憧れを抱くのだろうか。不思議だ。

  • 凪良ゆう先生がどこかでおすすめしていた本。
    初めての江國さん作品です。
    文章と世界観がとにかく好きでした。
    こういう本好きだなぁ、、、すごく穏やかで深くて儚いけど重い感じがとっても気に入りました。
    江國さんの文章もっともっと読んでみたくなりました。

  • 8年も付き合った健吾に突然別れを告げられる梨果。
    全く予期せぬ事態にフワフワしながら、でもそれでも大好きで未練を断ち切れずにいる。そこに健吾が好きになったという華子が居候を始める。
    つかみどころのない華子と健吾と梨果の奇妙な三角関係が始まる。
    華子は自由で謎で子供みたいで突然いなくなる。またふらっと帰ってきて何もしないでいる。
    時間をかけてかけてかけて、やっと健吾の事を考えなくてもやっていけるようになる梨果。
    健吾の執着もすごいが梨果もすごい。
    でも、本当に好きならそうなってしまうのかな。
    自分でわかっているのに、人は何をするのかわからない。

  • 江國さんの文章って、ほんとうに人を惹きつける。
    ただのおじさんが、起きて食べて寝るだけのなんのオチもない文章でも、この人が書いたなら没頭して読んでしまうと思う。

    この主人公も、やはり非常に女性的な感性を持っていて、自分とはなかなか遠いところにいる人だから、ひとつひとつの行動がとても新鮮だった。
    (ようやく1人の時間ができたのにやることがないだなんて、信じられない……)

    しかしまあ、クライマックス(?)の一文にはほんとうに驚かされた。絵に描いたような「・・・」の顔をしていたと思う笑 1分くらい思考が固まった。

  • タイトルが良い。江國香織さんの作品はいつもそうだけど。
    恋の終わりを描くために華子は生まれたのでは?と思った。
    失って、失ったことを認めて、過去にする。
    華子のような存在があれば私ももう少し上手く失恋できたのに。

    • 大野弘紀さん
      華子はもはや、刹那的な命の時間で生まれ落ちた、一瞬の永遠のような、亡霊にも似た、思い出(つまり過去)そのものだったのかも、しれない

      華子はもはや、刹那的な命の時間で生まれ落ちた、一瞬の永遠のような、亡霊にも似た、思い出(つまり過去)そのものだったのかも、しれない

      2019/11/22
    • もえぴさん
      うまく失恋する、ってなんだか良い言葉の響きですね
      うまく失恋する、ってなんだか良い言葉の響きですね
      2025/03/25
  • 再(X20回?)読しました。
    20年以上前の1999年発行当時に購入。

    梨果は八年同棲した恋人・健吾に別れを告げられて
    彼は家を出る。健吾の想い人の不思議な女性、
    華子となぜか同居することになるけれど意外と
    その生活はしっくりと馴染んでいき...。

    購入当時も「優雅な生活だな…。」と感じましたが
    (江國さんの小説の登場人物はだいたい優雅に
    生活している)さすがに20年前となると
    生活様式や行動がやや古いですね。
    健吾があっさり転職してさっと仕事を見つけられる
    ところとか…。

    ただしそれを差し引いても始まりと終わりは
    私の中でこのジャンル(恋愛かな?)の小説で
    超えるものはなかなか出てこないです。
    読むたびに心に響きます。

    1年以上をかけて恋を失う物語、大切なものを
    失いそうになっていたり失ってしまったときに
    読み返す小説です。

  • はじめましての江國香織さん。

    はじめての感覚。
    なんだろ…淡々と話が進んでいく。びっくりするような事件も、涙するような感動もないし…でもなんか不思議と読む手が止まらない…。

    8年間付き合って同棲もしていた彼氏(健吾)にフラれた梨果。原因は健吾に好きな人(華子)ができたから。
    そんな華子が梨果と一緒に住むことに…

    華子は不思議な女性だった…
    誰にも執着しない。
    いろんなことに興味もない。
    縛られるのが嫌い。
    怒られるのが嫌い。
    期待されるのが嫌い。
    きれいで華奢で色白で少女のような長い手足。
    少食なのに食べるのが好き。
    残すのに飲み物はコップにたっぷりとそそぐ。
    そんで半分残す。
    1日の大半を寝てすごし、ラジオを聞き、メイク道具は口紅だけ。

    大人も子どもも華子に惹かれ会いたくなる…

    元カレの健吾は華子に会いたくて梨果に電話をしてくる。
    最低な男なのに執着する梨果。

    実際こんなことあったらキレて追い出すか、男のことだって嫌いになるのに…

    健吾に執着する梨果も、華子に執着する健吾も、そんな魅力的な不思議女なんているかー!!って突っ込みたくなる華子も。
    何もかもわたしが好きな話ではないのに読めちゃったのは不思議…

    ミステリー疲れしたら他のも読んでみよーっと

  • なぜか心地よく読み続けてしまう。
    ゆったりとした流れ。

    こんなふうに気持ちを許せたら、他人と空間を共有できるなら
    幸せだろうなぁ。

    なのに突然衝撃の展開。
    でもそこからのおかしな会話も「なんか分かる」

    心地よいリズムであっという間に読み終えられる、でも余韻はずっと続く、そんな物語。

  • ブランチで凪良ゆうさんが涙した感動作として薦めていて、手に入れました。不思議な三角関係に戸惑いながら読んでましたが、積読へ。

  • 不思議な恋愛関係?の女性二人男性一人の物語。特に主人公の一人である華子は不思議な浮遊感がある存在。それぞれすれ違っているのかどこかで繋がっているのか…華子を中心にそれぞれに遠心力がはたらいていたのかもしれない。

  • 10年前頃に一度読みかけたけれど、
    途中でやめてしまった。内容は覚えていなかった。
    日曜日の午後、本棚にこの本を見つけて1ページ読んだら止まらなくなりいっきに読んでしまった。
    読み終わった頃夕方になっていた。

    男の人だけじゃなくて主人公も男女問わず、恋敵の相手でもみんな惹かれてしまう華子。

    すべての登場人物の華子を思う心理描写が本当に卓越してて繊細で…読んでいてとても気持ち良かった。

    好きとか嫌いだけじゃなくて、
    そこを通り越した思い、執着。

    この感情はなんだろうって読み進めて行く中でずっと思っていて…突然出てきた言葉。そうか…執着か。感情の伏線が回収されたような気持ちになってそういう部分でも文章を読んでいて楽しめた。

    今まで読んできた小説の中で上位に入るくらい大好きな本になった。

    歳重ねる事はいい事ばかりではないけれど、10年前はピンとこなくて閉じた本が、いろんな経験を経て、いろんな感情を知って、ようやく本の内容を深く理解できたのかなと思えたら、なんだか歳を重ねるのも悪くないと思えた。

    週末、一冊の小説で一本の上質な映画を見終わったような、贅沢ないい時間を過ごす事ができた。

  • 読み終わる頃には、華子に魅了されている

    あとがきがめちゃくちゃ好き。
    「子供のころ自転車に乗っていて、ころぶ数秒前には不思議な透明さでそれを知っていました。ああもうすぐころぶなあ。そう思って、ちゃんと、ころんだ。夕方には、なにかそういう種類の透明な冷静さがあります。
    つきすすんでいく格好わるい心の上空に、しずかな夕方がひろがりますように。」

  • 本の内容自体は★3.8くらいだけど
    手に取って一気に読み終わったタイミングで
    なぜかとんでもなく心を救ってくれたので
    ★5の気持ち。

    最近、江國さんの短編ばかり読んでいたので
    一冊通してのお話は久しぶり。
    華子という人物にわたしもしっかりと翻弄されながら、そしてこや物語の人物たちと違わず、彼女に魅了されながら、そして、梨果と共に傷を癒す準備をするかのように2日ほどですぅーっと読み終えました。

    読んだ日数は少ないけど、体感、この一冊の季節、約1年を過ごした不思議な感覚になった。

    恋愛小説、とは一言では言えなくて、どういったらいいんだろうと思っていたら、あとがきに
    これは時間の小説だ、と記載あって、それがすとんと落ちた。

    (江國さん自身は、魂のすれ違いの物語で、
    格好悪い心、未練や執着や惰性に満ちた愛情、の物語でもあるって書いててそれも、なるほどなあと思ったけど)

    一人の女性が、普段の生活を過ごしながら、失恋を乗り越えようとスタート地点に経つまでの物語。
    って書いたけど、なんか陳腐。なんて表せばいいんだろう。
    傷を癒すとかじゃなくて、その過程は、いかにも現実と近いというか(華子以外は)、執着や惰性にまみれた過程で、自分にとって大きすぎるものを失った時に、経験したことがあるような過程が描かれている感覚。

    華子はとてもインパクトがあってこの物語を彩ってくれているけど、きっと、もっとリアルなのは、
    小さい華子みたいな存在、それは人間に限らず、
    もの、ひと(この物語の中の直人くん)、習慣、そういうたくさんの、そこにいるだけのもの、が、立ち止まった時ひ少しずつ人の人生を前に押してくれるのだと思う。

    一方で、わたしにも華子みたいな存在がいたら、うまく乗り越えられることがあるのになあ
    と、しっかりと、華子の不思議な魅力に虜になりました
    でも華子は何か特別なことをしているのではなく
    ただそこにいるだけ。
    損得勘定はもちろん、寄り添ったりとかあたたかいことは何もせず、ただそこにいるだけ。
    それがどんなに難しいことなんだろう、と思う。
    しずかで、あかるくて、絶望しているもの。

    華子はすごいな。
    そんなこと言っても、華子はきっと、ふうん
    と言うだけなんだろうけど。

  • はじめ三角関係という物語設定だけで良い印象は持てず、本を手にすることもしていなかったのだが、どうしてもと言う友人の勧めで読んでみることにした。
    すると最初の印象は何処へやら、江國香織のするすると零れ落ちそうな文体を読み進めていく内に、心地良い清々しさを感じてしまうほどになっていた。
    (重苦しい場面もあってうぅッとなったりもするのだが、全体の印象は変わらない)

    なんの変哲も無い日常の描写にキラキラした淡い輝きを感じ、そしてすぐ消えていってしまう儚さに心がさらざわとしていく。

    若い時にこれを読んだらもっと動揺して物語に集中できなかったかもしれない。今の自分の齢だから、余裕を持ってこの作品の輝きを受け止めることが出来たかもとも思う。

    本の読み方も歳を重ねる毎に変わっていくのかな。

    本から自分を見つめられる時もある。
    読後そんなことを考えることも新鮮だった。

  • 凪良ゆうさんが「王様のブランチ」で感動した恋愛小説、と紹介されていたので読んだ

    文はとても丁寧な小説、だけど登場人物は私が嫌いな人ばかりであった

    人の気持ちというのは、自分でも制御できないものだ。と言うことらしい

    自身が面倒な事が嫌いなので、裏切る気持ちは理解できかねる。一般的にはそうじゃない事も多いよな

  • この本を読みながら
    GO!GO!7188のこいのうたが頭に過ぎった。
    「私の好きな人には好きな人がいる」

    恋愛は一種の洗脳状態で梨果は明らかにおかしな
    状況にいるのに健吾以上の人が居ないと思って
    健吾の良いところしか見えなくなってる。
    一緒に居れる可能性があるなら
    華子だって家に住まわせちゃう!

    私自身も盲目になって周りが見えなくなる
    ときがあるし共感できちゃうなぁ〜

  • 主人公が、元カレの好きな女と暮らすという奇妙な物語。

    嫉妬や未練に振り回されてドロドロの展開になるかと思いきや、清々しい読後感だった。
    それは主人公が元カレを愛していたからだろうと思う。愛しているのかそれとも愛されたいのか…それは大きな違いを生むんだな。

    あとがきで江國香織さんが『これは格好わるい心の物語』と書いていた。そうかもしれないけど、私は人間らしくて大好き。


  • 恋愛選書きっかけで。
    こちらの作品、装丁がすごく可愛くて好み。
    現実で考えると振られた元カレの好きな人と同居するなんて、ありえないし無理だと思うけど、この本を読んでいる間はそんな3人の関係が素敵に思えてくる。
    そして、この作品の空気感がすごく好きだった。
    これが江國ワールドなのか…!!

    ✎︎____________

    好意を注ぐのは勝手だけれど、そちらの都合で注いでおいて、植木の水やりみたいに期待されても困るの

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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