- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043480012
作品紹介・あらすじ
梨果と八年一緒だった健吾が家を出た。それと入れかわるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。逃げることも、攻めることもできない寄妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち…。永遠に続く日常を温かで切ない感性が描いた、恋愛小説の新しい波。
感想・レビュー・書評
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タイトルが良い。江國香織さんの作品はいつもそうだけど。
恋の終わりを描くために華子は生まれたのでは?と思った。
失って、失ったことを認めて、過去にする。
華子のような存在があれば私ももう少し上手く失恋できたのに。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
大野弘紀さん華子はもはや、刹那的な命の時間で生まれ落ちた、一瞬の永遠のような、亡霊にも似た、思い出(つまり過去)そのものだったのかも、しれない華子はもはや、刹那的な命の時間で生まれ落ちた、一瞬の永遠のような、亡霊にも似た、思い出(つまり過去)そのものだったのかも、しれない2019/11/22
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主人公が、元カレの好きな女と暮らすという奇妙な物語。
嫉妬や未練に振り回されてドロドロの展開になるかと思いきや、清々しい読後感だった。
それは主人公が元カレを愛していたからだろうと思う。愛しているのかそれとも愛されたいのか…それは大きな違いを生むんだな。
あとがきで江國香織さんが『これは格好わるい心の物語』と書いていた。そうかもしれないけど、私は人間らしくて大好き。
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Twitterでおすすめされて読んだ
一番好きな小説だと
この小説は本当に冷静だった
静かだった
なぜ彼女は死んだんだろう
疑問が残る中にも彼らは生きていくんだろうなと思った -
印象的だったのは、華子の以下の一言。
「私はシカ。それも雄のシカになりたかった」
華子と私と時々健吾。私の中で、序盤は健吾が多くの割合を占めているが、物語が進む中で、徐々に華子に移り変わっていく。
私が華子にある種、依存していく。華子は関わる全ての他人から、依存または執着されているのに、彼女は全く関心がない。
華子の言動に我々読者も引き込まれて、興味を抱いていくのが不思議だった。 -
1500円ぐらいする和風出汁のラーメンみたいな一冊。精巧で緻密、あえてのぼかしが更なる旨味を引き立てる…というか。計算された美味しさ。
江國香織さんってドロドロをサバサバに書くので親しみやすさからか引き込まれるんだけど、表現適切か知らんが文体に「崩し」がある。倒置法とか体言止めとか習ったけど、例えば一文で済む文章を敢えて二文にすることでキャラを強調して引き立てるとか。ふにゃけた口語を持ってくるとか。
「私たちはマンションまで送ってもらった。銀色のムスタングで(79項)」
「健吾は話してくれなかった。かわりにがばりと立ちあがり、焼き肉でも食べに行こう、と言う。それで、そうした(90-91項)」
それが効果的に散りばめられていてずっと飽きずに最後まで行けてしまうので、ある意味とても精巧。高級な腕時計のよう。ラーメンだけどすすすっといけてしまう。300ページあるのに通勤の往復で読めてしまうんだから、そのスキルは、やはり属人的なものなんだと思う。 -
久々にどうしようもなく江國さんの作品を読みたくなった。
最寄りのブックオフが閉店セールをしていたので、『え』のところに行って、装丁に惹かれてこの本を買った。
読んでいて満たされた。
優雅で静かで穏やかなのに、あまりにも残酷。
理解なんてできっこないのに、なんだか、ああそうか、と納得させられる。
好きだなぁ。お洒落だなぁ。
8年間付き合っていた恋人健吾は「好きなひとが出来た」と2人で住んでいた家を出て行ってしまう。
悲しくてやりきれない思いをよそに、健吾が好きになった相手である華子が、主人公である梨果の部屋に転がり込んでくる。
意味がわからないし、腹も立つ。
だけど健吾をはじめ多くの人(それも男性のみならず女性も。性的嗜好とか関係なく)が華子に魅了され、気付けば我々読者までもが華子を好きになっている。
すごい人だよ、江國香織。
これからも好きです。 -
華子のように生きたいと思ううちは
華子の影、闇、暗さを理解できていない -
一見すると非常に奇妙な人間関係が、江國さんのちからによって成立しています。少しずつ時間を置いて再読したい本です。
著者プロフィール
江國香織の作品





