泣かない子供 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2638
レビュー : 159
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043480029

感想・レビュー・書評

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  • この人のエッセイは、赤裸々で気持ちがいい。

    それから、「流しのしたの骨」や「間宮兄弟」のような、江國さんの書く家族の話が、なぜ魅力的なのか、このエッセイの中に見つけたような気がする。
    家族のことを、「排他的集団」と称して、「変態的」と称して、実はものすごく敬愛しているのだ。
    こんな、家族に対する愛情のかけ方、初めて知りました。

  • 世の中には救いなどない、という書き方をしながら、それでも絶望を選ばない。



    サガンと江國香織さん、同じ雰囲気を感じていたから、江國さんが、サガンの話をしていて嬉しかった。

    ラルフへ、不倫に対する考え方も面白い。

    あぶらとり紙の話も、自分も同じ経験を持っていて、懐かしく読んだ。

    石井桃子訳の本、読んでみたい。

  • 『ありふれた変態たち』。家族という集団が外から見るといかに排他的で内にいるひとにとっても束縛に満ちていて寂しく、けれどもその集団だけのリズムには心地よさもあるかについて。それを「変態的」と表現しているのが良い。ほかには『父の小言』『「バンビ」のこと』が良かった。江國香織は、家族についての文章と本など何らかの作品の感想が良い。『「バンビ」のこと』で動物達の森における力関係の描写について「やさしい言葉で淡々と語りながらも、ザルテンの観察眼には容赦がない。」と書いているがこれは江國香織自身の文章にも当てはまると思った。自分の感覚や気持ちを大事にしていて柔らかいが、後ろにもう一人冷静な自分がいて、表現を選び抜いて文章を書いているのではないかと感じさせる。

     中学生のころよく読んでいた作家だが、都会的な雰囲気や恋愛が主題の文章が苦手で読まなくなっていた。大学院に進んでから雑誌「飛ぶ教室」のバックナンバーに載っていた文章が気に入って、ようやっとこの本を読むことが出来た。これからはエッセイや童話を読んでいこうと思う。

  • 薄紙をたちまち透明にしてしまう父の魔法「ママには内緒」。幼い著者と父の「秘密」の共有をつづったこのエッセイはとても可愛らしい。
    執筆当時著者がまだ年若いためか、集められたエッセイは玉石混交で、のちの作品に比べてより繊細な印象が増すように思う。ことばに厳格なお父様に育てられただけあり、ことばの選び方、使い方がとても綺麗。少女の薔薇色の頬のような感性――「として見えるよう」計算され尽くした少女性。例えば武田百合子のような「本物」の少女性に感じる危うさやこわさとは違い、見目に儚く美しくあることを身上として飾られたパステルピンクのドラジェのよう。(カズハ)

  • 夜のコーヒーショップで人を待ちながら、
    ひといきに読んだ。

    日々の小さなかなしみとか、ときめきとか、
    本当に大切に記されている。

    ひとつひとつ読み進めていくと、
    ああわたし生きているなあ、と安心する。

    結局、待ち人には会えなかったけれど
    まあ仕方ないかと思えた。

  • 私が江國さんの本を好きな理由がはっきり分かった本。
    強く主張したり押しつけがましくない。江國さんは、読者のためというよりも、自分のために書いているなと思った。だから素直に静かに自分と向き合っているのが分かった。読者と向き合っているようなエッセイをよく目にするから、江國さんみたいな姿勢で文章を書く人が大好き。

  • 江國さんのエッセイ読んでると、江國さんの本の中の人物達と重なるかも。日常がなんでこんな素敵なのか、自分の語彙力のなさと感性と表現力と、、やはり才能

  • 江國さんは繊細かつ芯がある女性だなあと思う
    よのなかの嫌なことを拒絶しすぎる幼さがなく かといって屈強すぎず めそめそはせず

    でも悲しいことは悲しいときちんと引き受けるような文章に私は毎度毎度安心します そのただしさと確かさでよく眠れます。

  • エッセイ集。江國香織の文章を通して見る世界はどうしてこんなに純粋で綺麗なんだろう。子供の頃の記憶とか周囲へのまなざしとかそういうものを適切な表現で語っていて、だからこそ江國香織が聴いた音楽、読んだ本、感銘を受けたものは全て感じたいと思ってしまう。洋楽を日本語に翻訳した時のような読後感があった。

  • 足かけ8年分の出来事や読書日記をまとめたエッセイ。他のエッセイに比べると、少し雑多な印象。書簡形式の「ラルフへ」に、不倫に対する思いがはっきり書かれていて、決して悪い意味ではなく、こんな感じ方もあるんだと新鮮な気持ちになった。不倫の恋愛が持つ悲しみに、「びしょびしょ泣いて」しまった江國さん。その繊細さは、家族というものが内包する 異常性と愛情の絡まったもの に向ける思いからも垣間見えて、これらの気持ちはどこかで繋がっているのかもしれないなと、「妹の不在とその影響」「ありふれた変態たち」を読んで感じた。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに かおり)
1964年、東京生まれの小説家。1986年、児童文学雑誌『飛ぶ教室』に投稿した「桃子」が入選。2004年、『号泣する準備はできていた』 で、第130回直木賞を受賞。他、山本周五郎賞、中央公論文芸賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。代表作として、映画化もされた『きらきらひかる』や『冷静と情熱のあいだ』など。女性のみずみずしい感覚を描く作家として、多くの読者を魅了している。また、小説から絵本から童話、エッセイまで幅広く活躍中。翻訳も手がけている。2019年5月2日、2年ぶりの長編小説『彼女たちの場合は』を刊行。

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