異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.72
  • (86)
  • (111)
  • (139)
  • (9)
  • (9)
本棚登録 : 1032
感想 : 113
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043486014

作品紹介・あらすじ

昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 20年程前に既読の本なのですが、古本屋で発見し、著者が平山夢明(当時は知らなかった)だったので、思わず購入しました。

    海外の7名の猟奇殺人鬼のノンフィクションです。

    ○エドワード・ゲイン
     人体標本を作る男
    ○アルバート・フィッシュ
     殺人狂のサンタクロース
    ○ヘンリー・リー・ルーカス
     映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士のモデル
    ○アーサー・シャウクロス
     ベトナム戦は終わらない
    ○アンドレイ・チカチロ
     赤い切り裂き魔
    ○ジョン・ウェイン・ゲーシー
     映画「IT」のモデル。少年を愛した殺人ピエロ
    ○ジェフリー・ダーマー
     人肉を主食とした美青年

    どの殺人鬼も、幼少期に壮絶な虐待を受けており、精神的に不安定。
    チカチロに関しては性的不能も原因の一つ。
    ゲーシーは多重人格を訴えていたが、真相は不明。
    頭が良い。人当たりがいい。

    虐待は勿論だが、厳格すぎるのも良くない。過度のトラウマやコンプレックスが原因かと思われるが、親が親だけに生まれながらの資質も全くないとは思えない。

  • 『悪魔のいけにえ』『羊たちの沈黙』『IT』といった有名ホラー映画のモデル、素材ともなった、特異な犯行で知られる七人の殺人者たちを、記録をもとに調べあげたノンフィクション集で、それぞれに40ページ前後があてられている。彼らの犯行や成長過程における出来事や警察による捜査などを、グロテスクな描写を得意とする作者が、周囲の人物や犠牲者のセリフもまじえつつ小説風に仕立て、読み手に臨場感を与える点が大きな特色。そのほか、各章ごとに類似の犯罪者や、犯罪心理の分析などを紹介しながら、各人の特徴を解説する。

    本書のテーマとホラー作家による著述であることから、当然おびただしい数の残酷なシーンが次々に登場し、グロテスクさとその量の多さは著者の小説作品に優るとも劣らず、読み手によっては読み続けることが苦痛になる可能性もある。そして、このような類をみない犯罪を犯した加害者たちの共通点としては、やはりというべきか、生育過程において彼ら自身が被害者であったことが指摘されている。とくに『羊たちの沈黙』のレクター博士のモデルとなったルーカスについては、その凄絶な半生に言葉を失う。また、いずれの章でも、犯行の特徴として多寡の違いはあっても、人肉食について触れられる点も通じている。

    記録を重視したノンフィクションを期待される向きには合わないおそれも。以降は各章(殺人者たち)の概要。
    ----------
    【1.人体標本を作る男/エドワード・ゲイン】
    米。1957年に逮捕。自宅には"人体部品の山"が見つかる。多くは墓地から掘り起こしたもの。認められた殺人は二件で、本書内では最少。遺体の皮膚加工などが、映画『悪魔のいけにえ』等のモデルとされる。
    【2.殺人狂のサンタクロース/アルバート・フィッシュ】
    米。1934年に64歳で逮捕。幼い子供を次々に誘拐し殺害する。自供では400人とされる。親しみやすそうな老人にしか見えないため怪しまれなかった。
    【3.厳戒棟の特別捜査官/ヘンリー・リー・ルーカス】
    米。1983年に逮捕。『羊たちの沈黙』レクター博士のモデル。全米30州で米国史上最多の360の殺人を犯したとされる。本書では母による壮絶な虐待の様子や、犯罪組織との関わりが描かれている。
    【4.ベトナム戦争は終わらない/アーサー・シャウクロス】
    米。1989年逮捕。「ベトナムにいた一年が、俺にとっては最高に幸せな時期だった」。帰国後しばらくすると各種の犯罪に手を染め、逮捕・釈放の後に11人の連続殺人を犯す。
    【5.赤い切り裂き魔/アンドレイ・チカチロ】
    ソ連。1990年逮捕。少女を中心に53人の女性と少年を殺害。ソ連体制を原因とする捜査の不備もあって、捜査開始から逮捕までに7年以上を要する。その間、複数の冤罪逮捕者とそれを原因とする自殺者を生み出してしまう。
    【6.少年を愛した殺人ピエロ/ジョン・ウェイン・ゲーシー】
    米。1978年逮捕。ボランティアとして道化に扮する機会が多く、映画『IT』のモデルとされる。床下から多数の遺体が発見され、近隣にたびたび聞こえていた悲鳴は拷問に苦しむ少年たちの叫びだった。多重人格を主張。
    【7.人肉を主食とした美青年/ジェフリー・ダーマー】
    米。1991年逮捕。警察に助けを求めた男がきっかけとなり犯罪が露見する。強烈な異臭を放つ彼のアパートからは最終的に17体の遺体が押収された。部屋の食品はスナック菓子程度で、ダーマ―は人肉を主要な食料としていた。

  • スプラッターものは決して嫌いではない。
    むしろ、好きと言える。
    しかし、残念ながら本作はフィクションではなく全てがノンフィクション。
    猟奇殺人を犯す人に共通するのは、幼い時に心に大きな傷を負ったことであり、又、知能が高く時にはよき隣人に見えることがある。

    読みながら、フィクションで描かれたスプラッターもの程、脳裏に残酷な殺害状況がうかぶ訳ではなかったが(逆に言えば脳裏にリアルな描写を描かせる作家の凄さには改めて拍手をおくりたい)、これが実話であるという事実との狭間でうまく自分の中で消化できずにモヤモヤしながら読み終えてしまった。

    しかしながら、大好きな『羊たちの沈黙』シリーズの主人公であるレクター博士のモデルや『IT』のモデルとなった道化師(ピエロ)の実話も含め、非常に興味深い作品であった。

    著者である平山夢明氏が巻末に纏めた『おわりに』はノンフィクションである本書を手にした全ての読書に読んでもらいたい。

    説明
    内容紹介
    『サイコ』『羊たちの沈黙』『IT』などのモデルになった連続殺人鬼六人の人生を取り上げ、人間だからこそ抱く心の深い闇を検証する、傑作ノンフィクション。
    内容(「BOOK」データベースより)
    昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。 

  • 凄く面白かった。ミステリ、ホラーの創作の参考になる。
    ベトナム戦争における社会への影響が、兵士のことを考え、1月で前線から帰還させることや、現地にアメリカと変らぬ基地を作ってしまったことにより悪い影響がでてしまったことなど、新しく知ったことだった。
    しかし世の中には、頭のおかしな犯罪者が現実にいて、これは創作レベルを遥かに超えているなと思う次第。
    同書は、グロ耐性のないひとにはお勧めできないが、自信のある人にはぜひお勧め。最高に面白いと思う。

  • タイトルからして手に取り難い書籍ですが、文章が淡々としており他の書籍の様な必要以上のグロテスクさもなく、シリアルキラーの書籍としては読みやすいです。

  • 20年以上前に読んだ再読、名だたる凶悪殺人鬼は忘れないものの、細かな内容は忘れていたので新鮮に驚きながら読んだ。

    アンドレイ・チカチロが一番怖い。
    犯行が詳細に綴られていたのと、狂乱具合が飛び抜けていた。
    それに比べるとジョン・ウエイン・ゲイシーは語りがあっさりな印象(多重人格や別の殺人犯の詳細が長かったからか?)

  • ノンフィクションだけれど内容は小説的。殺害シーンや殺人鬼達の感情等まるで見てきたかのように書かれているのでどこまで正確か(そもそも殺人鬼達が犯行や自身の生い立ちについて正直に語っているのかという疑問もある)はわからないけれど、とてもドラマチック。特に殺害シーンは具体的に書かれていてヘタなスプラッター映画を観るより怖く痛々しい表現。そういうのに耐性がある人にはお勧めです。

  • 事実は小説より…がぎっしり詰まった一冊。
    シリアルキラーが感じている悦楽や興奮、被害者が感じている恐怖や無念の思いが抑えて書かれているからまだしも読めたけど、感情ががっつり書き込まれていたら読み始め早々にギブアップしていた気がする。
    世界の歴代の指折りの厳選された凶悪犯たちが列挙されてる訳だから、これが基準では決してないのは分かっているけど、人間怖い。

  • たしかに、死体損壊とか、食人とか平気でする犯人たちは異常だし、こういう本で読んでも気味が悪いですね。
    でも、読み終わってみれば、こういう見てわかる異常はかえって安心する気がします。
    最近の、犯人が捕まっても何をしたかったのかがわからなかったり、単純すぎる動機だったり、そんな事件の方がおっかないですね。
    各事件について、リアルな筆致で描かれているので、ホラーとかスプラッターとかダメな人は手に取るべきではないでしょう。
    ま、そもそも、ホラー文庫の棚によらないでしょうけどね。(^^;

  • "人間の底知れぬ闇の博物館。
    ノンフィクションなのだが、小説を読んでいるような気にさせる。
    登場人物本人にしかわからない出来事が語られている。これは、自供した犯人だけでは知り得ない事柄も含まれていて、あらゆる資料を集めて記録されているコメントをつぶさに確認していかないと表現しえない。
    当時の事件を捜査した警察官同様に、本書を編集するだけでも相当タフな精神力が必要。
    読み手もまたしかり。
    一気にすべてを読むことはできなかったし、読む場所も自宅以外では読まなかった。
    何か後ろめたさも付きまとう。

    人間とはなんという生き物なのか?"

全113件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

平山夢明  Yumeaki Hirayama

神奈川県生まれ。『SINKER 沈むもの』で小説家デビュー。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』で日本推理作家協会賞短編賞、『DINER』で日本冒険小説協会大賞、大藪晴彦賞を受賞。著作に『或るろくでなしの死』『暗くて静かでロックな娘』『ヤギより上、猿より下』『あむんぜん』他。実話怪談では 『「超」怖い話』『東京伝説』『平山夢明恐怖全集』『怪談遺産』などシリーズ多数。

「2021年 『瞬殺怪談 死地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

平山夢明の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
アゴタ クリスト...
綿矢 りさ
ZOO
乙一
有効な右矢印 無効な右矢印

異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×