異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043486014

作品紹介・あらすじ

昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 20年程前に既読の本なのですが、古本屋で発見し、著者が平山夢明(当時は知らなかった)だったので、思わず購入しました。

    海外の7名の猟奇殺人鬼のノンフィクションです。

    ○エドワード・ゲイン
     人体標本を作る男
    ○アルバート・フィッシュ
     殺人狂のサンタクロース
    ○ヘンリー・リー・ルーカス
     映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士のモデル
    ○アーサー・シャウクロス
     ベトナム戦は終わらない
    ○アンドレイ・チカチロ
     赤い切り裂き魔
    ○ジョン・ウェイン・ゲーシー
     映画「IT」のモデル。少年を愛した殺人ピエロ
    ○ジェフリー・ダーマー
     人肉を主食とした美青年

    どの殺人鬼も、幼少期に壮絶な虐待を受けており、精神的に不安定。
    チカチロに関しては性的不能も原因の一つ。
    ゲーシーは多重人格を訴えていたが、真相は不明。
    頭が良い。人当たりがいい。

    虐待は勿論だが、厳格すぎるのも良くない。過度のトラウマやコンプレックスが原因かと思われるが、親が親だけに生まれながらの資質も全くないとは思えない。

  • ん〜〜っ…。これはキツイ…。
    実際に存在した殺人鬼たち。
    「羊たちの沈黙」「IT」などのモデルになった人物も登場。
    どの人物もとにかく異常。
    あまりお勧めはしないが興味がある人は読んでみては?読了後は気分が上がる別の本を読んだ方がいいかも…。

  • 『悪魔のいけにえ』『羊たちの沈黙』『IT』といった有名ホラー映画のモデル、素材ともなった、特異な犯行で知られる七人の殺人者たちを、記録をもとに調べあげたノンフィクション集で、それぞれに40ページ前後があてられている。彼らの犯行や成長過程における出来事や警察による捜査などを、グロテスクな描写を得意とする作者が、周囲の人物や犠牲者のセリフもまじえつつ小説風に仕立て、読み手に臨場感を与える点が大きな特色。そのほか、各章ごとに類似の犯罪者や、犯罪心理の分析などを紹介しながら、各人の特徴を解説する。

    本書のテーマとホラー作家による著述であることから、当然おびただしい数の残酷なシーンが次々に登場し、グロテスクさとその量の多さは著者の小説作品に優るとも劣らず、読み手によっては読み続けることが苦痛になる可能性もある。そして、このような類をみない犯罪を犯した加害者たちの共通点としては、やはりというべきか、生育過程において彼ら自身が被害者であったことが指摘されている。とくに『羊たちの沈黙』のレクター博士のモデルとなったルーカスについては、その凄絶な半生に言葉を失う。また、いずれの章でも、犯行の特徴として多寡の違いはあっても、人肉食について触れられる点も通じている。

    記録を重視したノンフィクションを期待される向きには合わないおそれも。以降は各章(殺人者たち)の概要。
    ----------
    【1.人体標本を作る男/エドワード・ゲイン】
    米。1957年に逮捕。自宅には"人体部品の山"が見つかる。多くは墓地から掘り起こしたもの。認められた殺人は二件で、本書内では最少。遺体の皮膚加工などが、映画『悪魔のいけにえ』等のモデルとされる。
    【2.殺人狂のサンタクロース/アルバート・フィッシュ】
    米。1934年に64歳で逮捕。幼い子供を次々に誘拐し殺害する。自供では400人とされる。親しみやすそうな老人にしか見えないため怪しまれなかった。
    【3.厳戒棟の特別捜査官/ヘンリー・リー・ルーカス】
    米。1983年に逮捕。『羊たちの沈黙』レクター博士のモデル。全米30州で米国史上最多の360の殺人を犯したとされる。本書では母による壮絶な虐待の様子や、犯罪組織との関わりが描かれている。
    【4.ベトナム戦争は終わらない/アーサー・シャウクロス】
    米。1989年逮捕。「ベトナムにいた一年が、俺にとっては最高に幸せな時期だった」。帰国後しばらくすると各種の犯罪に手を染め、逮捕・釈放の後に11人の連続殺人を犯す。
    【5.赤い切り裂き魔/アンドレイ・チカチロ】
    ソ連。1990年逮捕。少女を中心に53人の女性と少年を殺害。ソ連体制を原因とする捜査の不備もあって、捜査開始から逮捕までに7年以上を要する。その間、複数の冤罪逮捕者とそれを原因とする自殺者を生み出してしまう。
    【6.少年を愛した殺人ピエロ/ジョン・ウェイン・ゲーシー】
    米。1978年逮捕。ボランティアとして道化に扮する機会が多く、映画『IT』のモデルとされる。床下から多数の遺体が発見され、近隣にたびたび聞こえていた悲鳴は拷問に苦しむ少年たちの叫びだった。多重人格を主張。
    【7.人肉を主食とした美青年/ジェフリー・ダーマー】
    米。1991年逮捕。警察に助けを求めた男がきっかけとなり犯罪が露見する。強烈な異臭を放つ彼のアパートからは最終的に17体の遺体が押収された。部屋の食品はスナック菓子程度で、ダーマ―は人肉を主要な食料としていた。

  • スプラッターものは決して嫌いではない。
    むしろ、好きと言える。
    しかし、残念ながら本作はフィクションではなく全てがノンフィクション。
    猟奇殺人を犯す人に共通するのは、幼い時に心に大きな傷を負ったことであり、又、知能が高く時にはよき隣人に見えることがある。

    読みながら、フィクションで描かれたスプラッターもの程、脳裏に残酷な殺害状況がうかぶ訳ではなかったが(逆に言えば脳裏にリアルな描写を描かせる作家の凄さには改めて拍手をおくりたい)、これが実話であるという事実との狭間でうまく自分の中で消化できずにモヤモヤしながら読み終えてしまった。

    しかしながら、大好きな『羊たちの沈黙』シリーズの主人公であるレクター博士のモデルや『IT』のモデルとなった道化師(ピエロ)の実話も含め、非常に興味深い作品であった。

    著者である平山夢明氏が巻末に纏めた『おわりに』はノンフィクションである本書を手にした全ての読書に読んでもらいたい。

    説明
    内容紹介
    『サイコ』『羊たちの沈黙』『IT』などのモデルになった連続殺人鬼六人の人生を取り上げ、人間だからこそ抱く心の深い闇を検証する、傑作ノンフィクション。
    内容(「BOOK」データベースより)
    昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚…。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。 

  • 凄く面白かった。ミステリ、ホラーの創作の参考になる。
    ベトナム戦争における社会への影響が、兵士のことを考え、1月で前線から帰還させることや、現地にアメリカと変らぬ基地を作ってしまったことにより悪い影響がでてしまったことなど、新しく知ったことだった。
    しかし世の中には、頭のおかしな犯罪者が現実にいて、これは創作レベルを遥かに超えているなと思う次第。
    同書は、グロ耐性のないひとにはお勧めできないが、自信のある人にはぜひお勧め。最高に面白いと思う。

  • 人にはおすすめしにくいがとても興味深い本。
    7人のシリアルキラーの生い立ちや殺人の動機、精神状態などを読みやすい物語のような形で追うことが出来る。
    グロテスクな表現が多く胸悪くなるので、食事の前後に読むのは控えた方が良いです。
    そしてとてもヘビーな内容なので、時間をかけて読みましょう。

    この本で初めて知ったアーサー・シャウクロスについての章が特に印象深かった。
    いかに戦争が兵士の精神に多大な影響を及ぼし、人生にトラウマを植え付けるかという事を学んだ。
    この話がきっかけでベトナム戦争にも興味が出たので他の本も読んでみようと思う。

    理解できない殺人者達だが、その生い立ちには同情せざるを得ない者も多くいた。
    人を取り巻く社会環境がいかに大切かを痛感した。
    坊主に柄シャツの有名な写真から、根っからの狂気者だと思っていたアンドレイ・チカチロが学校の先生だったというのも驚きだった。
    あとがきには「猟奇殺人犯は、見たことも聞いたこともないような状況を造りだすが、彼らの外見はいつでも、あなたの隣にいるごくごく平凡な他人と同じなのである。」と書かれていた。
    ゾッとしたが、明日から気を引き締めて生活しようと思う。

  • 冒頭からミイラの作り方として、乾燥の仕方、脳みその掻き出し方、そしてツァンツァ(干し首)の作り方で、皮膚を綺麗に剥がすには熟練の技が必要であるとか、なかなか刺激的であったが、いざエドワード・ゲインらについて話が始まると面白く、一気に読んでしまった。
    目次にある名前以外にも、それぞれ同時期に活躍した似た異常者らも紹介される。写真がもっとあればより読み応えがあったろうな。
    読んでる間に開き癖がついてしまって、表紙を上にそこら辺に置いておくと隙間から犯罪者の顔写真と目が合うので、背表紙を上にしないといけない…笑

    作中に2〜3度、また執筆における参考文献の中に"24人のビリー・ミリガン"があったのは嬉しかった。

  • タイトルからして手に取り難い書籍ですが、文章が淡々としており他の書籍の様な必要以上のグロテスクさもなく、シリアルキラーの書籍としては読みやすいです。

  • 20年以上前に読んだ再読、名だたる凶悪殺人鬼は忘れないものの、細かな内容は忘れていたので新鮮に驚きながら読んだ。

    アンドレイ・チカチロが一番怖い。
    犯行が詳細に綴られていたのと、狂乱具合が飛び抜けていた。
    それに比べるとジョン・ウエイン・ゲイシーは語りがあっさりな印象(多重人格や別の殺人犯の詳細が長かったからか?)

  • 20年振りに再読。「羊たちの沈黙」のレクター博士のモデルになったヘンリー・リー・ルーカス、「IT」のペニーワイズのモデルになったジョン・ウェイン・ゲーシー、「サイコ」のノーマン・ベイツのモデルになったエドワード・ゲインなど犯罪史上揺るがしたシリアルキラー7人の、生い立ちから犯罪を犯すまでを描いたノンフィクション。ネクロフィリアやカニバリズム、死体をバラバラに解体するなどどの犯行も酸鼻を極める。シリアルキラーに共通するのが劣悪な生育環境だ。幼い頃の酷い虐待が彼らに暗い情動の種を植え付けるらしい。アーサー・シャウクロスに見られるベトナム戦争の後遺症の酷さやそれらを生じさせた戦争の過酷さを改めて読んで胸が痛んだ。巻末の参考文献の中に幾つか読みたい本があるので、探して読もうと思います。

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著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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