堕天使殺人事件 (角川文庫)

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  • 角川書店 (2002年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043495030

堕天使殺人事件 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 二階堂黎人,芦部拓らの「新世紀謎倶楽部」によるリレー小説。北海道・小樽を舞台に繰り広げられる猟奇殺人。ウエディングドレスを着せた死体を日本各地にばらまいた「堕天使」の正体は誰か?
    「はじめに」によると,ルールとしては(1)全体での打合せはしない,(2)質問禁止,(3)あとあとを考えない無責任なストーリー展開は許さない,といったもの。
    しかし,できあがったものは,荒唐無稽なバカミス。こういった企画物,リレー小説の宿命かもしれないが,バカさ満点である。
    戦犯というか,流れを変えてしまったのは三人目の北森鴻だろう。真言立川流やら西郷隆盛復活などの話を混ぜ込んでしまったがために,話の流れが一気にバカミスっぽくなってしまった。あとの人も悪乗りして,アージニャー・チャクラだとか,タントラやらカーギュー派がどうしたなどの設定を盛り込みだす。さすが,サービス精神旺盛な北森鴻というところだが,広げすぎた風呂敷を最後の解決編で,芦部拓が「この事件全体に神秘のベールをかけてみせただけのことだ」と関係ないことにしてしまう。すごい,バカすぎる。
    各作家が,自分の地元を舞台にしたり,自分のキャラクターを登場させたのも,バカミスっぽさを増長させている。7人目の西澤保彦が,巻末の各人が解決を予想する「わたしはこう予想した」で,「超能力を駆使して事件を解決する(そうでもしないと,終わりそうな気がしなかった。)」と書いているように,読んでいる人も,「どうやって終わらせる気だ?」と思いながら読むことになるだろう(結局,芦部拓は,いくつかの伏線を「ミスディレクションだ」で終わらせてしまったのだが…。)
    とはいえ,最後に芦部拓を持ってきたのは,ある意味正解だった。綾辻行人なんかを持ってきていたら,終わらせることができず,企画が頓挫していただろう。芦部拓らしく,割り切るところは割り切って,とりあえず終わらせてしまった。これができるのも才能である。この解決編もバカさ満載。多くのリレー作家が「どうやって解決するんだ?」と悩んだ密室のトリックは,「傷口を接着剤のようなもので癒合させていたが,その効力が切れ傷口が開いて死に至った」という形で決着をつけた。作中で真犯人に「こんなおバカな密室トリックって聞いたことないわ。森江さん,あなた本気でそんなことが可能だと思っているの?」とほとんどの読者が思うであろう,感想を代弁させている。これに対する探偵役の森江の回答は「医学にかかわるマッドな人たちが黒幕だとすれば,この先端医療的トリックも現実味を帯びてくるとは思いませんか」というもの。いやいや,思いませんよ。
    で,真犯人は被害者だと思われていた秋元慶子。秋元慶子は,みやこ新聞の記者である「折原けい」の名を偽って情報収集などを行い,黒幕である中室生寺博士や加野次官の計画を利用して猟奇殺人を演出していたのだ。うん,バカ。
    リレー小説なので仕方ないが,伏線らしい伏線はなく,ただただ意外性だけを追求した真相。リアリティはゼロだし,論理的な解決とも言えない。しかし,ミステリの本質の一つが意外性だというのであれば,意外性は十分。読む価値がないほど面白くないわけではないし,バカミスとしては楽しめるので,話のネタとして読むのは良いかもしれない。個人的には,最後を担当した芦部拓の作風があまり肌に合わないので,その点が踏まえ★2で。

  • 11人の作家が、事前の話合い無しに順次書いてゆき、最後には完成されるという実験的な小説。
    はっきり言ってダメ、なっていない。実験は失敗。読むに値しない1冊。
    各作者は、前に書いてあったストーリーを一見引き継ぐが、実は自分用に新たな登場人物を出したりして、どうにも収拾がつかない(いったい何人の登場人物が出ては、中途半端に退場していったことか...)。
    そもそも小説って、1人だけで書いても大変なわけなので、こんなことやめた方がいい。

  • 本格ミステリのリレー小説。プロってすげー。こういう企画はもっとやってほしいので、評価は高めで。

  • 作家11人のリレー小説。
    連作ものは初めて。
    作家によって作風にすごく差が出るのかと思っていたが、意外とそうでもなく読みやすかった。
    そうはいっても、個人個人の得意フィールドで書くから、伏線がいろいろな方向に飛んでいくので、
    本当に最後まで、わからない。
    制約のある中、これだけ書ける。
    やっぱりプロはすごい。
    なかなか、興味深い本だった。

  • 2005年5月17日読了

  • 一本の物語として見たら、いまいちと感じるかもしれない。しかし、一本の物語を複数の作家が書いた、ということにこの本の価値はあると思う。打ち合わせなしで書いたというこの作品、各章でどんどん話が変化していき、各作家の個性がアンソロジーでは味わえない形で披露され、話がどう展開していくのかが読者だけでなくリレーのバトンを握る作家も分からない。こんな面白い試みは滅多に見られない!

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