兎の眼 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
4.00
  • (560)
  • (399)
  • (499)
  • (19)
  • (8)
本棚登録 : 3273
レビュー : 438
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043520015

作品紹介・あらすじ

大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生・鉄三。決して心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だったが、鉄三の祖父・バクじいさんや同僚の「教員ヤクザ」足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合いの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意する。そして小谷先生は次第に、鉄三の中に隠された可能性の豊かさに気付いていくのだった…。学校と家庭の荒廃が叫ばれる現在、真の教育の意味を改めて問いかける。すべての人の魂に、生涯消えない圧倒的な感動を刻みつける、灰谷健次郎の代表作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 物語は1年生の鉄三がカエルを踏み潰す場面から始まる。
    小谷先生は顔を引っ掻かれても何度泣かされても見捨てずに、鉄三の中にある何かを見つけてあげようと奮闘する。そして鉄三だけでなく、クラスの子供達も一緒に成長させながら問題を解決していく。鉄三の言葉が増えるたび嬉しくて可愛くて。
    色々な家庭があり、親がいて、子供がいる。先生達の考え方も様々で真の教育とは何か、差別とは何かを考えさせられる。
    ヘタレな私は小谷先生や足立先生の様にはなれそうもない。兎のような優しい眼を持つ財前童子に会って私も美しくなりたい。

  • 初めて読んだのは小学生の時。
    それから折に触れて読み直している本。
    今回も泣いた。
    たぶん今までで一番泣いた。
    あらためてこの本に出会えたことに感謝。

    そういえば勧めてくれたのは当時の校長先生だったなあ。
    それだけで僕はその先生をいい先生だったと思う。
    それだけこの一冊は多くの大切なことを教えてくれる。

    でもその校長先生に教わったのはそれだけじゃなかったよなあ。
    いま思い返して見ると。

  • 児童文学の金字塔。初めて全部読んだが、いろんな要素が詰まった素晴らしい物語だった。新米教師の成長、貧困・差別問題、子供の成長や権力との闘いだったり。人間は抵抗する姿にこそ美しさがある、みたいな言葉にはハッとさせられた。何かに立ち向かう姿は確かに美しい。その美しさがこれでもかと物語に注入されていて、一つ一つの言葉に心を揺さぶられた。物語の登場人物は様々で、いろいろな立場といろいろな心を持つ。この中で自分は誰なんだろうとふと考えたが、小谷先生や足立先生でありたいと願うが立場によっては、差別する側の無視する側の人間でもあるかもしれない。でもそうありたい、と思わせることこそがこの本のすごいところではないだろうか。教育とはなにか、生きるとは何か、をきっちりと描いた小説だった。

  • 久しぶりに再読。

    「人生の10冊」に入る本。
    何度読んでも、淳ちゃんの言葉と、鉄三ちゃんの作文に声を出して泣いてしまう。

    生きていく中で、正しい道を見失いかけたとき、この本に帰ってきたい。
    人として忘れてはいけない、「本当の正しさ」が詰まっている本だから。

  • 灰谷健次郎は、子供たちを性善的にも性悪的にも扱っていない。
    おもいっきりしかも純粋に、残酷にもなれるし、優しくもなれる。そんな存在として扱っている。

    だからこそ、教育が大事なのだ!
    相対する姿勢ではなく、並び見る姿勢。
    点の教育ではなく、線の教育、面の教育が大事なのだ!教育は学校の専売特許ではないはず。
    そんな思いが伝わってきた。

    あと、灰谷健次郎の教育は決して従順性を尊んではいない。
    主体性を持たせることが教育の目的のひとつだとするならば、そこにはしなやかな攻撃性を含んでいることがある。
    「抗わない者は美しくない」と小谷先生の恩師?は言った。それは言い換えれば、
    「抗うことが主体性を体現する」とも言えるだろう。
    となると、この作品の足立先生は主体性の体現者である。ロックンローラーなのである(笑)


    小1の娘が読んでいたので後追いで読んだ。
    そこで、もしこの小説が映画化したら、配役はどうする?みたいな話になった。

    小谷先生…土屋太鳳
    小谷先生の夫…加瀬亮
    足立先生…大泉洋
    バクじいさん…柄本明

    小谷先生と足立先生のキャスティングは娘だった(笑)

  • 積ん読本になってました。
    こんなにいい本だと知らず。
    何度も泣いてしまった。

    • mocoさん
      花丸ありがとう!
      すごく気になる本です。
      手にとってみたいと思います♪
      花丸ありがとう!
      すごく気になる本です。
      手にとってみたいと思います♪
      2013/07/04
  • 価値観は時代とともに変化する事を分かったうえで感想を述べるとするならば、『これこそが教育」だ。

  • 清く正しく美しく
    「寄らば大樹の陰」を座右の銘で生きてきた私は素直になれない事もそこかしこ。多数決が物事を大過なく片付ける手段。この小説の中に先生方の子供たちが全く出てこないのは
    何故だろう。火葬場、豚舎、幼稚園、焼却炉等々の迷惑施設は何処へ行けばいいのだろう。結局この小説にも結論は出せていない。
    10年後の小谷先生は再婚して子育てで忙しいのでしょうネ

  • H29.10.17 読了。
    ・『大学を出たばかりの新任教師が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生の男の子。周りの人たちとのふれ合いの中で、苦しみながらも男の子と向き合おうと決意する。
    学校と家庭の荒廃が叫ばれる現在、真の教育の意味を改めて問いかける。』と裏表紙に書かれてある。いわゆる名作で、ずっと積読しっぱなしでした。
    今回、先に読んだ友人の勧めで読んでみました。灰谷さんの文章表現が良くて、とても読みやすくかった。また、生徒と先生の交流場面は、子供のちょっとした気持ちの変化に気づいて喜んでいる先生の気持ちが、温かい気持ちにさせてくれました。もっと早く読めばよかったなあと思いました。

  • 大学生の時以来に読み直した『兎の眼』(著:灰谷健次郎)。
    あれから20年近くの時を経てKindle版を読み返す。ハウツー本ばかり読んでいたので、小説、しかも、灰谷健次郎さんの世界観が心地よかったです。

    相手と向き合うことの大切さを改めて学びました。
    相手と向き合うことで、相手が心を開いてくれる。

    強烈に印象に残った文章。
    「よわいもの、力のないものを疎外したら、疎外したものが人間としてダメになる。」

全438件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

灰谷 健次郎(はいたに けんじろう)
1934年10月31日 - 2006年11月23日
兵庫県神戸市生まれの児童文学作家。定時制高校商業科を卒業。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)学芸学部卒業後、小学校教師に。そのかたわら、児童詩誌『きりん』の編集に関わる。
短編小説「笑いの影」が問題となり、事件身内の不幸が重なったことを契機に1971年小学校教師を退職、沖縄・アジア各地を放浪。1974年『兎の眼』で児童小説デビュー。その他代表作に『太陽の子』『ろくべえまってろよ』、テレビドラマ化された『天の瞳』などがある。

兎の眼 (角川文庫)のその他の作品

兎の眼 (フォア文庫愛蔵版) 単行本 兎の眼 (フォア文庫愛蔵版) 灰谷健次郎
兎の眼 (フォア文庫 C 55) 新書 兎の眼 (フォア文庫 C 55) 灰谷健次郎

灰谷健次郎の作品

兎の眼 (角川文庫)に関連する談話室の質問

兎の眼 (角川文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする