太陽の子 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.00
  • (400)
  • (199)
  • (361)
  • (12)
  • (5)
本棚登録 : 2020
レビュー : 274
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043520107

作品紹介・あらすじ

ふうちゃんは、神戸生まれの女の子。おとうさんとおかあさんは沖縄出身で、神戸の下町で琉球料理の店「てだのふあ・おきなわ亭」を営んでいる。やさしい常連さんたちに囲まれて明るく育ったふうちゃんだが、六年生になった頃、おとうさんが心の病気で苦しむようになる。おとうさんの病気の原因は何なのか?ふうちゃんは、「沖縄と戦争」にその鍵があることに気づきはじめる…。戦争は本当に終わっているのだろうか。なぜおとうさんの心の中でだけ戦争は続くのか?今、日本人が本当に知らなくてはならないことがここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 知人から薦められ、よかった。
    号泣。

  • 灰谷健次郎の作品は、こどもがとても生き生きとしていて、
    とても魅力的だと思う。

    この作品も、主人公の「ふうちゃん」をはじめ、個性的で愛すべき登場人物がたくさん出てきます。

    人間にとって、家族にとって、何が大事なのか、
    テーマが深くて、何回も読んでしまう
    読むたびに考えることがあって、読むたびに泪してしまう。

    これからもずっと読み続ける、大事な1冊です。

  • ブンガク
    かかった時間100分くらい

    再読。
    かつて必要に迫られて読んだとき、この作品は率直にいえば「良い作品なのかもしれないが、強い違和感がある」作品だった。

    再読してみて、「強烈な違和感をもたらす作品」になった。

    沖縄戦を背景に、神戸に暮らす沖縄出身者たちが、「日本人」がすでにそれを忘れてしまっているにもかかわらず、戦争が生んだ不平等や偏見、トラウマを抱えながらも、やさしく力強く生きていく、という物語だ。
    主人公の「ふうちゃん(小学6年生)」は、やさしくあたたかい周囲の人々のふるさととしての沖縄のみを知る少女だった。しかし、父親の精神病の発症や同年代の少年が受けた差別や、身近な沖縄出身者の抱える暗い過去を知り、それらを強く受け止めようと決意するとともに、そのようなつらさを経験したものーーつまり沖縄の人だけが、いろんな人のつらさをわが事のように受け止め、寄り添うことができるのだということに気づく。周囲の、決して金銭的な価値では語れない「すごい」人たちや、若くて熱心な担任の男の先生も、「ふうちゃん」とともに生きることを考え、いろいろな気づきをくれる。
    ラストで父親の自殺を目の当たりにした「ふうちゃん」は、同じように「沖縄」がもたらした死によって姉を亡くしたキヨシ少年とともにピクニックに出かけ、「大きくなったら子供を2人産む、ひとりはお父さん、もうひとりはキヨシのお姉さん」と話す。

    さて、この話の強烈な違和感はどこから来るのだろうか。

    …と格好をつけて書いて放置していたけど、ありがたいことにコメントをいただいたので、ざっくり書いてみる。

    作品の中には、「被差別や逆境を痛感している沖縄出身者は、そういうつらい体験を経てきたからこそ人間として尊い」という論理が繰り返し語られる。そして、これは同時に、「ふうちゃん」をはじめとした、バックグラウンドを沖縄にもつ登場人物が、それを克服するためのチカラとして位置づけられている。
    つまり、思いっきり単純化していえば、いじめられていた子は、いじめられていた「からこそ」、いじめに立ち向かう力を身につけることができた、ということである。問題を克服するためのファクターとして、当該の問題の存在が位置づけられているのだ。「あのときいじめられていたから、強い心が育ったね。あのときいじめられていたからこそ、私は前を向けるのだ」というように。

    もちろん、過去をそのような形で受け入れざるを得ない登場人物の立場はわかるけれども、語り手が手放しにそこを肯定してしまうことは、なんの解決にもつながらないんじゃないかなあと。

    まあ、そんな気持ち悪さを感じたのです。

    • tiraronさん
      続きがとても気になります!
      続きがとても気になります!
      2018/09/04
    • okayamaniaさん
      ありがとうございます!まさか読んでいただけたとは…。ひっぱっておいて雑な感じですみません。笑
      ありがとうございます!まさか読んでいただけたとは…。ひっぱっておいて雑な感じですみません。笑
      2018/09/05
  • 最後は涙が止まりませんでした。
    優しい人間ほど辛い過去を背負っている。
    沖縄の戦時中の悲惨さ、無念さをたどりながら、強くそして限りなく優しい大人に成長していくふうちゃんや、キヨシ少年。
    無垢でか細いながらも、沖縄の重い過去や辛い記憶に真っ向から向き合い背負ってやるという決意を持った彼らは、本当に強くたくましく見えました。

    沖縄が戦時中に強いられたことをもっと知りたいと思いました。そしてその犠牲のもとにできている平和を慈しまなければならないと思いました。

  • 中学生の時に初めて読んで衝撃を受けて、それ以降事あるごとに読み返しているこの本。

    ふうちゃんやその周りの登場人物が、とても素敵に生き生きと描かれている分、それぞれの抱える心の傷や優しさが、まっすぐ心に刺さってきます。読み進めながら 何度も涙が出ました。

    広島と長崎に原爆が落とされて、日本は負けた。
    第二次世界大戦を語るとき、ついこの一行で片付けてしまいそうになります。しかし本当はそれだけではなく、そこに至るまでに犠牲となった沖縄や たくさんの人が居たことを 改めて気付かせられる。知っているはずなのに、いつの間にか知らないことになっていた出来事たち。

    今 日本はまた 戦争をする国になろうとしています。そしてわたしたちは、その事に関して 無関心です。何故ならそこにリアリティがないから。戦争して 大切な人を失いたいと思っている人は居ないはずです。なのに 戦争したくないと声を上げる事が出来ない。自分たちは傍観者の立ち位置から動くことも動かされることもないと、無意識に思ってしまっているのです。

    もちろんわたしもその一人です。この本を幾度となく読んでいるにもかかわらずです。
    どうすればいいのか…

    とにかく、まずは 気付いてないということに気付くこと、それが第一段階のような気がします。
    そしてこの本は、その第一段階を 読んだ人にもたらしてくれることと思います。

  • 数十年ぶりに再読。昔読んだ時には、今ひとつぴんと来なかった。苦しみと優しさが結びつかなかったんだろうと思う。今回はそこがすとんと腑に落ちた。と同時に、人は鈍感なほうが幸せかもしれない、とも思った。それはどっちもぼくが歳をとったせいなんだろう。
    人形みたいな書かれ方をするおとうさんだけが相変わらず腑に落ちない。

  • 一気に読んだ。本を読んで泣いたのはいつぶりだかな。優しい人になりたいなと思った。ふぅちゃんみたいに。みんなとても優しいね。図書館で借りて読んだのだけれど、これからも大切に読みたいと思ったから本屋さんに行こう。灰谷さんの本を読んだのはこれが初めてだったけれど、とても暖かくて心地がいい文体なのに時々どきっとしたり、きゅっと締め付けられるような時もあったりで読み始めてすぐに大好きになってしまった!これからどんどん読みたいな。

  • 灰谷健次郎さんの作品としては『兎の眼』の次に読んだ。『兎の眼』も良かったけど、『太陽の子』も凄い。

    私は教育カテゴリに登録してるけど、教師として、子どもとして、大人として、戦争の被害者として、心の病気をかかえた人として、沖縄として、日本として・・・。いろんな目線で捉えることができる。

    灰谷健次郎さん自身が、体力的にも精神的にもすごく苦労して・・・苦悩して書いた作品なのだろう。ふうちゃんもキヨシくんも、周りの人々も、灰谷健次郎さんも、辛い出来事を真摯に受け止めている。

    私は、ふうちゃんに・・・わずか小6の女の子に頭が上がらない。

  • ものすごく、考えさせられる。

    戦争を体験した家族、
    辛さを体験したからこそ、やさしさで溢れている人々。
    真っ直ぐで、思いやりあふれるふうちゃん。
    その環境がありつつも、壊れていくお父さんの心。

    戦争はひとりひとりの心を、めちゃくちゃにする。
    関わった人間誰もが、傷を負う。
    それでも、終わらない、世界各地で繰り返される戦争。

    今、私が住んでいる場所は平和。
    戦争を体験された世代も減ってきている。
    悲惨さを、忘れてきていて、国同士は揉め、また繰り返そうとしている。

    沖縄の勉強は学生時代にした。
    修学旅行も行ったが、
    浮かれ気分だった学生の私にはあまり内容は入ってこなかった。
    今こそふうちゃんのように、
    もう一度しっかり歴史に向き合う決心をしようと思った。

  • 昔からある本で、なんとなく戦争の事が書いてあるんだろうなっていう認識しかなかった。
    たまたま図書館で目について、読んでみようと手に取った。

    主人公のふうちゃん。神戸生まれで両親は沖縄出身。
    沖縄料理のお店をお母さんが営んでいるので、
    自然と沖縄出身の仲間が集まってくる。

    そして生活のなかで、まだまだ沖縄での戦争の影響が色濃く残っている。

    それを知ろう、理解しようとする6年生のふうちゃんが凄すぎる。
    今の子供でこんなに自分の気持ちをハッキリ持ってる子なんているだろうか。

    それに戦争は惨いだけで、なんにもいい事なんてありゃしない。
    どうしてこんな事が起こったのか、こういう本を読むたびに憤慨してしまう。

    醜い争いは、永遠に忘れられない事なんだよね。。。

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著者プロフィール

灰谷 健次郎(はいたに けんじろう)
1934年10月31日 - 2006年11月23日
兵庫県神戸市生まれの児童文学作家。定時制高校商業科を卒業。大阪学芸大学(現・大阪教育大学)学芸学部卒業後、小学校教師に。そのかたわら、児童詩誌『きりん』の編集に関わる。
短編小説「笑いの影」が問題となり、事件身内の不幸が重なったことを契機に1971年小学校教師を退職、沖縄・アジア各地を放浪。1974年『兎の眼』で児童小説デビュー。その他代表作に『太陽の子』『ろくべえまってろよ』、テレビドラマ化された『天の瞳』などがある。

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