少女の器 (角川文庫)

著者 : 灰谷健次郎
  • 角川書店 (1999年3月発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043520176

少女の器 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 離婚家庭で暮らす思春期の少女・絣。一緒に暮らす母は奔放な恋愛を繰り返し、絣はたびたび傷つきながらも日々母への理解を深めてゆく。
    そして傷ついた時に絣を癒してくれるのは、版画家である別れた父だった。
    絣、両親、そして不良のボーイフレンドを主軸に、彼女たちを取り巻く少し変わった人たちの物語。

    自分も離婚家庭で育って、母と暮らし時々父と会う思春期を過ごしたから、重なるところがあるなと思いながら読んだ。(私は絣ほど父と頻繁に会っていたわけではないけど)
    絣は思春期らしくとても繊細で傷つきやすいのだけど、発する言葉や思想がびっくりするほど大人びていたり、哲学的だったりする。だけど大人と違って真っ直ぐにぶつけすぎてしまうところはやっぱり少女で、その危ういバランスがとても魅力的な女の子だと思う。
    「パパとママはまるで違う性格だけれど、人間とか、人間の関係なんていろいろあるという考え方はいっしょでしょ」
    こういう言葉に表されるように、絣は周りの人間のことをとてもよく観察して理解している。
    そしてそれは絣の両親やボーイフレンドも似ているところがあって、人をよく見て理解して行動する、という温かさがある。
    不良のボーイフレンドが幼馴染みで精神病を患っている女の子と接するシーンなんかにも、そういう感じがとてもよく出ている。ただ優しくするだけが相手にとって優しいわけではない、ということ。

    腹立ちまぎれに勢いで放ってしまった言葉が相手を傷つけることとか、やってしまったことで後悔して嘆くこととか、家族間でもやってしまったりする失敗がたくさん描かれていて、子どもも大人も関係なく情けないところが愛おしく、そういうことを乗り越えながら人を理解していく感じが光る小説。
    少女の成長の小説、というほど仰々しくはなくて、日々の様々な出来事の積み重ねで少しずつ大人になっていくようなささやかさが良かった。

    ドキッとする台詞満載で、それは作者の哲学や思想なのだろうけど、放つ人間の世代や性別“らしさ”がきちんとあるから違和感がない。
    久々に付箋を貼り付けたくなる小説でした。

  • 少女の成長だけではない。大人も成長していく。子どもの成長は早い。大人のそれは緩慢だ。だけど確かに子どもと歩みゆく親の様子の方がグッときた。それは須らく子どもの成長に誘発されたものである。だから子どもは偉大である。

  • 絣、母親、父親、少年、、、でてくるみんな、一人一人の優しさが心にしみる。家庭環境の、新たな見方を教わった。

  • 人の温かさが分かる本だと思いました。
    感受性の高い年代の少女の等身大の考えや行動、想いが伝わってくる話です。
    読んでいて、母親と娘、父親と娘の会話会話のキャッチボールが日常的で面白いと感じました。

  • 初読。

    これはねぇ、少・中学生の自分が特別な子供である、
    という自意識がいっぱいな時に読むべきなんじゃないかしら。

    この年になってからだと、灰谷健次郎先生を捕まえて、
    「あー、インテリ中年の少女幻想あるある」
    なんて失礼かつ軽佻浮薄な感想を言ってしまいそうに…

    いや、でも少女っていうのは多かれ少なかれ
    どこかで絣のような部分を持ってるものだよね。

    離婚家庭でNYで個展を開くような版画家のパパ、大学教授のママ、
    ピマラヤンとペルシャ猫と絣、
    軽妙な会話にも時代を感じるけど、それが良し。

    でも、ママの恋人が妻子持ちなのを
    絣に言わなくちゃいけない、っていうのはわからないわぁ…
    パパの元恋人の章子さんに会った後、
    大阪の不良のボーイフレンドにビシッと恋に溺れてる人を
    高みからジャッジする権利なんて誰にもないでぇ
    って言われたのは、ホントそうね。
    よくやっちゃうんだけど。ホントそうね。

  • 「クローズドノート」の伊吹先生お勧めの為、図書館にて借りました。

    赤川先生作品の爽香シリーズを思い出しちゃう一冊。
    主人公の色々な人との出逢いでの変化がとても印象的。
    でも、決して否定せずに、わかるまでぶつかっていく姿は少し羨ましい。

  • 湿気を帯びた作品なのに、爽やか。
    女であろうとするママが清々しかった

  • 少女は、いつかおとなへと変わってゆく少女である。子どもではすでになく、けれどおとなでもまだない。
    おとなではないが、彼女は自らのたしかな思考と人格を持ち、だからこそ悩み、楽しみ、揺らぎ揺らぎおとなへと向かってゆくのである。
    一方で、だからこそおとなたちは試されている。彼女と、真向いから向かい合えるかと。
    彼女ひとりに限ったことでない、おそらくすべての子どもたち、少年少女たちに、おとなと呼ばれるものたちは、子どもであるから、未熟であるからと目を逸らすことなく、かれらの、鋭く強い眼差しを受け止め、返すことができるか、と。

  • 灰谷さんの本は血のにおいがする。
    濃くて熱い、親子や、友人や、恋人同士の間に流れる深い愛のにおいです。
    出てくる人物のイキイキとした喋りが小気味良く、さくさく読める一冊。
    でも内容はずしんと重い。

  • 魅力的なキャラクター設定は相変わらず。
    「自分の思い通りにしか生きてこなかった人って、 たぶん不幸せなんだろうなあ。」

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