- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043520220
感想・レビュー・書評
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『太陽の子』に続いて、この作品もまた
後世まで読み継がれてほしい1冊。
灰谷健次郎の作品は、児童文学という
ジャンル付けをされているものの、
「他人の目線で考えてみる」ことが
苦手になってしまった現代人にとって、
想像の仕方から教えてくれるような
手取り足取りの物語だと思う。
今よりも、少し前の時代の港町で育つ主人公。
父親は漁師で、母はいない。
小学校の同じクラスにも主人公と同じ、
親が漁師の子供がいたり、
母親と二人で暮らす女の子がいたり。
人それぞれの境遇を持つ、
教室という小さな社会で育てられる子どもたちは、
港町ならではの「漁師や漁業について勉強しよう」
と提案する先生と巡り合う。
先生に賛成の人もいれば、やるならば
もっと他のことを勉強したいという人もいる。
興味の範疇や、趣味や特技など、
同じ地区に住んでいても
身の回りが少し違うだけで、
違う意見が出る教室の雰囲気が読んでいて
好きだった。
海に魚がいなくなったのはどうしてなのか?
そんな壮大な問題を、さまざまな角度から
調査するひたむきな姿がとても眩しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
千葉の海を通ったのに、一瞥もしないで海の本を読んでいたようです。海の生活の問題は、他人事でないな。
灰谷健次郎さんの本は、小さい頃怖い印象があって、なかなか読めなかったのだが、残念なことをしたなぁ。(「兎の眼」の挿絵と灰色っぽい装丁、見たこともない「兎」の漢字が、何か恐ろしかった覚えがある)。登場人物への人見知りをすぐに解消してくれる、丁寧な人間描写に引き込まれて、あっという間に読んでしまった。
子どもも大人も、いざというときは素直な心で。何がほんとの気持ちなのか、自分でもわからなくなってしまう時もあるんだけど…この本に出てくる人たちは、それぞれの正義がどれも間違いでなくて、だからこそぶつかるんだけど、納得しながら一歩ずつ進んでいた。だんだん心がほどけて温かくなっていく様にじーんときた。
子どもに対する文章表現が秀逸!女の子のゴムまりの弾んだような声ってね。想像できちゃうね。 -
音楽でいうと秦基博みたいな本(そして作者)
心身に丁度良い温度で進んでいく物語それを紡ぐ文章はあまりにもの読みやすさに楽に進んでしまいそうだが(私自身もそうだった)、作者のテーゼや自然な描写に散りばめられた物語を淡く鋭く彩る描写、緊張感のある場面ではピリリとした空気間を出す文章。緩く読みやすそうでありながら示唆に富むところのある、そんな一冊だったと思う。
終わりに関しては、最初は拍子抜けしたが改めて考えるととてもいい終わり方をしているなとも思う。日曜の夕方に読みたい一冊。 -
現代の漁師の子供たちが自分たちのもっとも身近であった海、魚、そして漁師というものについて正面から向き合おうとする話。
読み終えて気持ち良かった。
都会で海に捨てられたゴミや廃棄物が結果として海や魚を死に追い込んでいる。という締めだったのですが、人間がやったことなんだから人間で蹴りが付けられるはずだ。なんてかっこいいこと言える小学生。きっと実行にうつしてくれると思わされてしまいました。 -
海の近くで暮らす人たちの生活を描いた作品。
主人公は小学5年生の漁師の子健太。
健太が魚をさばいたり、大きな船を操縦したり、海のことを研究したり、父親とじゃれあったり。
健太だけじゃなくて、この小説に出てくる子どもは、もう小さな大人だった。大人もそれを受け入れて対等に接してる。
だから、読んでて気持ちいい、のかも。 -
小学生の子どもたちが主人公
かつて読んだ、「天の瞳」につながっていくもの。 -
素朴で心温まる。
世界平和なんておっきなこといわなくたって
小さな幸せでじゅーーぶん!って心いっぱい -
心落ち着く物語。
漁師の子供に生まれた子の、繊細な心が描かれている。
クラスを上手くまとめる先生の姿もよい。
なんていうんだろうな。こういうの。 田舎のよさか。 -
よい◎