天の瞳 最終話 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 308
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043520374

作品紹介・あらすじ

校内で暴力沙汰がおきて、その対応に悩む倫太郎とその仲間たち。医者である青ポンの祖父に導かれ、自分を見つめる勇気、劣等感の本性に気づき始める…。著者の没後に見つかったライフワーク『天の瞳』の最終話。大阪のささやかな居酒屋を舞台に、弱き庶民たちがこころを通わせる現代人情物語。本物の味、愛の教え、人のつながりとはなにか。著者の願いが込められた最後の新聞小説。2作品とも未完である。

感想・レビュー・書評

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  • 作品はいい。

    「出会ったすべての人•モノとつながる」

    その大切さを説くじいちゃんの言葉を、全身で受け止める4歳の倫太郎。

    その倫太郎と、ミツル、青ポン、タケミの4人から果てなく広がる交流。

    いったん繋がると、決して切れることのない心のつながり。

    現代人の誰もがあこがれを抱くような、そんな「人との向き合い方」を問う、灰谷健次郎のライフワーク。

    小説というより、座右の銘のような感じで、今の僕の中にも息づいている。

    灰谷さんにとって、「天の瞳」に熱中し続けること自体がよかったのか、それとも、「天の瞳」を完成させて人生を全うすることが本意だったのか•••

    僕が30歳前後の頃、僕の街に講演に来た灰谷さんの話を、期待半分、不安半分で聞きに行った。

    灰汁が強かった。強過ぎた。

    「子どもがいない僕に児童小説は書けないと言う人がいる」、「新潮社から版権を取り上げたのは•••」

    そんなマイナスのこと、静かな声で滔々と語らんでええやん。

    ここにいるのは、あなたの温かな言葉を聞きたい、あなたを認めているファンの方がほとんどなのだから。

    僕は苦笑いしながら、それから20年以上、「あすなろ編」以降を読もうという気にならなかった。

    「幼年編」、「少年編」に抱いていた取り憑かれたような好印象を壊したくなかったので。

    3年前、「天の瞳」を全巻読みたいと言ってくれた友人の言葉がなかったら、ブクログをやっていなかったら、僕はこの作品を通読することはなかったと思う。

    縁というか、読み終える巡り合わせになって、ラッキーだったと思う。

    --------------------------------

    幼年編①②、少年編①②、成長編①②、あすなろ編①②、最終話(未完)の計9冊。
    ※遺作と言われる『乾いた魚に濡れた魚』(未完)及び、「灰谷健次郎講演録 『天の瞳』のこと」(1999年4月25日収録)も「最終話」に入っている。

  • やんちゃな主人公倫太郎やその友だち、彼らを取り巻く大人たちを通して、大人は子どもにどう向き合ったらよいのかを教えてくれます。人間としての必読書!といっても過言ではありません。

  • 天の瞳シリーズは、あまり好きでないので、すべて読んでいるわけではない。
    だが最終話を読んでいて、いろいろ感じるところはあった。
    また最後の作品、ということで、かなり気になっていた。

    『乾いた魚に濡れた魚』は、好みドストライクで、
    またものすごい感銘を受ける。
    それだけに、完結していないことを残念にも思うが、
    途中の作品――なので、灰谷健次郎という作家の仕事の途中を
    見られて、親しげな感じを抱いた。

    よくも悪くも一番最後だ。先生が伝えたかったことは、
    ほぼ取りこぼさずに、私の中に生きていると思う。
    取りこぼしたこと、汲み取れなかったこと、それもたくさんあるとは思うが。
    それでも、先生のお陰で私は、小説家になりたいという
    夢を描いた。叶うかどうかは解らないけれど、今は厚顔無知に「小説家になりたい!」
    などとのたまうことはできはしないけれど、それでも、
    私はこの夢のお陰で、小学生の時 いじめられても 希望を持てた。

  • 天の瞳は、主人公の男の子たちが大人になる前に終わっているのが良い。

    この最終話は、灰谷さんが闘病生活に入るために、途中で執筆を中断しているから、
    文章が最後途切れている。

    それを見て、
    ああ、この人が遺してきた作品を、読まなきゃと思った。
    灰谷さんは、教育界においても、偉大だ。。

  • 倫太郎たちの成長をここまでずっと読んでこられてよかった。

  • 配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426972

  • - 本当に途中でパタっと終わってしまった。タモツが打ち明ける秘密は何だったんだろうか。この中学は変われたんだろうか。小学校のヤマゴリラのように、中学のゴリにも何かしらの変化があったのだろうか。
    - 推敲もちゃんとされていないんだろうな。未完の作品を世に出されるのって多分本人はめっちゃ嫌なんだろうなーとか考えてしまった。
    - 書けなくなってしまったから最終巻になったのか。亡くなっていなかったらそれこそ北の国からのように、倫太郎に子供や孫が産まれていたりしていたのだろうか。
    - 一緒に掲載されてた「乾いた魚に濡れた魚」も面白かった。灰谷健次郎の作品は天の瞳が初めてだが、説教くさい綺麗な理想を語るキャラが多いにも関わらず、読むうちになんだかんだ吸い込まれていく感覚は癖になるし、良い作品に出会えた。

  • どないになりはるんやろうーーーーと楽しみにしていたんですが、未完とはーーーー
    明暗も残念でたまらなかったのにーーーー
    あるのですねぇ、こういう事って

  • 「最終話」とあったので、ついに完結かと思いましたが、未完の作品だったんですね…。とても残念です。人として生きることについて考える名著だと思います。

  •  いよいよ主人公たち(中学生4人)が中学校の先生をどう変えていくか...というところまで来て、作者の筆が止まってしまった。うーん、残念。
     60歳直前になった私にとっては、「天の瞳」でここまでに登場するじいさんたちがカッコいい。

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著者プロフィール

1974年に発表した『兎の眼』が大ベストセラーに。1979年、同作品で第一回路傍の石文学賞を受賞。生涯を通じて、子どもの可能性を信じた作品を生み出し続けた。代表作に『太陽の子』『天の瞳』シリーズなど。2006年没。

「2009年 『天の瞳 最終話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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