ファントム・ケーブル (角川ホラー文庫 66-5)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 89
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043522057

感想・レビュー・書評

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  • 夏の角川ホラー祭。読み始めたら短編集だったので、他の短編集と交互に読んでみたよ。

    何も取り柄のなかった男が、解錠に関する塾に通い始め、才能に目覚める。講師よりも見事な手筈で様々な鍵を解錠していく男に、厄介な鍵を開ける依頼が来るが…(幻影鍵)。

    長編だと思って読み始めたら、最初の1篇から思い切り嫌ーな雰囲気満載で、こりゃきついなーと思っていたところ、幸いにして短編だった。ほんと短編で救われた。

    ☆を4つもつけているが、10人読んで9人が不快に感じて、6人くらいは挫折する後味の悪さであるが、ここまで徹底されているのは、角川ホラー文庫としても見事である。

    短編という形で無理やり短く収めるために、先ほど紹介した作を含め、終り近くからぼんやりと完全に収束せずに終わる作品が多い。その辺りも後味の悪さにつながっているのではないかと考えられる。

    表題作は1作目から最後の短編につながっているのだが、これは続ける意味があんまりわからないなー。本としての最後が締まってもいないし、もうちょっと訳のわからない異形に食い荒らされるってので良かった気がする。

    まあ、角川ホラーとしては良いほうだけど、万人にオススメではないです。

  • 初めましての作家さん。
    ホラー系小説を読むたびに、恐怖には色んな形があると
    思っていたんだけど、またも新しい恐怖にご対面である。
    グロイにも色んなグロさがあるんだと知った。
    神も仏もあったもんじゃない。
    活字を読んでいるだけなのに、簡単に妄想できてしまう。
    理不尽でゲロゲロでドロドロな悪夢のようでした。
    気に入ったものを選ぶというのもなんですが
    「怪物癖」「ヨブ式」「死せるイサクを糧として」

  • 眼前で繰り広げられる凄惨な行為に耐えながらでないと読み進められない不快極まる短編集。多くの収録作が日常から一歩か二歩はみ出した程度のことで狂気に侵され始めるのだが、その緩急や現実との距離感の保ち方が絶妙で、不快感の増幅装置として非常によく機能していた。

  • 8話収録した恐怖短編集。

    最初の話だけ途切れて、最後にもう一度載せる手法が良かったです。
    まぁ内容は基本グロ系なのでおススメはしません。
    収録作だと「怪物癖」が一番好きかな。「ヨブ式」は理解はできるけどあまりに理不尽!

  • ホラー短編集。これでもかというほどに牧野さんの世界観が出ている気がする。とにかく気味が悪くて、気持ち悪くて、それでも妙な美しさがある、そこが魅力的。
    好きな作品は「死せるイサクを糧として」。他の作品に比べると、非常に日常に近い気がする。その分「嫌な感じ」が引き立っていて、怖さも感じられるんじゃないかな。

  • 『ヨブ式』などの短編小説を長編小説として最構成。
    読みおえた晩は、悪夢を見る事になるかもしれません。

  • 幾つかの短編を書き下ろし「ファントム・ケーブル」で挟んだ作品。読後感が何とも悪いものだと思った。グロ系。

  • それぞれ単独で発表され繋がりのなかった作品たちを「ファントム・ケーブル」という書き下ろしの短編を加えることにより、連作短編集へと仕立てている。「ファントム・ケーブル」は、冒頭と最後とに別れて収録されており、各物語が入れ子のようにこの作品に挟まれている。

    しかし、元々は単独で書かれたものの集まり、やはり無理があるように感じるのだが…。

    各作品はというと、それぞれこれでもかというくらい悪意がこめられている。ひと言でいうとどれも「厭な話」だ。ジャンルでいうとホラーになるが、気分で言うと恐怖よりも嫌悪感の方が強い。だいたい、主人公が何の謂われもなくひどい目に合い、それがどんどんエスカレートしていき、まとまらないうちに話は終わりだ。それが共通項といえば共通項にはなるけど…。

    やっぱりちょっと違うなぁ。私はこの「ひたすら主人公が困り、救いがない」というのはどうにもダメだ。

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著者プロフィール

'58年、大阪生まれ。高校時代に筒井康隆氏主宰の同人誌「ネオ・ヌル」で活躍後、'79年に「奇想天外新人賞」を別名義で受賞。'92年に『王の眠る丘』で「ハイ! ノヴェル大賞」を受賞。他に、『MOUSE』、『スイート・リトル・ベイビー』等々著作多数。また『バイオハザード』『貞子』ほかノベライズも多数手がける。

「2022年 『貞子DX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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