お葬式 (角川ホラー文庫 67-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043525010

作品紹介・あらすじ

授業中に突然鳴り出したポケベルの電子音。あわてて見た液晶画面に表示されたメッセージは『チチキトク』。病院で、豪華なカタログをかかえてやってきた葬儀社を丁重に追い返して母は言った。「うちには先祖伝来の弔い方がございます-」。(「お葬式」)。日常のなかの恐怖を、ユーモラスに描く、青春ホラー小説の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 入院していた父が、危篤状態となり、そのまま帰らぬ人となった。 葬式の準備に追われるあたし達であったが、母と父の郷里に伝わる先祖代々の弔い方で葬式をすると母にいわれた。普通の葬式とは違う弔い方にぎょっとするあたしであったが……。

    ***

    初読みの作家さん。平成11年の刊行なので、1999年に出た本だ。1999年といえば、世紀末であり、コンピュータの日付騒動があり、ノストラダムスの大予言の騒動がありと、中々混迷を極めた年だ。
    そんな年に出版されたこちらの短編集はいかほどであろうかと読み始めたが、未だかつて読んだことがないホラー小説だった。

    裏に書いてあるあらすじを読めば、土着の因習云々、何々神様云々が出てきそうだけれど……。

    読んでいて度々、えっ?これ角川ホラー?ホラー???となりながら読んだ。

    題材はカニバリズムであったり、怪談物であったり、ゾンビ物であったり、サイエンスホラーであったりするのだが、それを土台にしていたとしても、笑えるホラー小説だ。
    笑えるホラー小説とは果たして?となるだろうが、これは多分ニコニコ、いやニヤニヤしながら読む類の本であると思う。

    何がそう思わせるかというと、とにかく出てくる人物たちが底抜けに明るいのだ。明るい、と言えばいい風だが、なんかちょっと普通の価値観とずれている感じだ。
    日常からかけ離れたものを脅威と感じず受け入れる、驚く機会を逃したから受け入れる……。一話一話の中にそれぞれ、よく考えると怖いものが散見されるのだが、そんなもの、何のことはないさ、という登場人物たちの順応性が逆に恐ろしいぐらい。

    怖がるには向いていないが、気楽に読める一冊。ハイテンションで快活に進んでいくホラー小説。不思議である。

    特にお気に入り話は、「ホテルエクセレントの怪談」これが一番大笑いした。
    少しの恐怖展開と、登場人物に対するムカつきと、それをすべて吹き飛ばす笑撃の結末。

    詳しく話せば、面白さが損なわれそうなので、割愛するが、最後は読んでいて、わっはっは、ざまあ。となった。

    逆に結末にぞっとしたのは「心地よくざわめくところ」。
    こちらも、とある大学に通学する大学生の青春群像の様な話。チャイナシンドロームをめぐってハイテンションかつハイテンポで展開されていく物語であるが、何となく最後はぞっとした。
    本人たちは冗談半分、面白半分でわいわい騒いでいるのだろうが、この話が完結した次の日ぐらいは大事になっていそう。

    登場人物が絶望するのか、はたまたそうでないのか……それは神のみぞ知るという事だろう。

    怖いホラー小説を読みすぎて、胃もたれが来た頃に読むとよい読了後の清涼感は素晴らしい。
    こんなにさわやかな終わりを迎えるホラー小説があったなんて、目から鱗であった。

  •  1999年第6回日本ホラー小説大賞短編賞で佳作を受賞した表題作を含む5編収録の短編集。
     鳥肌が立つようなホラーというよりは、ブラックユーモアといった趣が強い作品が多い。文体も簡潔で読みやすいので、ガチガチのホラーは苦手という人にはおススメである。個人的には表題作も面白かったが、次に収録されている「ホテルエクセレントの怪談」が好きだった。

  • 何故かケッチャムに続いて読んだので、ギャップがすごく新鮮で。ユーモアというか、いやよく考えたら怖くね?という展開が、特に最終話の後からじわじわ来る感じが一番好き。

  • 非常に軽いホラー。短編集。
    『青に捧げる悪夢』で「ラベンダー・サマー」が気に入ったので購入。

    『お葬式』:グロさも軽く流されました
    『ホテルエクセレントの怪談』:オチが良い
    『十二月のゾンビ』:ラブコメ(笑)
    『萩の寺』:一番マジメ
    『心地よくざわめくところ』:ひたすら軽い

  •  おぞましい話だけれど、あまりにも軽妙に語られるのですいすい読めてしまい、最後には「よかったね」といいたくなる。怖い話が好きな人ってこんな感じで思っててたのかなあ。この人の作品をもう少し読んでみたいと思った。

  • 「人生最期のイニシエーション」
    筒井康隆の短編でこういう話なかったっけ?

  • シュールな笑い。
    お兄ちゃんの叫びが好き。

  • 内容は
    ホラー大賞の短編賞をとった作家の短編集。
    表題作の『お葬式』を読んでる最中に、既読と気づく。
    斬新なお葬式なわけだけれども
    作品全般的に、コミカルタッチを加味している。
    がしかし、そのセンスがおもすろくにゃい一品……×
    この中では『萩の寺』という作品がコミカルでなくよかった。

  • ホラーなのに軽い。良い意味で。客観的な感じの流れ。「お葬式」に期待していたが思いのほか違う短編の「十二月のゾンビ」がとても良かった。変な期待を裏切ってくれてよかったみたいな。なまぬるーいのに心地よい。

  • ホラー…なのか…?笑えるホラーだな
    十二月のゾンビ、好きだ!

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