天使の屍 (角川文庫 ぬ 2-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1292
感想 : 149
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043541010

作品紹介・あらすじ

14歳の息子が、突然、飛び降り自殺を遂げた。真相を追う父親の前に立ち塞がる《子供たちの論理》。14歳という年代特有の不安定な少年の心理、世代間の深い溝を鮮烈に描き出した異色ミステリ!

感想・レビュー・書評

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  • 飛び降り自殺をした息子の周囲で広がる自殺の連鎖。真相追う父親が辿り着いた真実とは。
    ーーーーーーーーーーーーー

    ストーリーとしては大変面白かったのだが、今回キャラクターに恵まれなかった。真相に触れられない為に文字通り命を懸けて考えた超計画のはずだ。
    フリが狡い息子よ、直前にそんなこと言われたら遺書の効果も半減するだろう。

    20年前の10代ましてやその中の前半の少年少女達の性事情がここまででは無いとしてもこれを想像できる範囲なのだったとしたら、おばちゃん心配しちゃうよ。

    無理矢理感の否めないめでたしめでたし。
    死に損なって真相知られて生き続ける道を選んだ青年のぐにゃぐにゃな鋼メンタルにもはや付いて行けない。いや、だからと言って「死んだら良い」て訳ではないんです。ただ、説明が欲しかった。

    人間ここまで分厚い仮面を付けるのは難しいと思います。もっと勝手な生き物だと私は思う。

  • 久しぶりの貫井作品。最後は希望というか何とかいうか・・まあ、うまく纏まっているかなぁという印象はあるものの、最初期の作品だからか今と比べるとやはり見劣りする部分はある。まあそれは作家として着実に力を付けてきているという証だ。

  • 「子供には子供の論理がある。」

    傍から見れば「それだけのことで…?」と思ってしまうような世の去り方をしても、見えてる世界が子供は狭い分、世に絶望してしまうものだ。

    私もかつては中学生だったし、14歳だった。だからこそ「子供の論理」というものに納得してしまう。

    あったはずなのに忘れかけていた「子供の頃の世界の見え方」を思い出すような作品だった。

  • 人生で初めて、途中でオチが分かってしまった…

    文章が長ったらしいんだよなあ。「その表現、さっきから何回も見てるけど?」ってなる。中学生のくせに口調が大人び過ぎててあんま入ってこんし。

    最後まで読めたことを褒めたい。

  • 親の前ではいい子でも、子どもは親の知らないところで悪いことをしてるし、子どもは子どもの世界での論理があるんだよなぁと改めて思った。子どもたちが危険な誘惑にのらないようにするにはどうすればよかったのだろうか…

  • 息子の突然の自殺。真相を探ろうとしているうちに友人たちが次々に自殺。
    最初から引き込まれ展開もどんどん進むので飽きなく最後まで読めた。
    ライバルの成績を落とす為にlsdに裏ビデオ撮影、販売までするとは全く予想出来なかった。そこまでするのか、と思ったけど競争社会で生き残らなくてはとの思いに駆られた視野も狭い中学生ならそこまで思い詰めるのかも。
    現代だからlsdなどの犯罪も私が思うより手短なのかもしれない。
    証拠隠滅と復讐の為の殺人を隠す為の自殺にも驚き。
    彼らの切羽詰まった思いからの覚悟に胸が苦しくなった。

  • 中学2年生の息子「優馬」が、ある日突然、何の前触れもなく自殺してしまう。原因に心当たりがない父親の「青木」は、悲しみに暮れながらも、理由を知るため動き始める。

    初っ端から優馬が自殺してしまうのが衝撃。少しいつもと様子が違うだけだったのに、まさか自殺してしまうなんて。ムニエルどうするのよ。親としては、考えたくもないできごと。本当の理由を知りたいという動機がなかったら、青木もずっと動けなくなったんじゃないだろうか。

    自殺は優馬だけで終わらず、続いてしまう。同じくらいの子がいるので、読んでいて気が滅入ってしまった。途中、なかなか読み進められなかったくらい。

    最後に判明する真相には驚かされた。そんなことあり得るの!?
    でも何だか、そういうことが起こっても今の時代ならあり得るかもと思ってしまった。
    物語としてはとても面白かったけれど、こんなこと実際には起きないでね、と思った。

  • 時代が少し前の話なので現代の感覚で読むと違和感を感じるかもしれない

    事件の真相は、私には納得できないというか理解できない箇所もあったけど、
    それはやはり子供たちの独自の世界観やルールが大人の私にはわからないということなのかと感じた
    理解できなさすぎて、少し気味悪くすら感じてしまった

    それでも息子の死の真相を懸命に探すお父さんを応援したい気持ちで読み進めることができた

  • 突如、自殺した中学生の父親が真相を追っていくミステリ。

    筆者の作品に共通するのは心理描写の巧みさ。一人称、二人称とも圧倒的な筆力で心情を表現する。

    真相を追う父親が、亡き子の生前の様子を友人たちにインタビューするなかで、成熟の途上にある中学生の特有の心理を追いながら話は展開する。

    派手やトリックもなければ、大胆に鉄道で全国を行き来するような王道ミステリではない。

    先を読ませない展開と、なんとも言えない物寂しい読後感はまさに貫井作品。

  • 中学生の息子がビルから飛び降りて死んだ。
    「自殺するなんてバカだ」と言っていたのに
    何故?自殺ではなく、他殺じゃないのか?

    必死に息子の心を知ろうとする父親。

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著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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