天使の屍 (角川文庫 ぬ 2-1)

著者 :
  • KADOKAWA
3.15
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本棚登録 : 1292
感想 : 149
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043541010

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの貫井作品。最後は希望というか何とかいうか・・まあ、うまく纏まっているかなぁという印象はあるものの、最初期の作品だからか今と比べるとやはり見劣りする部分はある。まあそれは作家として着実に力を付けてきているという証だ。

  • 「子供には子供の論理がある。」

    傍から見れば「それだけのことで…?」と思ってしまうような世の去り方をしても、見えてる世界が子供は狭い分、世に絶望してしまうものだ。

    私もかつては中学生だったし、14歳だった。だからこそ「子供の論理」というものに納得してしまう。

    あったはずなのに忘れかけていた「子供の頃の世界の見え方」を思い出すような作品だった。

  • 中学2年生の息子「優馬」が、ある日突然、何の前触れもなく自殺してしまう。原因に心当たりがない父親の「青木」は、悲しみに暮れながらも、理由を知るため動き始める。

    初っ端から優馬が自殺してしまうのが衝撃。少しいつもと様子が違うだけだったのに、まさか自殺してしまうなんて。ムニエルどうするのよ。親としては、考えたくもないできごと。本当の理由を知りたいという動機がなかったら、青木もずっと動けなくなったんじゃないだろうか。

    自殺は優馬だけで終わらず、続いてしまう。同じくらいの子がいるので、読んでいて気が滅入ってしまった。途中、なかなか読み進められなかったくらい。

    最後に判明する真相には驚かされた。そんなことあり得るの!?
    でも何だか、そういうことが起こっても今の時代ならあり得るかもと思ってしまった。
    物語としてはとても面白かったけれど、こんなこと実際には起きないでね、と思った。

  • 時代が少し前の話なので現代の感覚で読むと違和感を感じるかもしれない

    事件の真相は、私には納得できないというか理解できない箇所もあったけど、
    それはやはり子供たちの独自の世界観やルールが大人の私にはわからないということなのかと感じた
    理解できなさすぎて、少し気味悪くすら感じてしまった

    それでも息子の死の真相を懸命に探すお父さんを応援したい気持ちで読み進めることができた

  • 突如、自殺した中学生の父親が真相を追っていくミステリ。

    筆者の作品に共通するのは心理描写の巧みさ。一人称、二人称とも圧倒的な筆力で心情を表現する。

    真相を追う父親が、亡き子の生前の様子を友人たちにインタビューするなかで、成熟の途上にある中学生の特有の心理を追いながら話は展開する。

    派手やトリックもなければ、大胆に鉄道で全国を行き来するような王道ミステリではない。

    先を読ませない展開と、なんとも言えない物寂しい読後感はまさに貫井作品。

  • 中学生の息子がビルから飛び降りて死んだ。
    「自殺するなんてバカだ」と言っていたのに
    何故?自殺ではなく、他殺じゃないのか?

    必死に息子の心を知ろうとする父親。

  • 主人公は妻と中学生の息子をもつイラストレーターの男性。
    ある日、衝撃的な出来事が起こり彼の家庭は一変する。
    彼の息子が飛び降り自殺をしたのだ。
    しかもその遺体からはLSDという薬物が検出された。
    亡くなった息子の周辺を探る内に次々と見えてくる知らなかった息子の姿。
    そしてさらに、事情を聞いた息子の友人たちが次々と飛び降り自殺を計る。

    何故、主人公の息子が死んだのか。
    その断片が最初から少しずつ散りばめられ、ラストまでに何となく予想はつきました。
    ストーリーとしてはちょっと安易かな?と思いますが、面白く読める本ではあります。
    そして作者の言いたいこともはっきり分かる話でもあります。
    それの象徴的なのがラストの場面。

    この物語には主人公の息子、その周辺の友人たちと歌手を目指す少女という二つの対となる人物像が出てきます。
    これを読んで、夢がある人、生きる目的がある人というのは強いな・・・と思いました。
    だけど中学生の内からそういうものがはっきり決まっている人の方がまれじゃないかな?
    だからほとんどの人は取りあえず学歴をつけなければと思う。
    そしてその道から少しそれてしまうと全てが台無しになったような絶望的な気持ちになってしまう-。
    これを読んで、安易にそう思わせてしまう社会や大人に問題があると改めて思いました。
    人生は上手に生きられなくても意味のあるものだと、その生きざまで示す大人が増えれば、次世代の人間も希望をもてるんじゃないかな?と思う。
    主人公もどちかと言えば学歴に関係ない仕事、イラストレーターだというのにも意味があったんだ・・・と読み終えて分かりました。

  • 2度目の読破、3.5つけたい。
    真相への驚きはさほどないがぐいぐい引き寄せる謎と読み込ませる文がすごい。また、父親、中学生双方の思いも辛辣に実直に書いてあり、初めてみた時以上にこの心情描出に圧倒させられた。

  • 2021.1/20〜2/17

  • 結構後半にいかなきゃ物語の動きがなくて
    途中ちょっと退屈だった

    後半からは真相が知りたくて駆け足で読了だったけど

    うーん
    主人公の青木父が私はあまり理解できなかったなぁ

    私も大学生の息子がいるのできっと青木父とは同年代だと思われるんだけど

    ジェネレーションギャップに悩むところは、
    やっぱりその当時の親には共感されるかもしれないけど

著者プロフィール

1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞。「症候群」シリーズ、『プリズム』『愚行録』『微笑む人』『宿命と真実の炎』『罪と祈り』『悪の芽』『邯鄲の島遥かなり(上)(中)(下)』『紙の梟 ハーシュソサエティ』『追憶のかけら 現代語版』など多数の著書がある。

「2022年 『罪と祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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