幻影城: 探偵小説誌不朽の名作 (角川ホラー文庫 73-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043545018

作品紹介・あらすじ

昭和50(1975)年2月創刊号から昭和54年7月号まで、総計53冊発行された探偵専門小説誌『幻影城』。資金的な面の困難によって、廃刊の道をたどらざるを得なくなった"幻の雑誌"であった-。本書は、現在の本格推理ブームの延長線上にある「不朽の名作」の数々を再録し、本格推理の神髄とは何かを探る。幻想の中に恐怖を味わえるファン待望の保存版の1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 『幻影城』と現代作家 山前譲
    吸血鬼        日影丈吉
    多すぎる証人     天藤真
    お精霊舟       宮田亜佐
    密室のレクイエム   筑波孔一郎
    微笑の憎悪      藤木靖子
    若い悪魔たち     石沢栄太郎
    影の殺意       藤村正太
    最も高級なゲーム   仁木悦子
    陥穽         竹本健治
    殺人者の憩いの家   中井英夫
    赤川次郎       五分間の殺意

  • 昔あった幻影城という探偵小説雑誌風にした、「不屈の名作」の再録集です。
    収録作品は11本です。
    日影史吉「吸血鬼」
    探偵小説というよりはホラーだと思います(この文庫本は角川ホラーなので間違ってないですが)
    結局あいつは何だったのだという日本的ホラーの背筋がちょっと寒くなるタイプです。
    天藤真「多すぎる証人」
    定番の推理モノですね。
    現場には行かないけど、状況証拠だけを聞いて犯人を当てるタイプの少年と、その少年と仲良くしている刑事が主人公です。
    殺人事件は起こるし、トリックも解決するけど、犯人は捕まらないけど、心あたたまる感じの終わりでした。
    宮田亜左「お精霊舟」
    これはサイコホラーでしょうかね。
    主人公が事件の真相に向かっていくんだけど、結局なにもかもダメで、更に追い打ちをかけてくる。
    村社会は恐ろしいという感じの話です。
    筑波孔一郎「密室のレクイエム」
    叙述トリック的な推理モノというところでしょうか。
    小説家が主人公で、その愛人が殺されるというもの。
    今まで密室ものに手を出さなかった主人公が密室ものを書くが、たいした作品ができない。
    それを隠れ蓑に殺人事件を起こすという話です。
    オチがいろいろとヒドイです。(笑えるという意味で)
    藤木靖子「微小の憎悪」
    これもサイコホラーかな?
    捨てられた愛人の復讐劇というところでしょうか。
    女は怖いですね。
    この話の最後の言葉が特に怖いです。
    石沢英太郎「若い悪魔たち」
    探偵役は新聞記者。
    冤罪で捕まった知り合いの子供を助けようと真犯人の元にトリックを暴きに行ったら、どんでん返しで結局闇に葬られてしまう。
    これはオチが読めなくて、やられたという感じでした。
    藤村正太「影の殺意」
    行方不明の兄を探して、犯人と思わしき女性の元にたどり着き、徐々に証拠固めをしていきます。
    じわじわ地味に殺されかけたり、兄を発見したものの殺されかけたりと、散々な主人公です。
    最後の最後で無事助かったのかどうなのか…。
    地味な女性かと思ったら、狡猾でしたという話でした。
    仁木悦子「最も高級なゲーム」
    推理ゲーム好きが集まって、推理を披露しあう集団がメイン。
    で、そこに女の子が一人参加していたりするわけですが、その女の子を射止めるために一芝居。
    誰も死なず、ちょっと怪我(自業自得だけど)する程度の、軽いノリですね。
    中で披露される推理ゲームは面白いです。
    竹本健治「陥穽」
    ある殺人事件を目の前で見て、時効が過ぎた時に、真犯人からようやくトリックを聞き出し、自殺して復讐を遂げるという話です。
    どんでん返しがすごく良かったです。
    中井英夫「殺人者の憩いの家」
    殺人者を集めた施設を乗っ取ってやろうとしていた、主人公が実はあっさり術中にハマって所長に乗っ取られるという話。
    主人公のカンチガイっぷりが笑えるというところでしょうか。
    所長の方が1枚も2枚も上手ですねぇ。
    赤川次郎「5分間の殺意」
    トリックらしいトリックも出てこないけど、面白かったです。
    さすがというところでしょうか。
    主人公が密かに楽しみにして合っていた女子高生と、同僚が関係していたところを見かけてしまってから嫉妬の炎に狂ってしまい、最終的には事故死という悲しい結末。
    同僚の完璧な殺人であったのかと思います。
    一応、その付近がトリックになるんでしょうかね。
    読んでる自分も主人公同様に騙されてしまいました。

    中編や小編を載せたアンソロジーなので、雑食的に読む自分には、お得に楽しめた感じがします。
    この手のアンソロジーから、今度は個別作家へと進むには良い入門になるのでは無いでしょうか。
    どれも面白かったですが、作品の中で気に入ったのは「若い悪魔たち」「影の殺意」「陥穽」「5分間の殺意」ですね。

  • 噂に聞く幻影城。いまのメフィストみたいなものかな、と邪推してしまう。ミステリは豪華で繊細、そして真っ赤に咲いた鮮血が綺麗に夜空を飾る。この胸に刻もう。

  • グッと引き込む作品がいくつか収録されている。
    でも、これといった読後感がないのは何なんだろう?

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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