愛犬家連続殺人 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 134
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043553013

作品紹介・あらすじ

九八年八月二十八日、俺は満期三年の実刑を終え、栃木の黒羽刑務所を出所した。逮捕された時の罪名は「死体損壊・遺棄」。そう、俺があの『埼玉愛犬家連続殺人事件』で主犯・関根らとともに人肉をサイコロのようにカットし、人骨を粉になるまで焼き尽くした山崎だ。俺は知っている。まだ世間には知らされていない関根の凶暴な素顔を。その恐るべきやり口を。そして、未だ解決していない数数の行方不明事件の真相を…。たぐいまれなる凶悪殺人事件でありながら、阪神大震災・オウム事件の陰で注目度の低かった『埼玉愛犬家連続殺人事件』。その共犯者が自ら綴る驚愕の書。

感想・レビュー・書評

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  • 何かの記事で、この本が絶版になり、6000円近くのプレミアムがついたと知った。

    あれ、この表紙、どっかで見たことある気がする?
    と本棚を調べたらあったあった。

    ついでにぐぐってみたら、Wikiに掲載のこの事件、
    グレイアウトしてあった。こわー。なんでだろう?

    正直事件そのものの怖さからしたら、
    新堂冬樹の「殺し合う家族」の元となる、北九州連続殺人事件の方がすごいと思う。
    起訴当時、阪神淡路大震災の報道でうやむやになったこの埼玉の事件とは違い、
    北九州のそれは、あまりの事件の凄惨さに、報道機関側が報道規制をしたらしい、
    という逸話も信じられる気がするから。

    なのになぜ、こちらが絶版なのか???


    正直本当にこの共犯者が書いたのか、個人的にはギモン。
    話したストーリーを丁寧に、起こしたライターさんがいたのじゃないだろうか?

    時間的座標軸の動きがあまりに見事でムリがなく、
    よくできた独白ドラマを見るようだからだ。

    出所直前、出所後の女性との邂逅、思い出話、挟まる思い出とエピソード。
    所々に赤裸々に描かれる担当検事への軽蔑、関根への憎まれ口、子供への思慕。



    ただ、ふと我に帰るとこの本の怖さは、そこにこそあったのではないかという気がする。
    4人の殺人に関わりつつも、見事に心理的な調和を保つ、この共犯者。
    恐怖を感じながらも冷静に主犯を距離を置き、
    検事に言われた「不起訴」の約束の不履行を真実なじる。
    「嘘をつく奴に協力は出来ない」と怒る男だがその本人が、
    4人の殺人を間近で見、死体の解体に協力をしているのだ。

    殺人鬼の最も近くにいながらも、
    女性を愛したり子供の安否を心から気遣い涙を流す。
    その<フツウ>な心理描写がきわめて異常だということに、
    おそらく本人が全く気づいていない、その事態がきわめて怖い一冊。

    大学教授で刑法を教えているかつての後輩が昔、飲んだときに私に、
    「あのね、思っているほどこっちの世界とあっちの世界って離れてないんだよね。
    本当にフツウな人なんだよ、向こうの世界の人って。」
    って言ったのを思い出す。

    ‥理解不能な怪物で異物である方が、どれほどか救われるのだが。

  • 平成29年8月20日読了。

  •  
    ── 志麻 永幸《愛犬家連続殺人 200009.. 角川文庫》筆名&改題
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4043553013
    ── 山崎 永幸《共犯者
    1999 新潮社》原題
     
    〔1〕“埼玉愛犬家連続殺人事件”
     
    <PRE>
     関根 元      元犬猫繁殖業 1942‥‥ 埼玉        /19950105 逮捕20000706死刑求刑20010321死刑
    /風間 博子の前夫(偽装離婚)/「アフリカケンネル」経営
    ♀風間 博子 元ペットショップ経営 1957‥‥ 埼玉        /19950105 逮捕20000706死刑求刑20010321死刑/関根 元の前妻
     山崎 永幸 元ペットショップ役員 1956‥‥ 富山        /19930421 川崎 明男(39)遺棄共犯 19950108 逮捕 19980828 出所
     
    ♀□□ □□       飲食店員 1937‥‥ 埼玉   198406‥ 47 /失踪遺体遺棄 19940110 夫=知人の証言?
     □□ □□      暴力団幹部 1933‥‥ 埼玉   198406‥ 51 /失踪遺体遺棄 19940110 知人の証言?
     川崎 昭男       会社役員 1954‥‥ 埼玉 群馬 19930420 39 /毒殺 0421 遺体焼却遺棄 0421 東京駅駐車場で乗用車発見
     遠藤 安亘      暴力団幹部 1942‥‥ 埼玉   19930721 51 /毒殺遺体切断焼却遺骨遺棄/塗川
     和久井 奨  暴力団幹部の運転手 1972‥‥ 埼玉   19930721 21 /毒殺遺体切断焼却遺骨遺棄/塗川
    ♀関口 光江         主婦 1939‥‥ 埼玉   19930826 54 /
    </PRE>
     
    ── 《上田晋也のニッポンの過去問【第72回】
    「埼玉愛犬家連続殺人事件の闇」20161205 25:50-26:20 TBS》
     
    …… 1993~94年に起き、95年初頭に容疑者の逮捕にいたった連続殺人。
     分かっているだけで4人が殺害され、それ以外にも数人の行方不明者
    がいると囁かれていました。
     一見、何も関係がないようにみえた連続“失踪”事件が、じつは
    「アフリカケンネル」という名のペットショップを中心に起きていたこ
    とから、悪事が露呈しました。
     逮捕されたのはペットショップを経営する事実上の夫婦(双方すでに
    死刑が確定)。
     しかし、その動機が分かりませんでした。会社員、暴力団員、主婦…
    …などと、被害者にはペットショップ以外の共通点はありません。それ
    もそのはず、容疑者はまったく別の、それぞれに「身勝手な理由」で、
    被害者を殺していたのです。
     間違いなくマスコミも大騒ぎとなる大事件でしたが、逮捕の12日後に
    阪神淡路大震災が起こります。また、この95年はオウム真理教の一連の
    事件が起きた年でもありました。必然的にメディアの目はそちらに向き
    がちになり、愛犬家連続殺人事件は、いつしか語られることも少なくな
    りました。
     大事件であるにも関わらず、詳細があまり語られなかった、この異常
    事件。「上田晋也のニッポンの過去問」で、詳しくひもときます。
     
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
     
    〔2〕“大阪愛犬家連続失踪殺人事件”広域重要「120号事件」筋肉弛緩剤投与
     
    <PRE>
     上田 宜範   自称“犬訓練士” 1955‥‥ 大阪 八尾 /19940126 逮捕
    /19940531-0608 自供「富士風穴近くの県道沿いに遺体を捨てた」0611 青木が原樹海捜索中断 0824 初公判
    /19980320 死刑判決 20010315 控訴棄却/20051215 最高裁確定
     
     北原 豊仁     パチンコ店員 1972‥‥ 静岡   1990053. 18 /殴殺 0805 捜索願
    (以下)19950210 塩尻市で5遺体発見
     瀬戸 博  元運送アルバイト同僚 1969‥‥ 大阪   1992062. 23 /窒息死
    /失踪「おっさんおれの陰口を言ってるだろう」とののしられたので
     
     藤原 三平         無職 1959‥‥ 大阪 長野 19920726 33 /窒息死
     柏井 耕  元運送アルバイト同僚 1972‥‥ 大阪 長野 19920730 20 /窒息死/0727 失踪/土木作業員
    ♀高橋 サチ子        主婦 1946‥‥ 大阪 長野 19931026 47 /窒息死/1025 失踪/19940126 ロッカーから遺体発見
    ♀志治 信子         主婦 1946‥‥ 大阪 堺市 19931029 47 /窒息死/1102 遺体埋葬?
    </PRE>
     
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
     
    〔3〕“愛知連続殺人事件”別件
     
    <PRE>
     岡村 幸司    元同僚の大工 1967....       19930216 26 /(23)
     田中 史郎    ラーメン店主 1935....       19930303 58 /殴殺遺体遺棄
     上田 大   元スナック従業員 1970‥‥ 愛知 名古屋 20030228 33 /獄中病死(非公表)
    /19940524-0525 名古屋地裁 19960702 名古屋高裁 20010920 最高裁上告棄却
    </PRE>
     
    19930216 19950105 19950210 埼玉・大阪・愛知の連続殺人
     
    (20161206)
     

  • スーパーヘビー級。

  • プロの物書きでもないのに読ませる文章。最高!

  • 埼玉愛犬家連続殺人事件の共犯者・山崎氏が自ら書いた衝撃のノンフィクション。
    絶版だったためAmazonで4700円くらいで購入した。

    人を騙してボロ儲けしたり人を平気で殺してバラす奴なのに、なぜかクスリと笑えてしまう関根のキャラクターがなんとも印象的。当事者じゃなければ感じることのできない恐怖や緊迫感がなんともリアルに描かれている。
    グロよりも、いろんな意味で人間って怖いと思わされる本だった。

    文章が面白く(代筆がいるという話もあるが)ページをめくる手が止まらなります。

  •  90年代に日本中を震撼させた埼玉愛犬家連続殺人事件の共犯者が出所後、事件の内容を小説化したもの。一応本人が書いたとされているが……ゴーストライターが書いたらしい(文章がうますぎるので読めば分かる)。
     内容はとにかくグロい。ペットショップを経営する主犯の男のいかにもサイコパスっぽい言動や風呂場での死体切断シーンは迫力のある描写で、それだけで読む価値がある。男の「ボディーを透明にする」という言い回しは印象深かった。なるほど確かに透明になる。
     ただ不満なのは、後半主人公がやたら警察に噛みつく点。曲がりなりにも本人が書いているという体裁をとっている以上、こういう風に書かれると冷める。格好よすぎるというか、映画的というか……。加えて、主犯の男を多重人格みたいに説明するシーンがあるがそれは間違っている。おそらく男は単に淡白で感情の切り替えが早いサイコパスだ。時代劇ファンで松平と名乗ったりするのもその証拠だ(海外のサイコパスはよく映画スターを気取る。日本だと時代劇になるのかもしれない)。

  • 「愛犬家連続殺人事件」
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E6%84%9B%E7%8A%AC%E5%AE%B6%E9%80%A3%E7%B6%9A%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

    私が知る限り関根は、九州の松永太、韓国のユ・ヨンチョルを凌ぎ、アジア史上最凶のサイコだと思います。
    関根自身が本書の中で「俺と勝負出来そうな奴が現れた」と英のフレデリック・ウエストの名を挙げてますが、いい勝負でしょう。
    ※ウエストについてはコリン・ウィルソン著『「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件』を参照下さい。私は吐き気を催してすぐ止めましたが。
    この事件で驚くのは関根だけでなく、嫁も同等にサイコだという点です。
    鼻歌まじりに死体解体を手伝ってたそうなのですが、その理由が、解体後、ダンナには焼却作業が残っていて、その間は確実にばれずに、愛人とゆっくり出来ることを考えていたそうです。
    常人では想像も出来ない思考です。


    今度、本書をモチーフに「冷たい熱帯魚」と言うタイトルで映画化されます。
    映画では犬がアロワナに変更されるのですが、インチキの手口があまりにも酷似していて驚きました。
    関根曰く
    「儲けようと思ったら値段の無いものを売ることだ。もちろん相場はある、他の店でも売ってるものなら安い方で買う。だが、他の店で扱ってなかったら、俺の店で買うしかないんだ。金持ち相手に値段の無いものを売る、これが俺の商売だ。何しろそれが一番儲かる。」
    と、うそぶき悪辣な手法で犬たちを高額で売りつけていきます。
    手法はヤバイので割愛いたします。

    さて、映画ではどこまで描けるのかな?

  • 決して面白くないわけじゃないんだけど、なかなか読み進まず結局読み切らないまま図書館に返却しました。「冷たい熱帯魚」は、結構忠実に作ってあるんだな。私的には映画の方が良かった。原作を映像化作品が上回る稀有な例かも。

  • (欲しい!/文庫)

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