悪魔の降誕祭 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 420
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043555031

作品紹介・あらすじ

金田一耕助の探偵事務所で起きた殺人事件。被害者はその日電話をしてきた依頼人だった。しかも日めくりのカレンダーが何者かにむしられ、12月25日にされていて――。本格ミステリの最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 金田一耕助の探偵事務所で発生した殺人事件。金田一が外出から戻った時には依頼人は毒殺され、カレンダーに殺人予告まで残されていた。大胆不敵な犯人の正体とは?表題作を含め全三編を収録した作品集。

    探偵事務所で殺人事件が起きるという前代未聞な『悪魔の降誕祭』。被害者は有名なジャズシンガー・関口たまきのマネージャーだった。事件を辿っていく内に明らかになる絡み合った人物関係の糸はやっぱり横溝正史だなと。人が持つ人情、罪悪感などのもつれ。それを嘲笑うかのように行われる悪魔の筋書きには戦慄した。丁寧に証拠を詰めてくれるので、犯人はわかりやすかった。しかし、犯人がわかってからが恐怖の本番という…。それにしても、内鍵の件って解決してない気が。どうやって入ったんだろう。

    金田一の恋心が綴られる短編『女怪』は新鮮だった。銀座裏の「虹子の店」のマダムに惚れ込んでしどろもどろになる金田一がなんとも可愛い。その後、マダムを巡る過去、墓荒らし、怪しげな予言者の男など、物語に暗雲が立ち込めてくる。金田一の一途な想いが伝わるからこそ、最後の切ない読み味が余韻として響く。「愛するひとを得ようとして、愛する人を殺してしまった」というのは結果的に金田一も痛感してることなのかなと思うと、探偵を辞めたくなるだろうなあ。

    元映画スター・紅葉照子が迷宮入りした事件の死んだ犯人に偶然出会った。その話を照子の親戚・容子から聞きつけた金田一は照子の別荘へと向かう。そこで発見した死体。しかし、通報して現場に戻ると死体は忽然と消えていた。別荘地で起きた謎へと迫る『霧の山荘』。まさに霧の中でさまようかのような虚実入り混じった味わい。善なる嘘と悪なる嘘。霧が晴れた後に暴かれた人間の本性が滑稽でグロテスクというのがやり切れない。

  • 割と軽く読める短編集でした。気持ち悪いのが嫌という方でも読めそうだと思います。

    ディフェンスに定評の無い探偵、という評価を思い出しました。

  • 短編てあまり好きではなかったけど、短編も面白い。
    横溝正史の金田一シリーズは全て読みたいです。
    買えるものは多分本書が最後の一冊だった。
    あとは図書館と古本屋に行くのみだなあ。

    悪魔の降誕祭
    ぶっ続けで横溝正史を読んでいるからか、犯人わかった!この、畸形という表現が独特なんだよなぁ。

    女怪
    とても珍しい、金田一の恋愛話が出てくる!

    霧の山荘
    軽井沢の雰囲気がとっても出ていて良い。

  • おもしろかった

  • 中編「悪魔の降誕祭」「霧の山荘」と短編「女怪」の三作品。金田一耕助の事務所で依頼人が殺されたり、金田一耕助の恋愛事情が示されたり、金田一耕助が騙されたりと、金田一耕助にまつわる事件集。

    「悪魔の降誕祭」
    金田一耕助の事務所で依頼人が殺されるという大胆不敵な犯行。依頼人は今後起こりそうな殺人の相談のために訪れたものであり、その通りにクリスマスパーティーで依頼人の関係者が殺される。
    依頼人は携帯していた薬による毒殺であったにも拘わらず、犯人が金田一の事務所を訪問した上で、日めくりカレンダーを12月25日までやぶいた謎、依頼人が持っていた写真が切り取られていた謎、道明寺とたまきに呼び出し状を出した人物の謎、第二の被害者の服部がやすやすと殺された謎。
    秘密の小廊下の存在や、パーティー当時の人物の動きはなかなか面白い。ある人物の犯人へのアシストによって真相が見えにくくなっており、アシストをした理由にも説得力がある。一部の謎の真相は肩透かしだが、写真が切り取られていた謎の真相は面白い。
    最後まで読むと隠れていた動機が示され、犯人の鬼畜性が明らかになる。

    「女怪」
    金田一耕助の探偵話の記述者である「先生」と金田一耕助が、伊豆の鄙びた温泉場に静養のために訪れ、そこで体験した話が語られる。金田一のマダム虹子に対する恋心が示される異色作。著名な行者が虹子の前夫の墓場から何かを持ち出した疑い、それをネタに虹子が強請られている疑い、前夫の死亡原因に対する疑い。しばらくして、「先生」は行者の死亡記事を読み、さらにしばらくして、金田一から長文の手紙が届き、事件の真相を知る。被害者にとっても、加害者にとっても皮肉で救いのない真相。

    「霧の山荘」
    依頼を受けて、別荘地を訪問したところ、霧にまかれて途方にくれる金田一耕助。不在にしているわずかな時間の間に死体が消失し、狐につままれる金田一。翌日、その死体が屋外で発見され、等々力警部と共に周辺を調査をすることに。
    死体消失の謎は早々に明かされるが、赤アロハの男の謎、死体が移動させられた謎、着物がはぎとられた謎、血だまりの跡が消えた謎、過去の迷宮入り事件の謎、ゴルフ場で被害者が出会った人物の謎など、次々と謎が提示され、それを説明する真相はなかなか面白い。
    金田一耕助の策略が見事決り、犯人が逮捕される。

  • また定期的にやってきた、金田一耕助読みたい病(笑)
    まだあるかな〜と本棚を覗いたら、本書があったので読むことに。

    悪魔の降誕祭、女怪、霧の山荘の3つの物語を収録。
    どれもこれも、人間の欲望、浅はかさ、卑しさなどが事件を通して描かれている。

    個人的には女怪、霧の山荘が印象に残った。

    女怪では珍しく、金田一さんの恋愛模様を取り上げていて、おっ!と思ったのだが結末があんな形になって、私が金田一さんの立場だったら当分、再起不能に陥る。絶対に。

    霧の山荘は、人をとってくった様な感じが腹立たしくて、後味悪い印象を受けた。

    現在も謎解きものはたくさんあれど、金田一シリーズは安定のシリーズ。書かれた年代は少し古いが、そのレトロな文体や言い回しなんかも気に入っている。

  • 中編2編「悪魔の降誕祭」「霧の山荘」と短編「女怪」の計3編構成となっていました。中編の2編は、どちらもなかなか秀逸なトリックが隠されていて面白かったですね!
    「女怪」は恐らく金田一耕助シリーズで初めて金田一耕助が惚れた女性にまつわる殺人事件という設定で、切ないミステリー作品でした!

  • (^^)

  • 3つの短編集。「悪魔の降誕祭」「女怪」「霧の山荘」の3つです。横溝正史らしいおどろおどろしい残酷さはなかったです。軽い短編集でした。

  • 巨匠・横溝正史の生み出した名探偵・金田一耕助の人となりを知るうえで欠かせない中短編集。ぜんたいを通して「仮面舞踏会」を思い起こしたのは私だけであろうか。

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著者プロフィール

1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第1回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』『悪魔の手毬唄』など、名作を次々に発表。76年、映画「犬神家の一族』で爆発的横溝ブームが到来。いまもなお多くの読者の支持を得ている。82年、永眠。

「2021年 『夜の黒豹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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