天皇が十九人いた さまざまなる戦後 (角川文庫)

  • 角川書店 (2001年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784043556038

作品紹介・あらすじ

戦後各地に出没した、自称・真の天皇たち。彼らの背後には奇妙な老人とGHQの陰があった…。天皇、東條英機、官僚、芸能人、そして普通の人。激動の戦後を一瞬の光芒を放って駆け抜けた人々の人生を追った傑作ルポ

みんなの感想まとめ

戦後の日本に現れた自称天皇たちとその背景に迫る本書は、歴史の激動を生きた人々の物語を描いています。特に、昭和天皇の神奈川県行幸や、戦争責任を一身に背負った東条英機の苦悩が生々しく伝わり、当時の国民にと...

感想・レビュー・書評

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  • 副題である「さまざまなる戦後」が単行本の時のタイトルだった。
    これは文庫発行時に変えない方がよかったのではなかな。

    有名な熊沢天皇をはじめとした、自称天皇を扱った章はわずかに
    30ページほどでしかないのだから。

    副題が示すように、人間宣言後の初の行幸となった昭和天皇の
    神奈川県行幸の2日間、戦争責任を一身に押し付けられた東条
    英機、沖縄戦の「白い旗の少女」などを通して戦後の昭和を
    描いている。

    本書は再読なのだが、改めて読み返してみると天皇制を残そう
    としたGHQが、自称天皇たちに興味を示し、あわよくば利用
    しようとしていたことが分かる。

    これは昭和天皇の神奈川県行幸に対して、GHQの一部が日本国民
    は昭和天皇に石を投げるだろうと期待し、冷笑的に行幸を見ていた
    様子に重なる。

    自称天皇たちはみなが南朝の末裔であることを拠り所にし、彼らの
    言い分に根拠を与えた人物に取材出来ているのは注目だ。

    東条英機の章では「東条日記」が貴重だし、東条の孫だと言うだけで
    理不尽な扱いを受けた話は心が痛んだ。現代でいうところの、犯罪者
    の進塁縁者へのバッシングだろう。これは日本の伝統なのか?

    私は常々、重大事が起きても日本のお役所では誰も責任を負わない
    システムが確立されていると感じている。真珠湾攻撃の際にアメリカ
    への通告が遅れたことの原因究明が何故、うやむやにされたのかを
    追った「外務省の癒されぬ五十年前の過失」を読むと、責任の押し
    付け合いや責任転嫁は連綿と続いていることが理解出来る。

    他にも特攻隊員に自分を重ねることで生きた俳優・鶴田浩二、銀幕
    スターでありながらどこか哀しみを抱えたような市川雷蔵、自分が
    「白い旗の少女」であると本人が名乗りを挙げるまで写真が独り歩き
    をしてしまった話など、再読に耐える内容だ。

    平成も間もなく終わり、令和の時代がやって来る。それでも、昭和史
    に対する興味は尽きない。

  • 「天皇が十九人いた」を昨日から読み始めた。うおっ! おもしろいぞ。乱立する「自称天皇」たち、そしてそのバックに存在したひとりの男、GHQとの関係、と文庫の裏に書いてあったとおりググッと引き込まれ、コリャ一気に読んでしまいそうと思ったら、アレ、終わっちゃった。ページにして40数ページ。本全体が400ページ近くあるのに1/10程度で。そりゃないだろー。これじゃ序章じゃないか。この書名のつけかたはサギだー!20030611
    -----
    文庫裏の紹介テキストを読んで「おお、これじゃああ!」と思ったものの、そりゃ序章だけじゃんといきなり肩透かし。でもそれに続く天皇行幸、東郷平八郎、鶴田浩二と市川雷蔵あたりはおもしろかった。とくに天皇行幸の章は当時の国民にとっての天皇の存在というものが具体的な心情としてとてもわかりやすく、またそれゆえの天皇自身や周りの人たちの苦悩がくっきりと描かれていて胸を打たれた。普段はこうした人物ルポルタージュはほとんど読まないので結果的にはタイトルにだまされてよかったというべきか。この人のノンフィクションは読ませる文章のような気がする。グッと来るポイントを配するのがうまいというか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    熊沢天皇、外村天皇、佐藤天皇、竹山天皇、三浦天皇…。戦後、自らを本物の天皇だと称する男たちが、各地に現れた。その数十九人。著者は彼ら全員の背後関係を調査していくうちに、あるひとりの奇妙な老人にたどり着く。そしてその老人の口から自称天皇とGHQとの関係が明らかにされていった…。天皇を名のった男たち、東条英機、鶴田浩二、市川雷蔵、沖縄戦の「白い旗の少女」、そして昭和天皇…。昭和という時代を生き抜いていったさまざまな人たちのさまざまな戦後。そのひとつひとつを克明に取材し、時代と日本人の姿を追求していった傑作人物ルポルタージュ集。

  • 綿密な調査を通じて描いた、さまざまな戦後日本の物語。内容は、熊沢天皇や天皇の戦後始めての行幸、東条英機や市川雷蔵など。戦後をそれぞれの側面から生き生きと描き出すうまさは、著者ならではのもの。

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著者プロフィール

保阪正康……昭和史の実証的研究を志し、延べ4000人もの関係者を取材してその肉声を記録してきたノンフィクション作家。1939年、札幌市生まれ。同志社大学文学部卒業。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。個人誌『昭和史講座』を中心とする一連の研究で第52回菊池寛賞を受賞。『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房)で第30回和辻哲郎文化賞を受賞。『昭和史 七つの謎』(講談社文庫)、『あの戦争は何だったのか』(新潮新書)、『東條英機と天皇の時代(上下)』(文春文庫)、『昭和陸軍の研究(上下)』(朝日選書) 、『近代日本の地下水脈』(文春新書)、『松本清張の昭和史』(中央公論新社)ほか著書多数。

「2024年 『未来への遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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