アンダー・ユア・ベッド (角川ホラー文庫)

著者 :
制作 : 田島 照久 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 452
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043572014

感想・レビュー・書評

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  • 佐々木千尋との思い出を大切にしてきた三井直人。

    三井には夢があった。
    もう一度千尋と見つめ合ってコーヒーが飲みたい。

    千尋は結婚して、姓が浜崎になっていた。
    ただ…その夫である健太郎はDV夫だった…。

    三井は完全なるストーカーだけど、千尋と同じように三井をヒーロー的な存在として読み進めていました。
    危害を加えない、お金くれる、娘・木ノ美に優しくしてくれる、内職手伝ってくれる…なんて、そんなストーカーいないよ!

    守ってあげられて良かった。
    犯罪者だけど、千尋にとってはヒーローだよ。

    「三井くん」って呼んでもらえて良かったね。

  • 異常です。ド変態です。でも…読んでいるうちに主人公を応援したくなりました。

    ストーカーは犯罪なのですが、これは純愛なのかなとすら錯覚しそうに。実際に主人公の行動を想像すると本当にめちゃめちゃ気持ち悪いのですが、でも私はとても好きです。(好きって言って良いのか…)

    古代魚や熱帯魚が出てくるシーンを丁寧に描いてあるところも、私は魚が好きなので嬉しかったです。淡々と描いてあるので独特の不気味さもあります。

    何度も読み返している好きな話なので本当は☆5にしたいですが、この本を好きですと言う勇気が…☆4.5くらいの気持ちの☆4です。

  • 学生時代に一回だけコーヒーを飲んだだけの女性を追いかける、ピュアで一途なストーカー男が主人公。
    女性の結婚相手が本当に外道なので、ストーカー主人公がいい人に見えてきて、応援したくなるという、ある意味やばい話。
    でも男性と女性で評価が分かれそうです。
    ストーカーはストーカーですしね。

    終始暗い雰囲気で、淡々と話が進んでいきますが、淡々としているのが逆に恐怖心を煽るのに一躍かっていて、引き込まれました。
    山場っぽい山場がないといえばそれまでなんですが、平行線で先がどうなるかわからない不気味さが好きです。
    個人的にはかなり記憶に残る作品でした。

  • 文庫本の初版が出てから15年以上。今の表紙はこれではなくて、映像化されるさいなどに付けられる二重表紙とかでもなくて、壇蜜の上半身写真なのです。このタイトルで壇蜜で、ストーカーの話となると、エロ系なのか。そうじゃない。

    11年前の学生だった頃にたった一度、向かい合ってコーヒーを飲んだだけの憧れの女性。もう一度だけ一緒にコーヒーを飲めたら。そんな思いを抱いて彼女をストーキングする男・三井。合鍵をつくって彼女の家に侵入し、ベッドやソファの下に潜り込んで一部始終を観察するのですから、明らかに変態。なのにストーカー男に感情移入してしまうのはなぜでしょう。

    存在感がまるでなくて、誰からも忘れられてきた彼は、妄想を募らせたりしないから。ひとときの夢を見させてくれた彼女に、幸せでいてほしい、それだけ。幸せになる相手が自分でなくたっていいし、自分がその相手になれるとは少しも思っちゃいません。

    ストーカーを応援することになって苦笑。だけどちょっぴりほろ苦く、甘酸っぱい、情熱に満ちた恋と喜び。もう少しだけ、望みを抱いてもいいかもよ、三井クン。

  • 「彼女は今頃どうしているだろう?」
    孤独な人生に唯一の幸せをくれた、彼女に一目だけでも会いたい。
    探し出した11年ぶりの彼女は変わり果てた姿だった。何があったのか?理由を知る為に取った手段は…

    「どんなにおどろおどろしい話なのだろう!」と期待しました。
    期待通りの働きを見せた主人公でしたが、不思議と嫌悪感を持たなかった。
    最終的には純愛小説にすら感じられましたが、フィクションだから許されるよなぁ。
    ストーカーか、純愛か。面白かった。

  • ハラハラ感を求めて読んだけど、意外とそういう読感にはならず、主人公を応援したくなる恋愛小説のようでした。(読書中、早くその男を殺してしまえ!と思ってしまう)

    犯罪が起きた時、他人はああだこうだ言うけれど本当の中身のことなんで当事者にしか絶対に分からない。

    自分的には最後はハッピーエンド寄りかな。よかった。
    最初らへんを読んで、ああ〜このDV男の両親もこういう関係だったんだろうな〜と思ってたら、そこの説明もやはり在ったのでよかった。DV男の母親が千尋を罵ってる描写が一番リアルで怖いわ。

  • 主人公?の「ぼく」はそこそこ順調にイカれてる粘着気質のストーカーなのですが、その主人公の気持ち悪さを遥かに凌駕するほどのヒロイン夫婦の破綻ぶりが素晴らしく、主人公が幸せになっても良いんじゃないかなあ、と思わせるようなストーリー展開でした。ラストも美しさを感じて良かったです。サスペンスと言うより、ラブストーリーですね。

  • ストーカーの主人公が昔好きだった女性の家に潜んで、いかれた暴力夫に酷い扱いを受けている彼女を歯ぎしりしながらただ眺めているというような話。

    あらすじだけ見れば江戸川乱歩の『人間椅子』か、乙一の『暗いところで待ち合わせ』かといった風で面白そうに見える、んだけど、とにかく出てくるキャラクターの行動や思考が類型的で薄っぺらく、主人公のストーカーも、暴力をふるう旦那も、ふるわれるヒロインもみんな予想のつくようなセリフしか言わないしやりそうなことしかしない。とにかくこちらの予測から一歩も足を踏み出してこない。

    50頁ほど読み飛ばしてあとから不明な点をこちらの想像で補ったとしても大体当たってるから問題ないのではないかと思えてしまうような小説だった。

    全体に平易な文章でまとまっていて読みやすくはあった。

  •  読み終わって本を抱きしめキスしたくなった作品。タイトルからは想像も付かない爽快な一冊。ストーキングをしている対象の女性が、夫から凄まじいDVを受けているという話。ストーカーを応援したのは初めて。最後はどうなるんだろう?とページを捲る手を止められなかった。快作。

  •  タイトルで、江戸川乱歩の「人間椅子」を想像したのだが。
     それは、近くて遠かった。

     主人公は、生まれついての影の薄い男。
     物語の合間、合間に、存在感が薄かった故のエピソードがはさみこまれるのだが、なんというか圧倒される。限りなく0に近いような存在なのに、妙な圧迫感がある。
     それは、彼が抱えている閉塞感なのだろう。

     ともあれ、彼は昔一度一緒にコーヒーを飲んだだけの女性に執着する。
     その執着の仕方は、不気味だ。異様なのに、そこにある気持ちは純粋である。彼女への彼の思いは、澄み切っていて曇りもよどみもない。

     が、純粋すぎる水の中では、生物は生きていけないのだ。

     そういう意味で、主人公が熱帯魚屋を営んでいるのは、皮肉である一種のメタファーなのかもしれない。

     執着される彼女は、彼女で問題をかかえていて、それが暴発し、その場に彼が居合わせたことで、物語は悲劇的に終わる。
     が、不思議な爽快感があった。

     不気味なのに、心地いい、妙な作品だった。

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。法政大学文学部卒。93年「履き忘れたもう片方の靴」で第30回文藝賞佳作を受賞してデビュー。著書に『アンダー・ユア・ベッド』『湘南人肉医』『檻の中の少女』『甘い鞭』など多数。

「2018年 『モニター越しの飼育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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