殺人勤務医 (角川ホラー文庫)

  • 角川書店 (2002年3月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784043572021

作品紹介・あらすじ

僕はただ、殺しまくりたいだけなのだ。
食べ物を粗末にした女、鯉の泳ぐ池に洗剤を撒いた男、病気の飼い犬を放置した数学教師、子供を虐待する若い母親。
奴らは皆、死ぬべきだ――。

優秀な中絶専門医・古河は、柔らかな物腰と甘いマスクで人望も厚い。
しかし彼の価値観は、幼少期のある出来事により歪みきっていた……。
彼は、死に値すると判断した人間を拉致して地下室の檻に閉じ込め、残忍な手段で次々と、淡々と殺していく。

美しきシリアルキラーの真の目的に気づくとき、あなたは二度驚く。
驚愕のラストが待つ、美しき猟奇殺人!

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の倫理や価値観を問い直す深いテーマが描かれた作品で、主人公は自らの信念に基づき、死に値する人々を選んで命を奪う医師です。物語は、胸糞悪い行為をした者たちへの懲らしめを通じて、スカッとする感覚を提供...

感想・レビュー・書評

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  • いままで読んできた小説の中で1、2を争う読後感の悪さだった。拷問による殺人の描写も胸糞悪かったしただ殺人を楽しんでるだけだって言ってるけど明らかに自分の正義に照らし合わせた私刑だよね。ほとんどの犠牲者の人たちはそんなことで殺されなきゃいけないのって感じだったし、結局は生まれ育った環境のせいみたいになっちゃってるけど世の中恵まれた環境で育ってきた人ばかりじゃないし、可哀想だとは思うけど結局それで犯罪に走るってのは甘えてるんじゃないのって思う。

  • 淡々とし過ぎでいるような、あまり怖さ、異常性を感じませんでした。
    ホラーが苦手な方に向いている作品かもしれません。

  • 実は読むの2回目。たしか高一の初めの頃読んだ。
    相変わらず良かったが、昔よりも楽しく読めたな。

    主人公が良い。イケメンだし。敬語で「僕」なのが崩れなくて良い。30歳という年齢も絶妙。
    暮らしぶりが優雅すぎてちょっと笑っちゃうけどそこはまあフィクションということで。
    そんなクラシックばっか聴いてられるかい。

    主人公、やさしいと評するのは変だが、かしこい純粋な子供がバグった感じだな。

    彼は無意識のうちに、堕ろされた弟や幼少期の自分に憐れみのようなものを抱いていた。
    その憐れみと、母親からの愛情への切望と憎しみが複雑に絡み合い、殺人を犯すようになってしまったのかな。
    けどそれらを「生まれながらの殺人者だから」と理由づけた。ナチュラルボーン・キラーなんて言葉まで使って。
    最後、自分の双子の存在を知って一旦納得するんだよな。だから自分は人を殺しても平気なんだって。

    でも彼の理知的な性格からして「胎内で双子を殺したからって殺人者ではない」なんて言いそうなものだが?
    多分彼は「自分が命をなんとも思わない殺人犯である」というストーリーを求めていて、だからこそ双子の話に飛びついたんじゃないか?
    許しを乞うことはしない。殺された側はそんなことは知ったことじゃないから、いっそ罵られた方が彼らにとってはまだいい。
    彼のこの考えがここにきて効いてくるんですよね。
    彼は自分の殺人癖を複雑な出自のせいだと主張して、許しを乞うことはしないとわかる。
    ただひたすら自分が生まれながらの殺人者なのだと自分自身に言い聞かせるだけ。

    けど、生まれながらの殺人鬼なんていないんじゃないか。

    「僕は生まれながらの殺人者なのだ」
    そう言い聞かせないとやっていられないんじゃないか。
    彼のこの仕事も、彼の人生も。

    そんな理屈を並べて、結局、お母さんに愛されたかっただけだったんじゃないか?
    彼の義理の弟みたいに普通に育っていたら彼はこんなふうにはならなかったんじゃないか?

    でもそんな「もしも」に意味はない。彼もそんなことは望んでないと思う。
    彼は生まれながらの殺人者なんだ。そういうことにしておこう。

    人間になる前の弟や妹への憐れみ=人間じゃない犬や鯉への憐れみか?
    ヤンが来てから花火を見るのも弟に重ねてたのかな。
    ヤンのそばにいてやりたいけど叶わないだろうって。お前……ヤンだけは僕を必要としてくれるみたいなこと言ってたのバカ切なかったな。

    お母さんを招待して一緒に食事しようとしてるのも悲しいな。
    なんか、殺人という行動に反して態度が幼すぎてつらい。
    義理の弟があんなに幸せになってて、
    自分がお母さんに愛されない理由づけがもう成立しなくなってしまったもんな……。
    お母さんは平気な人だったのになんでそんなに泣くんですか?って言いながら主人公も泣いちゃったところ、マジで見ていられない。

    結末も良かったなあ。いつかくるこの暮らしの終わりを予感しながらも、穏やかな毎日をとりあえず続けていく。

    グロに偏りすぎず、奇妙に切ない良い小説だった。

  • 綺麗に人間の振りをしてる化け物みたいな精神性の主人公だなと思ってたけど、最後にうつくしくただしい『家族』のかたちをみていままでずっと凪のままだった精神性が崩れて感情が剥き出しになってたあたり、良かった。この主人公、人間より動物の方に感情移入しがち(犬は辛抱たまらなくなって台風の日に盗みにいくレベルなのに、裸で繋がれて泣いてる女の子には「可哀想に」位で終わる)なの、「自分は正義じゃないんで……」じゃなくて、単に自分のこと動物と同じものだと思って親近感レベルが獣と同ラインにあるのでは? と思った。自分が中絶していった子供たちは素晴らしい人間になったかもしれないし自分と同じような殺人鬼になったかもしれないと語っていたけど、主人公自身も殺人鬼ではなく普通に彼の思う『素晴らしい人間』になれたルート分岐があったんだろうなあ。でもそうはならなかったのでこの話はここでおしまいです。犬の寿命分はうまく世間から逃げ切って欲しい。

  • 10年以上前に読んだ本を再読。
    主人公の古河先生がダークヒーローのような扱いにならないよう、配慮して作られているように感じた。
    一歩間違えば『DEATH NOTE』のキラのような存在になってしまいかねないが、そうではなく、あくまで私利私欲のために殺人を犯す存在として、ギリギリのラインで描かれていると思う。

    また、(物語としての要素が強くなってはしまうが)反出生主義を語る上での一資料としても有効なくらい、産まれること/産まれないこと、生きること/死ぬことについて考えた上で書かれているように感じる。
    特に、「あとがき」の「生まれたことと、生まれなかったこととのあいだに大差はない。生まれて来られた者もすぐに死に、生まれて来られなかった者と同じになる。だから──生まれられなかった者たちも、そんなに悲しまなくていい。戦争と飢餓しか知らずに死んでいく子供たちも、そんなに嘆かなくていい⋯⋯」という部分は、おそらく作者の思想そのものであり、他作品にも通ずるだろう。

    ただし、この思想について、私はそうは思わない。宇宙規模のマクロ視点で考えれば「大差はない」が、では「生まれて来られなかった者」に「どうせみんな数十年で死ぬから同じだ」と言って、納得させられるだろうか。「生まれて来られなかった者」は、その数十年のために生まれようとしていたのだから、「大差はない」で済む話ではない。主人公に惨殺された数人に「どうせ犯人もすぐに死ぬから、そんなに悲しまなくていい」と言ったところで、なんの意味があるのか。出生や生死の話の大半はミクロな視点だ。

    根本的な部分で、作者は思想の方向を誤っているようだ。

  • 大石さんの作品を読むきっかけになった本だったと思う。

    ホラーではあるが、怖くはない。
    タイトル通り、殺人をライフワークとする医者の話。被害者は(殺されるほどではもちろん無いが)ある程度の胸糞行為をした人間なので、懲らしめ系が好きな人はスカッとするかも?
    グロ度も低めなので、読みやすい。

    他の方も書いていましたが、作者のあとがきこそサイコパスじみてて最もホラーに感じます。笑

  • うーん、ギリギリ★3だけど、あまり気持ちのいい怖さじゃなかった気がする…
    グロいの好きだけど、中絶系が痛そうで痛そうで、お腹のあたりがムズムズしてた。

  • 大石圭先生の作品は以前に
    人を殺すという仕事を読んでおり
    他の作品も気になりこの本を手にしました

    人工中絶についての歴史は
    なるほどと思いながら読んでいました
    私的にはグロが好きなのですが
    そこまでグロさはありませんでした。

    過去の虐待
    生きている事に値しない人間
    医師という立場で合法で殺人
    人それぞれ考え方がありますが
    そう言われればそうなってしまう
    否定できない部分も(中絶について)
    ありました。

    大石圭先生は私は好きなので
    他の作品も読んでみたいです

  • 怖い。
    ゆっくりゆっくり絞められるような怖さがあった。怖いのに、文章が読みやすいという罪深さ。

    病気の犬、幼い子ども、カラス、ヒヨドリを心配する心、ソメイヨシノの美しさを感じる感受性、その反対もまた激しい。

    恐ろしいことが繰り広げられているのに、たんたんと話が進んでいき、たんたんとコトが終わってゆく。たんたんと終わることを主人公は知っている。

    主人公の感情の起伏が少なすぎるから、怖さが増幅するのか。
    (過去に関すること・たぶん愛していると思っている人に対する衝動以外冷静すぎる)

    学生の頃、中絶・妊娠のドキュメンタリーを授業で見せられたときに、お腹のなかで(羊水の中で)逃げ惑う子どもの映像が衝撃的すぎて怖かった記憶がある。
    中絶に関すること、拷問のシーンなど結構書かれているので、読むときは考えてからどうぞ。

  • 作者のあとがきの最後の文が一番怖かった。

  • 28年2月29日読了
    面白かった!
    死者の体温を10年ぶりくらいで読み直した時は、こんな感じたっけ?と少々がっかりしてしまったが、これは、求めてた大石圭の本って感じた。
    グロ切ない。
    たんたんとしてて、詩的な乾いた辛さ。

  • ただのサイコパスホラーかと思って気軽に読み始めたけど、色々考えさせられる作品だった。人には勧めずらいけど。笑

    母からの虐待を受けて育ち、産婦人科医になったリョウ。
    中絶専門医として胎児を堕胎させ、プライベートでも弱者を虐げる人や社会規範から逸脱する人を監禁しいたぶり殺す日々。

    全世界の色々な時代の中絶に関する法律の知識も知ることができるし、中絶を選ぶ人にも色々な背景があることを改めて思い知らされた。

    リョウの行為は決して褒められたものではないけどね。

  • 読みやすいし章立てされてるから一気読みできる。
    主人公が人殺し以外の倫理観に対しては結構全うで有能なのがポイント高い。
    文章のところどころに僕は生粋の殺人鬼なのだって書かれているのは、必殺仕事人的とか勧善懲悪っぽく感じにならないようにしているんだろうか。
    あとめっちゃ飯の描写とポルシェのプレゼンうまい。
    悪の教典のハスミンもこれくらい優秀だったら・・・。
    あと中絶に対する民族知識があるのもポイント高いです。
    タイトルと表紙はおぞましいけどサクッと読めるしそこまで怖くないのでおすすめですね。

  • 20250221
    12人目?目次で驚き
    ただ淡々と穏やかで静かな文章で
    中身がおどろおどろしい不思議な本

  • 物語全体も長すぎず、各人物の話がしっかりと区切られているため短編集のような感覚で読めます。グロさも比較的控えめ。

    表向きは評判が良く、多くの人から慕われ好かれる主人公。この辺りはサイコホラー小説にはよくある設定かなと思います。
    「よくある」と表現しましたが、その分主人公の人物像をスムーズにイメージできると思います。こういうの好きは方は特に。
    人間を次々と 様々な方法で殺めていくその恐怖は、やはりサイコホラーでないと味わえないと思います。

    地下牢獄に1人ずつ閉じ込めてあらゆる方法で終わらせるやり方が、人の心を持たないシリアルキラー特有の怖さを感じさせてくれました。
    小説個人的にはもう少し登場人物を掘り下げた物語の部分を呼んでみたかったかな、と感じます。

  • ただのシリアルキラーものかと思いきや
    〝中絶〟や〝命の価値〟など
    社会性のあるテーマも含まれており、
    考えさせられる内容だった。

    人間が人間のためのルールに守られている、
    22週目の赤ちゃんと21週目6日の赤ちゃんでは
    何が違うのか?など、考え込んでしまった。

  • 「先生って女の人を地下牢に繋いでそうですよね」と生徒に言われた。
    「どんだけサイコパスに見えてるんだよ!」と笑いながら返すと、「この小説読んでください」と渡されたのがこの『殺人勤務医』である。

    普段私はホラーを読まない。
    映画でもホラーやグロに手を出すことはまずない。
    自分で手を出さない本を勧めてもらえるのはありがたいので読んで良かった。ただ、別段面白いとも思えなかった。

    他の人のレビューを見てみると、この手のジャンルが好きな人からすれば「エロもグロもたいしたことない」らしい。あまり怖くないとのこと。
    確かにほぼ耐性のない私でも「ふーん」くらいの感覚で読み進められた。

    たしかに、読む前に予想していたよりも、主人公のぶっ飛び具合がたいしたことない感じは受けた。ただ、そこまで逸脱しているように感じないからこそ、自分の中にも彼がいるのかもしれない、という感覚はあった。

    明らかに幼少期の虐待が主人公の性格を歪めており、手にかける人々の罪との因果関係もほとんどハッキリしていて、逆にリアリティーにかけ、そして予想外のことをされる恐怖感もなかった。人間心理についても、それほど深掘りされることなく、浅いところで片付いていたと思う。

  • 中絶の専門医である主人公が、歪んだ価値観により、日常に存在する悪いことをする人や、胸糞の悪いことをする人を自らの手で自宅の地下で殺すのを描いた物語。
    この手の小説なら殺すテンポがもうちょっと早くても良いと思うし、そこまでやることか?となることがあり感情移入できにくい。
    あと色んな方法で殺すのならもうちょっと描写が生々しく書かれててもよかったと思う。

  • 何か、、もう少し登場人物を深掘りして欲しかった。。引き込まれるような怖さが無い。ラストもやや盛り上がりに欠ける。

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著者プロフィール

1961年、東京都出身。法政大学文学部卒業。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文芸賞佳作を受賞し、デビュー。『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『絶望ブランコ』『愛されすぎた女』『裏アカ』など、著書多数。2019年には『殺人鬼を飼う女』『アンダー・ユア・ベッド』が立て続けに映画化され、話題に。

「2023年 『破滅へと続く道 右か、左か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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