- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043572038
感想・レビュー・書評
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普通の人々が、アタッシュケースひとつに踊らされる。
大きな力を手にすると、人は変わってしまう。
勿論、変わらない人もいるけれど、世の中、優しい人たちばかりではない……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あるクリスマス・イヴの日を境に「隣人愛」という言葉は消えた。
サイコパスの殺人鬼が起こす事件というのではなく、ごく普通に
生活している人々がアタッシュケース(大きな力)を受け取ることにより、
悪魔の心宿す。
ヒロイン(主人公)の葉子の強さに 圧巻されました。
マラソンという競技自体、精神的な部分が大きいスポーツだとは
思いますが、肉体を超えて、精神だけで走るというのは
いささか、無理難題に思えます。
彼女もその力を一度は得た人物ですが、何の迷いもなく
警察に届け出ます。
その後の展開は葉子の精神力が事件とも深く関わっています。
というか、アタッシュケースをクリスマス・プレゼントとして
配った、愉快犯とでもいいましょうか・・
かなり、葉子に執着してて、正直理解不能です。(笑)
ヒロインが魅力的だなぁというのが印象深いのと
その他にも力を得た人物が多数出てきますが、
戦争を経験し、日本に帰国後、妻と細々と暮らしていたが
妻を失って一人暮らしをしていたおじいさんのエピソードが
良かったと思います。
今の日本と、昔国のために死んでいった若者達、何が良くて
何がいいのかわからないけど、このおじいさんのように
思うご老人の方々もきっと現実にいることでしょう。
話としては、スピード感もあり、共感できる部分もあり
面白かったです。いいお話でした。 -
大石圭といえば、エロさだと思っていた僕は今までとは違う作品だと思いました。
それでも、それぞれの人間の思想は大石圭らしさを感じました。
最後まで読んだ感想としては、ナオコの中に住む「強い生き物」が生まれた原因の発端などが知りたかった。 -
大石圭の作品は初めて読んだ。
ストーリー展開は素早く娯楽ものとして十分楽しめる内容だった。
登場人物像に厚みを持たせる意味でももう少し人物像を練りこめば、より感情移入ができたと感じる。 -
大石さんの作品怖い
作品の紹介
ある日、突然、殺人を選択する自由があなたに与えられたら、どうしますか?謎の人物から送られてきた爆弾。それを手に入れた人物たちは、エゴと怨念を剥き出しにしていく。元マラソンランナーの朝香葉子もまた、爆弾を受け取った一人だった。しかし、彼女は何のためらいもなく爆弾を警察に届ける。犯人はそんな葉子に、あるゲームを持ち掛けてきた。人間の業を深く、そして鋭く描いたホラーの新境地。 -
武器があれば、誰でも狂気に落ちる。バトロワのように。でも犯人が単なるストーカーってのはな。
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まさに大石圭ワールドといった感じです。人間の負の感情をうまく表せていると思います。有りそうで無いけど想像してしまうストーリーもいいです!
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ある日突然、それぞれに抑圧された人々のもとに爆弾が送られてきた。
殺人という選択を与えられたとき、人はどうするのか。
そして、そんな爆弾を送られてきた一人のヒロインは、毅然と立ち向かう。
人の心の闇を描いていて、大石圭らしい。が、なんといっても特徴的なのはヒロイン。
確かに、強いヒロインは今までもいた。けれど、この葉子ほど強いヒロインはいないだろう。
ただタフなだけではない。ただ逆境に強いだけではない。むしろ、彼女の融通のきかないところや、なれあうことができない不器用さなど、マイナスとも思える部分が生きているのだ。
マイナスが物語をプラスに動かしていくという矛盾。
また、他の爆弾を送られた人の造詣も深い。
復員兵である老人のくだりは、胸が熱くなった。彼の選択は、とても切なかった。
面白かった。