自由殺人 (角川ホラー文庫 78-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043572038

感想・レビュー・書評

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  •  普通の人々が、アタッシュケースひとつに踊らされる。
     大きな力を手にすると、人は変わってしまう。
     勿論、変わらない人もいるけれど、世の中、優しい人たちばかりではない……。

  • あるクリスマス・イヴの日を境に「隣人愛」という言葉は消えた。

    サイコパスの殺人鬼が起こす事件というのではなく、ごく普通に
    生活している人々がアタッシュケース(大きな力)を受け取ることにより、
    悪魔の心宿す。

    ヒロイン(主人公)の葉子の強さに 圧巻されました。
    マラソンという競技自体、精神的な部分が大きいスポーツだとは
    思いますが、肉体を超えて、精神だけで走るというのは
    いささか、無理難題に思えます。
    彼女もその力を一度は得た人物ですが、何の迷いもなく
    警察に届け出ます。
    その後の展開は葉子の精神力が事件とも深く関わっています。
    というか、アタッシュケースをクリスマス・プレゼントとして
    配った、愉快犯とでもいいましょうか・・
    かなり、葉子に執着してて、正直理解不能です。(笑)

    ヒロインが魅力的だなぁというのが印象深いのと
    その他にも力を得た人物が多数出てきますが、
    戦争を経験し、日本に帰国後、妻と細々と暮らしていたが
    妻を失って一人暮らしをしていたおじいさんのエピソードが
    良かったと思います。
    今の日本と、昔国のために死んでいった若者達、何が良くて
    何がいいのかわからないけど、このおじいさんのように
    思うご老人の方々もきっと現実にいることでしょう。

    話としては、スピード感もあり、共感できる部分もあり
    面白かったです。いいお話でした。

  •  大石圭といえば、エロさだと思っていた僕は今までとは違う作品だと思いました。
    それでも、それぞれの人間の思想は大石圭らしさを感じました。
     最後まで読んだ感想としては、ナオコの中に住む「強い生き物」が生まれた原因の発端などが知りたかった。

  • 大石圭の作品は初めて読んだ。
    ストーリー展開は素早く娯楽ものとして十分楽しめる内容だった。
    登場人物像に厚みを持たせる意味でももう少し人物像を練りこめば、より感情移入ができたと感じる。

  • この世はというかここ日本では
    今のところ金さえあれば何でも買える、
    そう…こんなものもな!

    銭ゲバ大好き43zoomです。

    原作も大好きですがドラマ化されたときに松ケンが
    「お前たち金持ちはこういうのが好きなんだよなあ?」
    とつぶやくところが大変につぼで
    うん!わかるわかる!と心震えた次第。

    それはさておき運命のいたずらか
    無作為的に(実は作為的に)複数人に届けられたアタッシュケース。
    付記された手紙によると半径50mは木っ端微塵にする
    爆弾が入っているとのこと。

    リストラされ家族には無視される中年、
    第2次大戦で友人たちを全員亡くし生き残ってしまった老人、
    恋人もなく職場でバカにされる30代フリーター、
    ダメンズにばかりひっかかるシングルマザーSM嬢、
    オリンピック選考で1位を獲ったものの
    悪天候だったため再選考で落ちた元マラソンランナーなどなど
    爆弾を手に入れた人物の共通点はズバリ!『不幸』!

    ほぼ全員が手紙を信用しなかったが
    そのうちの1つが偶然爆発したことがニュースで流れ
    本物であると知ったときに市井の一般人はどうするのか。
    警察に届けるかそれとも…という作品。

    まあそれとも…部分がないと小説にならないのだけど
    個人的には犯人が葉子に固執することなく
    「マジ一般人怖いっすよねwwwwww」くらいの
    殺人ゲームを楽しむお気楽犯だともっと良かった。

    結局葉子のこと好きなんやんか!この40代が!

    後、葉子の「わたしの努力はきょうも報われなかった」
    と割と冒頭で出てくるこの心情が重すぎるんだぜ。

  • ホラー、というよりサスペンスに近いかな。

    突然、ひとつかみの人たちに贈られた、すさまじい破壊力の爆弾。
    あなたはそれを手に入れたら、どうしますか?
    ていう話です。

    凶器を手に入れた隣人の狂気を描いていて、さくっと読めるかんじでした。

  • 大石さんの作品怖い

    作品の紹介
    ある日、突然、殺人を選択する自由があなたに与えられたら、どうしますか?謎の人物から送られてきた爆弾。それを手に入れた人物たちは、エゴと怨念を剥き出しにしていく。元マラソンランナーの朝香葉子もまた、爆弾を受け取った一人だった。しかし、彼女は何のためらいもなく爆弾を警察に届ける。犯人はそんな葉子に、あるゲームを持ち掛けてきた。人間の業を深く、そして鋭く描いたホラーの新境地。

  • 武器があれば、誰でも狂気に落ちる。バトロワのように。でも犯人が単なるストーカーってのはな。

  • まさに大石圭ワールドといった感じです。人間の負の感情をうまく表せていると思います。有りそうで無いけど想像してしまうストーリーもいいです!

  •  ある日突然、それぞれに抑圧された人々のもとに爆弾が送られてきた。
     殺人という選択を与えられたとき、人はどうするのか。
     そして、そんな爆弾を送られてきた一人のヒロインは、毅然と立ち向かう。

     人の心の闇を描いていて、大石圭らしい。が、なんといっても特徴的なのはヒロイン。
     確かに、強いヒロインは今までもいた。けれど、この葉子ほど強いヒロインはいないだろう。
     ただタフなだけではない。ただ逆境に強いだけではない。むしろ、彼女の融通のきかないところや、なれあうことができない不器用さなど、マイナスとも思える部分が生きているのだ。
     マイナスが物語をプラスに動かしていくという矛盾。

     また、他の爆弾を送られた人の造詣も深い。
     復員兵である老人のくだりは、胸が熱くなった。彼の選択は、とても切なかった。

     面白かった。

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著者プロフィール

1961年、東京都出身。法政大学文学部卒業。93年、『履き忘れたもう片方の靴』で第30回文芸賞佳作を受賞し、デビュー。『アンダー・ユア・ベッド』『殺人勤務医』『絶望ブランコ』『愛されすぎた女』『裏アカ』など、著書多数。2019年には『殺人鬼を飼う女』『アンダー・ユア・ベッド』が立て続けに映画化され、話題に。

「2023年 『破滅へと続く道 右か、左か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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