おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

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制作 : 角川書店 
  • 角川書店 (2001年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574025

おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)の感想・レビュー・書評

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  • 中学、高校などで古典に触れた方は一度は聞いたことがあるはずの『奥の細道』わたしも知ってるはず。だけど、うん?旅の日記だよね~俳句詠むんだよね~くらいの知識。おじいちゃん2人が黒っぽい着物を着て歩いている絵をぼんやり思い浮かべる程度。
    改めて今回手にとってみたビギナーズ・クラシックスシリーズ。このシリーズ読みやすくて、近頃少しずつ集めてる。
    まずは、あの2人のおじいちゃん、おじいちゃんって年齢ではなかった!彼らは松尾芭蕉と弟子の曾良なのね。芭蕉の曾良への信頼度はすごく厚いみたいで、弟子というよりも同じ修行者の友として一緒に旅をしている。曾良の話にはしっかりと耳を傾け、また彼が病気により芭蕉の元から離れることになったときは、とてつもなく悲しんでいる様子が窺える。この曾良はしっかり者で、旅の記録を『随行日記』として残している。『奥の細道』には芭蕉の創作が少なからず含まれているようで、コースの下調べ、資料収集、旅費の会計などを担当した曾良の記録は、信頼出来る資料なのだそうだ。
    この2人いいコンビだなぁ。
    感激屋で細かいことは気にせずに思いのまま旅を楽しむ師匠。そんな師匠にちょっぴり尻拭いをさせられながらも彼が災いに巻き込まれないように気を配る真面目な弟子。そんなイメージがわたしの中に生まれた。
    松島の美観を描いた芭蕉の随筆は、彼の感動が表れていて素敵だと思う。それと、義経の悲劇、藤原三代の栄枯盛衰、平泉で詠まれた芭蕉の鎮魂の句であろう《夏草や兵どもが夢の跡》がやっぱりわたしは一番好きだな。

  • 断片的には読んできたが、今回初めて通して読んだ。
    内容はあまりにも有名だが、こうやって通して読むと、松尾芭蕉という一人の天才の魂の軌跡みたいなものが浮かび上がってくる。すでに俳諧の世界ではトップに君臨しながらも全てを捨てて旅を続ける心境がなんとなく分かることで、その俳句の精神世界が少し理解できたような気がする。
    ある意味、究極のロードノベル。

    詳しい日本語や、旅の経緯が入った地図、俳句の説明など、私みたいに古語や俳句に疎い人間にも分かるように丁寧に編纂されていて本当にありがたかった。入門書として最適で、これを読むと、芭蕉や俳諧の世界がもっと詳しく知りたくなった。

  • 一応中学・高校で古文はやったが、あまり馴染むこともできず、その後はすっかりご無沙汰、でも古典にまったく興味がないわけでもない……といった向き(つまり僕だが)にはありがた過ぎる角川文庫の「ビギナーズ・クラシック」シリーズの中の一冊。

    「おくのほそ道」自体は短い作品なので、全文が収載されているが、本書ではそれを場面ごとに細かく項分けしている。各項は現代語訳→原文→解説で構成されるが、これとは別に随所に理解を助けるためのコラムが挿入されている。現代語訳と原文は総ルビ。巻末では「解説」で芭蕉の人物伝と、「おくのほそ道」全体の概説がなされ、「付録」には本作の旅程図、芭蕉の年譜などが付く。まさに至れり尽くせりである。

    古典とはいえ要は旅行記なのだから、肩肘を張る必要はない。芭蕉とともに旅を楽しめばよいと思う。各所に垣間見える芭蕉の人柄や人生観、当時の人びとの人情なども興味深いところである。

  • 旅行記書きとして、そして俳句の読み手として(どっちも中途半端ですが)、一度は読んでおかねばとかねがね思っていた古典。
    平泉のような有名なくだりは勿論読んだ事がありますが、通して触れてみると、なぜ芭蕉があんなにも平泉に思い入れがあったのかよく理解できます。

    それにしても、驚くほどの簡にして要を得た文章です。本文に対し、訳文(通釈)の長いこと長いこと。こういう物の書き方、爪の垢でも煎じて飲んで学ばなければなりません。

    ビギナーズ・クラッシクスと銘打たれた本シリーズは初めて読みましたが、文字通り初心者にはサクサク読めてありがたい編集です。
    冒頭の一文を「時は永遠の旅人である。」と訳すこの編者、割と好きですよ(笑)。

  • 俳諧の旅に行きた松尾芭蕉の紀行文。旅先で芭蕉は歴史を偲び、時に古人の歌に呼応する。
    堪能するにはあまりに評者の知識は浅すぎた。
    また、知識を得るだけでなく実際に足を運ばなければ真の共感は得られないだろう。
    これは実践の書なのだから。

  • 2016.3.12 現代語訳のみ読了

  • 元禄文化期に活躍した松尾芭蕉が、1689年5月に江戸深川を出発し、東北・北陸を巡る約2,400km、約150日間の旅を経て、美濃大垣を再び発つまでを描いた、日本の古典における代表的な紀行作品。芭蕉がこの旅で訪れた国は、武蔵、下野、岩代、陸前、陸中、出羽、越後、越中、加賀、越前、美濃である。
    本作品は、有名な「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」という序文より始まるが、芭蕉は『おくのほそ道』の旅の後、西国への旅に出て途上で没し、「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」という辞世の句を残した。まさに、芭蕉にとって、時は永遠の旅人であり、自らの人生もまた旅なのであった。
    私が久し振りに本作品を手に取ったのは、奥州藤原氏の栄華の跡である平泉を訪れるにあたり、真っ先に「夏草や兵どもが夢の跡」を思い出し、合わせて「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の立石寺も立ち寄りたいと考えたからであるが、東京から栃木、福島を経て(鈍行列車で)東北へ向かうにあたり、奥州へ向かう道すがら各地に立ち寄る様子が記された本作品は、格好の案内となった。事実、私は普通のガイドブックは持たずに本書だけを携えて旅をした。
    殊に、芭蕉の旅のクライマックスのひとつであったと思われる、源義経の最期の地と言われる平泉・高館義経堂から見下す風景は、三百年以上の時を隔てていても、「夏草や・・・」という芭蕉の思いを共有できるものであった。
    本書には地図や解説、足跡の最寄駅一覧まで載っており、訳書の中でも有用な一冊である。

  • 歴史と名勝を訪ねて、風流を味わう徒歩の旅。それは辛い路だったでしょうが、毎日おなじ時間に起きて、毎日おなじ場所に勤める者としては、憧れてします。

    「だったらさ、あんたもやったらいいじゃない」

    もし声をかけてくれるようなことがあったなら、芭蕉さんにはそんな風に言われそうだな。


    おかしみのある章から、もの哀しい章、愚痴っぽい記事、ちょっと自慢っぽい記事まで、現代でいえば旅ブロクのような感じでも楽しめます。
    毎日書き続けた日記的なものとは違って、全旅程が終わってから時間をかけて最終稿に至ったものだそうですから、各章に漂う情緒、各章のつながり、要するに構成にも相当にこだわって作られたのでしょう。そのあたり、解説でもよく説明してくれています。


    本書の構成は初心者にも親切で、
    ・わかりやすい補足込みの現代語訳
    ・原文
    ・記事全体解説
    ・記事中の句の解説
    その他適宜、文中の和歌、歌人、名勝などについても個別に解説が付されています。
    巻末の付録には、「おくのおそ道」により深く分け入るための参考文献のリストや、芭蕉の足跡をたどるための最寄り駅リストもあります。

  • 3度目の再読。
    久々にこの文庫版で読み直しながら、「オタクの巡礼」という言葉が浮かんだ。歌の素養、歴史の知識など教養がなければ、いわば僻地をめぐる過酷な旅にすぎない。
    しかし芭蕉には西行という旅の友がいる。また、歴史や和歌の膨大なデータベースがある。そのおかげで、みちのくの旅がいとも豊かな旅へと変貌している。
    どうも、旅の資金は潤沢だったらしい。しかも、旅先ではけっこうな接待を受けている。荒ぶる自然を友とする旅だという先入観があったが、そんなことはない。本作は、観光旅行の記録である。

  • 芭蕉は一人旅をしたのだと思い込んでいたので、曾良やお付きの人など道連れがいたというのがまず意外だった。
    俗世間と離れて旅することを望みながらも人との絆は大切にしているところに少し矛盾を感じた。
    ひとりになりたいんだけど、寂しくなったらすぐそばに気やすい人がいてくれる環境というか。

    すべてが事実というわけではなく、文学的にバランスが取れるよう少し色をつけている部分があるというのも初めて知った。(松島と平泉の間に少し苦労した部分を強調してはさむことで前後の感動を効果的に見せる、など)
    後半は体調が崩れたせいもあると思うが、尻すぼみの印象。

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