竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

制作 : 角川書店 
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感想 : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574032

作品紹介・あらすじ

5人の求婚者を破滅させ、帝の求婚にも応じないかぐや姫。だれもが知っている話だが、ロマンティックな空想物語と誤解されている物語でもある。古典というストレスなしに冷酷なかぐや姫の全貌を知る本。

感想・レビュー・書評

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  • ビギナーズ・クラシックスシリーズの竹取物語。竹取物語の成立は平安初期、日本最古の物語とされている。
    それほど長くないため全文が掲載されていて、これまで絵本で読んだり、古文で冒頭と後半をつまみ食い的に読んだことはあれど、省略なしに読んだのは実はこれが初めてだった。

    かぐや姫というと、おじいさんが光る竹の中から美しい赤ちゃんを見つけるシーン、美しく成長したかぐや姫が帝から求婚されるも、月のお迎えがくると言って泣くシーン、ある満月の夜に月の使者がやってきて月に帰って行くシーンを思い浮かべる。なんとなく儚げで美しい、ロマンティックなイメージだ。

    しかしこのかぐや姫、実はなかなか強かで、勝ち気な女性だった。
    そもそも結婚が当たり前という感覚はなくて、「なんでふさることかし侍らむ(なんで結婚なんかするのかしら?)」と疑問を持つ。
    求婚者たちに無理難題を押し付け、持ってきた宝が偽物だとわかると喜んで辛辣な嫌味を言ったり、(燃えないはずの)火鼠の皮衣という宝がめらめらと燃えるのを見て「あなうれし」と言ったり、結婚を進めるおじいさんに「強いて仕うまつらせ給はば、消え失せなむず。御官・冠仕うまつりて、死ぬばかりなり。(無理矢理出仕させたら、死んじゃうからね!)」と脅したりする。
    反権力、反骨な物語という解釈で現代語訳され、解説されているから、若干偏ってる?超訳じゃない?というところもあるけど、大変読みやすく面白い(笑)。

    無茶振りされた五人の求婚者たちの対策もそれぞれに個性的で、現代に通じるなぁと思う。
    さてあなたはどのタイプでしょうか?
    ①時間だけ置いて、手近にあったそれっぽいものを持っていく?
    ②周囲を巻き込み徹底的に嘘で世界観を固める?
    ③金にものを言わせてお取り寄せ?
    ④とりあえず部下に任せて様子見?
    ⑤周りの意見を聞いて、正攻法で?

    …ちなみに、結末はどれもこれも悲しい。
    ぜひこの顛末は読んでみていただきたい。

    最初はクールで情のない感じだったかぐや姫が、次第に帝に絆されて、人間的な情を感じるようになる、ある種の成長物語ともいえるし、月の人とかぐや姫の解釈も色々とあって、想像力が広がる。
    紫式部も読んだのだなぁと思うと、物語って本当に人から人へ、時代を超えて繋がって行くのだと感慨深い。

    • きぼりねこさん
      マリモさんの感想、すごく面白いです。
      竹取物語を学んだ学生の頃に聴きたかった!
      そうしたらもっと興味を持って取り組めたのに。

      5人の求婚者...
      マリモさんの感想、すごく面白いです。
      竹取物語を学んだ学生の頃に聴きたかった!
      そうしたらもっと興味を持って取り組めたのに。

      5人の求婚者をタイプ別に分けるなんて、現代のドラマみたいで一気に親近感が湧きます。
      誰をどの役者が演じるかとか、授業の終わりに話したら盛り上がりそうですね。
      2021/05/13
    • マリモさん
      きぼりねこさん

      こんにちは!コメントありがとうございます。
      興味持っていただけて嬉しいです。
      竹取物語の印象がだいぶ変わりましたねー。日本...
      きぼりねこさん

      こんにちは!コメントありがとうございます。
      興味持っていただけて嬉しいです。
      竹取物語の印象がだいぶ変わりましたねー。日本最古のSFでもあるなぁと。色々と解釈もできて、奥が深いですね。

      ビギナーズ・クラシックスシリーズは、どれも現代語訳→原文→解説・コラムという構成で、どれも読みやすいです。本当に学生の頃に読みたかったなーと思います。物語の全体像を知ると、俄然面白みが出てくるのですよね。友達同士で、俳優さんあててみるの楽しそうですね!
      これからもよろしくお願いします^_^
      2021/05/13
    • きぼりねこさん
      お返事ありがとうございます。
      ビギナーズ・クラッシックスシリーズは新古今和歌集を人に勧められて読みましたが、わかりやすくて良かったです。
      次...
      お返事ありがとうございます。
      ビギナーズ・クラッシックスシリーズは新古今和歌集を人に勧められて読みましたが、わかりやすくて良かったです。
      次は竹取物語も読みたいです。

      このシリーズはビギナーズというだけあって初心者にも優しいし、お値段も手頃で助かりますね。
      全巻揃えたくなりますね。

      こちらこそ、よろしくお願いします。
      2021/05/14
  • 飯坂樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/659780

  • 原文も現代語訳文も解説も図説も載っていてとても丁寧な本だと思った。高校一年生の時に古文の教材として配布されたけど1ページも読まずにしまってあった。そして今年、高2の3学期に「読書を日課にしよう」と思い立ったはいいが本がなくて渋々読み始めた本。
    絵本では知ることのできない「かぐや姫」の真髄を知ったような気がする。古文の勉強にはならないが、人生の教養にはなりそう。

  • 中学生以来の竹取物語。冒頭の文を暗唱した懐かしい思い出。
    かぐや姫の心の変遷を見るに、身体はすぐに成長したが、心は普通の人のようにゆっくりと成長したのではないのだろうか。ギフテッドのようなものか。
    分かりやすい現代語訳だが、フランクすぎて少し違和感を覚える。特に「それは最高だ」と「はんぱじゃありません」という訳がとても気になった。登場人物には愚かしい人が多いが、仮にもお姫様と身分のある男性達なのだから、もう少し品よく訳せないものか。

  • 楽しくも深い視点の解説のおかげで、今さらながらちゃんと竹取物語を知ることができた。かぐや姫に対するイメージが一新。日本に残る最古の物語がこのお話なんて!日本の先人はすごいな。

  • 「かぐやひめ」としてよく知られている物語を改めて読んでみようと思って手に取った一冊。

    これが面白い!
    短い段落に分けて、現代語訳ー原文ー解説で構成されている

    光村図書 中学国語1年生 単元4
    蓬莱の玉の枝 ―「竹取物語」から

    <富士山信仰とかぐや姫伝説>ー静岡県富士市
    http://www.city.fuji.shizuoka.jp/kyouiku/c0403/fmervo0000011mgn.html <20160212アクセス>

    竹取~稲作中心の農耕社会の中で、身分の低い職業
    しかし古代、竹は強い生命力が神秘を感じさせ、竹製の財布は神霊を招くと信じられていた
    つまり竹取のおじいさんは神事にかかわっていたかも。
    苗字の、讃岐氏は神事をつかさどる一族という説もあり
    「造」は「宮っ子」(宮廷に仕える家来)の意=公務員
    竹の空洞は異界と交通する空間(ほかに、瓜、壺も)

    中世では~
    竹に雀、梅にうぐいす ではなく
    竹にうぐいすだったので、 かぐや姫=竹姫=うぐいす姫とも考えられる

    かぐや姫、三か月で成長
    成人式になり3日間の祝宴
    名付け親~三室戸斎部の秋田
    女子の成人式は髪上げ+裳着(もぎ)
    髪上げ:ポニーテール
    裳着:裳(ロングスカートのようなもの)

    よばひの語源~本来は相手に呼びかけ、求婚する意味「呼ばふ」、名詞形「呼ばひ」

    夜、女性の寝室に這って偲び込む夜這い(よばひ)に変わった

    垣間見る

    「得てしかな」=「~したいものだなぁ」
    「見てしかな」=「見る」は妻にすること

    竹は堅牢性、柔軟性、防腐性とともに清楚、優雅。
    縄文時代以来、建築、茶道具、農具、漁具、楽器、玩具などに使われた

    求婚者 5人のプレイボーイ
    1石作りの皇子(いしつくりのみこ)
      ・仏の御石の鉢
      ・他と比べると、財力権力なし、敬意が払われていないが、歌が得意な文学青年
      「海山の路に心を尽くし果てないしの鉢の涙流れき」

    「尽くし」~筑紫
    「ないし」~泣いし(泣きし=泣いたの音便形)~石
    「鉢」~の「ち」~血
    「な」の三度繰り返し(頭韻)、ないし、なみだ、ながれき

    鉢~恥 を捨てる=あつかましい態度のこと 鉢を捨てたあとにも火目に言い寄ったので

    石作の皇子のモデルは、丹比島(たじひのしま)
    丹比島は、自分の代で臣下に降りたので、皇子という役でよいし、また大鐘(石の鉢ならぬ)を献上した。



    2庫持の皇子(くらもちのみこ)
      東の海の蓬莱山にある、白銀の根、黄金の茎、白き玉の実を一枝

      宮中工芸課の技官に作らせた
      文挟み
      3という数字 身長三寸、三か月で成人、三日間の宴会、名づけ親は三室戸の人、求婚者は3年がかりで求婚、帝にも三年待たせた

    これをなむ、「たまさかる」とは言ひ始めける。
    ~プライドの高い皇子が、珠の枝の失敗が原因となって屈辱に耐えきれず、魂が体から遊離して正気をなくしたようになり、深山に姿を隠してしまったことをいう
    「魂」には「玉」の意が掛けられている
    別の説では、たまさかなるを「玉悪なる(たまさがなる)」との意に解する。悪い偽玉を出しだしたので、「たまさかに=たまたまに、まれに」めぐり合うという意味

    モデルは藤原不比等(ふひと)
    政界随一の実力者 物語の中ではかなり痛烈な批判を浴びさせている



    3右大臣阿部御主人(うだいじんあべのみうし)
      唐土の火鼠の皮衣(もろこしのひねずみのかわぎぬ)

    阿部氏は財産家なので、万事金で解決できると思っている
    中国商人に騙される小野房守(おののふさもり)

    モデルは阿部御主人、丹比島や大伴御行とともに天武天皇に仕えた重臣

    火鼠は、中国の伝説上の動物、燃えながら成長する木が繁茂する火の山に住み細く長い美しい毛におおわれている。水に弱く、水滴を受けただけで死んでしまう。
    10世紀に作られた我が国初の百科辞典「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」に紹介されている

    「あはむ」「あはせむ」の「あは」は「あふ(逢ふ)」の活用形 男女が逢うことから結婚の意へと発展


    「寡(やもめ)」は、「独り屋(や)を守(も)る女(め)」あるいは「止む女(やむめ)」「病む女(やむめ)」が元の意味

    「あへなし」と言ひける~「敢へ無し」と「阿部無し」のふたつの意味が掛けられている

    「すむ」は「同居」


    4大納言大伴御行(だいなごんおおとものみゆき)
      竜の首の五色に光る珠
    モデルは実名そのままの大伴御行
    壬申の乱で功績をあげた
    万葉集にも一首収められている

    「斎(いもい)」とは~ ~断ちのこと

    「風」にかかったとあるが、神経性の病のこと
    竜と雷 竜は古代中国の想像上の動物、水中にすみ、空中を飛び、雲を起こし、雨を呼ぶ霊獣(大蛇+足)
    水神、雷神を蛇形とする日本と合体した

    雷光の稲妻は、稲の配偶者という意味、電光の力によって稲が実をはらむと考えられていたから

    「あなたへがた」は「おかしくて堪へ難」と「食べ難い」の二つの意味を重ねている


    5中納言石上麻呂足(ちゅうなごんいそのかみのまろたり) 燕のもつ子安貝

    階級が、皇族、大臣、大納言、中納言と貴族社会の際上層のランクを網羅
    舞台も、天竺(てんじく=インド)、蓬莱(ほうらい=中国の神仙思想で説かれる想像上の仙境)、唐土(もろこし=中国)、日本、宮中

    燕は春の季語
    燕帰るは秋の季語  渡り鳥だから
    古代の日本では海のむこうに常世があると信じていたので、つばめは幸せを運んでくると考えていた~安産、繁栄
    期待に反することを「かひなし」~甲斐なし、貝無し
    ちょっぴりうれしいことを「かひあり」
    結婚観のちがい

    じいさん~結婚することになっていて、子孫が栄える
    かぐや姫~どうして結婚などということをするのか

    月と文学~花鳥風月、雪月花、花月 いずれにも月が入っている。
    月を見るのはタブー視されている
    満月の輝きは生、新月の闇は死~月の満ち欠けは人間の生死
    日本人は月に対する関心が深い
    月と狂気 lunaticは精神異常者



    不死の薬のツボを富士山で燃やす
    富士~不死~不尽
    これが富士山信仰へつながる?

    内侍(ないし)~実権のある女性官僚

  • 「竹取物語」が平安時代に書かれた物語で
    当時の体制をかなり痛烈に風刺したものであるということは
    この本にくわしく解説されている
    しかし、というか、だからこそというか
    その中心人物であるかぐや姫の残していった不死薬は
    みかどの意思によって焼かれてしまうのだった
    これをどう捉えるかが、個人的な解釈の分かれ目になるだろう

    地下茎から一直線に月まで延びてゆくかぐや姫の生
    それは、他者にはとりつくしまもない
    自己完結した、一種の中空的存在なのである
    ある意味、生きながら死んでいるとも呼べるだろうそれによって
    もたらされた永遠の命を
    みかどがけして受け入れようとしない、というのは
    つまり、さんざん公家や武士をコケにしてきたこの作者が
    最後の最後で、その悪や愚かさを含めての
    人間肯定に転じたということだ
    それを愛と取るか、嫌味と取るかは人それぞれじゃないかしら

  • 教科書で読んであとは日本昔話で流れを知っていただけでここまでしっかりと読んだのは初めてでした。改めて最後まで読んでみると意外な部分がちょこちょこあって面白く読めました。おじいさん意外に興奮すると暴言吐いたり、かぐや姫は最後帝に気持ちが揺らいでたり、罪で下界に降りていたなどなど。昔の話なのに芯がしっかりしていました。さすが昔から愛されている読み物です。

  • 1000年前にこれ書いた人はすごい。40年前にベルばらかいたのより、すごい。

  • ずっと前から持っていたのだけれど、登録していなかったので今更ながら。

    角川ソフィアの古典は、とっつきやすさでは一番だと思うし、何より表紙がステキ。

    「物語の出で来はじめの祖」と呼ばれる『竹取物語』だが、その世界観からキャラクター設定まで、よく練られているよなあ、と唸ってしまう。
    特に、かぐや姫の体の成長と心の成長のアンバランスさ、でも「情」の姿が垣間見え、最後のお別れシーンになると、本当の意味で彼女を好きになってしまうこと必死。

    また、解説の付け方も上手く、固くなりすぎず、しかし押さえる所を押さえていて読みやすい。

    どうして、かぐや姫は地球に来たのか。いつもいつも考えてしまう。そんな謎も秘められていて、面白い。

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