竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

制作 : 角川書店 
  • 角川書店 (2001年9月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574032

作品紹介

5人の求婚者を破滅させ、帝の求婚にも応じないかぐや姫。だれもが知っている話だが、ロマンティックな空想物語と誤解されている物語でもある。古典というストレスなしに冷酷なかぐや姫の全貌を知る本。

竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)の感想・レビュー・書評

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  • 「かぐやひめ」としてよく知られている物語を改めて読んでみようと思って手に取った一冊。

    これが面白い!
    短い段落に分けて、現代語訳ー原文ー解説で構成されている

    光村図書 中学国語1年生 単元4
    蓬莱の玉の枝 ―「竹取物語」から

    <富士山信仰とかぐや姫伝説>ー静岡県富士市
    http://www.city.fuji.shizuoka.jp/kyouiku/c0403/fmervo0000011mgn.html <20160212アクセス>

    竹取~稲作中心の農耕社会の中で、身分の低い職業
    しかし古代、竹は強い生命力が神秘を感じさせ、竹製の財布は神霊を招くと信じられていた
    つまり竹取のおじいさんは神事にかかわっていたかも。
    苗字の、讃岐氏は神事をつかさどる一族という説もあり
    「造」は「宮っ子」(宮廷に仕える家来)の意=公務員
    竹の空洞は異界と交通する空間(ほかに、瓜、壺も)

    中世では~
    竹に雀、梅にうぐいす ではなく
    竹にうぐいすだったので、 かぐや姫=竹姫=うぐいす姫とも考えられる

    かぐや姫、三か月で成長
    成人式になり3日間の祝宴
    名付け親~三室戸斎部の秋田
    女子の成人式は髪上げ+裳着(もぎ)
    髪上げ:ポニーテール
    裳着:裳(ロングスカートのようなもの)

    よばひの語源~本来は相手に呼びかけ、求婚する意味「呼ばふ」、名詞形「呼ばひ」

    夜、女性の寝室に這って偲び込む夜這い(よばひ)に変わった

    垣間見る

    「得てしかな」=「~したいものだなぁ」
    「見てしかな」=「見る」は妻にすること

    竹は堅牢性、柔軟性、防腐性とともに清楚、優雅。
    縄文時代以来、建築、茶道具、農具、漁具、楽器、玩具などに使われた

    求婚者 5人のプレイボーイ
    1石作りの皇子(いしつくりのみこ)
      ・仏の御石の鉢
      ・他と比べると、財力権力なし、敬意が払われていないが、歌が得意な文学青年
      「海山の路に心を尽くし果てないしの鉢の涙流れき」

    「尽くし」~筑紫
    「ないし」~泣いし(泣きし=泣いたの音便形)~石
    「鉢」~の「ち」~血
    「な」の三度繰り返し(頭韻)、ないし、なみだ、ながれき

    鉢~恥 を捨てる=あつかましい態度のこと 鉢を捨てたあとにも火目に言い寄ったので

    石作の皇子のモデルは、丹比島(たじひのしま)
    丹比島は、自分の代で臣下に降りたので、皇子という役でよいし、また大鐘(石の鉢ならぬ)を献上した。



    2庫持の皇子(くらもちのみこ)
      東の海の蓬莱山にある、白銀の根、黄金の茎、白き玉の実を一枝

      宮中工芸課の技官に作らせた
      文挟み
      3という数字 身長三寸、三か月で成人、三日間の宴会、名づけ親は三室戸の人、求婚者は3年がかりで求婚、帝にも三年待たせた

    これをなむ、「たまさかる」とは言ひ始めける。
    ~プライドの高い皇子が、珠の枝の失敗が原因となって屈辱に耐えきれず、魂が体から遊離して正気をなくしたようになり、深山に姿を隠してしまったことをいう
    「魂」には「玉」の意が掛けられている
    別の説では、たまさかなるを「玉悪なる(たまさがなる)」との意に解する。悪い偽玉を出しだしたので、「たまさかに=たまたまに、まれに」めぐり合うという意味

    モデルは藤原不比等(ふひと)
    政界随一の実力者 物語の中ではかなり痛烈な批判を浴びさせている



    3右大臣阿部御主人(うだいじんあべのみうし)
      唐土の火鼠の皮衣(もろこしのひねずみのかわぎぬ)

    阿部氏は財産家なので、万事金で解決できると思っている
    中国商人に騙される小野房守(おののふさもり)

    モデルは阿部御主人、丹比島や大伴御行とともに天武天皇に仕えた重臣

    火鼠は、中国の伝説上の動物、燃えながら成長する木が繁茂する火の山に住み細く長い美しい毛におおわれている。水に弱く、水滴を受けただけで死んでしまう。
    10世紀に作られた我が国初の百科辞典「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」に紹介されている

    「あはむ」「あはせむ」の「あは」は「あふ(逢ふ)」の活用形 男女が逢うことから結婚の意へと発展


    「寡(やもめ)」は、「独り屋(や)を守(も)る女(め)」あるいは「止む女(やむめ)」「病む女(やむめ)」が元の意味

    「あへなし」と言ひける~「敢へ無し」と「阿部無し」のふたつの意味が掛けられている

    「すむ」は「同居」


    4大納言大伴御行(だいなごんおおとものみゆき)
      竜の首の五色に光る珠
    モデルは実名そのままの大伴御行
    壬申の乱で功績をあげた
    万葉集にも一首収められている

    「斎(いもい)」とは~ ~断ちのこと

    「風」にかかったとあるが、神経性の病のこと
    竜と雷 竜は古代中国の想像上の動物、水中にすみ、空中を飛び、雲を起こし、雨を呼ぶ霊獣(大蛇+足)
    水神、雷神を蛇形とする日本と合体した

    雷光の稲妻は、稲の配偶者という意味、電光の力によって稲が実をはらむと考えられていたから

    「あなたへがた」は「おかしくて堪へ難」と「食べ難い」の二つの意味を重ねている


    5中納言石上麻呂足(ちゅうなごんいそのかみのまろたり) 燕のもつ子安貝

    階級が、皇族、大臣、大納言、中納言と貴族社会の際上層のランクを網羅
    舞台も、天竺(てんじく=インド)、蓬莱(ほうらい=中国の神仙思想で説かれる想像上の仙境)、唐土(もろこし=中国)、日本、宮中

    燕は春の季語
    燕帰るは秋の季語  渡り鳥だから
    古代の日本では海のむこうに常世があると信じていたので、つばめは幸せを運んでくると考えていた~安産、繁栄
    期待に反することを「かひなし」~甲斐なし、貝無し
    ちょっぴりうれしいことを「かひあり」
    結婚観のちがい

    じいさん~結婚することになっていて、子孫が栄える
    かぐや姫~どうして結婚などということをするのか

    月と文学~花鳥風月、雪月花、花月 いずれにも月が入っている。
    月を見るのはタブー視されている
    満月の輝きは生、新月の闇は死~月の満ち欠けは人間の生死
    日本人は月に対する関心が深い
    月と狂気 lunaticは精神異常者



    不死の薬のツボを富士山で燃やす
    富士~不死~不尽
    これが富士山信仰へつながる?

    内侍(ないし)~実権のある女性官僚

  • 「竹取物語」が平安時代に書かれた物語で
    当時の体制をかなり痛烈に風刺したものであるということは
    この本にくわしく解説されている
    しかし、というか、だからこそというか
    その中心人物であるかぐや姫の残していった不死薬は
    みかどの意思によって焼かれてしまうのだった
    これをどう捉えるかが、個人的な解釈の分かれ目になるだろう

    地下茎から一直線に月まで延びてゆくかぐや姫の生
    それは、他者にはとりつくしまもない
    自己完結した、一種の中空的存在なのである
    ある意味、生きながら死んでいるとも呼べるだろうそれによって
    もたらされた永遠の命を
    みかどがけして受け入れようとしない、というのは
    つまり、さんざん公家や武士をコケにしてきたこの作者が
    最後の最後で、その悪や愚かさを含めての
    人間肯定に転じたということだ
    それを愛と取るか、嫌味と取るかは人それぞれじゃないかしら

  • 教科書で読んであとは日本昔話で流れを知っていただけでここまでしっかりと読んだのは初めてでした。改めて最後まで読んでみると意外な部分がちょこちょこあって面白く読めました。おじいさん意外に興奮すると暴言吐いたり、かぐや姫は最後帝に気持ちが揺らいでたり、罪で下界に降りていたなどなど。昔の話なのに芯がしっかりしていました。さすが昔から愛されている読み物です。

  • 1000年前にこれ書いた人はすごい。40年前にベルばらかいたのより、すごい。

  • ずっと前から持っていたのだけれど、登録していなかったので今更ながら。

    角川ソフィアの古典は、とっつきやすさでは一番だと思うし、何より表紙がステキ。

    「物語の出で来はじめの祖」と呼ばれる『竹取物語』だが、その世界観からキャラクター設定まで、よく練られているよなあ、と唸ってしまう。
    特に、かぐや姫の体の成長と心の成長のアンバランスさ、でも「情」の姿が垣間見え、最後のお別れシーンになると、本当の意味で彼女を好きになってしまうこと必死。

    また、解説の付け方も上手く、固くなりすぎず、しかし押さえる所を押さえていて読みやすい。

    どうして、かぐや姫は地球に来たのか。いつもいつも考えてしまう。そんな謎も秘められていて、面白い。

  • いまはむかし、竹取の翁といふものありけり――竹取のおじいさんが竹の中で見つけた小さな女の子、なよ竹のかぐや姫。大勢の貴族に求められた彼女は五つの難題で求婚者をはねのけ、帝の寵愛さえも拒む。しかしその中で、彼女は人間らしい愛を学んでいく。けれどももう、時は、いいえ、月は満ちた――還る時が、やってくる。日本最古の“物語”として名高い「竹取物語」の全文を収録し、平易な訳と解説、豊富なコラムで「竹取物語」の世界に誘うぴったりのビギナーズ書。古典が苦手な人でも楽しめること、まちがいなし!

    これもまたなが~いこと積読してたものなのですが(ビギナーズクラシックスは、大抵買って満足して沢山積んじゃってます)現在公開中の「かぐや姫の物語」がどうやら原典を予習しておくといいらしく、ならビギクラで読もうかな、と。意外だったのが原文はもっと長いと思ってて、他のビギクラと同じでどっかはしょってるのかなと思ったら全文収録していたこと。というか、収録できるくらい短かったのかっていうことですね。方丈記も短いって言うしなあ。
    そんなことを書いた所為で、竹取物語は中学と高校の頃に授業でやった&問題集でやった程度で実はちゃんとよく知らないと言うへっぽこ国文クラスタの実態が明らかになってしまってるわけですが、五人の求婚者の話も、最初の石作りの皇子の話こんなアッサリなんだなーとか、蓬莱の玉の枝の話は一番長いんだなーとか、落語みたいなしょーもないオチついてんだなーwと、いろいろ新しい発見がありました。コラムも面白かったですし、解説も良かった。
    私は自分でかぐや姫ものを書いたりもしたので惹かれてるわりにはちゃんと読んでなかった…のですが、何に惹かれたかっていうと姫が月に帰る時に全部忘れてしまうってところにとにかく惹かれたんだろうなあ。あと何の罪を負ってここに来たのかってのも。罪人にしては扱いが丁寧だから、もとは高貴な身分なんだろうか。そんでかぐや姫は何を学んだことで罪を償ったことになったのか……やっぱ人間の愛? 愛すること? 結婚することはどういこととか? でもかぐやは月の世界の人だし、全部忘れたら意味ないか…? とかいろいろ考えます。出来ればまたかぐや姫ものを書きたいなあとも思ってたので、これ読んでいろいろ想像を掻き立てられましたね。「かぐや姫の物語」の方はどんな感じになってるのかなー

  • 読了。

  • 小さい時から知っていたが、これ程の体制批判のユーモア小説であり、SF小説が平安の昔に書かれていたとは驚愕の事実だとあらためて認識しました。そして、それが今日においてもよく知られる物語として残っている要因として納得しました。面白かったです。

  • この時代にこれだけ完成度の高い物語をつくったのが凄い。

  • おもしろかった

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