万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574063

作品紹介・あらすじ

新元号の典拠部分の言及あり。

『万葉集』の梅花の歌三十二首并せて序にある、「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぐ。梅は鏡前の粉を披く、蘭は珮後の香を薫らす」が新元号の典拠となっています。『万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』153ページに、少々序文についての言及があります。

さまざまな階層の人々が自らの心を歌ったわが国最古の歌集「万葉集」から名歌約140首を選び丁寧に解説。参考歌を含めて約200首を収録。参考情報を付しながら、歌に託した万葉人のさまざまな思いがよくわかるように構成。原文も現代語訳も総ルビ付きで、朗読にも最適。

感想・レビュー・書評

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  • 「ますらおぶり」と呼ばれる素朴でおおらかな歌風。万葉集の歌は、雄大で率直で伸びやかで、自然を美しいと思う気持ち、人を恋しく思う気持ち、大切な人を失って悲しい気持ちなどがそのまま胸に響いてくる。

    あしひきの 山のしづくに 妹待つと 我れ立ち濡れぬ 山のしづくに

    我を待つと 君が濡れけむ あしひきの 山のしづくに ならましものを

    高校のとき、大津皇子と石川郎女のこの相聞歌が好きだった。天武天皇の皇子で文武に優れ人望もあった大津皇子だが、天武天皇の崩御後、反逆罪で処刑されるという運命を辿る。
    改めて見返すと、大津皇子の辞世の歌、そして大津皇子の姉である大伯皇女が弟を思って詠んだ歌に揺さぶられた。

    百伝ふ 磐余(いはれ)の池に 鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠りなむ

    うつそみの 人にある我れや 明日よりは 二上山を 弟背(いろせ)と我れ見む

    大津死亡後の大伯皇女の歌は他にも三首ある。いずれも、弟を喪くした哀しみが切々と伝わる。支え合って生きていたかけがえのない弟だったのだろう。

    すごいなと思ったのは、笠郎女が大伴家持に贈った相聞歌。その数、万葉集に24首も。いくら待っても一向に通ってこない家持に、激しい恋情を訴え続ける。解説でも、「相当な迫力。家持が引いてしまうのもわからないでもない」と言われるほど。

    恋にもぞ 人は死にする 水無瀬川 下ゆ我れ痩す 月に日に異(け)に
    (恋によってでも人は死にます。水無瀬川の水のように忍ぶ恋の思いから私は日に日に痩せていきます)

    思ひにし 死にするものに あらませば 千たびぞ我れは 死にかへらまし
    (もしも恋い死にするようなことがあるのなら、もう千回も私は死ぬことを繰り返したでしょうに)

    相思はぬ 人を思ふは 大寺の 餓鬼の後方(しりえ)に 額つくごとし
    (自分を思ってくださらない人を思うのは、大寺の餓鬼の背中を拝んでいるようなものです)

    死ぬ死ぬて…。確かに圧倒される。
    他にもけっこう激しいなぁという歌は多く、平安の和歌は洗練されるにつれ、良くも悪くも、この迫力を失ってしまった気がする(笑)

    自然を詠んだ歌や、恋の歌だけでなく、東歌や防人の歌、遣唐使の母が息子の無事を祈る歌、山上憶良の子を悼む歌など、宮廷歌人以外の歌も多くあり、当時の庶民の立場にあった者の、家族や恋人を想う心が時を経て伝わってくるのだ。

    さて最後は、大伴旅人の酒をほめる歌で締めることにする(なんでやねん)。

    なかなかに 人とあらずは 酒壺に なりにてしかも 酒に染むなむ
    (中途半端に人間であるよりも酒壺になってしまいたいよ。そうすれば、たっぷりと酒に浸ることができるだろう)

    …完全に酔っ払いの歌やん?でも1300年前の歌よ?すごくない?酒飲みの真髄なんじゃ(笑)

    • マリモさん
      地球っこさん♪
      あははは、もう声出してめっちゃ笑ってしまいました(≧∇≦)
      って、笑ってすみません、なんだかまめに報告してくださる地球っこさ...
      地球っこさん♪
      あははは、もう声出してめっちゃ笑ってしまいました(≧∇≦)
      って、笑ってすみません、なんだかまめに報告してくださる地球っこさんが可愛すぎて、友達に内緒で恋心を打ち明けられた若き頃に戻ったかのような気持ちです!
      わかりました、本命はコン・ユさんに決まりですね(о´∀`о)b
      ヒョンビンさんだって、「君が幸せなら、君が笑顔でいるなら、それでいいんだよ」って言ってくださることでしょう(←私の中の勝手なイメージです笑)。
      万葉集や古今和歌集の歌に、恋心を重ねる地球っこさんがとても素敵です。どちらもいい歌ですね。
      私は今までどおり地球っこさんの恋を応援(!?)しておりますので、またお話聞かせてくださいね♡♡
      2021/03/28
    • 地球っこさん
      マリモさん、そう言ってくださってとても嬉しいです。あーよかった(*>∀<*)ノ

      そうですね、(わたしのなかのイメージでも)ヒョンビンさ...
      マリモさん、そう言ってくださってとても嬉しいです。あーよかった(*>∀<*)ノ

      そうですね、(わたしのなかのイメージでも)ヒョンビンさんは優しいですもの 笑

      ほんと、若い頃のわたしもこんな感じでした。そして片思いばかり…… 笑

      「夕暮れは……」の歌は、わたしの妄想のなかでは、何だか惡女沼にも少し重なる部分があるのでは……と思ちゃってます。

      わたしもマリモさんの恋バナ、トキメキ沼話♡、妄想族仲間として、これからも楽しみにしてまーす。
      ありがとうございました♪
      2021/03/28
    • マリモさん
      あぁー、確かに…!悪女5巻にぴったりはまりそうです。夕暮れの切なさと恋の切なさと…遠いところにいる人を思う気持ちに溢れた一首ですね。

      私は...
      あぁー、確かに…!悪女5巻にぴったりはまりそうです。夕暮れの切なさと恋の切なさと…遠いところにいる人を思う気持ちに溢れた一首ですね。

      私はあっちこっち濫読して、ようやく悪女沼にどっぷりの日々からすると落ち着いてきました(〃ω〃) 別のシリーズにどっぷりハマりたいような、もうほどほどにしときたいような…!またいい人ができたら報告します♡笑
      2021/03/28
  • 大伴家持が、全国各地、身分の高い人から庶民まで、男も女も幅広く集めた、約130年にわたる歌を編纂したと言われる日本最古の歌集。その数約45百首。本書は約2百首を抄録してわかりやすい解説を施しています。情熱的な歌から死別離別の慟哭哀愁の歌まで人間の感情は変わりません。私はスケールが大きくてロマンティックな柿本人麻呂の歌が大好きです。万葉がなで書かれたものが250年後には今も私たちが使うかな文字に進化しています。その到達点と言われるものが「源氏物語」ですね。

  • 女も男も自分を飾ることなく、おおらかで素直な歌なんだなぁと、読み終えたとき一番に思い浮かびました。訪れない愛する人を待つ歌でも、人の噂にのぼる燃えるような恋愛の歌でも、地に足がついているような感覚です。揺るぎない想いが込められているのでしょう。
    歌には、ちょっぴり拗ねたような素振りを見せたり、捨てぜりふを吐いたりもありますが、何だか可愛げがありました。そして、愛しい人はこの人だけ。その想いがまっすぐ歌にのっています。
    だから、そのぶん愛する人の死を悼む挽歌には遺される者の哀しみが宿ります。それでも歌にすることによって、哀しみを受け入れながら前を向くことが出来たのではないでしょうか。

    そんな逞しくおおらかな人々が詠んだ「初期万葉」の時代。そう思えば、有名な額田王の『あかねさす……』は、忍ぶ恋心を詠んだというよりも宴席を盛り上げるためのきわどいやりとり……とのことも納得です。
    でも、やっぱり。大人の恋心が秘められていてほしいな……と思うのですが。
    太陽のような歌の合間にひっそりと降る絹糸のような雨。そんな印象を受けたのが、大伯皇女が訪ねてきた大津皇子を帰すときに詠んだ歌、そして挽歌です。運命の荒波に呑み込まれてしまった弟への愛が込められています。ひとりぼっちになる少女の心細さが溢れていました。
    そうかと思うと、高市皇子の妻である但馬皇女は、恋仲となった穂積皇子との恋愛についての噂話に対しての歌を詠んでいます。周囲の好き勝手に語るゴシップネタなんてどこ吹く風。そんなことものともしていません。
    歌によってそれぞれ皇女の性格が見えてきそうですね。
    最後に。
    『天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ』人麻呂歌集
    なんてSFちっくなんだろう。キラキラしてると思いませんか。

  • 1300年前には歌しかなかったからなのか、心の有り様を言葉で表現することにおいては現代人よりも遥かに上手(うわて)です。いや、というよりも、気持ちを言葉にすることって、現代人にとっては遠ざかってしまったことのような気もします。

    風の様、土のにおい、草木花々の彩り香り、天気や月、星雲の形、誰かを想う気持ちーー。ありとあらゆるものを歌材にしようとする態度は、一瞬一瞬を楽しもうとする姿にも感じます。これほど豊かな表現で万物を歌い上げられる万葉人が我々を見たら、きっと嘆くんだろうなあ。

    古典に触れ、その感情を現代で追体験することで、これまでよりずっと素直で豊かな生活が送れるものと思います。

  • 最近私の中で日本文化や日本人の心とは何だろうということが気になっていて、その流れで万葉集にも触れてみるかと一番易しそうなのを購入。解説には初歩的だけど一般の人は知らないことがきちんと書いてあって、初心者には嬉しい。適切な挿絵やコラムからも読者への配慮を感じた。

    一読してみた全体の印象としては「素朴さ」をすごく感じた。どの歌でも湧き上がった感情が素直に表現されている感じ。なかにはこれ単に事実を述べてるだけじゃないかと思うのもあったが、それも含めて飾り気のなさには好印象を受けた。そのほかよかったと思うのは、貴族を中心に千年以上前の暮らしぶりがうかがい知れたこと。平民の歌も収録されていて、比べると情緒の面では身分で差はなかったんだなあと思った。今でも広く語られている浦島太郎伝説などの説話も万葉集にすでに載っていて、昔話の歴史の長さに驚いた。

  • 「万葉集」は現存最古の歌集と言われている。二十巻。歌数は約4,540首。舒明天皇の時代(629年~641年)から天平宝字3年(759年)まで、約130年間の歌が収められている。700年から780年頃まで数次にわたる作業を経て、奈良時代末に現行の体裁が整ったという。
    本書はその中から約140首を選んである。
    1200年も前だというのに、歌われている風景が目の前に立ち上がり、心情が心に響く。これは同じ日本人だからだろうか。海外の人がこの本を読んでどのような感想を抱くのか興味がある。
    最後に一首引用しておく。
    田子の浦に うち出てて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける
    田子の浦を通ってひろびろと視界がひらけるところに出てみるとなんと真っ白に富士の高値には雪が積もっていたのだった

  • 急に古典文学を読みたくなったので購入。
    選ばれている歌の傾向なのかも知れないが、悲惨な境遇の歌が多い。特に目につくのが死別の歌。柿本人麻呂と大伴旅人の亡き妻を悼む歌、山上憶良の幼児の死を悼む歌は心痛いかばかりであったろうかと思わずにいられない。

  • いやー読むのに時間かかった~
    終盤でようやっと、おもしろくなってきた。が、歴史知識が少なすぎて当時の情景創造度合いはとても低いのだろうな。。。
    奈良時代のことなんてなんも知らんからな。。。いつかこの時代の書籍にも手をつけえてみよう。

  • 2010/02/01
    この時代の力強さが伝わってくる。まさしく益荒男ぶり!

  • 他人の作った和歌が読みたいなあ、、とふと思いまずは万葉集からでしょと手にとってみました。

    万葉集はますらをぶりと言われるだけあって、一首一首が力強く、はっきりとしていて、直接的で感情がダイレクトに伝わる気がする。
    悲しい歌は悲しく、恋しい歌は恋しく、1000年以上の時が経っても人が感情を動かされる場面は変わらず、私たちは遠い昔の人々のことを思い感情を動かされる。…とても素敵で素晴らしく、万葉集を読んでよかったと思いました。

    好きな歌は笠郎女の歌で、大伴家持を恋しく想いながら歌った気持ちが痛いほど伝わります。
    きっと彼女は燃えるように恋をして、耐えがたいほど悲しかったのでしょう。

    君に恋ひ いたもすべなみ 奈良山の 小松が下に 立ち嘆くかも

    また、本書は寸評が逸材です。
    現代語訳だけだとイマイチ想像しづらい場面もあるのですが、そこを寸評で補っていて、歌が読まれた空気感や情景が目の前に浮かんできます。
    この寸評のおかげで更に読みやすく、感情移入しやすくなっていると言っても過言ではないですね。

    全首読んでみたいなと思ったので、また全首載っているものを買います。

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