徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

制作 : 角川書店 
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レビュー : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574087

作品紹介・あらすじ

日本の中世を代表する知の巨人、兼好が見つめる自然や世相。その底に潜む、無常観やたゆみない求道精神に貫かれた随想のエキスを、こなれた現代語訳と原文で楽しむ本。現代語訳・原文ともに総ルビ付きで朗読にも最適。

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  • "つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書き付くれば、あやしうこそもの狂ほしけれ。"

    有名な徒然草の冒頭。
    教科書にも載っているし、短めの小咄も多いから試験でも出しやすいのでしょう、さすがに徒然草は読んだことのあるものも多かった。

    著者の卜部(吉田)兼好は、鎌倉末期から南北朝の動乱の時代を生きた人。
    「どうせ、永遠には住めないこの世に醜い姿になるまで生きていて何になろうか。長生きすると、恥かくことも多くなる。長くとも、四十そこそこで死ぬのが無難というもの」
    こんなことをいっていた兼好だが、当時としては長命の70歳まで生きたという。他の段でも、世は無常、あくせく働いてお金貯めて長生きしても仕方ない、年寄りが若者の中にしゃしゃり出るのは見苦しい…といった論調が多いのだけど、何を思って晩年を過ごしたのだろう。

    今に通じる人間の業の深さ、絶えぬ争い事、人付き合いの難しさ、世の無常。
    現代も同じなんですよ、と700年前の兼好と対話している気持ちになりながら読んだ。
    『同じ心ならむ人』の段。本当の友を見つける難しさ。
    『身死して財残る』の段。死後に争いのもととなる遺産を残すべきではない。
    『世捨てたる人の』の段。政治家はまず自ら襟を正すべき。
    『花は盛りに』の段で、散ってしまった桜や隠れている月など、他の人がつまらないという自然にも美を感じる心は、清少納言と通じるものがあるように感じた。

    大人になった今こそ読むべきは『世には心得ぬこと』の段。酒飲みの醜態を辛辣かつ滑稽に記した飲酒論には、思い当たることがない人はいないはず。ほんと、アルコールってやつは困ったもんよね(←なら飲むなよと。笑)。
    しかし最後は「さはいへど、上戸はをかしく罪許さるるものなり」(そうはいっても酒飲みは愛嬌があって罪がない)という懐の広さも見せ、お酒好きを救ってくれる。

    ちなみに、京都の左京区にある吉田神社は兼好にゆかりのある神社だという。兼好の家系は、吉田神社の神主卜部氏につながる名家で、出生地は吉田山周辺とのこと。知らなかったなー。今度京都に行く機会があったら立ち寄りたいな。

  • 言わずと知れた吉田兼好の随筆です。

    原文を一度訳してみてから訳文を読む、というルールを自分に課してしまったため何度かめんどくさくなり、休憩を挟んでしまったので読了まで長い時間かかってしまいましたが、本の中の訳文は非常に現代的で親しみやすいです。

    人間というものは今も昔も良くも悪くも変わらないな、と思わせてくれます。

    何世紀も読み継がれているだけあってさすが、と思わされる記述もちらほら見られ良かったです。また人生の岐路に立った時読み直してみたいと思います。原文を訳してみよう、と思うかは微妙ですが(笑)

  • 日本が世界に誇る文学の名作を読んでみようと思い、まずは読みやすそうな徒然草から。

    今も昔も変わらない人間の本質の話や、処世術など内容は多岐にわたる。その中でも、人の無常観は印象に残った。四季の移ろいや自然の変化は人の関与できない部分であり、何人にも平等である。それに敏感になれるかは日常の豊かさに繋がる。

    祭りの話で
    祭りの中の一番の盛り上がりだけを見るだけではもったいなく、祭りが始まる前のドキドキ感や終わった時の虚しさなど一連の流れ、移り変わりを含めて楽しむものだ
    というものがあったが、納得。
    コスパを求めて盛り上がりだけ体感してしまいそうなので、移り変わりを楽しめる大人になりたいです笑

  • この世は無常という考えを常においている世捨て人のエッセイ。全部を載せているわけではなく抜粋版。載せかたとしてはまず口語訳、そして原文という順番が斬新。この順番だと先に意味を掴めるので原文も読みやすい。
    花見をする人への揶揄だとか、年を取ったら頑張ること自体見苦しいだとか視点が鋭く面白い。昔から人間って変わらないんだなぁ。今のコロナ騒動を見たらどう思うだろうかと想像を巡らせたくなる。どうせ人は遅かれ早かれ死ぬんだから躍起になってペーパーを買いだめするのは下品、とか言いそう。

  • 高校に入試問題などで読んだ(解いた)のが最後…問題として解くのではなく、随筆としてじっくり読めました。兼好法師の自然や世相に対する美意識と真理を貫いた人間観や教訓は確かな説得力をもってズドンと胸に落ちました。何度でも読み直したい一冊。

  • 読書録「ビギナーズ・クラシックス徒然草」4

    編・出版 角川書店

    p210より引用
    “ 何事も、自分の外に向かってあれこれ求
    めてはならない。自分に目を向けて、自分が
    やるべきことに全力を注げばよいのだ。”

    目次から抜粋引用
    “自己発見の道へ
     旅は心のシャワー
     独善の悲哀
     利に群がる蟻人間
     鏡に映る醜い顔”

     日本の古典文学をわかりやすく記した作品
    集の、徒然草を解説した一冊。
     現代語訳・原文・解説と、作品に登場する
    寺社仏閣や図や絵を交えて書かれています。

     上記の引用は、灯台下暗しを戒めた話での
    一節。自分の足場をしっかりと固め、少しず
    つその範囲を広げることで、最終的に大きな
    事が出来るようになるとのことです。
    いろんな事をしたいと思っても、自分の足場
    をしっかりと固めるのも、なかなか上手く行
    かないものです。
     昔々の人々についての話ですが、どんなに
    時代が変わっても、人のしていることの大き
    な部分はあまり変わっていないのだなと思わ
    ざるをえません。

    ーーーーー

  • 子供の頃、教科書で勉強した『徒然草』。
    人間の力ではどうすることもできないこと「無常」について吉田兼好が30代で役人の出世コースから抜けて、出家後客観的に人間を観察しながら見つけ出そうとしていた。

    子供の頃は理解できなかったことが、大人になってから読むと楽しめ、
    いろいろなことに気付かせてくれる、深い話です。

  • 吉田兼好は、晩年の爺さんが硯に向かって常に何かしら書き記してるような文藝人間のようなイメージがあったが、兼好8歳ぐらいのときのエピソードがあったり、不動産投資家みたいなとこがあったり、意外な部分もあった。

    友達はいても心から話せる友達でないと、気を使ったり我慢したりして、かえって孤独感を感じるし虚しくなる。とか、読書は古今東西見知らぬ人と友達になるようなものだ。みたいな文章があって、雑誌のコラムに載ってそうな感じがする。

    財産や利権にしがみつく者も、仁義や仏法にしがみつく君子や僧侶も同類で過度の執着は己の心を曇らせ、破滅を誘う、みたいな文も良かった。

    女によって男は磨かれ、外見とかも取り繕おうとする。って書いてる割に、女は要らぬことまでよく喋り、利己主義で頭が回るのに、変なことを遠慮し、素直でないくだらないものと評してるのが面白い。今だったら批判されたかもしれない。

    ペットを飼うことの批判とかも面白い。自由に動き回る獣や鳥を檻に閉じ込めて束縛するのは、動物のこれからを生きる喜びを奪い苦しめると言った旨だが、今のコロナ禍にも一筆書いて欲しい。いくら好きでも四六時中いたら嫌な部分も出てくるだろうし、別居してたまに会うぐらいの方がお互い新鮮で良いだろうと現代に通ずる非婚みたいなことも述べてたりする。

    いろんな書籍からの教えを引用してるのを見るに結構読書家・勉強家なのかもしれない。

  • 今から700年前の随筆であるが、現代にも通じるところが多い。
    ●無常迅速:考え方や価値観、繁栄、生死は常に変化
    ●牛を売る者:生死は常に身近にあり、死があるからこそ生が引き立つ。
    ●高名の木登り:ミスは油断したときに(安きとき)に起こる
    ●未完の完:あまりに完成された者は趣が無く、どこか欠けていたり、足りない方が趣があるものである。(そのためわざと未完で終わらせる建造物がある)

  • 2017.08.27 『13歳からの道徳教科書」からの選書
    2017.12.28 日本の文学作品を読む(2018年に向けて)
    2017.12.30 『古典力』より

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