鴎外の「舞姫」 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 近代文学編)

制作 : 角川書店 
  • 角川学芸出版 (2006年4月1日発売)
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  • レビュー :7
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043574148

鴎外の「舞姫」 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 近代文学編)の感想・レビュー・書評

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  • 改めて純文学を読んでみたいと思い、読みやすそうな物を探している時に出会った一冊。現代語に訳したもの、原文、解説とが細かく分けられた章毎に書かれていて大変読みやすく分かりやすかった。
    舞姫の主人公・豊太郎には酷い男のイメージがあったが、思っていた以上に酷かった(笑)言い訳ばかりだし、自分は悪くないと取り繕うのに必死、挙げ句の果てに友人への責任転嫁…しかし、非常に人間らしい人間に思えた。

    この角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスシリーズってなんだか良さそう!色々読んでみようかな。

  • いい感じにつっこんでくる解説に笑えた。敷居高く感じる文学作品をかなり読みやすくしてもらいました。
    ただ解説自体も男性目線なので、これ女性目線の解説だともっと厳しくなるのではないかな?
    「舞姫」って純愛小説ではなく、時代背景はあれど優柔不断ないち男性の言い訳小説にも感じたけど…。

  •  旧士族階級の出身で、母の期待に応えようと勉強した豊太郎は、やがて明治新政府の要請で先進国ドイツに派遣される。派遣当初は、ドイツ語やフランス語が流暢だとほめられては気をよくしていた豊太郎だが、やがて、自分がただ認めれたいがために努力してきた「受け身」人間で、社会で大活躍できる政治家でも、完璧に法律をあやつる司法官にも向いていないことに気づき愕然とする。
     やがて、酒にも遊びにも付き合おうとせず、友人たちからも孤立していく豊太郎。
    そんなある日、夕方の散歩に出かけた豊太郎は、うらぶれたユダヤ人街で声を出さずに泣いていた少女を見かけ、思わず声をかける。エリスと名乗るその少女に同情心を抱き、彼女を自宅まで送り届けることにしたのだが……

     異国で恋に落ちるも、身勝手さと意志の弱さで、大切な人を永遠になくしてしまうことになる豊太郎の物語。現代語文と解説&資料で、「舞姫」の世界をたっぷりと味わうことができます。
     特に、これでもか!と思うほどの「ツッコミ」が気持ちいい解説文が魅力的。その後じっくり鴎外の文章を味わうと、また楽しい。

  • (2010.12.17読了)(2010.12.11購入)
    「鴎外の恋人」を読んだので昔読んだ「舞姫」を読みなおそうと思ったけれど、原文では、意味を十分読みとる自信がないので、どうしようかと思っていたところ本屋で、この本を見つけたので、購入してきて読みました。
    わかりやすく意味を噛み砕いて、必要なら説明を追加しながらの現代文と、原文と、さらに解説まで付いています。解説は、主人公にかなりきつい書き方をしているので、ちょっと行き過ぎの面があるような気がします。(読んでいる僕が責められているような感があります。)
    原文だけを味わいたければ、太字の部分だけを読めはいいので、色んな読み方が出来ると思います。原文の漢字には、すべて振り仮名が振ってあるので、読めない漢字に悩むこともありません。何と良い時代が来たのでしょう。
    「鴎外の恋人」で謎ときの材料に使われたモノグラムのカラー写真が、最初の頁に入れてあります。
    ただし、森林太郎のM.Rとエリーゼ・ワイゲルトのE.Wを組み合わせた模様と説明に書いてあるので、鴎外の恋人が日本にやってきた時期の新聞に掲載された客船の乗客名簿で明らかになった情報までしか反映されていないことがわかります。

    ●エリスの亡くなった父は、仕立物師(76頁)
    (通釈文)「私はあっけにとられたまま、しばらくドアの前に立っていた。ふとランプの光に透かしてドアを見ると、エルンスト=ワイゲルトと氏名を漆で書いて、その下に仕立物師と家業を添え書きしてある。これが亡くなったという、少女の父の名に違いない。」
    (原文)「余は暫し茫然として立ちたりしが、ふと油燈(ランプ)の光に透かして戸を見れば、エルンスト・ワイゲルトと漆もて書き、下に仕立物師と注したり。これ過ぎぬといふ少女が父の名なるべし。」
    ●若さの無分別?(131頁)
    (通釈文)「あの娘との関係は、どれほど彼女の思いが純真であったとしても、また離れがたい仲になっていたとしても、君の人格や才能を理解した上での恋ではない。若い男女によくある、なんの分別もなく本能に駆られて生じた仲にすぎない。だから、きっぱりと別れたまえ。」
    (原文)「かの少女との関係は、よしや彼に誠ありとも、よしや情交は深くなりぬとも、人材を知りての恋にあらず、慣習といふ一種の惰性より生じたる交はりなり。意を決して絶てと。」
    ●エリスと別れて日本に帰る(169頁)
    (通釈文)「私はまるで鉄面皮のような恥知らずの人間だが、家に帰ってエリスにどう話したらいいのだろうか。罪悪感に打ちのめされて、ホテルを出た時の心の乱れは、たとえようもなかった。道の東西もわからなくなるほど平常心を失い、思いに沈んで、ふらふらとさ迷った。」
    (原文)「黒がねの額はありとも、帰りてエリスに何とか言はん。「ホテル」をい出し時の我が心の錯乱は、譬へんに物なかりき。余は道の東西をも分かず、思ひに沈みて行くほどに」
    (2010年12月23日・記)

  • こうしたエリートぶりやマザコンぶりを自分から告白する必要がこの小説にあるのだろうか?
    しかし必要だった。彼は母を悦ばせよう、世間に誉められようとひたすら自分を抑えて努力を重ねてきた。そんな受身型の人間にとって全てを捧げた過去の履歴だけが自分を守る楯だったからだ。
    官僚の官が上級役人、僚は下級役人。
    外国人である彼の場合、話すドイツ語と日本人として思考との間には見えない壁がある。
    ユダヤ人のエリスと日本人エリート青年。
    この時代にユダヤ人であることがこの小説では重要。

  • 興味はあったけど文語でとっつきにくかった、『舞姫』の通釈つき文庫。
    主人公がいかに受身で優柔不断で、そのくせプライド高くて自己弁護ばっかりなのかを、丁寧な解説がこれでもかと教えてくれるので、主人公の印象がマイナス方向に5割増し(笑

    しかし、読んでみたら意外と主人公に感情移入してしまいました(ダメ人間)。
    それにしてもエリスは余りにも可哀相。
    語るだけ語ってブツッと切れる終わり方も、何だかリアルです。

    【B】

  • 解説や現代語訳が丁寧で分かりやすかった。ただどうしても、豊太郎がずるいように思ってしまう。帯に「永遠の恋物語」とあって期待したが、感動はしなかった。

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