恋を数えて (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 81
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043593026

作品紹介・あらすじ

賭け事をする男とだけは一緒になるな、という亡き母のことばを遺言と受けとめて、ひとりネオン街で生きる秋子。しかし遺言に逆らうように、秋子が恋する相手は、あいまいな人生の追随者ばかり・・・・・・。

感想・レビュー・書評

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  • 【本の内容】
    「賭け事をする男とだけは一緒になるな。それが母の遺言でした」

    いけない、とわかっていても、幸せになれない、とわかっていても、どうしても好きになってしまう相手がいる。

    自分の気持ちもわからぬまま、寄り添っていくこともある。

    いつかせつない思いを抱えることになると予感していても…。

    港のある地方都市を舞台に、夜の街で働く秋子の、やるせなくも静かな日々を描いた、いとおしい恋愛小説。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    「それが母の遺言でした」。

    出だしのこの文章で、簡単にノックアウトされた。

    この文体に痺れてしまった。

    映画のシーンにかぶさる主人公のナレーション。

    そんなイメージが一瞬にして頭に浮かび、あとは、ひたすら頭の中に広がる画面と目から入ってくるナレーションで、時間を忘れた。

    よくもこんな文章が書ける。

    素直にすごいと感激した。

    彼の2000年のベストセラー『ジャンプ』を未だ読んでいないことを、真剣に後悔している最近である。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • #bookoff

  • 今日は長い間電車に乗っていたので、行き帰りで読んでしまった。佐藤正午の本はいつも、流れるように読んでしまう。もう、声をからしてしまいたくなるほど、叫びたい。「巧い!」。満たされる。なんというか、読書欲が、満たされる。この人の書く物語に出てみたい、と思う。思っていたら、この小説にはモデル(といってもあるほんのちょっとの部分だけど)がいるというではないか。羨ましい。猛烈羨ましい!美しすぎる文章と物語の吸引力、かゆいところに手が届くような繊細な描写に、またもや酔わされた。佐藤正午氏の、読んでないのをかたっぱしから読もう。

  • 女性の心情の描き方が素敵でした。これ、男性が書いてるんだよなぁ、と時々考えながら読んだ恋愛遍歴の物語。
    作者の語り口好きとしては、これも好きな一冊です。
    ただ、一度読み切ったので手元にはおいておかないかな。

  • 読んだのは単行本

  • たんたんと夜の街で働く女性を描いた作品ですが、好きだなこんな話。恋なんてなかなかうまくいかないという現実が身にしみます。昭和の歌と文章がいいリズムで心地いい!

  • 昭和後期の話と言えども、
    どっぷりと゛昭和の女゛を味わえた気がした。
    ある女の三十路を迎えるまでの男性遍歴を、
    淡々と語っている話。
    ただ、文体の口調が、
    「〜ました。」「〜した。」がまぜこぜで、
    そちらの方が気になって仕方がなかった。(笑)

  • 夜の勤めをする女性とを主人公にした作品です。
    どうものめり込めません。一つには賭け事も嫌いだし、酒場で酒を飲みことも無い私の性格との不一致でしょう。
    登場人物が全てどこかだらしなく破滅的で爽やかさがありません。次々に安易に事業に手を出しては失敗する父親。定職を持たない兄。競輪三昧の最初の恋人etc.etc..
    ただ救いは、主人公の最後の割り切りなのだろうと思います。
    詩や歌詞を上手く取り込み、佐藤さんらしい上手さは感じるのですが、どうもテーマが私には合わない。そういう作品でした。

  • 中に出てくる数え歌が面白いです。
    小説としてはいまひとつかな。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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