- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043593026
作品紹介・あらすじ
賭け事をする男とだけは一緒になるな、という亡き母のことばを遺言と受けとめて、ひとりネオン街で生きる秋子。しかし遺言に逆らうように、秋子が恋する相手は、あいまいな人生の追随者ばかり・・・・・・。
感想・レビュー・書評
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【本の内容】
「賭け事をする男とだけは一緒になるな。それが母の遺言でした」
いけない、とわかっていても、幸せになれない、とわかっていても、どうしても好きになってしまう相手がいる。
自分の気持ちもわからぬまま、寄り添っていくこともある。
いつかせつない思いを抱えることになると予感していても…。
港のある地方都市を舞台に、夜の街で働く秋子の、やるせなくも静かな日々を描いた、いとおしい恋愛小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
「それが母の遺言でした」。
出だしのこの文章で、簡単にノックアウトされた。
この文体に痺れてしまった。
映画のシーンにかぶさる主人公のナレーション。
そんなイメージが一瞬にして頭に浮かび、あとは、ひたすら頭の中に広がる画面と目から入ってくるナレーションで、時間を忘れた。
よくもこんな文章が書ける。
素直にすごいと感激した。
彼の2000年のベストセラー『ジャンプ』を未だ読んでいないことを、真剣に後悔している最近である。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
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#bookoff
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今日は長い間電車に乗っていたので、行き帰りで読んでしまった。佐藤正午の本はいつも、流れるように読んでしまう。もう、声をからしてしまいたくなるほど、叫びたい。「巧い!」。満たされる。なんというか、読書欲が、満たされる。この人の書く物語に出てみたい、と思う。思っていたら、この小説にはモデル(といってもあるほんのちょっとの部分だけど)がいるというではないか。羨ましい。猛烈羨ましい!美しすぎる文章と物語の吸引力、かゆいところに手が届くような繊細な描写に、またもや酔わされた。佐藤正午氏の、読んでないのをかたっぱしから読もう。
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女性の心情の描き方が素敵でした。これ、男性が書いてるんだよなぁ、と時々考えながら読んだ恋愛遍歴の物語。
作者の語り口好きとしては、これも好きな一冊です。
ただ、一度読み切ったので手元にはおいておかないかな。 -
読んだのは単行本
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たんたんと夜の街で働く女性を描いた作品ですが、好きだなこんな話。恋なんてなかなかうまくいかないという現実が身にしみます。昭和の歌と文章がいいリズムで心地いい!
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昭和後期の話と言えども、
どっぷりと゛昭和の女゛を味わえた気がした。
ある女の三十路を迎えるまでの男性遍歴を、
淡々と語っている話。
ただ、文体の口調が、
「〜ました。」「〜した。」がまぜこぜで、
そちらの方が気になって仕方がなかった。(笑)
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夜の勤めをする女性とを主人公にした作品です。
どうものめり込めません。一つには賭け事も嫌いだし、酒場で酒を飲みことも無い私の性格との不一致でしょう。
登場人物が全てどこかだらしなく破滅的で爽やかさがありません。次々に安易に事業に手を出しては失敗する父親。定職を持たない兄。競輪三昧の最初の恋人etc.etc..
ただ救いは、主人公の最後の割り切りなのだろうと思います。
詩や歌詞を上手く取り込み、佐藤さんらしい上手さは感じるのですが、どうもテーマが私には合わない。そういう作品でした。 -
中に出てくる数え歌が面白いです。
小説としてはいまひとつかな。