世界の終わり、あるいは始まり (角川文庫)

  • 角川書店 (2006年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784043595044

作品紹介・あらすじ

東京近郊で連続する誘拐殺人事件。事件が起きた町内に住む富樫修は、ある疑惑に取り憑かれる。小学六年生の息子・雄介が事件に関わりを持っているのではないか。そのとき父のとった行動は……衝撃の問題作。

みんなの感想まとめ

心理サスペンスの本作は、連続誘拐殺人事件を背景に、父親が小学6年生の息子を疑うという緊迫した設定が魅力です。物語は、父親の妄想や想像が織り交ぜられ、現実と妄想の境界が曖昧になる独特な構成が特徴的で、読...

感想・レビュー・書評

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  • 歌野晶午による心理サスペンスの問題作。連続誘拐殺人事件で、主人公の父親が自分の小学6年生の息子を疑い始める設定が秀逸。物語の後半は父親の妄想や想像のシミュレーションが延々と続き、どこまでが現実でどこからが妄想か判然としない独特な構成。
    良い点: 親としての苦悩や葛藤がリアルに描かれ、感情移入しやすい。複数の結末を想像させるマルチエンディング的要素で、読者を最後まで引き込む。犯罪加害者家族の心境や社会的制裁についても深く考えさせられる内容。
    注意点: 妄想パートが長く、読み進めるのが辛い場面もある。真相が曖昧で、スッキリした解決を求める読者には物足りなさを感じる可能性。
    パンドラの箱の希望で締めくくられる余韻のあるラストは賛否両論だが、読後に深く考えさせられる一冊。

  • 少年を誘拐して身代金200万を要求され、なぜそんな中途半端な金額なんだろう?と皆が思いつつも、とりあえず指定通りに身代金をゴミ箱へ入れると、たまたまそこら辺で暮らしていたホームレスが拾ってしまい、犯人を捕まえることはできなかった。
    その後、少年を見つけることはできたものの、身代金の受け渡し前に既に殺されていたことが判明。

    そのような似た事件が続く中、息子・雄介がなぜか、それら被害者家族らの名刺を持っているのを発見し、まさか息子が事件に関わっているのでは?と父親がこっそり調べていく&想像する話。

    途中までは面白かったが、そこまで発覚した上で色んな想像パターンを読ませておいて、なんだこの終わり方は?となってしまった。

    子供と犯罪繋がりで、『罪の声』という作品を思い出した。

  • なんとも言えない不思議な内容であった。

    主人公を視点として物語が進んでいくのかと思いきや、途中から妄想?想像に切り替わっており、どこまでが現実でどこからが想像なのか分からなくなったりする。呼んでいるこっちも非現実感があり面白かった。

    マルチエンディング形式のような本だが、最終的にどうなるのか、どういう気持ちに決着したのか後味の良い、気になる終わりかたであった。

  • 意味不明系きた~~!!なんだこれ!!んっ??終わり?始まり?どこまでが真実で、どこまでが妄想かが分からない。私にはこの本が理解できませんでした。どうすればいいのでしょうか?この私の気持ち、私の時間。コメントの書きようが・・・ない。主人公は2軸(パーソナリティ)が問題だったのかな?私の脳の中で、とある絵画を思い浮かべている。それはサルバトール・ダリ、記憶の固執。これだ!それだけこの本は「私にとって」意味不明だった。

  • 古本屋さんで安売りしてたから買った一冊。
    題名みて興味持った一冊でもある。

    精密な妄想を読まされた感じ

    結局事件の結末はわからないし、妄想だらけで踊らされた感じ。

    世界の終わりはわかるが始まりは?
    希望を持つ事?

    結局どうなったかわかればスッキリして読み終われたのに

    う〜ん長い物を読まされたのに消化不良

    ちょっとがっかりした小説でした。

  • あーーー歌野ワールド全開。
    裏表紙のあらすじにあるように、まさに
    「既存のミステリの枠を超越」している。

    未来の選択肢としては"悲劇"しか提示されていないのに、それでも主人公の修はその中から「きぼう」を見出す。
    そんなはずはないのに、なぜか「大丈夫、何とかなるだろう」とこちらも思ってしまう。

    自分の好きなタイプの作品ではないのだが、こういうのもアリかもなと思ってしまった。
    もしかしたら、"歌野晶午の作品"というバイアスがかかっているのかもしれない。

  • この本を読んで歌野晶午のファンになった。
    話の展開が読めなくて、ワクワクしました。

  • こんな作品大好き!妄想がすさまじいが、自分も妄想で病むことが多々あるので、悶々する感じ、がんばれと思う。タイトルも上手い、絶妙。納得。

  • すごい。読み応えある1冊だった…
    読んでいて 辛くなってくる
    けど
    それ以上に読まされた。
    予想以上の話のながれ
    これは?どっち??ってなる
    そういう意味では とても面白い

    内容は 読みながら思考がぐるぐる。
    被害者側、加害者側の心情
    周りからの目や気持ち、行動
    人を殺す。ということについて
    あぁ…そうかぁ…確かにね…と
    納得してしまったり。
    その立場側から見たときの正当性…

    親としての苦しみが
    痛いほど伝わってきた
    自分可愛さ故の彼の行動や気持ちも
    うんうん。って
    そうなるよ。。。って

    でも
    起きたことは変わらない

    あぁ…酷く辛い……
    これは再読。しばらく無理かな
    私が怖…となったのは
    生命保険。
    怖すぎる……

    壊滅的な中にも 救いを求める。
    最後の結末は
    苦しい読者の気持ちを
    ほんの少しだけ 軽くしてくれた

  • 流石、歌野晶午!
    相変わらず結末が読めない!
    このモヤモヤ感がクセになる。

  • 何度も何度も最悪の事態を想像しては悩み続ける富樫修。父として、夫として、自分自身の本音と向き合い、子や妻を心配し、不安に苛まれ、状況を憂い、なんとか子を守ろう、信じようとする。子育てにおいて「殺人」ということではないにしろ、親なら誰でも考えるなぁ、と共感してしまった。
    タイトルもなるほど!
    しかし、想像力豊かなパパでした。

  • もういやだこれ以上読みたくない。のに。

    自分の息子が、殺人犯だなんて、信じたくない。
    あんなに用意周到で残虐で。

    今はいつで息子はどこだ?
    こんな小説を書く作者は天才だ。

  • 文章の相性が凄いです。止まらなくて、一日で読みました。
    自宅、カフェ、庭、色々な所で読みながら、何度か、「なんやねん!」と立ち上がり、「でも、どーすんねん」と座り。最後は、「反則やー」と項垂れながらも、タイトルに共感し、文章力に感動しました。

  • とりあえずコルトウッズマンをヤフオクで検索した。

  • 葉桜の季節で気になった歌野晶午さんの作品。

    構成がものすごく独特で、前半1/4くらいは事件の事実とそれに関わる人達の感情を描くことで、その人達の個性と特徴を示唆してる。

    後半は父親の妄想編。前半で示された事実から、パラレルワールドのように真相が明かされては妄想でした、が繰り返される。
    妄想の結末は全て悲劇で、ある一家にとっての世界が終わるという結末になる。しかしその度に妄想を打ち消し、始まりに戻る。
    結局事件の真相はわからない、というミステリー小説としては変態な部類の終わり方。

    賛否両論あるかもだけど、読みやすいし没入して一気に読めた

  • 「世界の終わり、あるいは始まり」
    東京近郊で連続する誘拐殺人事件。事件が起きた町内に住む富樫修は、ある疑惑に取り憑かれる。小学校6年生の息子・雄介が事件に関わりを持っているのではないかと。


    (解説より)「白球が空から落ちてくる。それは私の未来でもある」という結末の一行は、空から落ちてきたボールに頭を打たれるという可能性を、当然のことながら合意している。雄介は犯人かも知れないし、犯人ではないかもしれない。しかし、主人公には真相を突きとめる術がないのだ(中略)。「世界の終わり、あるいは始まり」は、意外性を演出する探偵小説的な技法を用いているが、探偵小説の枠からは溢れ出してしまう過剰な作品である。探偵小説形式を21世紀的な水準に飛躍させるために、本作のような先鋭的な実験が不可欠であると、恐らく作者は考えたのであろう。


    本作の様にどう捉えて良いか判断し難い時、解説ページは有難い。読了後「作者のメッセージ・意図は何だったのか」ピンと来ない場合、上手い具合にそれを教えてくれる、又は理解の浸透を進めてくれる手助けをしてくれるケースがあるからです。


    題材はミステリー調。しかし、ミステリーの肝、犯人は雄介なのかそうではないのか、は最後まで解明されません。なるほど、だから“先鋭的な実験”小説ということだろう。


    自分の家族には関係ないと思われた誘拐殺人事件が次第に家族に忍び寄っていく中で、修は雄介が一連の事件に関与していると思われる証拠を次々と発見していきます。その過程を経ることで、雄介が犯人であるという疑惑が確信に変わっていきます。そして、事件に関与していることを一切見せない雄介にどう対処すべきか苦悩していきます。そして、自分の人生を棒に振ることなく雄介を救済し且つ妻である秀美と娘の菜穂も不幸にさせない為にはどうすべきか頭の中でシミュレーションを重ねます。


    しかし、雄介が本当に犯人だったのかまでは最後まで読んで分からないのです。黒に限りに無く近いグレーのまま「白球が空から落ちてくる。それは私の未来でもある」を迎える。


    そして表題「世界の終わり、あるいは始まりなのか」の意味。それは、
    ・雄介が黒である場合(逮捕のケース)⇒幸せな家族の生活が終焉する。雄介が逮捕されたことで始まる周囲からのバッシング、修の会社の自主退職、菜穂へのいじめ、秀美への母親失格という中傷が始まる
    ・雄介が黒である場合(黙認のケース)⇒見た目上の幸せは継続するが、それは明るい地獄が始まることを意味する。一方で、父親として一人の人間として何かが終わる
    ・雄介が白である場合⇒修の雄介への疑惑が終わる。雄介のことを深く知らなかったことから、より息子を知っていく生活(未来)が始まる


    ということなのだろうか。世間で起こる悲劇は、自分の家庭では起こらないだろうという感覚が、次第に自分にも悲劇が起きているかも知れないという不安に変わり、その中心に息子がいるかも知れないという恐怖。そして、その恐怖にどう立ち向かうべきか。どう立ち向かえば、その恐怖は何も始まることなく終わるのか。明確な解が見えないという恐怖を描く一冊。

  • 我が子は一連の誘拐殺人事件に関わっているのか?
    富樫が抱いた疑問は、調べれば調べるほどに膨らんでいく。
    富樫の父親としての苦悩がとてもリアルで、ついには妄想では?と思う域にまで達してしまう。
    雄介を守りたい気持ちもありながら周囲の目を気にしたりと、妙に「あるある」なのだ。
    物語を読んでいるうちに、気付かないうちにいつの間にか張り巡らされた糸の上を行ったりきたりする破目になる。
    ミステリーのような、サスペンスのような・・・。
    それにしても雄介という人間。
    子供とはいえ好きになれそうもない人物だった。
    父親として何をどうすることが正解だったのか。
    人生には決断しなくてはならないときが必ずあるという。
    いったい富樫はいつ何が起これば決断するのだろうか。
    あまりすっきりとした結末ではない。むしろ後味は悪いかもしれない。
    こんな結末でいいのか?と感じてしまうか、こんな結末もありか!と感じるかは人それぞれだろう。
    何となく、読み終わった後の「言いようのない戸惑い」まで歌野さんは計算して書いているのでは?と思いたくなるような物語だった。

  • 自分の息子が連続誘拐殺人事件の犯人ではないのか、そういう疑心暗鬼から生まれた「想像の巻き戻し」、シミュレーションの連続。この特異な小説のスタイルが印象的だ。
    シミュレーションのそれぞれで面白いストーリー展開を見せ、リーダビリティーが高い。この先どうなるのか、曖昧模糊としたまま終了するラストも余韻がある。
    犯罪加害者の家族が世間からどのような仕打ちを受けるのか、マスコミからどのように報道されるのか、そういったことが克明に描かれており、考えさせられる内容。実際の事件報道は他人事にすぎないこと、事件の当事者と第三者とでは大違いであることを改めて感じさせてくれる物語であった。
    雄介の部屋という、パンドラの箱を開けた主人公は、箱の底に希望を見出すことができたのだろうか。

  • キツかった。
    子を持つ親だが、読むと本当にキツかった。

  • 妄想の繰り返しが多くてどこまでが真実でどこまでが妄想の世界なのかよく分からなくなってしまった。それでも最後は歌野ワールドのあっと驚く結末が待っていると期待したが、最後まで読んでもなんとなくすっきりしない作品だった。

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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