女王様と私 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.09
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本棚登録 : 645
レビュー : 92
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043595068

感想・レビュー・書評

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  • 現実社会と仮想社会。
    リアルな自分とインターネットなどを含む媒体の中で生きている自分。
    どんどんその境目があやふやになっていき、本当の自分を見失っていく・・・。
    妄想の果てに待っている世界は、たぶん自分が一番楽で生きやすい世界なのだろう。
    有り得ない世界への境界線を越えてしまったとき、人は壊れていく一歩を踏み出しているのかもしれない。
    結末は中盤でおおよそわかってしまうけれど、最後まで飽きずに読ませる力量はさすが。
    とくに12歳の来未のキャラクターが見事すぎて圧倒された。
    読者の錯覚を利用し、考え抜かれた構成によって不思議な世界に引きずり込み、そして最後には「またやられた!」が待ち受けている。
    サスペンスに分類されているようだが、どちらかというとミステリー色のほうが強い物語のようにも感じた。
    歌野さんらしい、驚かせてくれる物語だった。

  • 主人公気持ち悪すぎだし、「女王様」の言動もやだ〜。
    不快で読むのやめよっかなーって思ったけど、なんか読んでしまった笑
    それに、結構衝撃的だったから星3つ

  • 色々とやらかしてくれる歌野さんの本で、有面なのを選んでみました。

    ロリ・オタ・プーの青年が主人公。
    人形を妹だと思い込んで、街中でも平気で話しかけたりする、アレな人。
    そんな彼が一人の女王様的な少女と出会います。
    彼女に振り回されることで、彼は少しづつ変わっていくんですが、途中で事件が発生し……という内容。

    導入の粗筋を書いてみたんですが、ネタばれになりそうなので、もうこれ以上は何にも書けません。
    ただ、「この後どうなるんだろう?」と夢中になって読んだとだけ書いておきます。
    あと巻末の解説で「人間に対する尊厳を踏みにじっている」とあるんですが、確かにそうだなぁと思います。
    インモラルな本なので、単純にお勧めは出来ないかなぁと。

    あと、この本の表紙なんですが、な~んかエロスを感じます。
    文庫カバーを忘れて、むき出しで電車で読んだんですが、恥ずかしかったです……

  • 評価
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★★☆
     キャラクター★★★★☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     河合来未の正体が加藤月だったというオチがサプライズ。真藤数馬の妄想の世界という設定のため,SF的な要素もある。歌野晶午の描く河合来未=加藤月や真藤数馬の内面的な描写が結構しっかりしているので,加藤月が真藤数馬をはめようとしていたというところで驚くことができる。とはいえ,そこまで大きなサプライズがある作品ではない。
    〇 熱中度   ★★★★☆
     真藤数馬の妄想の世界は,妄想の世界だけあって何でもアリ。どう進むのか興味を持って読むことができる。このあたりは,アニメやライトノベルの世界に近いのかもしれない。殺人が立て続けに起きるし,真藤数馬が逮捕され取調べを受けるところなど,どうなるのか予測できない。しかし,妄想の世界ということであっさり脱出。そこから捜査になる。三笠大雅の存在の軽さも含め,後半~終盤はかなり駆け足。このあたりを作りこめば傑作になったかも。それでもリーダビリティは高い。
    〇 インパクト ★★★★☆
     真藤数馬のオタクキャラのインパクトがある。また,河合来未=加藤月もインパクト抜群。そもそも大部分が真藤数馬の妄想という構成,そして父と母を殺害していたという救いのない現実。サプライズはそれほどでもないがインパクトはかなり高い。
    〇  キャラクター★★★★☆
     河合来未=加藤月もキャラクター抜群。主要な登場人物はこの二人くらい。あとは人形の絵夢。しかし,キャラクターは立っている。真藤数馬は正真正銘にむかつくキャラとして描かれている。しかし,ちょっと間違えば自分もこうなっていたかもしれないというリアリティがある。歌野晶午の世界に出てくるオタクはリアル過ぎてちょっと怖い。
    〇 読後感   ★★☆☆☆
     ひどい妄想の先にある悲惨な現実。そもそも44歳ニートの引きこもりのキモオタという主人公。読後感は結構きついものがある。
    〇 希少価値  ★☆☆☆☆
     歌野晶午は人気作家。希少価値はあまりない。
    〇 総合評価  ★★★☆☆
     歌野晶午が描くオタクは,ちょうど,自分と世代が近いせいもあってかなりリアル。今の人生からちょっと間違っていたら,こういう生活をしていた可能性もあるというリアルな恐怖がある。そして,描かれている悲惨な現実。真藤数馬のキャラクターはかなりキツイが共感してしまう部分があるのも悲しい。
     妄想部分がそれなりにミステリとして面白い。そして,妄想世界なだけあって何でもアリ。どう話が進むか分からない興味から熱中度は高い。オチは夢オチともとれるオチで,途中のリーダビリティの高さに比べるとイマイチ。河合来未=加藤月だったというオチは読めてしまう。総合的に見ると,傑作になり損ねた作品というイメージ。歌野晶牛にはこういう作品が多そう。テイストとしては折原一に近い。ある種の人間にしか感じられない奇妙なリアリティと高いリーダビリティ。オチとサプライズがもう少しあれば…。★3で。
    〇 メモ
     真藤数馬は44歳の引きこもり。プロローグは現実。進藤数馬の誕生日のシーン。続いて進藤数馬の妄想。妹扱いしているフィギュアの絵夢と日暮里の繊維街に向かう。そして日暮里で口の悪い小学生の少女に絡まられる。翌日の日曜日,渋谷に呼び出され,フランス料理をたかられる。続いて木曜日,銀座で寿司をたかられ,映画を見る。少女は来未(くるみ)と名乗り,「☆★☆★☆」のライブのチケットを公衆電話から買うように言う。
     来未からの連絡は3週間後。杠詩音という友人が殺害されたことにショックを受けていた。数馬は来未からメールアドレスを聞き,詩音についての情報を聞く。その後,小籠包の店で詩音についての話を聞く。続いて楢葉凜々香の殺人事件が起こる。凜々香も,来未と同じクラスだった。詩音はウリをしていた。凜々香は,虐待を受けている父に会いに東京に来ていた。進藤数馬は,来未のために連続殺人事件を捜査しようと考える。そして,警察官に見せる偽装をして,来未達の担任だった増田輝明の家に行く。
     増田の家に行くと増田は死んでいた。その後警察に緊急逮捕される。その後厳しい取調べを受ける。来未の同級生だった佐島香菜莉が殺害され,その凶器として真藤数馬のナイフが使われる。
     詩音,凜々香及び香菜莉の三人の殺害において,真藤を犯人とする証拠が次々と見つかる。真藤は来未来にはめられたのか。真藤は雑居棒でホモの17番という囚人に襲われ,外に出た時に連絡するように言われ,連絡先を聞く。
     真藤の前に絵夢が現れる。絵夢はこの世界は真藤の空想の世界だと告げる。絵夢は4つの願いをかなえることができるというルールを告げる。そのうちの1つの願いとして,真藤は留置所を出る。
     真藤は河合来未のモデルの撮影会の会場に行き,来未に会う。来未に真藤のことを知らない人だと言われ,真藤は来未を殺害しようとする。しかし未遂で終わり,願いを使って脱出する。次の願いで絵夢を16歳の生身の人間にして,ホテルに泊まる。
     続いて来未が殺害される。ここで,真藤は雑居棒であった16番の男に連絡する。16番の男は三笠大雅という便利屋。三笠は捜査の上,加藤月という少女が,来未達のグループにいたと告げる。その後,三笠はなぜか死ぬ。そして,真藤は三笠に紹介された整形外科医のところに行く途中で,「河合来未」を見付ける。
     真相。真藤数馬が「河合来未」として会っていたのは加藤月だった。月は整形で河合来未そっくりな顔になっていた。詩音がウリをしていたのは本当。月は詩音を殺害し,隠し持っていた携帯を奪った。そして,銀座で真藤と会っていた日に凜々香を殺害。その後,増田を殺害え真藤に罪を負わせようとする。その日に真藤のナイフ見つかったので香菜莉を殺害。最後に来未を殺害した。加藤月が死体のそばにスイレンを置いたのは,再生を願ってのこと。真藤は4つ目の願いで来未が捕まるように祈るがかなわない。そこで,空想を終わらせる。実は,4つ目の願いは,真藤が真犯人である谷口真夏の捜査をしていた三笠を殺害するために浸かっていた。
     現実。現実で真藤は父と母を殺害していた。その事実から逃れるために空想をしていたのだ。

  • 最初、キモオタの日常を描いただけの物語かと思ったら、やっぱり殺人事件が起こって、ミステリ的展開に突入していく。そこからは、反則スレスレっていうか、もうこれ、アウトじゃない!?みたいな展開が連発して、何回も唖然とさせられながら、力技でエンディングを迎える。もうこれは、こういうもんだとして楽しんだ方が良いんですね、きっと。ミステリとしての結構云々にとやかく言っても仕方ない。そういう意味では良くできたエンタメ作品だと思うし、”向日葵の~”のときに覚えた反発心を、今回はあまり自覚しなかったのです。読み手としての心持の違いかな。自分の読解力の成長と思いたい。

  • 定年で教壇を降り嘱託で学校史編纂の仕事を続けている70の老人に寄生している44歳の息子。少女の人形を連れまわし一人二役で無聊を慰める。学校にも仕事にも行けないひきこもり状態を情けなくも思うも、さりとて何をすればいいのかも分からない。自分の適性を見出すことができず結局ずるずる家にひきこもる。分かっているのは集団が苦手で勤めには向いていないこと。世の多くの人は、給料がいいとか休暇が多いとか親方日の丸だとか、志とはほど遠い理由から職に就き心を空っぽにして定年まで黙々と働く。自分に何ができるのだろうかと悩み続けるひきこもりは、ある意味よっぽど人間らしいとも思う。ひきこもり状態から何かを契機にめまぐるしい豹変を遂げる事例は枚挙にいとまなくある。
    不思議な女の子に無理やり引っ張り出され外へと一歩踏み出す。途中からは自らの意思で積極的に社会と接するようにまでなる。ひきこもりから見事に卒業するまでのサクセスストーリーを描くといいたいところだが、現実は、そうそう甘くない。長期化・高齢化しているひきこもり問題の難しさを思い知らされる。切ない胡蝶の夢が痛々しい。

  • 真藤数馬(オタク)、妹?、河合来未(小学6年生)の3人を中心に話が進む
    来未の同級生2人が殺され次は自分じゃないかと不安な気持ちを数馬に相談する。
    しかし、思っていた事とは違う方向へ進んでいく。

    数馬、オタク度全開です。
    そのオタク(ほぼニート)が殺人事件をきっかけに社会復帰出来るんじゃないかと思い始めるも最後は歌野さん得意のどんでん返しが待っています。

    うーん・・・オタクさんって・・・

  • 準ひきこもりの真藤数馬。彼は妹の絵夢の服を探しに日暮里を訪れ、そこで女王様と出会う。高い食事をおごらされ、貢がされる日々に快感を覚え始めた頃、競争率が高いアイドルのコンサートのチケットを取るように命令される。何とかネットオークションで獲得したものの、女王様はなぜか気落ちした様子でもういらないと言う。理由は、一緒に行くはずだった友達が殺されたからー。

    とにかくギャル文字?が読みにくい…。絵夢のしゃべり口調はふつうにして欲しかった。演出だったのかもしれないけど。内容はとにかく先が見えずどうなるのか分からなかったけど、ラストは何となく予想できた。

  • タイトルが気になって買いました。
    かなりの変化球ですが、ジャンルはミステリでしょうか。
    ちゃらんぽらんな私でさえ「ナメんじゃねえ」と思ったので、真面目な方には合わないかもしれません。

    小学生女子やオタクが登場人物なので、セリフに癖があります。
    小文字が高確率で出てくるので、「おにぃちゃんゎどうしてもぁの子に甘くなっちゃう」といった文にイラッとします。
    最後のカオスな会話文は、全部読まないと意味が分からないでしょう。

    主人公の進藤は、オタクでニート。
    自分では違うと言っていますが、引きこもりです。
    「親が働けるうちは養って貰う」、「子を養うのは親の義務」と思っています。
    これが通じるのは、せいぜい二十代までだろう。
    進藤は44歳ですから。
    しかも、変に道具に拘っていて、お金を掛けています。
    自主退学してからはずっと家にいるので、未婚で童貞。
    輪を掛けて、ロリコンです。

    唯一の話し相手は、妹の絵夢しかいません。
    絵夢は猫だろうと思っていたら、人形でした。
    絵夢は第三者からは人形に見えるけど、進藤とは話が出来るそうな。

    物語は、彼等兄妹(便宜上、そう表記します)が日暮里に赴くところからはじまります。
    日暮里に行った本当の理由は小学生女子ウォッチングの為ですが、進藤は色々と言い訳をしています。

    進藤は黒い服の人物に因縁をつけられるが、相手は小学生の女のコだった。
    モロストライクゾーンなのでついて行くと、翌日も少女と会うことになる。

    少女に服装がダサいと酷評されて、進藤は新しい服に着替えさせられる。
    その後、少女にフレンチを奢ることになった。

    少女の名は来未で、見た目は可愛らしいが、進藤を口汚く罵ってくる。
    しかも、上等のランチをご馳走させる羽目になっていた。

    こんな調子で話が続くならば、まだ良かったよ。
    タイトル通りの流れだもん。

    次々と、来未の友達が殺されてしまう。
    決まって、現場にはスイレンが落ちていた。
    未来はショックを受けて、殊勝な態度になる。
    未来の力になろうとして、進藤は事件の糸口を掴む為、担任の家に向かった。
    しかし、担任は殺されていて、進藤は容疑者として捕まってしまう。

    進藤は、刑事から容赦のない尋問を受けていた。
    さすがにあれはやり過ぎだし、実際にすれば刑事さんは訴えられるでしょうね。

    しかも、留置所の同じ部屋にいた一人にバックバージンを奪われてしまう。
    散々な目に遭って身も心もボロボロの進藤は、絵夢に救いを求めた。

    実は、これまでの話は進藤の妄想でした。
    まあ、そうだろうよ。
    人形が動く訳ないもん。
    進藤が妄想を止めればいいのに、どうしてなのか続行させます。
    この理由は、最後に分かります。

    進藤と絵夢は、ゲーム感覚で自分の潔白証明と犯人究明に取り掛かる。
    妄想なので、その気になれば進藤は何でも出来るが、敢えて条件を付けていた。
    何でも叶えられる願いは、全部で四つとする。

    願いでピンチを切り抜けながら、来未が事件に関わっていると推理する。
    しかし、来未も殺されてしまった。

    オチは脱力しました。
    犯人は、来未ソックリに整形したクラスメイト・月だった。
    月は、これまで殺したコ達に手を掛けることで、人生のリセットをしていた。
    新たに生まれ変わるようにと願いを込めて、スイレンを捧げていたらしい。
    加藤親子の無茶苦茶な意見にはゲンナリします。
    殺人が悪いことだと微塵も思っていません。

    月は、進藤に身代わりになれと言う。
    冗談ではないものの、状況的に進藤は不利だった。
    進藤は最後の願いを使って、月を刑事に捕まえさせようとする。

    しかし、願いは聞き入れて貰えなかった。
    進藤は、最終手段の強制リセットで妄想を終える。

    願いは、進藤が知らない間に使っていたようです。
    三笠を誰が殺したのか、その手口がどんなものかが明らかにされていません。
    あの状況は密室なので、月の仕業にするのは難しいでしょう。
    ハッキリとは言っていませんでしたが、進藤は三笠を殺したいと願っていたようだし。

    妄想から覚めた進藤には、厳しい現実が待っていた。
    妄想中に拘っていた、真夏という少女の誘拐事件。
    事件の犯人は進藤で、真夏を殺して庭に埋めていた。

    妄想中に三笠を殺した理由は、彼が真夏ちゃんの事件を追っていたから。
    しかも、実際には両親も殺している。
    だからこそ、進藤は現実から目を背けていた。

    いくら妄想とはいえ、勝手過ぎます。
    同情の余地なしです。
    読んでいる間、もにょもにょし通しでした。
    何だかんだ思いながらも、分厚い本を読み終えましたが。

    歌野さんは、いつからこんな作風になったのかしら。
    家三部作は本格派だったのに。

    最後に、どうでもいいツッコミを。
    進藤はローティーンが好きと言っていましたが、小学生はティーンじゃないよね?
    13歳からじゃないかね。

  • 2017/09/01

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プロフィール

1988年9月、『長い家の殺人』でデビュー。

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