女王様と私 (角川文庫)

著者 : 歌野晶午
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年9月25日発売)
3.08
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  • 90レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043595068

女王様と私 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 現実社会と仮想社会。
    リアルな自分とインターネットなどを含む媒体の中で生きている自分。
    どんどんその境目があやふやになっていき、本当の自分を見失っていく・・・。
    妄想の果てに待っている世界は、たぶん自分が一番楽で生きやすい世界なのだろう。
    有り得ない世界への境界線を越えてしまったとき、人は壊れていく一歩を踏み出しているのかもしれない。
    結末は中盤でおおよそわかってしまうけれど、最後まで飽きずに読ませる力量はさすが。
    とくに12歳の来未のキャラクターが見事すぎて圧倒された。
    読者の錯覚を利用し、考え抜かれた構成によって不思議な世界に引きずり込み、そして最後には「またやられた!」が待ち受けている。
    サスペンスに分類されているようだが、どちらかというとミステリー色のほうが強い物語のようにも感じた。
    歌野さんらしい、驚かせてくれる物語だった。

  • 主人公気持ち悪すぎだし、「女王様」の言動もやだ〜。
    不快で読むのやめよっかなーって思ったけど、なんか読んでしまった笑
    それに、結構衝撃的だったから星3つ

  • 色々とやらかしてくれる歌野さんの本で、有面なのを選んでみました。

    ロリ・オタ・プーの青年が主人公。
    人形を妹だと思い込んで、街中でも平気で話しかけたりする、アレな人。
    そんな彼が一人の女王様的な少女と出会います。
    彼女に振り回されることで、彼は少しづつ変わっていくんですが、途中で事件が発生し……という内容。

    導入の粗筋を書いてみたんですが、ネタばれになりそうなので、もうこれ以上は何にも書けません。
    ただ、「この後どうなるんだろう?」と夢中になって読んだとだけ書いておきます。
    あと巻末の解説で「人間に対する尊厳を踏みにじっている」とあるんですが、確かにそうだなぁと思います。
    インモラルな本なので、単純にお勧めは出来ないかなぁと。

    あと、この本の表紙なんですが、な~んかエロスを感じます。
    文庫カバーを忘れて、むき出しで電車で読んだんですが、恥ずかしかったです……

  • 定年で教壇を降り嘱託で学校史編纂の仕事を続けている70の老人に寄生している44歳の息子。少女の人形を連れまわし一人二役で無聊を慰める。学校にも仕事にも行けないひきこもり状態を情けなくも思うも、さりとて何をすればいいのかも分からない。自分の適性を見出すことができず結局ずるずる家にひきこもる。分かっているのは集団が苦手で勤めには向いていないこと。世の多くの人は、給料がいいとか休暇が多いとか親方日の丸だとか、志とはほど遠い理由から職に就き心を空っぽにして定年まで黙々と働く。自分に何ができるのだろうかと悩み続けるひきこもりは、ある意味よっぽど人間らしいとも思う。ひきこもり状態から何かを契機にめまぐるしい豹変を遂げる事例は枚挙にいとまなくある。
    不思議な女の子に無理やり引っ張り出され外へと一歩踏み出す。途中からは自らの意思で積極的に社会と接するようにまでなる。ひきこもりから見事に卒業するまでのサクセスストーリーを描くといいたいところだが、現実は、そうそう甘くない。長期化・高齢化しているひきこもり問題の難しさを思い知らされる。切ない胡蝶の夢が痛々しい。

  • 真藤数馬(オタク)、妹?、河合来未(小学6年生)の3人を中心に話が進む
    来未の同級生2人が殺され次は自分じゃないかと不安な気持ちを数馬に相談する。
    しかし、思っていた事とは違う方向へ進んでいく。

    数馬、オタク度全開です。
    そのオタク(ほぼニート)が殺人事件をきっかけに社会復帰出来るんじゃないかと思い始めるも最後は歌野さん得意のどんでん返しが待っています。

    うーん・・・オタクさんって・・・

  • 準ひきこもりの真藤数馬。彼は妹の絵夢の服を探しに日暮里を訪れ、そこで女王様と出会う。高い食事をおごらされ、貢がされる日々に快感を覚え始めた頃、競争率が高いアイドルのコンサートのチケットを取るように命令される。何とかネットオークションで獲得したものの、女王様はなぜか気落ちした様子でもういらないと言う。理由は、一緒に行くはずだった友達が殺されたからー。

    とにかくギャル文字?が読みにくい…。絵夢のしゃべり口調はふつうにして欲しかった。演出だったのかもしれないけど。内容はとにかく先が見えずどうなるのか分からなかったけど、ラストは何となく予想できた。

  • タイトルが気になって買いました。
    かなりの変化球ですが、ジャンルはミステリでしょうか。
    ちゃらんぽらんな私でさえ「ナメんじゃねえ」と思ったので、真面目な方には合わないかもしれません。

    小学生女子やオタクが登場人物なので、セリフに癖があります。
    小文字が高確率で出てくるので、「おにぃちゃんゎどうしてもぁの子に甘くなっちゃう」といった文にイラッとします。
    最後のカオスな会話文は、全部読まないと意味が分からないでしょう。

    主人公の進藤は、オタクでニート。
    自分では違うと言っていますが、引きこもりです。
    「親が働けるうちは養って貰う」、「子を養うのは親の義務」と思っています。
    これが通じるのは、せいぜい二十代までだろう。
    進藤は44歳ですから。
    しかも、変に道具に拘っていて、お金を掛けています。
    自主退学してからはずっと家にいるので、未婚で童貞。
    輪を掛けて、ロリコンです。

    唯一の話し相手は、妹の絵夢しかいません。
    絵夢は猫だろうと思っていたら、人形でした。
    絵夢は第三者からは人形に見えるけど、進藤とは話が出来るそうな。

    物語は、彼等兄妹(便宜上、そう表記します)が日暮里に赴くところからはじまります。
    日暮里に行った本当の理由は小学生女子ウォッチングの為ですが、進藤は色々と言い訳をしています。

    進藤は黒い服の人物に因縁をつけられるが、相手は小学生の女のコだった。
    モロストライクゾーンなのでついて行くと、翌日も少女と会うことになる。

    少女に服装がダサいと酷評されて、進藤は新しい服に着替えさせられる。
    その後、少女にフレンチを奢ることになった。

    少女の名は来未で、見た目は可愛らしいが、進藤を口汚く罵ってくる。
    しかも、上等のランチをご馳走させる羽目になっていた。

    こんな調子で話が続くならば、まだ良かったよ。
    タイトル通りの流れだもん。

    次々と、来未の友達が殺されてしまう。
    決まって、現場にはスイレンが落ちていた。
    未来はショックを受けて、殊勝な態度になる。
    未来の力になろうとして、進藤は事件の糸口を掴む為、担任の家に向かった。
    しかし、担任は殺されていて、進藤は容疑者として捕まってしまう。

    進藤は、刑事から容赦のない尋問を受けていた。
    さすがにあれはやり過ぎだし、実際にすれば刑事さんは訴えられるでしょうね。

    しかも、留置所の同じ部屋にいた一人にバックバージンを奪われてしまう。
    散々な目に遭って身も心もボロボロの進藤は、絵夢に救いを求めた。

    実は、これまでの話は進藤の妄想でした。
    まあ、そうだろうよ。
    人形が動く訳ないもん。
    進藤が妄想を止めればいいのに、どうしてなのか続行させます。
    この理由は、最後に分かります。

    進藤と絵夢は、ゲーム感覚で自分の潔白証明と犯人究明に取り掛かる。
    妄想なので、その気になれば進藤は何でも出来るが、敢えて条件を付けていた。
    何でも叶えられる願いは、全部で四つとする。

    願いでピンチを切り抜けながら、来未が事件に関わっていると推理する。
    しかし、来未も殺されてしまった。

    オチは脱力しました。
    犯人は、来未ソックリに整形したクラスメイト・月だった。
    月は、これまで殺したコ達に手を掛けることで、人生のリセットをしていた。
    新たに生まれ変わるようにと願いを込めて、スイレンを捧げていたらしい。
    加藤親子の無茶苦茶な意見にはゲンナリします。
    殺人が悪いことだと微塵も思っていません。

    月は、進藤に身代わりになれと言う。
    冗談ではないものの、状況的に進藤は不利だった。
    進藤は最後の願いを使って、月を刑事に捕まえさせようとする。

    しかし、願いは聞き入れて貰えなかった。
    進藤は、最終手段の強制リセットで妄想を終える。

    願いは、進藤が知らない間に使っていたようです。
    三笠を誰が殺したのか、その手口がどんなものかが明らかにされていません。
    あの状況は密室なので、月の仕業にするのは難しいでしょう。
    ハッキリとは言っていませんでしたが、進藤は三笠を殺したいと願っていたようだし。

    妄想から覚めた進藤には、厳しい現実が待っていた。
    妄想中に拘っていた、真夏という少女の誘拐事件。
    事件の犯人は進藤で、真夏を殺して庭に埋めていた。

    妄想中に三笠を殺した理由は、彼が真夏ちゃんの事件を追っていたから。
    しかも、実際には両親も殺している。
    だからこそ、進藤は現実から目を背けていた。

    いくら妄想とはいえ、勝手過ぎます。
    同情の余地なしです。
    読んでいる間、もにょもにょし通しでした。
    何だかんだ思いながらも、分厚い本を読み終えましたが。

    歌野さんは、いつからこんな作風になったのかしら。
    家三部作は本格派だったのに。

    最後に、どうでもいいツッコミを。
    進藤はローティーンが好きと言っていましたが、小学生はティーンじゃないよね?
    13歳からじゃないかね。

  • 2017/09/01

  • 【ネタバレ全開です。ご注意ください】一旦観はじめた映画はどんな映画であろうと最後まで観るのと同様、一旦読みはじめた本も途中で投げ出すことはまずありません。これも映画と同様、本に関しても私のハードルはわりと低く、何でも楽しめるおかげだと思っています。だから、たとえば★5段階で評価するとしたら、最後まで読むことができたならば★3つ。そこそこ楽しめたら★3.5を付けます。★4以上が私の「かなり面白かった」。

    ここ15年で読んだ本のうち、最後まで読んだにもかかわらず★2.5としたのは、若竹七海の『クール・キャンデー』。読んだのが昔すぎて、内容をほとんど覚えていないのですが、読み終わったときにものすごく不愉快だったことだけ覚えています。Amazon等レビューサイトの評価は悪くないので、何かが私に合わなかっただけかと。それと伊藤計劃の『虐殺器官』。これは傑作らしく、面白いのだろうとは思うのですが、私にはまったくついていけなくて、ただただ読むのが苦痛でした。

    この2冊以外は、私の評価はすべて★3以上なのです。が、本作は★1としたい。これまでの人生で読んだ本の中でいちばん嫌いです。

    あとがきや解説なし、本編だけで494頁の分厚さ。最初の数頁で無理かもしれないと思いましたが、3日がかりで最後まで。ここまで嫌いだと言いつつ3日で読めたのですから、読みにくくはありません。だけど、頁を繰るごとに増してゆく不愉快さ。以下、ネタバレ全開です。

    主人公の数馬の「うんざりするような現実」「めくるめく妄想」「まぎれもない現実」の三部構成でその大半が「妄想」。数馬が連続少女殺害事件に巻き込まれるという物語なのですけれど。

    数馬はロリコンのひきこもりで、秋葉原をぶらついているときに黒服からいきなり言いがかりをつけられます。殴られるわ蹴られるわでボコボコにされて、警察に突き出されたくなかったら自分の言うことを聞けと言われ、言いなりに。

    頁を繰るごとに判明した不愉快なこといろいろ。私が勝手に思い込まされていたわけですから、そこが著者の巧さでもあるのでしょうけれど。

    ・20歳そこそこに思えた黒服が小学生だった。
    ・せいぜい30代半ばだと思っていた数馬が、44歳の童貞ひきこもりロリコンだった。
    ・数馬が引き連れて歩く「妹」は人形で、数馬は一人二役でしゃべる。

    もうこの設定が気持ち悪いのなんのって。しかもその「妹」の話し言葉は「わたしゎ」「~だぉ」という私の苦手な字面。数馬が少女殺しの濡れ衣を着せられているとおぼしき場面でも同情心はまったく起きず。

    最終的にどうだったかと言うと、数馬はその昔、少女を誘拐して殺害、裏庭に埋めていた。自分の両親も殺していたという驚愕の事実。良心の痛みから「妄想」を見させたのだというオチで、目が点に。まったく面白いとは思えず、不愉快なだけでした。「妄想」に出てくる少女たちが、売春していたり、性的虐待に遭っていたり、リストカット癖があったり、整形したり。自分の娘が殺人を犯しているというのに、「うちの娘は悪を排除しただけ」だとか「子どものすることなんだから」と言ったりする親。社会問題をすべて取り込んでいると言えばそうなのかもしれません。だけど私はこんなふうな問題の提示の仕方は好きじゃない。

    読んだことは決して忘れない本です。そういう意味では凄い作品なのかもしれません。

  • 29/1/6

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