女王様と私 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.08
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本棚登録 : 681
レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043595068

感想・レビュー・書評

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  • 現実社会と仮想社会。
    リアルな自分とインターネットなどを含む媒体の中で生きている自分。
    どんどんその境目があやふやになっていき、本当の自分を見失っていく・・・。
    妄想の果てに待っている世界は、たぶん自分が一番楽で生きやすい世界なのだろう。
    有り得ない世界への境界線を越えてしまったとき、人は壊れていく一歩を踏み出しているのかもしれない。
    結末は中盤でおおよそわかってしまうけれど、最後まで飽きずに読ませる力量はさすが。
    とくに12歳の来未のキャラクターが見事すぎて圧倒された。
    読者の錯覚を利用し、考え抜かれた構成によって不思議な世界に引きずり込み、そして最後には「またやられた!」が待ち受けている。
    サスペンスに分類されているようだが、どちらかというとミステリー色のほうが強い物語のようにも感じた。
    歌野さんらしい、驚かせてくれる物語だった。

  • 主人公気持ち悪すぎだし、「女王様」の言動もやだ〜。
    不快で読むのやめよっかなーって思ったけど、なんか読んでしまった笑
    それに、結構衝撃的だったから星3つ

  • 色々とやらかしてくれる歌野さんの本で、有面なのを選んでみました。

    ロリ・オタ・プーの青年が主人公。
    人形を妹だと思い込んで、街中でも平気で話しかけたりする、アレな人。
    そんな彼が一人の女王様的な少女と出会います。
    彼女に振り回されることで、彼は少しづつ変わっていくんですが、途中で事件が発生し……という内容。

    導入の粗筋を書いてみたんですが、ネタばれになりそうなので、もうこれ以上は何にも書けません。
    ただ、「この後どうなるんだろう?」と夢中になって読んだとだけ書いておきます。
    あと巻末の解説で「人間に対する尊厳を踏みにじっている」とあるんですが、確かにそうだなぁと思います。
    インモラルな本なので、単純にお勧めは出来ないかなぁと。

    あと、この本の表紙なんですが、な~んかエロスを感じます。
    文庫カバーを忘れて、むき出しで電車で読んだんですが、恥ずかしかったです……

  • 後味のいい小説ではないことは確か。この設定には賛否両論だろう。
    ただ、言えるのは、この小説も再読はないだろうという事。

  • 夢落ちかよ

  • 引きこもりの40過ぎのオタクが殺人事件に巻き込まれて…。さすがに歌野晶午氏の作品だけあって、一筋縄ではいかない。

    オタクが女王様?にイジられる冒頭から、事件に巻き込まれ、さらにはオタクの恋愛?再生?色々な要素を含ませながら常に意表を突く展開が畳みかけられる。
    最後の最後まで予断を許さない展開で一気に読める。

    でも、しかし…、いかんせん話が長いしあまりにも荒唐無稽すぎて説得力はゼロ。映画ではこういうネタがあったが。

    そして、この展開だから当然カタルシスはゼロ。
    歌野氏の作品の場合、モラルや現実的な設定は軽く超越するのでそこはいいとしても、無駄な描写や会話エピソードが鼻につく。
    もう少しスッキリした方が、面白かったような気がする。

  • 評価
     サプライズ ★★★☆☆
     熱中度   ★★★☆☆
     インパクト ★★★★☆
     キャラクター★★★★☆
     読後感   ★★☆☆☆
     希少価値  ★☆☆☆☆
     総合評価  ★★★☆☆

    〇 サプライズ ★★★☆☆
     河合来未の正体が加藤月だったというオチがサプライズ。真藤数馬の妄想の世界という設定のため,SF的な要素もある。歌野晶午の描く河合来未=加藤月や真藤数馬の内面的な描写が結構しっかりしているので,加藤月が真藤数馬をはめようとしていたというところで驚くことができる。とはいえ,そこまで大きなサプライズがある作品ではない。
    〇 熱中度   ★★★★☆
     真藤数馬の妄想の世界は,妄想の世界だけあって何でもアリ。どう進むのか興味を持って読むことができる。このあたりは,アニメやライトノベルの世界に近いのかもしれない。殺人が立て続けに起きるし,真藤数馬が逮捕され取調べを受けるところなど,どうなるのか予測できない。しかし,妄想の世界ということであっさり脱出。そこから捜査になる。三笠大雅の存在の軽さも含め,後半~終盤はかなり駆け足。このあたりを作りこめば傑作になったかも。それでもリーダビリティは高い。
    〇 インパクト ★★★★☆
     真藤数馬のオタクキャラのインパクトがある。また,河合来未=加藤月もインパクト抜群。そもそも大部分が真藤数馬の妄想という構成,そして父と母を殺害していたという救いのない現実。サプライズはそれほどでもないがインパクトはかなり高い。
    〇  キャラクター★★★★☆
     河合来未=加藤月もキャラクター抜群。主要な登場人物はこの二人くらい。あとは人形の絵夢。しかし,キャラクターは立っている。真藤数馬は正真正銘にむかつくキャラとして描かれている。しかし,ちょっと間違えば自分もこうなっていたかもしれないというリアリティがある。歌野晶午の世界に出てくるオタクはリアル過ぎてちょっと怖い。
    〇 読後感   ★★☆☆☆
     ひどい妄想の先にある悲惨な現実。そもそも44歳ニートの引きこもりのキモオタという主人公。読後感は結構きついものがある。
    〇 希少価値  ★☆☆☆☆
     歌野晶午は人気作家。希少価値はあまりない。
    〇 総合評価  ★★★☆☆
     歌野晶午が描くオタクは,ちょうど,自分と世代が近いせいもあってかなりリアル。今の人生からちょっと間違っていたら,こういう生活をしていた可能性もあるというリアルな恐怖がある。そして,描かれている悲惨な現実。真藤数馬のキャラクターはかなりキツイが共感してしまう部分があるのも悲しい。
     妄想部分がそれなりにミステリとして面白い。そして,妄想世界なだけあって何でもアリ。どう話が進むか分からない興味から熱中度は高い。オチは夢オチともとれるオチで,途中のリーダビリティの高さに比べるとイマイチ。河合来未=加藤月だったというオチは読めてしまう。総合的に見ると,傑作になり損ねた作品というイメージ。歌野晶牛にはこういう作品が多そう。テイストとしては折原一に近い。ある種の人間にしか感じられない奇妙なリアリティと高いリーダビリティ。オチとサプライズがもう少しあれば…。★3で。
    〇 メモ
     真藤数馬は44歳の引きこもり。プロローグは現実。進藤数馬の誕生日のシーン。続いて進藤数馬の妄想。妹扱いしているフィギュアの絵夢と日暮里の繊維街に向かう。そして日暮里で口の悪い小学生の少女に絡まられる。翌日の日曜日,渋谷に呼び出され,フランス料理をたかられる。続いて木曜日,銀座で寿司をたかられ,映画を見る。少女は来未(くるみ)と名乗り,「☆★☆★☆」のライブのチケットを公衆電話から買うように言う。
     来未からの連絡は3週間後。杠詩音という友人が殺害されたことにショックを受けていた。数馬は来未からメールアドレスを聞き,詩音についての情報を聞く。その後,小籠包の店で詩音についての話を聞く。続いて楢葉凜々香の殺人事件が起こる。凜々香も,来未と同じクラスだった。詩音はウリをしていた。凜々香は,虐待を受けている父に会いに東京に来ていた。進藤数馬は,来未のために連続殺人事件を捜査しようと考える。そして,警察官に見せる偽装をして,来未達の担任だった増田輝明の家に行く。
     増田の家に行くと増田は死んでいた。その後警察に緊急逮捕される。その後厳しい取調べを受ける。来未の同級生だった佐島香菜莉が殺害され,その凶器として真藤数馬のナイフが使われる。
     詩音,凜々香及び香菜莉の三人の殺害において,真藤を犯人とする証拠が次々と見つかる。真藤は来未来にはめられたのか。真藤は雑居棒でホモの17番という囚人に襲われ,外に出た時に連絡するように言われ,連絡先を聞く。
     真藤の前に絵夢が現れる。絵夢はこの世界は真藤の空想の世界だと告げる。絵夢は4つの願いをかなえることができるというルールを告げる。そのうちの1つの願いとして,真藤は留置所を出る。
     真藤は河合来未のモデルの撮影会の会場に行き,来未に会う。来未に真藤のことを知らない人だと言われ,真藤は来未を殺害しようとする。しかし未遂で終わり,願いを使って脱出する。次の願いで絵夢を16歳の生身の人間にして,ホテルに泊まる。
     続いて来未が殺害される。ここで,真藤は雑居棒であった16番の男に連絡する。16番の男は三笠大雅という便利屋。三笠は捜査の上,加藤月という少女が,来未達のグループにいたと告げる。その後,三笠はなぜか死ぬ。そして,真藤は三笠に紹介された整形外科医のところに行く途中で,「河合来未」を見付ける。
     真相。真藤数馬が「河合来未」として会っていたのは加藤月だった。月は整形で河合来未そっくりな顔になっていた。詩音がウリをしていたのは本当。月は詩音を殺害し,隠し持っていた携帯を奪った。そして,銀座で真藤と会っていた日に凜々香を殺害。その後,増田を殺害え真藤に罪を負わせようとする。その日に真藤のナイフ見つかったので香菜莉を殺害。最後に来未を殺害した。加藤月が死体のそばにスイレンを置いたのは,再生を願ってのこと。真藤は4つ目の願いで来未が捕まるように祈るがかなわない。そこで,空想を終わらせる。実は,4つ目の願いは,真藤が真犯人である谷口真夏の捜査をしていた三笠を殺害するために浸かっていた。
     現実。現実で真藤は父と母を殺害していた。その事実から逃れるために空想をしていたのだ。

  • 最初、キモオタの日常を描いただけの物語かと思ったら、やっぱり殺人事件が起こって、ミステリ的展開に突入していく。そこからは、反則スレスレっていうか、もうこれ、アウトじゃない!?みたいな展開が連発して、何回も唖然とさせられながら、力技でエンディングを迎える。もうこれは、こういうもんだとして楽しんだ方が良いんですね、きっと。ミステリとしての結構云々にとやかく言っても仕方ない。そういう意味では良くできたエンタメ作品だと思うし、”向日葵の~”のときに覚えた反発心を、今回はあまり自覚しなかったのです。読み手としての心持の違いかな。自分の読解力の成長と思いたい。

  • 定年で教壇を降り嘱託で学校史編纂の仕事を続けている70の老人に寄生している44歳の息子。少女の人形を連れまわし一人二役で無聊を慰める。学校にも仕事にも行けないひきこもり状態を情けなくも思うも、さりとて何をすればいいのかも分からない。自分の適性を見出すことができず結局ずるずる家にひきこもる。分かっているのは集団が苦手で勤めには向いていないこと。世の多くの人は、給料がいいとか休暇が多いとか親方日の丸だとか、志とはほど遠い理由から職に就き心を空っぽにして定年まで黙々と働く。自分に何ができるのだろうかと悩み続けるひきこもりは、ある意味よっぽど人間らしいとも思う。ひきこもり状態から何かを契機にめまぐるしい豹変を遂げる事例は枚挙にいとまなくある。
    不思議な女の子に無理やり引っ張り出され外へと一歩踏み出す。途中からは自らの意思で積極的に社会と接するようにまでなる。ひきこもりから見事に卒業するまでのサクセスストーリーを描くといいたいところだが、現実は、そうそう甘くない。長期化・高齢化しているひきこもり問題の難しさを思い知らされる。切ない胡蝶の夢が痛々しい。

  • 真藤数馬(オタク)、妹?、河合来未(小学6年生)の3人を中心に話が進む
    来未の同級生2人が殺され次は自分じゃないかと不安な気持ちを数馬に相談する。
    しかし、思っていた事とは違う方向へ進んでいく。

    数馬、オタク度全開です。
    そのオタク(ほぼニート)が殺人事件をきっかけに社会復帰出来るんじゃないかと思い始めるも最後は歌野さん得意のどんでん返しが待っています。

    うーん・・・オタクさんって・・・

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。東京農工大学卒。88年『長い家の殺人』でデビュー。2003年に刊行された『葉桜の季節に君を想うということ』が「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」共に第1位、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞。10年には『密室殺人ゲーム2.0』で史上初、2度目となる第10回本格ミステリ大賞を受賞。その他の著書に、『世界の終わり、あるいは始まり』『家守』『ずっとあなたが好きでした』等がある。

「2019年 『Dの殺人事件、まことに恐ろしきは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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