ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.54
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本棚登録 : 2697
レビュー : 420
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043596010

作品紹介・あらすじ

-教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。文学界に新境地を切り拓き、日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞を受賞した怪奇文学の新古典。

感想・レビュー・書評

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  • 岡山弁に馴染みがなくて読むのに苦労したが、この方言だからこその魅力があって良い。
    ホラーと言うより、民話の語り部を聞いているような心地よさもあり他の作品も是非読んでみたい。

  • 岡山の山村や漁村での怪談(民話?)をテーマにしたホラー短編集。
    表題作については「ゾンビ屋れい子」というお気に入りのホラー漫画で同じような話を読んだことがありそれほど怖くなかった。
    しかし、どの話も方言で語られるからだろうか、日本特有のじめじめした恐怖が感じられる。
    また、どれも怪奇にあうのは弱い立場の者たち(地位が低かったり、嫌われていたり、虐げられている者)というのがなんだかやるせない。
    現状が苦しいものこそ魔界との境に近いのかもしれない。

  • タイトルの"ぼっけえ、きょうてえ"は岡山地方の方言で、"とても、怖い"という。きょうてえ話が四篇。女郎のきょうてえ話から始まり、コレラに苦しむ村の人間がきょうてえ話、岡山の町から漁村に嫁いできた女が受けるきょうてえ仕打ち、そして家畜以下の暮らしを強いられ、村人から忌み嫌われる兄妹のきょうてえ話。件は件でも地獄にいる件とな。お咲やシズの母親など色んな意味でだらしないが、妖艶な女性がとても魅力的

  • 読了日2010/03
    ホラーというより怪談って感じ。
    こういう土俗的な話、大好きです!
    明治時代の山に囲まれた村に語り継がれる怖い話とか(笑)

    岡山弁で語られてる所にまたまた怖さを感じます。
    「きゃ~こわい~!!」って感じじゃないけど、じわじわと鳥肌が立つ感じ。
    まさしく、日本のホラーです。

  • 非常に面白くて興奮した。怖さからいったら、「黒い家」よりも怖い。不気味さは「リング」並み。日本ホラー大賞および山本周五郎賞を受賞した作品。
    日本の閉鎖的な村の怪奇な短編集。作者の出身地である岡山が舞台となっていて、方言で語られるのだが、これがなんとも言えず恐ろしく、鳥肌が立ちっぱなしだった。
    表題作は、貧しい村に生まれた女性の人生がいかに悲惨か、読んでいて苦しくなる。他の短編も、どれも非常に構成が巧いと感じた。とにかく、一度手に取ったら止められず、のめりこんであっという間に読み終わった。怖い話が苦手な人は寝る前に読まないほうがいいかもしれない。

  • 岡山出身の友人から岡山の北部は日本のダークサイドだと言われて意味が分からず、津山事件もよく知らないし、金田一も孫の活躍世代なので、参考資料として薦められたこの本を読んでみました。
    岩井志麻子さんて岡山の人だったんだね。
    桃太郎が徒歩で遠征できる距離に「鬼ヶ島」があるくらいだし、岡山がきびだんごとマスカットと白桃とママカリと黄ニラとイナバの物置みたいな岡山城だけではない不思議の国であることがなんとなくわかりました。
    どの時代でも貧しい人は誰かを自分より下だと見下すことで心の安寧を図るのかな。物質的な貧しさが消えても心が貧しければこの構図は変わらないのだろうな。

  • 怖さはあんまりなかった。
    表題作は中島みゆきのエレーンや異国にリンクする部分があって、怖さより切なさを感じた。

  • 文庫化された15年前から読みたかった本だけど、ホラーが苦手で手を出せず。しかし最近になって、テレビから女の人が出てくるようなやつじゃなければ大丈夫なような気がして(笑)、ホラーにもよくチャレンジ。著者が下ネタ炸裂でメディアに頻出中とも知らずに読みました。

    楳図かずおの作品を思わせる表題作のほか、なんとも不気味な短編集。津山三十人殺しを取り上げた『丑三つの村』を読んでいれば、より臨場感が高まります。私ったら、ホラー苦手どころか好きみたい(笑)。

    解説を書くときですら文章がページをまたがない京極夏彦。確かに、優れた怪談です。

  • 自分が思い描いていた岡山県北の薄暗くて湿度の高い雰囲気が完璧に描かれている。

    つい最近、津山の民家からコレラ罹患者の密告箱が見つかったというニュースもあり、また、有名な津山事件や美作騒擾が現実の出来事だということを考えると、この作品がめちゃくちゃリアルに感じられる。
    津山って本当に近所に同じ名字ばかりだったりするんですよ。

    加えて、すごいと思うのが、現代の津山を訪れてみても、なんとなくこの作品の世界観の名残を感じるというか、「そういうことがあったとしても不思議はないなあ」と思えるところ。

    久しぶりに寝る間を惜しんで読み進めたすばらしい読書体験でした。

  •  日本の近年のホラー小説で評判のものをネットで検索してみて、この本を知ったのである。
     1999年に表題作が日本ホラー小説大賞を受賞、書き下ろしの3編の短篇を併録して刊行した本書が、さらに山本周五郎賞を受賞したそうだ。
     これはなかなか優れた作品集だった。
     表題作は悲惨でグロテスクな世界の極限を表出しており、極めて印象が強い。これで文章がもう少し良ければ、非常に優れた文学作品として太鼓判を押すところだった。特定の相手に向かっての語りとして設定された一人称体だが、やたらと改行が多く、あるページなどは短い文が全部改行されており、詩集の中の1項みたいに余白だらけだった。改行しすぎると却って意味が掴みにくい。
     他の3つの短篇ではもう少し「改行」はましであり、特に最後の作品はちょっと文学調の味わいの深い文体となっていて、角川ホラー文庫の読者にはややめんどくさいものと映らないか心配である。ただ、それでもこの文章にはどこかなじみにくいものがあった。
     しかし物語内容は、いずれも非常に印象的だった。明治から昭和初期あたりくらいの岡山を舞台としていて、いかにも日本的な田舎の、土俗性が強く出ていて魅力的だ。その中で展開される物語は、その一場面のイメージが読後にも残すような強さを持っており、これは文学としてアドバンテージが高い。とても良い小説集である。

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著者プロフィール

1964年、岡山県生まれ。99年に「ぼっけえ、きょうてえ」で日本ホラー小説大賞を受賞。また、同作を収録した短編集により山本周五郎賞も射止める。他に『岡山女』『魔羅節』『チャイ・コイ』(婦人公論文芸賞)、『自由恋愛』(島清恋愛文学賞)など著書多数。

「2021年 『でえれえ、やっちもねえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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