- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043596010
感想・レビュー・書評
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非常に面白くて興奮した。怖さからいったら、「黒い家」よりも怖い。不気味さは「リング」並み。日本ホラー大賞および山本周五郎賞を受賞した作品。
日本の閉鎖的な村の怪奇な短編集。作者の出身地である岡山が舞台となっていて、方言で語られるのだが、これがなんとも言えず恐ろしく、鳥肌が立ちっぱなしだった。
表題作は、貧しい村に生まれた女性の人生がいかに悲惨か、読んでいて苦しくなる。他の短編も、どれも非常に構成が巧いと感じた。とにかく、一度手に取ったら止められず、のめりこんであっという間に読み終わった。怖い話が苦手な人は寝る前に読まないほうがいいかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本作は言い伝えが強く伝えられている土地を舞台とした部落ホラー(?)である。言い伝えや登場人物の生い立ちが異なる4つの物語で構成されている。
※以下ネタバレ注意※
特に好きだったのは「密告箱」でした。平穏な暮らしに満足ができない男が破滅的な女と出会い、堕ちてゆく。そして、しまいには連れ添っていた女の怨念自体が密告箱となって男を陥れる様は男が根本的に悪いのだが、可哀想でした。他の物語はあまり響かなかったので星3つです。 -
人の怖さ。おぞましさ。
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人怖的な話。ホラーという分類で読むと面白くない気がしてますが、女の破滅話として読むと面白いのでは。(私はその分野もあれですが)
あと、話自体はもう少し短く書ける気がしていて、冗長なのかなと。 -
白黒の日本映画を観ているような読書感です。対話形式なんだけど、一人語りという珍しい形式で書かれ、そのこちらにしゃべりかけてくる感じが、読み進めていく内にある瞬間にゾッとします。後ろ確認してしまいます。ろうそくの灯りで読んだりしたら、眠れなくなりますね。でも、どこか女の切ない美しい感じも読み取る事ができて、日本女性の奥ゆかしさと、恐ろしさを感じます。失われつつある日本文化を感じる素敵な作品です。
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明治時代の岡山の共同体で舞台にした、言葉にすることもできず、虐げられた登場人物たちの情が溢れるように描かれる。作品の中で、コミュニティ(村、社会)を維持していくために犠牲になるなる弱者の姿をみて、これは現在の日本そのまんまじゃないかと思ったな。学校や職場でのいじめ、東京オリンピックでの女性、障害者、性的少数者、外国人など様々な弱者に対する差別問題、コロナ問題、政治的なねじれ、遠い昔の話じゃない。
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話に出てくる女性たちがみな不憫でならない。幽霊や化け物といった類のものよりも、生きている人間の方が恐ろしく感じた。
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日本の近年のホラー小説で評判のものをネットで検索してみて、この本を知ったのである。
1999年に表題作が日本ホラー小説大賞を受賞、書き下ろしの3編の短篇を併録して刊行した本書が、さらに山本周五郎賞を受賞したそうだ。
これはなかなか優れた作品集だった。
表題作は悲惨でグロテスクな世界の極限を表出しており、極めて印象が強い。これで文章がもう少し良ければ、非常に優れた文学作品として太鼓判を押すところだった。特定の相手に向かっての語りとして設定された一人称体だが、やたらと改行が多く、あるページなどは短い文が全部改行されており、詩集の中の1項みたいに余白だらけだった。改行しすぎると却って意味が掴みにくい。
他の3つの短篇ではもう少し「改行」はましであり、特に最後の作品はちょっと文学調の味わいの深い文体となっていて、角川ホラー文庫の読者にはややめんどくさいものと映らないか心配である。ただ、それでもこの文章にはどこかなじみにくいものがあった。
しかし物語内容は、いずれも非常に印象的だった。明治から昭和初期あたりくらいの岡山を舞台としていて、いかにも日本的な田舎の、土俗性が強く出ていて魅力的だ。その中で展開される物語は、その一場面のイメージが読後にも残すような強さを持っており、これは文学としてアドバンテージが高い。とても良い小説集である。 -
20年くらい前に「怖い」と有名だった本書。
ホラーは苦手だが、kindleで安かったので購入。
岡山を舞台にした怪談短編集。
幽霊や化け物といった類のものは人間の心が作り出すのだろう。
あまり怖いとは感じなかった。
近年は、著書よりご本人のキャラが立っているようだ。