夢にも思わない (角川文庫)

著者 :
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感想 : 257
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611027

作品紹介・あらすじ

毎年、九月末になると「白河庭園」で行われる、虫聞きの会。もう二十年近くも続いているという、そんな風流な催しに、僕が行く気になったのは、一にも二にもクドウさんのためだった。毎年家族で訪れているというクドウさんと偶然を装って会うはずだった。それなのに…。-殺されたのはクドウさんの従姉だった。事件は思いがけない方向に進んでいき無責任な噂があとを絶たない。僕は親友の島崎と真相究明にのりだした。大好きな彼女は僕が守る。

感想・レビュー・書評

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  • 秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会に、大好きなクドウさんが参加するというので、僕も行ってみることにした。
    しかしそこで殺人事件が起こる。
    クドウさんかと見間違えたその少女の死体は、クドウさんの従姉だった。
    被害者には売春組織とかかわりがあったらしいとの噂がたち、クドウさんは
    学校を休みがちになる。
    彼女のために、親友の島崎と真相の究明に乗り出した。

    初出は1997年。
    私が中高くらいのころ、携帯が普及しだしたルーズソックス全盛期に、
    「エンコー」「ウリ」なんていう言葉が出てきたように思うので、
    この作品はちょうどそのころの世相を反映しているようだった。
    今は出会い系やSNSや、出会いの場が広がって、もっと複雑化、多様化している気もする。

    “『会社』は必ず生き残る。
    とりわけ、個人の心のレベルで、ああいう仕事に嫌悪感を抱かない働き手と、進んで金を払う買い手の男たちが存在する現代では。
    もう陰謀も社会の暗部も暗黒組織もない。あるのは個人の心だけだ。”

    それにしても。
    中学生を主人公にしているのに、読後感の悪い仕立てでした。
    このあたり、宮部みゆきっぽいといえばそうなんだけど。
    亜紀子の黒い悪意から逃れるのに、まだ13歳(?)の女の子一人、
    一体何ができたんだろう?それってそんなにも責められることなの?
    じゃあ、逃れないで立ち向かえばよかったの?捕まればよかったの?
    好きな女の子の別の面を見たからって、そんな風に追い詰めるかなぁ。
    まぁ、好きな子は、一点の曇りなく真っ白で、純粋無垢でいてほしいという少年特有の潔癖さなのかな。
    まだまだ青いのう、と思うけども(笑)

  • 中学生探偵コンビ第二弾。
    今回は、同級生女子の従姉妹の殺人事件の真相を追います。中学生にしては、少し社会の闇に触れてしまいますが、大人の階段ですね。飽きさせないテンポで、展開していくので、読書が苦手な少年も読めちゃうと思う。

  • 大人びた中学生たち
    好きな人でも 許す事が出来ない行動
    急激に覚めてく気持ち


  • 中学生のシリーズ。
    最後はクドウさんが・・・

  • 2021.7.1読了
    3.0
    後味の悪い読後感だったが、それ故にテ-マの重さが伝わってくる。
    途中から嫌な予感がしていたが、ラストはやはり予想通り悲しい結末。
    言葉遣いが古く、時代を感じる。
    発行された当時に読めば、フレッシュに感じられたかも。
    「模倣犯」も再読したい。

  • 数少ない宮部さんの読み残し。前作はコミカルだったのに対し今回は重い。中学生って大人っぽさから子供っぽさまで一番幅広い設定が可能な年代なのかも。ここからソロモンの偽証に続くのだろうか。

  • 若干の後味の悪さが良かった。事件の解決=物語の終わり、ではないところが好き。
    登場人物の少年少女の内面が描かれていなかったら印象に残らなかった気がする。

  • 前作を読まずに読んでしまったが、久々の宮部みゆきさん作品
    かつ、中学生がメインというのも久しぶり
    中学生らしい表現の仕方みたいなものがあって、さすがだな、と思った

  • シビアだなあ。中学生一年生の甘酸っぱいかわいい恋愛があるからなおさらシビアに感じる。
    解説にもあったが、彼女の罪に免罪符を与えないところがすごいと思う。
    誰もが犯しうる小さな罪、だけどかなり根深い深い暗い感情。
    大人ならそれも許せたかもしれないけど、中学生の主人公は受け入れられない。

    それにしても島崎くんは賢すぎ!彼が主役じゃなくてよかった。

  • 主人公の中学一年生雅男が、仄かな思いを寄せているクドウさんが家族で訪れるという虫聞きの会。
    その会場でもある庭園に行った彼は、人が死んでいるのを目にする。
    その死者とは、まさかの・・・。
    雅男は親友の島崎と事件の解明に乗り出す。

    人は誰であれ、子供の頃は純粋な正義感を持っているものだ。
    たとえ、それがほんの小さなものであろうとも。
    その正義感は、大人になるに連れて少しずつ捻じれたものに変わっていく。
    成長という時に流され、それを大きく失う方向に向かうのか、それとも懸命に維持し続けようとするのか、その分岐点は個々の人間の気持ちによって違ってしまう。

    少年少女時代に抱く純粋な正義感。
    それはいつまで経っても手放してはいけない大切なものだと宮部みゆきは訴える。
    たとえ、別の大切なものを失うとしても。

    この作品の主人公雅男も、正義感と自分の大切な人を思う気持ちの狭間で心は揺れ動く。
    そのなかで、彼が選び取ったものは・・・。
    小さな悪意(それは悪とまで呼べるものだったろうか?)でも、決して許されないという考えだった。
    雅男の正義感は否応なく読者に伝わってくるが、それによって迎える哀しい幕切れには切なさを感じる物語でもある。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物新人賞を受賞。『龍は眠る』(日本推理作家協会賞)、『本所深川ふしぎ草子』(吉川英治文学新人賞)、『火車』(山本周五郎賞)、『理由』(直木賞)ほか著書、受賞歴多数。

「2021年 『ブレイブ・ストーリー 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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