夢にも思わない (角川文庫)

  • KADOKAWA (2002年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784043611027

作品紹介・あらすじ

秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは僕の同級生のクドウさんの従妹だった。被害者への無責任な噂もあとをたたず、クドウさんも沈みがち。僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した。

感想・レビュー・書評

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  • かなり以前に読んだ記憶があったが…
    あまりにも忘れているのにちょっと驚く。
    「今夜は眠れない」の続編。

    中学1年の緒方雅男が、自分の思い人のクドウさんが
    白河庭園での虫聞きの会に行くと話していたのを聞き、ばったり会えたらと思い出かけるが…。
    そこで中学生の女の子が倒れていて…
    クドウさんと勘違いした女の子は、実は彼女の従姉だった。
    その事件が思わぬ方向に進んでいき、緒方は親友の島崎と調査を始める。

    島崎が一歩先を進んでいたのだが、緒方を気遣い言葉少なくなってきているのに気づかないわけもない。
    まさか、と思う気持ちはあるがやはり真実を本人から聞くまではと曖昧にしない緒方に中学生らしからぬ思いを抱く。
    誰でも自分は関わりたくないと思うが、誰かを犠牲にするのは違うと、ちょっとした嘘や誤魔化しが大きくなりどうしようもなくなる前に考えて行動しよう。




  • 再読。なぜか何度も読みたくなる作品。

    本作が刊行された26年前、携帯電話は主にビジネスマンが持つものだったらしい。中学生である主人公は好きな子と家電で話し、仲を深めていた。まれに、好きな子の家の近くにある公衆電話から電話をして、手を振り合うことも。読みながら、なんともむず痒くて甘酸っぱい気持ちになった。
    私が中学生になる頃には、みんな当たり前にガラケーを持っていて、友だちと気軽にメールでやり取りできた。でも主人公たちが過ごした、こんな不便さが残る青春時代も、なんて楽しそうなんだろう。

    ー女の子の声が問いかけてくる。僕の心臓は突然独立した生き物になり、どうやら新体操の選手になろうと決心したようで、驚くべき高さに飛んだり跳ねたり、動脈をパッと離して放り上げてまたキャッチ、ジャンプして開脚………なんてことがあるわけないけど、そんな感じで胸の奥で大騒ぎをしている。

    なんて楽しそうなんだ(二回目)…

    中盤まで主人公たちが持つ中学生特有の空気が漂い、さわやかな気持ちになった。しかしある事件を境に、嫌なほの暗さが増していき、終盤は誰しもが持つ自分勝手な部分を主人公たちと共に目の当たりにして、なんとも言えない気持ちになった。

    子どもでも大人でも、自分の行動が他人にどんな影響を及ぼすかを想像できる人はどのくらいいるだろう。さらに想像だけでなく、それを直視して行動を変えられる人はどれくらいいるか。私は正直自信がない。自分にとって都合のよい部分だけ切り取って、それ以外の部分はなかったことにしてしまいたくなる時がある。
    あなたもそういう時はないですか?宮部さんにそう問われている気がした。

    とはいえ中学一年生から、こんな大層な事件や人のいろんな側面を見ていたら、雅男たちはとてつもなく老けてしまうだろう…雅男や島崎にはこれから成長してもいいコンビでいて、お互いを支え合ってほしいと願うばかりだ。

  • 中学生探偵コンビ第二弾。
    今回は、同級生女子の従姉妹の殺人事件の真相を追います。中学生にしては、少し社会の闇に触れてしまいますが、大人の階段ですね。飽きさせないテンポで、展開していくので、読書が苦手な少年も読めちゃうと思う。

  • 続きものだと知らなかったので前作は読んでいないけど、それでも楽しめた。
    誰の犯行とかに焦点を当てるのではなく、なぜ起こったのか、どんな人たちだったのかを考えるような作品。
    結局一番たちの悪いのは、無意識の悪意、ある意味無関心さだと感じた。工藤さんの行動は、確かに恐怖から起因したものかもしれない。それでも、超えてはいけない線をいとも簡単に超えてしまえたのは、彼女の本質だと思う。せっかくできた可愛い彼女だけど、緒方くんは間違ってないよ。

  • 大人びた中学生たち
    好きな人でも 許す事が出来ない行動
    急激に覚めてく気持ち


  • 中学生の僕と島崎くんシリーズ2作目。2人が今回遭遇するのは殺人事件。島崎くんは相変わらず冷静。緒方くん(僕)は積極的に行動します。
    ただの"青春物"ではなく、清濁合わせたビターなラストも印象的。
    以降、続編がないのが残念です。

    入手時期の関係で、前作が中公文庫、今作は角川文庫になりました。
    表紙の雰囲気がガラッと変わってますね。

  • ひとまずの感想として。
    これ、中学一年生が経験する出来事としてエグすぎるだろ。

  • クライマックスが切ない。そこに至るまでの過程も面白かったが、やはりクドウさんが初めて見せる醜悪な姿(この年齢だったらこんなものな気もするけど)、「僕」の苦しみながらも崩さない毅然とした態度、あのシーンは15年近く経った今でも強く印象に残っている。

  • 夏の終わりに開かれる「虫聞きの会」
    そこで起きた殺人事件。
    被害者は大好きな「クドウさん」の従姉妹だった。

    彼女は何故殺されたのか
    その裏にある真相は

    「悪気のないちいさな悪意」の怖さ。

  • 【言葉で表されない、主人公と島崎の信頼の強さを感じた】

    ・前作の内容から、島崎は最初から事の顛末を知っているのかと疑って読んでいった。やはり、全てを先回りしていた。

    ・主人公が前作より子供らしく思えた。クドウさんの行動をどうしても許せなかったのは、彼氏である自分に話してくれなかった事が大きな要因だと感じた。

    ・物語の終わりはハッピーエンドとはいえないが、主人公と島崎の友情を感じた。

  • んんん〜!
    ほろ苦い
    真実はかくも残酷で、まだまだ大人になりきれない中学生には重すぎる

    展開によってコロコロ変わる気持ちの有り様に心苦しくなりつつも、若さ故とは切り捨てれない情緒がありますね

  • 正直なところ主人公が中学生という設定がなじめずなかなか読み進めなかった。しかし、事件の真相に近づく後半はいっきに読めた。中学1年生がそこまで深く考えるのか、そこまで罪に対して潔癖なのか?実際の中学生とはかけ離れているように感じた。

  • 最後の数ベージが秀逸。

  • 最後のどんでん返しが地味に凄い。主人公の胸中を思うと切なくなる。

  • 島崎くんかっけー。
    序盤はテンポよく進むが、終盤につれちょっとずつ重くなる。
    全般的に、島崎くんの素晴らしさが光る作品。逆に、主人公は等身大の中学生という印象で、そこを上手く描けているのも凄いと思った。

  • 中学生のシリーズ。
    最後はクドウさんが・・・

  • 2021.7.1読了
    3.0
    後味の悪い読後感だったが、それ故にテ-マの重さが伝わってくる。
    途中から嫌な予感がしていたが、ラストはやはり予想通り悲しい結末。
    言葉遣いが古く、時代を感じる。
    発行された当時に読めば、フレッシュに感じられたかも。
    「模倣犯」も再読したい。

  • 数少ない宮部さんの読み残し。前作はコミカルだったのに対し今回は重い。中学生って大人っぽさから子供っぽさまで一番幅広い設定が可能な年代なのかも。ここからソロモンの偽証に続くのだろうか。

  • 若干の後味の悪さが良かった。事件の解決=物語の終わり、ではないところが好き。
    登場人物の少年少女の内面が描かれていなかったら印象に残らなかった気がする。

  • 前作を読まずに読んでしまったが、久々の宮部みゆきさん作品
    かつ、中学生がメインというのも久しぶり
    中学生らしい表現の仕方みたいなものがあって、さすがだな、と思った

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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