夢にも思わない (角川文庫)

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レビュー : 237
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611027

作品紹介・あらすじ

毎年、九月末になると「白河庭園」で行われる、虫聞きの会。もう二十年近くも続いているという、そんな風流な催しに、僕が行く気になったのは、一にも二にもクドウさんのためだった。毎年家族で訪れているというクドウさんと偶然を装って会うはずだった。それなのに…。-殺されたのはクドウさんの従姉だった。事件は思いがけない方向に進んでいき無責任な噂があとを絶たない。僕は親友の島崎と真相究明にのりだした。大好きな彼女は僕が守る。

感想・レビュー・書評

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  • 秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会に、大好きなクドウさんが参加するというので、僕も行ってみることにした。
    しかしそこで殺人事件が起こる。
    クドウさんかと見間違えたその少女の死体は、クドウさんの従姉だった。
    被害者には売春組織とかかわりがあったらしいとの噂がたち、クドウさんは
    学校を休みがちになる。
    彼女のために、親友の島崎と真相の究明に乗り出した。

    初出は1997年。
    私が中高くらいのころ、携帯が普及しだしたルーズソックス全盛期に、
    「エンコー」「ウリ」なんていう言葉が出てきたように思うので、
    この作品はちょうどそのころの世相を反映しているようだった。
    今は出会い系やSNSや、出会いの場が広がって、もっと複雑化、多様化している気もする。

    “『会社』は必ず生き残る。
    とりわけ、個人の心のレベルで、ああいう仕事に嫌悪感を抱かない働き手と、進んで金を払う買い手の男たちが存在する現代では。
    もう陰謀も社会の暗部も暗黒組織もない。あるのは個人の心だけだ。”

    それにしても。
    中学生を主人公にしているのに、読後感の悪い仕立てでした。
    このあたり、宮部みゆきっぽいといえばそうなんだけど。
    亜紀子の黒い悪意から逃れるのに、まだ13歳(?)の女の子一人、
    一体何ができたんだろう?それってそんなにも責められることなの?
    じゃあ、逃れないで立ち向かえばよかったの?捕まればよかったの?
    好きな女の子の別の面を見たからって、そんな風に追い詰めるかなぁ。
    まぁ、好きな子は、一点の曇りなく真っ白で、純粋無垢でいてほしいという少年特有の潔癖さなのかな。
    まだまだ青いのう、と思うけども(笑)

  • 若干の後味の悪さが良かった。事件の解決=物語の終わり、ではないところが好き。
    登場人物の少年少女の内面が描かれていなかったら印象に残らなかった気がする。

  • 前作を読まずに読んでしまったが、久々の宮部みゆきさん作品
    かつ、中学生がメインというのも久しぶり
    中学生らしい表現の仕方みたいなものがあって、さすがだな、と思った

  • シビアだなあ。中学生一年生の甘酸っぱいかわいい恋愛があるからなおさらシビアに感じる。
    解説にもあったが、彼女の罪に免罪符を与えないところがすごいと思う。
    誰もが犯しうる小さな罪、だけどかなり根深い深い暗い感情。
    大人ならそれも許せたかもしれないけど、中学生の主人公は受け入れられない。

    それにしても島崎くんは賢すぎ!彼が主役じゃなくてよかった。

  • 主人公の中学一年生雅男が、仄かな思いを寄せているクドウさんが家族で訪れるという虫聞きの会。
    その会場でもある庭園に行った彼は、人が死んでいるのを目にする。
    その死者とは、まさかの・・・。
    雅男は親友の島崎と事件の解明に乗り出す。

    人は誰であれ、子供の頃は純粋な正義感を持っているものだ。
    たとえ、それがほんの小さなものであろうとも。
    その正義感は、大人になるに連れて少しずつ捻じれたものに変わっていく。
    成長という時に流され、それを大きく失う方向に向かうのか、それとも懸命に維持し続けようとするのか、その分岐点は個々の人間の気持ちの持ち方によって違ってしまう。

    少年少女時代に抱く純粋な正義感。
    それはいつまで経っても手放してはいけない大切なものだと宮部みゆきは訴える。
    たとえ、別の大切なものを失うとしても。

    この作品の主人公雅男も、正義感と自分の大切な人を思う気持ちの狭間で心は揺れ動く。
    そのなかで、彼が選び取ったものは・・・。
    小さな悪意(それは悪とまで呼べるものだったろうか?)でも、決して許されないという考えだった。
    雅男の正義感は否応なく読者に伝わってくるが、それによって迎える哀しい幕切れには切なさを感じる物語でもある。

  • 話はテンポが良かったのですが、終わり方が意外でした。

  • 「今夜も眠れない」の続編。
    最初の方は、初々しい中学生の恋愛物語に近いけど、後半はちょっとドキドキ・・
    事件をきっかけにまた一つ大人になった感じ。

  • 友人島崎くんのヒーローぶりに少し興ざめする。それに引き換え、少女たちの残酷なふるまいにはリアルさがあって面白い。恋はほろ苦く終わってしまうが、その正義感がまた弱い人間を追いこんでしまうだろう。

  • 事件は中盤で解決してしまうが、心の闇が最後まで付いて回る。主人公の男子中学生がやたら女の子っぽいのが気になる。ここまでフワフワした男はあまりいないのではないかと。

  • 「今夜は眠れない」の続編。
    雅男がベタ惚れしてるクドウさんとお近づきになりたいが為に行った虫聞きの会で、「中学生くらいの女の子が倒れてる」という声を聞いて現場に駆けつけるところから始まる話。

    再読なので、クドウさんが何かをして雅男をひどくガッカリさせた事だけは覚えていたけど、何をしたのかも事件の内容も全然覚えてなかった。。

    クドウさんにしたらしつこく付きまとわれて怖かっただろうし、代わりの人を与えて自分は助かったと思ったけど、その事を周囲に知られたら自分の評価が下がる事が怖かったんだろう。
    でもやっぱりクドウさんがした事は葛西さんという全然関係ない人を売った訳だし、そうされた葛西さんが同じ様にしつこく勧誘されることは分かっていたのに、周囲の大人に相談せずに彼女を売った行為はひどい行動だったと思う。

    その事をあわよくば知られないまま雅男や周りの人たちと素知らぬふりで過ごしていこうとしていたところも、雅男に責められても仕方ない子だと思った。

    でもなぁ、自分だったらと思ったら同じ事をしないか、してしまった後も誰にも何も言わず、無かった事にして過ごそうとしてしまわないか、と問われれば否とは言いにくいなぁ…

    中学生が主人公とはいえ、なかなか重い内容でした。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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