大極宮〈3〉コゼニ好きの野望篇 (角川文庫)

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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611065

感想・レビュー・書評

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  • 大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦の3人が所属する「大沢オフィス」(現「ラクーンエージェンシー」)の公式ホームページ「大極宮」のコンテンツ「週刊大極宮」という大沢、宮部、京極3人の近況報告を、本にまとめなおしたもの、第3弾です。「コゼニ好きの野望篇」というサブタイトルがついていますが実際には特にテーマがあるわけではなく、1巻2巻と同様に日々のよしなしごとが緩くダラダラと綴られています。

    ホームページ上に掲載されていた時の雰囲気を出したいがために2巻から横組になっていますが、この3巻からはHPに掲載されたエッセイはゴシック体(さらにフォントが小さくなっています)が使われています。確かにホームページの雰囲気には少し近づいたかもしれませんが、読みにくさまでホームページ並みになってしまいました…。
    一方で、書籍化する際に行われたのであろう3人での対談(鼎談ですね。4人だったら何て言うんだろう…座談会かな?)やその他のコンテンツがだいたい30ページごとに挿入され、ホームページを読んだことがある人でも楽しめるよう配慮されているようです。
    ちなみに、この追加コンテンツは鼎談の他、京極夏彦さんの書斎の写真を載せた「厨子王の書斎案内」や、見開き2ページずつを使ったリレー小説「罪と罰」など、楽しめるものとなっています。
    このリレー小説は適度に内輪ネタをちりばめながらきちんと自作ハードボイルド風にまとめる大沢在昌、いきなり世界を捻じ曲げて無理やり自分の世界に引っ張り込むという、「運命の剣 のきばしら」以来の強引さを見せる宮部みゆき、その世界を受けつつ不気味さを重ねていく京極夏彦、とお遊びながらそれぞれのカラーがよく出ていてお得感があります。直木賞作家3人によるリレー小説ですよ、これだけのために買ってもいいかも。

    本編の内容的には、大沢在昌は飲みに行った話とゴルフの話ばかり、宮部みゆきはゲームの話ばかり、そして京極夏彦は内輪のネタばかりとこれまでの2巻とほぼ路線は変わっていません。

    まず大沢在昌、ゴルフにしても飲み歩きにしても釣りにしても、遠慮がちです。ゲームもしているようですし、映画やサイン会の話題もあるものの、ちょっと抑え気味。もっとおっさん趣味の魅力を自分語り全開で聞かせて欲しいと思いました。照れ屋なのかもですね。

    そして、宮部みゆき。この本、個人的にはやっぱりこれまでどおり宮部みゆきのゲームエッセイとしてとても楽しく読みました。ていうか、本の中でも大沢、京極の両氏からゲームエッセイ出版を勧められていますw。ちょっと引用させてもらいますと、

    <引用・232ページ>
    大 本にしたら売れるかな?売れないだろうな。いくら宮部みゆきでも売れないだろうな。タイトル変えた方がいいな。「ゲーム女のひとり言」をやめて、「宮部みゆき初書き下ろしエッセイ集」とか……
    京 単なるエッセイじゃないですよ。もっとたぎるものがあるから。
    大 「熱くたぎるエッセイ」って(笑)。
    極 「ゲーム愛」
    大 ゲームのゲの字も出さない。
    京 あ、出さないんだ。
    大 中は袋綴じ。
    京 なるほど安寿が書いたということだけで押し通すんだ(笑)
    大 「宮部みゆきの血のたぎるエッセイ集」
    京 小説かもしれない、とか。
    大 「宮部は燃えているか」って帯に。いいな。「宮部は燃えているか!」
    京 ルパンですよそれは。
    大 うん、いいじゃない。

    と、このやりとりの中にこの本の宮部みゆきに関して自分が思っていることがすべて集約されているような。
    すなわち、宮部みゆきのエッセイ集をたまにはガッツリ読んでみたいということ。普通のエッセイ集が難しいのなら、ゲーム愛について語るエッセイ集でも読んでみたいこと。ただし、宮部みゆきのファンとゲーム好きってあまり層が重ならなさそうで、需要は少なそうだということ。宮部みゆきのゲームについて語りたい熱量と、二次創作に関する滾る思いと、でもできるだけターゲットとなる読者層を広げたい大人の事情を、誰かがきちんと交通整理してやらないと、出来上がってくるのは「ここはボツコニアン」みたいな大失敗作になるということ。そう言えば、前から宮部みゆき作品には「混ぜるな危険」という欠点があると思っていたこと…。

    エッセイに関しては、宮部みゆきが自分が好きなものをベストセラー作家の観察力と筆力で書けば面白くないわけが…「ない」とは言い切れないのが辛いところですが、「ここはボツコニアン」みたいに変な方向に迷走しなければ大丈夫なんじゃないかな。
    実際、「ゲーム女のひとり言」は取り上げられているゲームを遊んだことがあればうんうんと頷きながら、そうでなくともそれなりに楽しく読めました。

    そして、京極夏彦。
    相変わらずのこだわりぶりを各所で発揮していますが、たまに怒りが噴火して超長文が載るのは2巻同様。
    今回は「偽河童騒動」について怒っておられます。
    元の騒動をwikiで見てみましたが…

    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/カッパ淵#

    まあ酷いもんです。
    テレビの、バラエティ番組とか滅びないかな…

    こういった時事ネタに対する感想は、きっと今ならTwitterにでも書き殴るんでしょうけれど、当時はそんなものもなかったので、毎週近況を作者本人が綴る、というこのコンテンツのありがたさを感じます。
    これがなかったら、京極夏彦のこの思いを目にすることもできなかったでしょうし。

    現在でも更新されている公式ホームページ「大極宮」ですが、更新頻度もめっきり減り、何よりも近況を語っているのが作家本人ではなくなりました。
    三人とも超大家となり、お忙しくてそれどころではないのかもしれませんが、「燃えよ山椒大夫」「安寿のがまぐち」「厨子王の逆襲」たまにはご本人の手による更新をお待ちしております。

  • 09/21



    天涯3

    09/26
    ※再読 2004←

  • 山椒大夫の日記が割と普通に日記なのに、厨子王の日記が大分マニアックなのがねwww
    私はそんな厨子王が好きなんだけど。

  • 2と同じく横書きですが、若干読みやすくなったか。相変わらずゲーム女は飛ばし気味。でもゲームしたくなってきた。妖怪関係での京極氏の働きぶりが凄い。ラスト辺りの対談で、複雑な心境に陥ってる京極氏になんとなく共感。気持ちはわかる(笑)。K方先生なんてほんとに重鎮だもんなぁ。ここでは割と雲上から下りてきてくださってるが。あ、あと大沢氏が劇団☆新感線にはまってきてるようで、嬉しい。阿修羅城とか。良いよなー。

  • 笑った笑ったー。
    でもやんちゃさがなくなってきてるなあ。

  • えーと、安寿の「大まかに生まれた女」ってのが気に入りました。そんでもって太夫の「いまさら劇団☆新感線にハマる」も。厨子王は…えー…この人はいつも通り妖怪まみれ(笑)。<BR />
    まあ毎回面白く読んでいるのですが、これ、実はwebで読む気があんまり起きないんだよね。まとめて読みたいので。たまにふらっと見に行くのだけど、でもそれだけ〜。<BR />
    まあ、これもあれかな。タダのwebコンテンツでも本にするとそこそこ売れるってのの一つかな。私みたいに買う人いるしねー。
    <BR />[2004/12/03読了]

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著者プロフィール

大沢 在昌:1956年、名古屋市生まれ。79年『感傷の街角』で小説推理新人賞を受賞しデビュー。代表作に『新宿鮫』(吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞長編部門)、『無間人形 新宿鮫IV』(直木賞)、『パンドラ・アイランド』(柴田錬三郎賞)、『海と月の迷路』(吉川英治文学賞)、近著に『爆身』『漂砂の塔』『帰去来』『暗約領域』など。

「2021年 『熱風団地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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