ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

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レビュー : 536
  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611133

感想・レビュー・書評

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  • 読後にやっぱり宮部モノだったという満足感があった。
    後半から情景描写の巧みさが際立ち、引き込まれる。
    物語の8割がクライマックスに収束されてゆく。終章は後日談のようであり、謎解きのようであり、海外旅行から帰ってきた成田空港のようである。
    この部分でガッカリするとか、納得できないという意見もあるが、これはワタルだけの物語であるのだから コレで十分だと思う。

    ちなみに 一番好きなキャラは 中巻に登場するトウゴウトウ。物語に登場できるならこいつになりたい。
    一番お気に入りの場所はドラゴンの島。火山の位置がいい。大原まり子氏の解説もいい。以下は好きなフレーズ。

    ーは、そっとそれを持ちあげた。誰に対するときの、どんな手つきよりも優しく。おそらくは、自分自身の魂に触れるときよりも厳かに。

    その一点を中心に、収縮してゆくのだった。ーが、折りたたまれてゆく。吸い込まれてゆく。無数の窓は、声のない悲鳴をあげる口だ。呑みこまれてゆく。

    とげとげした枝を張りのばす木々たちが、精一杯に手を広げて、ーたちをかばおうとしてくれているように思われた。寒い国の無口な歩哨たち。ーたちを懐に隠し、何事もなかったかのような静謐な顔を空に向けて。

    ヴェスナ エスタ ホリシア その意味。

  • 冒険もののストーリーって、
    勇者が悪をやっつけるような、善悪がはっきりしているのが多いですが
    このストーリーは、自分(善)と相手(悪)ではなくて、
    優しい心と人を恨む・妬む心、というような
    自分の中に存在する優しい部分と醜い部分が描かれています。

    自分の運命(現状)を変えるべく旅へ繰り出した主人公が、
    この旅を通して、何を得て、何を失うか。
    また、本当に大切なものや必要なものは何か。
    ドキドキしながら読みました。

    好きなことも、嫌いなことも、良いことも、そうじゃないことも
    そのままを受け入れて、自分自身と向かい合うこと、立ち向かうこと。
    小学5年生が、喜びや憎しみを受け入れるのは過酷だろうに、、と思いながらも
    今の私には全てを受け入れることが出来るのだろうか、、、と考えてしまいます。

    主人公は子どもだけど、
    このストーリーが伝えようとしていることは、大人だって必要なこと。

    また時間をおいて読み返したら、
    きっと違うゴールにたどり着くような、奥の深い作品。

  • 運命をかえるとは ファンタジー作品だが、心に響く考えさせられる作品でした。勇気の物語というのはこの作品の全てを表していると思う

  • 宮部みゆきの『ブレイブストーリー』は厳然たるファンタジーストーリーです。ミステリーか江戸時代ものが中心だと思い込んでいたが、なんとこんな素晴らしいファンタジー作品もあったとは!
    前から気にはなっていたけど何故か手がでなかった...

    主人公の亘(ワタル)は幸せなしっかりとした(?)家庭で育つ小学5年生だが、彼がビジョンの世界に渡り、勇者としての旅人を努めながら宝を集めた先に願いを叶えるという物語。

    よくある成長・旅人シリーズには違いないが、現実世界の凝った世界観や細やかな描写と、良い意味で宮部みゆきワールドをひっくり返すビジョンにおけるファンタジーワールド感が面白い。

    また、もう一人の旅人を現実世界から参加させているところはこの物語のオリジナル性をおおいに盛り上げている。

    何のために旅を続けるのか?どんな願いを叶えるのか?この2点はファンタジーストーリーの王道であり、オリジナル性を発揮するポイントであるが、宮部みゆきもこの点はとても独創かつ読者の納得感を獲得する展開ではないだろうか。

    ファンタジー好きにはもちろんこれからファンタジー好きになる人にもおすすめの作品である。

  • ブレイブストーリー最終巻。
    主人公ワタルの成長をとても感じました。
    大事な人たちのために頑張るワタルの姿はとってもカッコ良かったです。
    アニメで映画化もされていてそっちも本のような物語の深さはないけど上手に短縮されていました。

  • 下巻で、更に話にスピード感でている。
    ワタルの感情が揺さぶられて、強くなっていく姿も読んでいて、ワクワクしてくる。
    ストーリーも予想をしていなかった展開が連続して起こるので、先が気になりドンドン読んでしまった。

  • 慈悲と叡智、勇気と信義をこの剣に集めて。
    変えるべきなのは僕の運命じゃなくて、
    ー僕自身なんだ。

    幻界の旅で見つけたワタルの答え。それは、私たちが生きていく中で、見つけられないかもしれない大切なこと。
    ワタルと共に旅をする中で、悲しみの乗り越え方、憎しみとの折り合いのつけ方、運命に対峙する勇気に、私たちも気づかなければならない。

  • ミツルのことを思うと切ない。たった10歳で、抱えきれないほどの運命を背負って、憎しみに支配されて…ミツルのやったことは確かにひどいけど、幸せになって欲しかったな。

    ヴェスナ・エスタ・ホリシア
    〝再びあいまみえる時まで〟

  • いよいよクライマックス。

  • 宮部みゆき先生圧巻の異世界ファンタジーでした。上巻読み進めるのに時間を要したのですが中巻からのはまり込みは我ながら苦笑。やはり宮部先生はチョコチョコ読みよりは、一気読みに限ります。少年の孤独、自身の負の感情の向き合い、ライバルへの劣等感から成長する様。そしてRPG的世界での宮部ワールド。今や異世界転生はラノベのテンプレですらありますが、異世界は自分のいべき場所ではないと言い切るあたりが、この作品の魅力かと。
    世界は問題ではない、自分がどうあるかが問題なんだと提示するこのファンタジー小説は、まさに今を生きる人、いや逃げたいけど逃げられない人にこそ読んで欲しいかもしれない。そう思わせる読後満足感でいっぱいの出会いに感謝でした。

著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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