ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.75
  • (859)
  • (842)
  • (1367)
  • (94)
  • (30)
本棚登録 : 8067
感想 : 569
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611133

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み

  • 活字中毒の私がアニメ映像を見に行く程大好きな作品。映像もいいけど、映画の尺では収まりきらないこの作品の根底にあるテーマをじっくりと楽しむには、長い原作を読まないと不可能だと思う。そもそも映画ではほぼ描かれていない。
    この作品の好きな所は、現実ではあり得ないファンタジー世界の中にも現代問題、人種差別が織り込まれてる反面、勇者、ヒト柱、ハルネラ等のファンタジーが混在する点。
    キ・キーマの愛嬌があってお調子者プラス凄い気遣い屋、仲間思いだけど大男の戦闘タイプというのがまたギャップがあって魅力的、、ミーナもファンタジーのヒロインらしく芯がある明るいタイプの女の子という素敵なひと達がいるのもこの作品の素敵な点だと思う。
    ワタル、ミツルの年代で背負うには重い内容だけど、ファンタジー小説が好きな方は楽しめる作品だと思う。

  • ワタルが旅の仲間と、出会い別れながら成長していく姿に勇気づけられます。
    幻界で起こることは、きっと身近な私たちの周りでも起こるような問題も沢山あるんだなと、改めて考えました。
    12年前くらいに読んで、再度読み返し、前とは違う気づきもたくさんありました。

  • 読後にやっぱり宮部モノだったという満足感があった。
    後半から情景描写の巧みさが際立ち、引き込まれる。
    物語の8割がクライマックスに収束されてゆく。終章は後日談のようであり、謎解きのようであり、海外旅行から帰ってきた成田空港のようである。
    この部分でガッカリするとか、納得できないという意見もあるが、これはワタルだけの物語であるのだから コレで十分だと思う。

    ちなみに 一番好きなキャラは 中巻に登場するトウゴウトウ。物語に登場できるならこいつになりたい。
    一番お気に入りの場所はドラゴンの島。火山の位置がいい。大原まり子氏の解説もいい。以下は好きなフレーズ。

    ーは、そっとそれを持ちあげた。誰に対するときの、どんな手つきよりも優しく。おそらくは、自分自身の魂に触れるときよりも厳かに。

    その一点を中心に、収縮してゆくのだった。ーが、折りたたまれてゆく。吸い込まれてゆく。無数の窓は、声のない悲鳴をあげる口だ。呑みこまれてゆく。

    とげとげした枝を張りのばす木々たちが、精一杯に手を広げて、ーたちをかばおうとしてくれているように思われた。寒い国の無口な歩哨たち。ーたちを懐に隠し、何事もなかったかのような静謐な顔を空に向けて。

    ヴェスナ エスタ ホリシア その意味。

  • 大好きな話。
    運命を変えてもまた辛いことや悲しい事はおこる。変えるべきは自分だよねって気づく。
    上巻からのワタルの成長には涙が出てきて、頑張れって応援していた。

  • 私の中でベスト3に入るモノ。
    中巻以降は、どんどん加速して下巻になると
    読みたいのに終わりが見えてきて哀しくなった。

    その世界観を想像しながら、むちゃ楽しかった。
    なにせ、散りばめられるワードセンス?ネーミングセンス?それが抜群!!
    要御扉、ダルババ、北の凶星、ハルネラ、ウロ、
    これが全てオリジナルで考えられるなんてスゴイ!

    カッツが死んでしまうシーンは、ホントに泣ける。
    オンバさまの正体がさらけ出される所も
    エグい!

    自分の大切な思い、意思。
    それを突き通す事は間違ってはいない。
    でも、周りの人がどうなろうと
    叶えたい想いを貫く。
    それで、ホントにいいのか?
    そうじゃないよね?

    いろんな自分のこととも重なって、心に刺さった作品。

  • 冒険もののストーリーって、
    勇者が悪をやっつけるような、善悪がはっきりしているのが多いですが
    このストーリーは、自分(善)と相手(悪)ではなくて、
    優しい心と人を恨む・妬む心、というような
    自分の中に存在する優しい部分と醜い部分が描かれています。

    自分の運命(現状)を変えるべく旅へ繰り出した主人公が、
    この旅を通して、何を得て、何を失うか。
    また、本当に大切なものや必要なものは何か。
    ドキドキしながら読みました。

    好きなことも、嫌いなことも、良いことも、そうじゃないことも
    そのままを受け入れて、自分自身と向かい合うこと、立ち向かうこと。
    小学5年生が、喜びや憎しみを受け入れるのは過酷だろうに、、と思いながらも
    今の私には全てを受け入れることが出来るのだろうか、、、と考えてしまいます。

    主人公は子どもだけど、
    このストーリーが伝えようとしていることは、大人だって必要なこと。

    また時間をおいて読み返したら、
    きっと違うゴールにたどり着くような、奥の深い作品。

  • 映画がされた頃に購入したのに時間的な都合でこの下巻と中巻がなかなか読めずだったが、上巻から読み直し遂に下巻まで読了。幻界という、現世とは違う世界の中でどんどんと成長していくワタル。文章も読みやすく、物語の中に気づけば引き込まれていた。良作だった。

  • ワタルの長い旅の果てに掴んだ答えは今も私を支えてくれている。私は幼い頃からファンタジー小説が大好きだったが、幻想との付き合い方に度々悩まされていた。「いくら素晴らしくとも現実とは違う。」「空想を重ねても現実は変わらない。」そう悲観することも少なくなかった。でも、ワタルの願いが私を立ち直らせてくれた。人を、世界を憎む感情は強烈なものであるけれど、状況を好転させることには繋がらない。自分自身を守り、変えていくことこそが唯一の道なのだ。形ない幻想も、人の心を守り、成長させてくれる。改めてファンタジー好きで良かったと思った。

  • 大好き 高校生の時に夢中で読了 主人公の生々しい成長ストーリーが、絶妙にリアルとファンタジーのバランスを保っている 子供に読んで欲しい

  • 運命をかえるとは ファンタジー作品だが、心に響く考えさせられる作品でした。勇気の物語というのはこの作品の全てを表していると思う

  • 宮部みゆきの『ブレイブストーリー』は厳然たるファンタジーストーリーです。ミステリーか江戸時代ものが中心だと思い込んでいたが、なんとこんな素晴らしいファンタジー作品もあったとは!
    前から気にはなっていたけど何故か手がでなかった...

    主人公の亘(ワタル)は幸せなしっかりとした(?)家庭で育つ小学5年生だが、彼がビジョンの世界に渡り、勇者としての旅人を努めながら宝を集めた先に願いを叶えるという物語。

    よくある成長・旅人シリーズには違いないが、現実世界の凝った世界観や細やかな描写と、良い意味で宮部みゆきワールドをひっくり返すビジョンにおけるファンタジーワールド感が面白い。

    また、もう一人の旅人を現実世界から参加させているところはこの物語のオリジナル性をおおいに盛り上げている。

    何のために旅を続けるのか?どんな願いを叶えるのか?この2点はファンタジーストーリーの王道であり、オリジナル性を発揮するポイントであるが、宮部みゆきもこの点はとても独創かつ読者の納得感を獲得する展開ではないだろうか。

    ファンタジー好きにはもちろんこれからファンタジー好きになる人にもおすすめの作品である。

  • ブレイブストーリー最終巻。
    主人公ワタルの成長をとても感じました。
    大事な人たちのために頑張るワタルの姿はとってもカッコ良かったです。
    アニメで映画化もされていてそっちも本のような物語の深さはないけど上手に短縮されていました。

  • 下巻で、更に話にスピード感でている。
    ワタルの感情が揺さぶられて、強くなっていく姿も読んでいて、ワクワクしてくる。
    ストーリーも予想をしていなかった展開が連続して起こるので、先が気になりドンドン読んでしまった。

  • 慈悲と叡智、勇気と信義をこの剣に集めて。
    変えるべきなのは僕の運命じゃなくて、
    ー僕自身なんだ。

    幻界の旅で見つけたワタルの答え。それは、私たちが生きていく中で、見つけられないかもしれない大切なこと。
    ワタルと共に旅をする中で、悲しみの乗り越え方、憎しみとの折り合いのつけ方、運命に対峙する勇気に、私たちも気づかなければならない。

  • ミツルのことを思うと切ない。たった10歳で、抱えきれないほどの運命を背負って、憎しみに支配されて…ミツルのやったことは確かにひどいけど、幸せになって欲しかったな。

    ヴェスナ・エスタ・ホリシア
    〝再びあいまみえる時まで〟

  • 読了
    1回目 2020.12.19

  • 「慈悲と叡智、勇気と信義をこの剣に集めて。
    変えるべきなのは僕の運命じゃなくて、
    ━━僕自身なんだ。」

    「真なるものは、たとえ女神さまのお力を以てしても変えることのできないもののなかにこそある。変えることができるのは、僕だけだ。僕が、僕の運命を変え、切り拓いていかなくては、いつまで経っても同じ場所にいて、同じことを繰り返すだけで、命を終えてしまうことになる」

  • いよいよクライマックス。

  • 宮部みゆき先生圧巻の異世界ファンタジーでした。上巻読み進めるのに時間を要したのですが中巻からのはまり込みは我ながら苦笑。やはり宮部先生はチョコチョコ読みよりは、一気読みに限ります。少年の孤独、自身の負の感情の向き合い、ライバルへの劣等感から成長する様。そしてRPG的世界での宮部ワールド。今や異世界転生はラノベのテンプレですらありますが、異世界は自分のいべき場所ではないと言い切るあたりが、この作品の魅力かと。
    世界は問題ではない、自分がどうあるかが問題なんだと提示するこのファンタジー小説は、まさに今を生きる人、いや逃げたいけど逃げられない人にこそ読んで欲しいかもしれない。そう思わせる読後満足感でいっぱいの出会いに感謝でした。

  • 再読。残り3分の1あたりからずっと号泣しっぱなし。通勤電車の中で読んでなくて本当によかったと思うくらい、みっともないほど泣いた。この旅を通して自分で自分に投げかけ続けた問いに、きちんと答えを出して、ワタルは現世に戻っていった。もう一度読むとしてもやはり気が重くなるのは変わらないだろう。このあまりにもまっすぐなワタルの姿勢を味わうには、読み手としてもかなり気合を入れて迎えうたなければならないからだ。物語の明るい結末にもかかわらず、読了後の疲弊感はダントツ。

  • 上中下巻合わせて1500ページ弱の大作。

    読み切りました、あー満足!


    なんていうかもう、こりゃ止まりませんよ。

    伏線が膨大だった分、回収が楽しくて仕方ない。
    目の回るような、夢のような、素敵なひとときでした。

    キ・キーマとファイアドラゴンのジョゾが好きすぎる~

    RPGが好きな人にはたまんないでしょう。


    この子のせいで何度電車を乗り過ごしそうになったことか…

    ラストは電車の中で涙浮かべました(まじです)


    小学生がこんな大人な言葉使いできるかな?とか、こんな理性的な考え方できるかな?とか、多少の疑問符こそあれ、

    それを差し引いても文句なしに面白い1冊だった。

    決意の朝に、ぴったりのお話で。
    なんだか完読してこの世界から離れなきゃならないのが泣きたいくらい寂しい。

    プロットを練るところから、伏線の張り方、回収の仕方、文章の構成、扱うテーマ、どれをとってもとにかく秀逸。

    上巻を読み切る自信がある人には、全力でオススメの一冊。

    すきだー!

  • 最初はゲームのRPGのように、魔王的なものを倒すために旅をするんやろうなと思ってましたが、そんなありきたりな話ではない。
    だって、冒険の舞台になるヴィジョンに行くのは中巻からやしね。
    上巻はひたすら現世でのお話です。
    しかも、これが切な過ぎる家庭崩壊のお話です。
    親父の浮気⇒親父出て行く⇒離婚⇒浮気相手が家にやってくる⇒母親一家心中を図る。
    というような最悪の状態が主人公を襲うわけです。
    そんな現状を打破して、元の平和な家庭を取り返すために、少年はヴィジョンを目指すわけです。
    ヴィジョンに入ってからも、人種差別、宗教対立など現実に呼応する問題が多く、単なるアドベンチャー小説ではない。
    また、一人で殺戮での解決を目指すライバルと、あくまでも仲間を大切にしながら、目的を達成しようとする主人公の対比がいいですね〜。

  • 宮部みゆき作,ファンタジー系の長編小説.

    単行本で上下だったものを,上中下に分割文庫化したものだそうです.

    ファンタジー好きとしては前々から読んでみたかったのですが,ライトノベルもちょくちょく読む身としては,ファンタジー系のライトノベルとの違いって結局あるのだろうか,と読む前は思っていました.
    上巻あらすじを読んでみると分かるように,時代設定は普通の現代であり,そこからファンタジーな世界に行く,というままある話です.しかし,この"現代"の方のストーリーが意外と重厚で,かつ主人公の立ち位置の設定がファンタジーな側とうまくマッチしていたように思いました.("サクセスストーリー"なのは,愛嬌.というかサクサク進んだほうが読んでる方は飽きませんからね.)

    詳しくは是非読んでもらいたいですが,"主人公の成長"が小説の肝ですので,若干不甲斐ないところもままありますが,それも含めてストーリー,と楽しんでもらえるといいのでは.

    ICO,英雄の書,あたりも読んでいこうかと思います.

  • 運命を変えても自分が変わらなければいつも同じことでつまづく。その度に女神にお願いするのか。この旅の中で道は自然と見えてくる。

  • 単なるファンタジーとして、括ることが出来ない、して欲しくない作品です。

    特にわたしの場合は、似たような経験をして、変えることが出来たら、、、と思うような出来事が家庭内でありました。
    ちょうどその頃に読んだ本でした。

    ワタルが嫌いでした、現実から目を背けて、何も知らない子供で、何とかして逃げられる方法を探しているようで。
    けれど彼の状況が、自分の状況が重なって、苦しくて、涙が出て、何度も何度も本を閉じて、やっと読み終わりました。

    そして、彼の、変わらない現実を受け止めるという決断に、もの凄く感銘を受けました。

    変えられない、変わらない現実を受け止める、現実をありのままに許すこと。

    それは私自身が、家庭内で起こった出来事に対して、迷いながら、自分で出した答えと同じでした。

    自分の選択が正しかったのだと、教えてくれたように感じました。

    ファンタジーだけれど、ゲームでもRPGでもない。隣の家族で、自分の家庭内で、いつだって起こりうる残酷な事実と、それでも過去に戻れない現実を生きる私たちへの道標のような小説です。

  • 決闘の章を読み返しては涙ぐんだ。
    続きが読みたいにも関わらず…

  • 個人的に短編集が好きな人間なので、こういった3部仕立ての作品はしんどかった(><)
    3部仕立の本を読んだのは、ガダラの豚以来だわw

    中を読み終わってからDVDを見てしまった
    結論からいうと、DVDを先に観るべきだった
    この3冊を1本のDVDにするには難しいんだろうな、やっぱ。

    『大きな問題に逃げずに立ち向かうこと』

    これって大人でも容易にはできなくて、ましてや三十路の私にも
    できないのに、ことをワタルはやってのけたのだから、
    たまげたものです

    子供に是非よんでもらいたいね、こういうの
    でも長すぎて大人しか読まんのだろうなぁ。残念

  • 上・下 読みました
    なんだろう?
    言葉じゃ表わせないなぁ
    未だにブレイブ・ストーリーの世界から抜け出せません
    個人的には映画よりも原作の方が好きです。

  • ワタルの運命を変えようと頑張る姿が素敵ですね。
    上中下共に楽しかったです。

  • 宮部さんのなかでも大好きです。強くはないかも知れないけど、負けずに前向きに生きていく事が大切と思わせてくれます。

著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

宮部みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×