裸者と裸者 (上) 孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)

  • 角川書店 (2007年12月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784043615032

作品紹介・あらすじ

両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るため、手段を選ばず生きていくことを選択した--。.

みんなの感想まとめ

ハードな戦争を背景に、少年兵と孤児たちが生き抜く姿を描いた物語は、希望と絶望が交錯する深いテーマを持っています。主人公の佐々木海人が妹や弟を守るために選んだ過酷な道のりは、現実の戦争の悲惨さを淡々と語...

感想・レビュー・書評

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  • 多分今までで最も衝撃を受けた本。
    なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。
    対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。
    そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。
    わたしも海人に惚れています。

  •  作者が亡くなったために未完の大作。永遠に完結することはありませんが、それでも読む価値のあるシリーズです。

     装丁で誤解するかもしれませんが、ハードな戦争ものです。軽い気持ちで手を出すと火傷するエログロバイオレンス。だけど、希望のちりばめられた物語でもあります。

     少年兵と双子の少女が戦争をどうやって生き抜くかというストーリー。
     
     今も世界のどこかで戦っている少年兵がいて、彼らの気持ちは私には到底想像できないし、理解もできない。
     ただ、生まれた時から隣に死が寄り添っていて、当然のように戦いに身を投じた彼らは自分の意志というよりも環境に振り回されているだけな気がします。
     でも、いくら理不尽だろうがなんだろうが、環境はそこにあって、そこに生きている以上は適応していくしかない。
     
     本シリーズは日本が舞台であり、案外近い将来こういう事態が起こってもおかしくないのかもしれません。

  • 『裸者と裸者』は、読後に強く余韻が残る作品だった。
    世界に漂う閉塞感や緊張感、人間の弱さと強さが丁寧に描かれている。
    読み終えた後も、この世界にもう少し浸っていたいと思わせてくれる一冊だった。

  • 作者さんと未完のシリーズということになんとなく惹かれて買ってみましたが、すごい手に取りづらいタイトルですね。ストーリーは人間関係や展開がおもしろいものの、戦争の状況に関する記述が難しく、たぶんこんな感じだろうと曖昧なままに理解。戦争が題材だから性に関する展開も多々あり、カイトのひらがなしゃべりに妙に癒されます。読むのに多少疲れましたが、下巻も購入済みなので続けて読んでみようかと。まさかこういう作品で重いバックボーンを背負った女装少年に出会えるとは思わず、多少の衝撃を受けました。

  • 中学生のころに本屋で表紙絵に惹かれ購入、読みました。
    性的な描写も多く中学生向きではないなと今なら思います。ですが物語の設定、少年兵の主人公(上巻)と双子(下巻)のキャラに引き込まれていきます。

  • 北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。
    武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人や各部隊の思惑をもっと深く理解・共感したいとの思いから上下巻通して2回連続で読み返した。
    上巻では、両親を奪われ兄妹弟の慎ましい生活さえも戦争に奪われながら、その妹弟と大切な仲間を守るために自ら戦争に身を投じていく海人が言った『三人が三人とも善人では生きていけない』は悲しいが、っその通りと思えた。それを自覚しながら戦争の狂気の中で冷静さを保てる精神力こそ本当の強さであり、その精神力の源として他人を想う気持ちってのは大切なんだと思った。

  • 今の日本も今後こうなってもおかしくない。
    内戦状態の日本で、孤児の少年が、妹、弟を守るために力強く生きる。
    暗い時代背景で、置かれた状況は悪いけれど、なにか、わくわくさせてくれる主人公。
    いろんな人と出会って成長していく姿。
    良いですね。

    下巻がかなり気になる感じです。

  • 未完で終わってしまうシリーズでしたが、ずっと引き込まれて読んでました。

  • 近未来戦争フィクション。日本での悲惨な戦争を舞台に主人公が成長していく物語。
    描写が非常に過激で、読むのに耐えられない人も多いと思うが、戦争の悲惨さを感じるには良いのかとも思った。
    主に関東近辺を舞台にしており、個人的には知っている土地が多くそういう意味で楽しめた。
    あまりオススメしません。

  • おもしろい。
    内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。
    主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。
    「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通して◎
    作者の遺作となった「覇者と覇者」が未完なのが残念でならない>_<

  • 重いけど読み進めずにはいられない。
    詳しいレビューは下巻で。

  • これは表紙で損してないか…ハードな戦時下描写。なのにどこか明るい、かといって未来の展望が見えるわけではない。ただただ生き抜く少年の話。

  • 2014/03/02

    友達より借りて。

  • とりあえず上巻読破。未だに世界観がよく分からんし想像しづらい。下巻に期待しよう。

  • 「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」
    「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。
    「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。
    「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。
    「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」
    「理念としてはそのとおり」金髪の女が言った。

    ファルス中心主義的世界観から、徐々に女性の台頭、孤児軍の活躍、マイノリティー武装勢力の抵抗が起こってくる。かなり面白い。海人の活躍は、浅田次郎の『蒼穹の昴』のチュンルを彷彿させる。

  • 出てくる女性陣が魅力的(ガウリも含む)海人や恵と比べてリュウがちゃんとこどもなのがせつない。

  • 海人に惚れすぎて一晩で読んだ

  • 『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大をもたらし、内乱は泥沼化する一方となった。略奪行為やレイプ、拉致、ありとあらゆる破壊と恐怖と憎悪と飢餓が全国を覆い尽くす苛酷な世界――本書はそんな、あらゆる常識や倫理観が徹底して崩壊してしまった世界を生きていかなければならなかった孤児たちの物語。

    秩序が崩壊し略奪、強姦、殺人がまかりとおる世界を描写しながらも陰惨で悲劇的な物語ではなく登場人物たちは時代に適応して悲観にくれることなく生き抜いている。上巻は海人の成長の物語。

  • 応化二年二月十一日未明、〈救国〉をかかげる左官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は〈救国臨時政府樹立〉を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した――。

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    カバーイラストが好きです。帝国少年、だから買ったと言っても過言じゃありません。元は、専門学校の友達に教わったイラストレーターです。

    内容は、ぎっしり。現代のぬるま湯の中で過ごす私には、彼の苛酷な人生は共感出来ない。けれど、面白い。下巻で彼がどんな道を突き進むのか読みたくて堪らないくらいに。

    根本の原因は国内ではなく、国外。世界中が荒れ始め、唯一平穏を保っていた日本に各国から避難民が押し寄せて来た。当然、治安も悪くなり、〈救国〉といった内乱へと移り変わる。

    父が死に、母が帰らず取り残される三人。海人は学校に行きたいのを堪えて働き、妹弟を学校に通わせる。細々と決して豊かでない生活だが、彼らは確かに幸せだった。そして、彼は武装勢力に拉致されたことをきっかけに、職業軍人の道を歩み始める。

    学がないため難しい言葉は分からないが、理解している。純粋なまでに真っ直ぐで、自分が何をすべきかはっきりさせている。そんな彼に集まる人、金、情報は、彼の軍人としての地位を押し上げていく。

    そんな彼は、妹弟を戦争から遠ざけ、明るい道を無理矢理歩ませようとする。自分が暗い道を歩いているのを知っているから、妹弟に捨てるんだと非難されながらも。その決意を二十歳にも満たない少年がしてしまう。

    世界には今もどこかに少年兵が存在するのだろう。しかし、私にとっては興味はあっても遠い世界の話でしかない。まず、今の日本ではありえないから。

    だから、世の中が本当にこんな世界になってしまわないことを、祈る。

  • 「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。
    近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。
    前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人公の海人、しっかり者のメグ、短気なリュウの3人が慎ましく生活する姿が描かれる。謎の武力勢力の登場から一気に物語が動き出し、目が離せない。上巻は心身ともに少しずつ大人になっていく海人の成長物語でもある。戦争と登場人物の行方を気にしつつ下巻へ突入。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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