裸者と裸者 上 (角川文庫 う 15-3)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043615032

作品紹介・あらすじ

応化二年二月十一日未明、"救国"をかかげる佐官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は"救国臨時政府樹立"を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した-。

感想・レビュー・書評

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  • 多分今までで最も衝撃を受けた本。
    なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。
    対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。
    そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。
    わたしも海人に惚れています。

  •  作者が亡くなったために未完の大作。永遠に完結することはありませんが、それでも読む価値のあるシリーズです。

     装丁で誤解するかもしれませんが、ハードな戦争ものです。軽い気持ちで手を出すと火傷するエログロバイオレンス。だけど、希望のちりばめられた物語でもあります。

     少年兵と双子の少女が戦争をどうやって生き抜くかというストーリー。
     
     今も世界のどこかで戦っている少年兵がいて、彼らの気持ちは私には到底想像できないし、理解もできない。
     ただ、生まれた時から隣に死が寄り添っていて、当然のように戦いに身を投じた彼らは自分の意志というよりも環境に振り回されているだけな気がします。
     でも、いくら理不尽だろうがなんだろうが、環境はそこにあって、そこに生きている以上は適応していくしかない。
     
     本シリーズは日本が舞台であり、案外近い将来こういう事態が起こってもおかしくないのかもしれません。

  • 北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。
    武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人や各部隊の思惑をもっと深く理解・共感したいとの思いから上下巻通して2回連続で読み返した。
    上巻では、両親を奪われ兄妹弟の慎ましい生活さえも戦争に奪われながら、その妹弟と大切な仲間を守るために自ら戦争に身を投じていく海人が言った『三人が三人とも善人では生きていけない』は悲しいが、っその通りと思えた。それを自覚しながら戦争の狂気の中で冷静さを保てる精神力こそ本当の強さであり、その精神力の源として他人を想う気持ちってのは大切なんだと思った。

  • 今の日本も今後こうなってもおかしくない。
    内戦状態の日本で、孤児の少年が、妹、弟を守るために力強く生きる。
    暗い時代背景で、置かれた状況は悪いけれど、なにか、わくわくさせてくれる主人公。
    いろんな人と出会って成長していく姿。
    良いですね。

    下巻がかなり気になる感じです。

  • 未完で終わってしまうシリーズでしたが、ずっと引き込まれて読んでました。

  • 近未来戦争フィクション。日本での悲惨な戦争を舞台に主人公が成長していく物語。
    描写が非常に過激で、読むのに耐えられない人も多いと思うが、戦争の悲惨さを感じるには良いのかとも思った。
    主に関東近辺を舞台にしており、個人的には知っている土地が多くそういう意味で楽しめた。
    あまりオススメしません。

  • おもしろい。
    内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。
    主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。
    「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通して◎
    作者の遺作となった「覇者と覇者」が未完なのが残念でならない>_<

  • 重いけど読み進めずにはいられない。
    詳しいレビューは下巻で。

  • これは表紙で損してないか…ハードな戦時下描写。なのにどこか明るい、かといって未来の展望が見えるわけではない。ただただ生き抜く少年の話。

  • 2014/03/02

    友達より借りて。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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