愚者と愚者 (上) 野蛮な飢えた神々の叛乱 (角川文庫 う 15-5)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043615056

作品紹介・あらすじ

応化16年、爆弾テロが激発している内戦下の首都圏で、規律ある精鋭部隊として名を馳せる孤児部隊の司令官に、佐々木海人は20歳にして任命された。教育を受ける機会を逃したまま、妹の恵と弟の隆を養うために軍隊に入り、やがて仲間とともに戦場で生きる決意を固めた。そして、ふと背後を振り返ると自分に忠誠を誓う3500人の孤児兵が隊列を組んでいたのだった-。『裸者と裸者』に続く、少年少女の一大叙事詩、第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 応化三部作の第二部。再び視点は海人。
    軍主導の選挙や軍内のゲイ兵士差別問題や戦友の離反など大きな問題が続々と起こる中、すっかり頼もしい司令官となった海人と同盟軍たちが立ち向かっていく。
    今巻は特に性差別・人種差別の問題に言及していて、いろいろと考えさせられる。作品内では性的マイノリティーや外国人や孤児の部隊が中心となって戦争を終わらせるために戦っていて、海人の所属する常陸軍は性差別も人種差別も禁止している軍隊なわけだけど、もし戦争が海人たちの勝利で終わったとしてもそういう問題が簡単になくなるわけではないだろう。残念ながらこの戦争がどういう終わりを迎えるかは想像に任せるしかないのだろうけど…。
    新たな敵も現れてまだまだ終わらない戦争。下巻はどうなるのだろうか。

  • 裸者と裸者の続き。
    上巻は海人が主人公。
    戦争は終わらないし、昔からの仲間は裏切るし、もうたいへん。

    下巻に続く。

  • 「四百発」
    「そのミサイルを誰に打ち込むの?」マクギリスが訊いた。
    「正面の敵に」
    「正面の敵って誰?」
    「黒い旅団」
    「彼らはたぶん、孤児部隊を正面に押し立てて突撃してくると思う」
    「そのかのうせいはあります」
    「悪夢よ」
    「戦争です」

    最前線で人間の盾になる孤児部隊として育ち司令官となり、そして長くだらだらと続く戦争を終わらせるため指揮を執る中で、相対する敵の人間の盾である孤児部隊を殲滅しなければならない矛盾とどう折り合いをつけたのか?そこをもっと描いて欲しい。

  • 裸者と裸者に引き続き一気読み!海人がかっこよすぎる!

  • 「愚者と愚者」上巻。野蛮な飢えた神々の叛乱。今回は海人率いる孤児部隊がメインなお話。武力勢力「我らの祖国」「黒い旅団」の性的差別に対する戦いが繰り広げられるが、海人配下の孤児部隊にも陰謀が。。海人の戦友である孤児部隊との友情や、相変わらず女性にモテる海人の行動に惹きつけられる。たくさんの武力勢力が出てきて混乱することもあるけど、この独特な世界観は魅力的。下巻に進みます。

  • 前作の「裸者と裸者」の下巻を図書館で予約したが、まだこなかったので
    先に「愚者と愚者」を読むことにした。

    主人公の海人は淡々と戦争をやってのけるが
    それでも彼が残虐な人間には見えない。
    彼の行為は自分とその仲間たちが
    生き残るための選択の結果であり
    戦争の真っ只中では当然の行為だ。
    戦争とは無縁な世界で生きている我々は
    今までの人生で「生きる」為の選択を
    何回したのだろうかと、ふと思ってしまった。

  • 上巻は、前作と同じく、佐々木海人が主人公。
    大人になり、軍人としての成長を遂げたが、戦争はまだ終わらない。
    新勢力との闘争、治安の悪化、差別、反乱、虐殺…

    司令官としての立場と、一人の人間としての立場の狭間で、悩み、苦しみながら、決断を下し、自分の本心と折り合いをつけていく過程が、絶妙。

    何があっても守らなければいけないもの、それを私は守れるだろうか?






    下巻でどんな展開になるのか気になる…

  • セックスマイノリティと戦争の話。

    「暗い・気持ち悪い・残酷」そう感じるのに
    (性差別や偏見ではなく内容や全体の空気)、
    不思議と爽快感が得られる。

    読む人を選ぶかもしれないがけど、俺は好き。

  • 応化三部作…やられた。久しぶりにこんなに面白い小説に出会ってしまいました。戦争、しかも内戦…日本でこんな設定が有りなんて…戦闘に次ぐ戦闘で重くなりそうだが、主人公たちがイキイキしてて気持ち悪さがない。素晴らしい作品だ

  • 馬謖は斬るべし。

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著者プロフィール

1948年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。92年『灰姫鏡の国のスパイ』が第13回横溝正史賞優秀作を受賞し作家デビュー。2003年『ハルビン・カフェ』で第5回大藪春彦賞を受賞。07年10月逝去。

「2022年 『Memories of the never happened1 ロビンソンの家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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