巷説百物語 (角川文庫)

著者 :
制作 : FISCO 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 4304
レビュー : 425
  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620029

作品紹介・あらすじ

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧-。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女-彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか-。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • 僕に読書の楽しさを教えてくれた運命の1冊。
    今回で読むのは3度目だけれど、読むたびに初めて出会った大学2回生(2004年)の夏を思い出す。
    あの頃この本に巡りあっていなければ、今の自分はなかったと思う。

    第130回直木賞を受賞した『巷説』シリーズのいちばんのおもしろみは、御行の又市一味が、江戸にはびこる悪事を妖怪がらみの大仕掛けで解決していくという時代小説風の凝ったストーリーにある。
    しかし僕はそれ以上に、京極さんの言葉の使い方に魅了された。
    圧巻は、「小豆洗い」でおぎんにさせているような一人語りだ。
    1人の人物に対話者の発言や質問を代弁させ、それによってただ1人の言葉だけで会話を進行させていくというその手法を初めて知ったとき、僕は本当に感動した。
    一方で、啖呵を切るようにまくしたてる又市のセリフも小気味よい。
    小説家って言葉を操る人なんだなって思った。

    1つ1つの文をなるべく短くすることにより、文が絶対にページをまたぐことがないよう編集されているのも意匠化である作者に似つかわしく、すばらしい(こういう美しさが僕は大好きなんだなあ)。
    カバーの装丁も含めて、この本は1つの芸術作品であると僕は思っている。

    シリーズで一貫して書かれているテーマは、人の世の悲しさだ。
    恨み、妬み、嫉み、憎悪、あるいは想いが届かぬ苦悩。
    理屈では割り切れない、ましてやお金では解決することができない人間の負の感情を丸く収めるべく、又市は悪を斬り、大掛かりな仕掛けをくり出す。
    生きていくっていうのはこんなにも悲しいことなんだと、又市の背中は読者に訴えかけてくるようだ。

    これからの人生で何百冊の小説を読んだとしても、この『巷説百物語』はきっと自分の中で「好きな小説トップ5」に入り続けているだろうな。

  • 伏線の張られ方、後始末の仕方・・・
    又市ほか、影のある仲間たちの魅力。
    引き込まれます。

  • 悔しいッ‼️

    その① 直木賞作品だと思ったら『後』だった
    その② めちゃ面白かった(笑)

    『後』買うぞ(笑)

  • お友達に勧められた本です。1999年発表の、京極夏彦さんの時代小説。
    勧めてくれた言葉通り、割と理屈抜きで愉しめる、勧善懲悪の江戸時代モノ。
    味わいとしては、鬼平犯科帳が横溝正史さんになったような感じ、という印象。
    お勧めの言葉通り、肩の凝らない、胃にもたれない、大人の娯楽小説、愉しめました。

    江戸時代を舞台に、レギュラーの「必殺仕事人」的な、善玉小悪党たち?とでも言うべき、個性的な面々が、法を逃れた非道な殺人者を、懲罰していきます。
    あるいは自殺に追い込み、あるいは、直接描写されないまでも殺します。
    (中には、悪党というよりも、「可哀そうな殺人愛好者的な変態さん」というのも含まれますが)
    で、この小説の仕掛けは、全てが「魑魅魍魎、妖怪、怪談」と言った類の仕業に見せかけて終える、というところです。例外はありますが。

    読み始めて判ったのは、前に読んだ「姑獲鳥の夏」もそうだったんですが。
    まあ、強引と言えば強引なんです。
    「それってものすごい偶然というか…あり得なくない?」
    という部分も、たいていあります。

    だけど、そこは小説としての面白さとは別次元なんですね。
    横溝正史さんの金田一耕助だって、ホームズだって、そういうところはありますから。

    謎があって、それが解けて、勧善懲悪になる。そこに、ヒトの業とでも言うべきやるせなさとか、無常観みたいなものが残る。人間ドラマになっている。

    そういうことですね。
    言ってみれば、ホームズから始まって、殺人と解決のミステリー物語の王道、と言えます。
    それが、舞台が江戸時代で、仕掛けが怪談妖怪話。
    そこのところで、嘘が跳ねて、小説が粗筋から飛翔する娯楽があるなあ、と思いました。
    「気味が悪い」を「鬼魅が悪い」と書くような、歴史的な整合性は知りませんが、京極さん独特の(かどうかも判りませんが)、深い(狭いのかもですが)博識を基にした、確信犯な演出が冴えていると思いました。

    連作短編な訳ですが、俯瞰的に説明するところから、証人の一人称をぶん回す下りまで、実に読み易く自在な筆運び。パチパチ。

    「姑獲鳥の夏」「巷説百物語」と読んでみて、成程、京極さんの持ち味と旨さ、なんとなく分かった気になりました。
    この人の本は、なんていうか…「所詮、そういうことでしかない」という限定を自覚した上で、小説、コトバ、日本語、という武器をしたたかに使って、独自の水木しげる/横溝正史的世界観に、ぐいっと連れて行ってくれる強力さがありますね。
    今後も、慌てず愉しみたいと思いました。

    連作短編、ヒトによって好みがあると思います。
    僕は、「殺人愛好者の変態さん」の巻よりは、「頭が下がるほどの悪党」が出てくる回の方が面白かったです。
    「塩の長司」「白蔵主」あたり、好きでした。













    ####以下、思いっきりネタバレの個人的な備忘録です####



    ●小豆洗い
    無念を持ち死んだ小僧がいた家で、小豆を数える?音が聞こえる、という怪談?をもとにして。
    かつて殺人を犯した男を、百物語で脅して自殺させる。

    ●白蔵主
    悪党の一味がいて、その手下の男がいる。
    手下はかつて、キツネ狩りの猟師だった。
    殺生を止めるように説いた僧を殺したのを、悪党の親玉に見られて、手下に。
    狐の怨霊、みたいな怪談で騙して、親玉と手下を会わせ、親玉を殺させる。
    親玉は長年、寺の僧に化けていた。

    ●舞首
    女を誘拐してレイプして、というホントに悪い男がいる。
    それに妹を浚われて、言いなりになっている巨漢がいる。
    その街を仕切っている悪党のやくざがいる。
    この三人をそれぞれに騙しておびき寄せ、殺し合いをさせる。
    最後に、三人の首のない死体を遺棄。
    クビが殺しあった、という怪談にのっとって。

    ●芝右衛門狸

    徳川の御落胤という若者がいる。
    表に出れずに失意の日々を送り、殺人愛好者になる。
    この人を葬るために、淡路の国の狸の怪談というか言い伝えを利用。
    狸が化けたもの、として、葬る。
    淡路の国の人形浄瑠璃の話が印象的。

    ●塩の長司

    加賀の国。
    馬を売買する金持ちの商人がいる。
    そこに、兄弟の悪党が、狙いを定める。
    知能犯で馬に詳しい弟が入り込み、気に入られ、婿になる。子も出来る。もう、悪党であることを止める。
    収まらない兄が、手下と、その商人の道中を襲う。
    そして、ほぼみな殺し。弟と顔が似ているので、入れ替わる。
    そのからくりを見破って、もともと兄がもう病身であったので、狂わせ自害させる。
    馬の霊みたいなものが取りつく、という怪談を利用。

    ●柳女

    品川宿。
    大きな宿屋があり、中庭に大きな柳がある。
    色々言い伝えがある。
    そこの当代の主人が、良い人なんだけど、「赤ちゃんを殺す」という癖がある。
    その人が、妻も含めて殺してはのち添えを貰っている。
    そのからくりを暴いて、殺す?。
    柳の仕業、みたいなことにする。

    ●帷子辻

    京都、広隆寺近く、帷子ノ辻(今は撮影所がある)。
    かつて皇族の誰かが、無常を知らせるため、自分の死骸を放置させた、という言い伝え。
    京都の役人が妻を病気で失う。
    この人が、死体愛好者?という癖がある。
    妻も含めて連続して、殺しては死体を保持し、腐っては帷子の辻に捨てる。
    狂ってくる。
    このからくりを暴いて、自死させる。
    全体を、無関係なヒトの犯行に見せて、役人の名誉を守る。

  • 怪奇譚を集めるため諸国を巡る戯作者の青年、山岡百介が見聞きした妖怪物語。シリーズ第一弾では、小豆洗い、舞首、柳女、帷子辻など、七編が収められている。百介以外にも謎めいた美人のおぎん、話が上手い御行の又市が登場する。初めは古い文体で読みづらく最後まで読めるか心配したが、読み進めるにつれ物語の流れがわかってきた。まず妖怪の紹介、事件発生、問題解決、謎解きと、こんな感じです。独特な雰囲気を持った作品。人によって好みが別れるところですが、結構、サクサク読めました。

  • 面白いことは面白いけど一冊読んだら疲労困憊してしまう極太京極堂シリーズとは違い日本の伝統を感じさせる静かで端正な筆遣い。一日一遍ずつじっくり楽しめた。「嗤う伊右衛門」に始まる大江戸怪談再解釈シリーズ?も読んでみたくなった。ただデビュー作は「姑獲鳥の夏」で」良かったと思う。「巷説シリーズ」や「江戸怪談シリーズ」ではあの爆発的な京極夏彦シンドロームは起こらなかった思う。なんにしろこの多種多産ぶりには恐れ入る。

  • 人の心にあるどろどろとしたものに妖怪の名を付けて祓い落とし
    事件を解決する京極堂シリーズに対し、
    どうにもならない事件を妖怪の仕業にしてしまうことで
    決着を着ける巷説百物語シリーズ。
    事件を妖怪の仕業にしてしまう御行一味の手際は実に見事です。
    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-118.html

  • 再読。時代小説や怪談、あまり得意ではないのに何故か読めてしまう。古い言葉を使っていても、リズムが良いから頭に入ってきやすいのかな?巷説百物語シリーズ一作目。又市さんや百介さん達の細かいところは出てこないけど、この先いろんなしがらみが出てきて面白かった気がします。スッカリ忘れてしまっているので楽しみ。

  • 読み易い京極夏彦、という事で友人の勧めで、読みました。確かに短編で読み易く面白かったです。

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  • 社会人K、「怪淡活が“山岡百介とおぎん、又市によって、最後に奇想天外の仕掛けで解決するシリーズ。哀切を極めた結末となる」

  • 逆百鬼夜行シリーズ、というか。
    怪奇現象を暴いて問題解決、でなく、怪奇現象に見立てて問題を解決するというスタイル。
    短編が集まっているので読みやすいし、夏にはぴったり。

  • 小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、そのほか一癖あるメンバーと(進んで)巻き込まれている考物(物書き)の百介による、怪し恐ろしの(時代版)厄落し。京極さんの本を沢山読んでいると、同じ題材が何度も出てくるので、よりわかり良い。が、やっていることは京極堂とそれほど変わらないかもしれぬ。より仕掛けが込み入っているが。
    関くんにしろ、百介にしろ、ワトスン(未満)のキャラクターが嫌みなく溶け込めるかが面白さのポイントだと思っているのだが、百介がこれからどう絡んでくるかが楽しみ。
    20180914
    再読。読んだような気がしていたが、やはり読んでいた。2回目でも面白かった!

  • 京極さんもこれで何冊目だろうか。これもおもしろかった。キャラがいいですよね。

    ネットで調べてみたらこれはアニメになったみたいですね。大人の日本昔話として多くの人に普及させてほしい。

    妖怪って昔は恐れられていたんだろうけど、江戸時代ではやっぱり娯楽や金儲けの道具だったんだろうと思う。心霊写真というのが一時期はやりましたよね。あれとおんなじ。

    デジカメになってからなぜか言われなくなりましたが、きっと幽霊はデジタルには対応していないんでしょうね。

    妖怪の説明が冒頭であり、それに絡んだ物語が展開していくというものです。京極氏の独特の言い回しや雰囲気がにじみ出ていて安心して読むことができます。

    ほんと繰り返し読みたくなるような作品です。

  • 会社の先輩のお勧めの本。どうにもならない悪事を妖怪の所為に見立てて処理する御行一味と作家志望百介の短編集。ところどころ仕掛けに無理があるように感じられる箇所もなくはないが、各話きちんと種明かしのシーンも挿入されているので変なモヤモヤは残らない。

  • 妖怪さんネタだけど、実際は人間が妖怪さんネタで困った事件とか復讐したいってのを解決するお話。

    この巻には、次の妖怪さんネタが収録されていました。
    ・小豆洗い
    ・白蔵主(はくぞうす)
    ・舞首
    ・芝右衛門狸
    ・塩の長司
    ・柳女
    ・帷子辻

    「御行 奉為(したてまつる)-」
    ってのがキメ台詞みたい。

    山猫廻しのおぎんさんとか、考物の百介(ももすけ)さんだとか、御行の又市さんだとか、とりあえず定番のメンバーがいて、日本各地で「御行 奉為-」って短編シリーズでした。

    まぁ、それなりに面白いけれど、百鬼夜行シリーズに比べたら軽い読み物って感じかな。
    夕方の4時くらいから再放送されているテレビシリーズっぽいって言うか…。

    ちょっとベタかなぁ…って気もするけれど、まぁ楽しめました。

  •  大好きなシリーズの再読です。妖怪に興味を持って、少し勉強していたのですが、それで読むとまた別の目線から見ることができました。
     今まで、小説の中に登場する妖怪は初めて知るものが多く、名前を見て「ふーん」と思う程度でしたが、なぜこのタイミングでこの名前が出てきているのか、妖怪の由来を知った後だとそれが理解できりょうになりました。
     そしてなにより登場人物の名前。そのようかにまつわる人物の名前や妖怪の名前をそのまま引用したものだとわかりました。
     このシリーズをこれから再読していこうと思っていますが、楽しみで仕方ないですね。

  • うまい!

  • 闇に消えゆく悪事に,綿密な計画と巧みな話術で光を当てる.
    時は江戸時代.大雨で山越えを断念せざるを得なくなった修行僧は,山中の古小屋で雨を明かすことになった.偶然集まったはずのその小屋の面々が語る怪異譚は,どこか身に覚えのある内容であった.
    京極夏彦のダークヒーロ時代小説.

  • どうしようもないことを丸く収めるのに妖怪を生み出す仕掛けにただただ飲み込まれていく作品。 登場人物もみな魅力的でページを繰る手が止まらない。 京極夏彦作の別シリーズにもつながる話なので、それに気がついたら倍面白く読めるシリーズです。 又市さんが唯一自分の弱みを見せる帷子辻の台詞は、シリーズを最後まで読んで、再読したらもっと重く心に響く台詞になるんだろうなと思う。 何度も読んで、何度も又市たちに魅了させられたい。

  •  妖怪にまつわる作り話をしていると思いきや、そこに出て来る人物の名前や境遇に、身に覚えがあると怯えながら話を聞いている男がいて。
     実はその話にも、そもそもその話を聞くはめになった事態にも裏がある……ていう、最後に引っ繰り返される感じがおもしろい。

     それにしても百介さん、毎回毎回何にも分からないね…。

     あと、この本のジャンルというか、カテゴリに悩む。
     時代小説であり、妖怪が登場するファンタジーのようでもあり、謎解き的なものもある、て。

  • 時代小説短編連作。
    んー妖怪とか不思議な出来事があって、それを裏で仕掛けている人たちがいて、最後は種明かしで終わる感じ。
    必殺仕事人の、自分たちは手を汚さないバーションみたいな?

  • 諸国に伝わる怪異伝説を集めて行脚する考え物の百介。この純朴な青年が出くわす魑魅魍魎どもは、妖怪よりもっともっと恐ろしい存在である。

    怪談話と思いきやそれだけではない。謎解きの要素が濃い。
    そして、劇場型とでもいうような鮮やかな騙しのテクニック。騙されるのは悪党。懲悪の気持ちよさもある。

    登場人物の特異な風貌のせいでキャラクターも想像しやすく、人物がある程度固定されることで読みやすい。また物語の中で自然の風景がたてる音、鈴がなる音、動物が走る音などが効果的に使われていてぐいぐい読んでしまう。
    ふっと我にかえり背筋が寒くなることもある。

    続きの何冊か、読みたい。

  • 一つ目の物語を読み終えた時点で、「あ、やばい」とは思っていた。
    「これ、だめなやつだ」とも。
    それでも何とか耐えてきたのに、最後の最後、「帷子辻」でもう、限界を超えてしまったらしい。
    京極先生、私、ファンになります。

    もう、「すげぇ」なんて阿呆みたいな言葉しか出てこない。
    元々こういう話が好きというのもあるが、話の根底に流れているものが、好みど真ん中。
    「帷子辻」の又市の語りには、もう首を縦に振ることしかできなかった。

    怪力乱神を語らず、とは流石に君子ではないので言い切れないが、私自身、自分の目で見た事のない「あの世」は信じない性質だ。
    いや、というより、稲田殿と同じように、「いちゃもんの通じないものを求めるからこそいちゃもんつけるタイプ」とでも言うべきか。
    そんな私にとって、又市の言葉は、自分のかねてからの思いを代弁してくれたようなものだった。
    それは、「御行為奉――」の時だけではなく、物語の最後の台詞も含めて。
    上手く言えないけれど、心のどこかで、やっぱり、変わらないもの、終わらないもの、そういう何かを信じたい気持ちもある。
    けれど、生きていくには、信じてばかりいられないのだ。
    だからこそ、否定することで自分を納得させようとしているのかもしれない。
    そういう思いを、どこか又市と共有したような気持ちになった。
    だからこそ、「ドンピシャ」なのだ。

    というわけで、ちょっと続編探してくる。

  • 遣る方も遣られた方も同じようにお客様。
    人が人の物差しで他人を測ると、必ず不平が出る。
    世の中で一番賢いのは、誰が賢いかを知っている人。

    「ステータス」とは何でしょうか。この小説は、社会が要求する「ステータス」に疑問を感じた人が過ちを犯す過程が書かれています。

    社会人で言えば「資格」でしょうか。一種の身分証明書にはなるでしょうが、身分を保障するものではないと思います。資格を「得る」ことよりも、資格を「維持」することの方が重要です。「資格を得て、それでお終い」では何の芸もありません。

    前にも書きましたが、現状維持は後退です。

  •  相変わらず京極先生の書かれる本は分厚いですね……と言いたくなる話でした。
     でも、読み応えは充分ですし、いくつかの章に分かれて物語が成立していたので、読んでいて全然、苦痛にはなりませんでした。

     物語は、とある僧が山を下る最中、雨に降られ、雨宿りをするために立ち寄った山小屋の中で始まります。
     そこには御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人――。
     そして集まった人たちの中から自然と、長雨の一夜を江戸で流行の百物語を話して過ごすことになったけれど……という話でした。

     実は何のつながりもないように見える先ほどの三人は、闇に葬られる事件を金で請け負い解決する一味。
     そんな彼らと偶然居合わせた劇作家志望の青年・山岡百介は、彼らの巧妙な手口に感嘆することとなる。

     悪い人たちを正面からではなく、妖怪だとかお化けだとか、人が根源的に恐怖と感じるものを使ってこらしめていくお話。
     人は簡単に恐怖というものに飲み込まれてしまうんだなあ……と感嘆するのと同時に、これだけ凝った事を考えられる作者さんってばすごいなあ……と思ってしまいます(苦笑)
     なんだかファンが多いのもわかる感じがします。

     でも、妖怪とかそういうのあんまり好きじゃない人には面白くないかもしれません。
     何はともあれ、ページ数の分だけ、きっちり読み応えのあるしっかりとした話でした。
     続きがありそうだなあー……って思ったら続きもあるようなので、それもまた手に入れば読みたいと思います。

  • 人間の悪、エゴとか思い込み、御行みたいな人から見るとどんな風に見えてるのだろう?あの4人が仕掛ける芝居(?)は読み終わると、ストンと胃の腑に落ちるきがする。

  • あらすじ(Amazonより)

    怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。
    御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。
    長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。
    闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。
    その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。
    小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。
    世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。

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    絵師・竹原春泉が描いた妖怪になぞらえて、闇の一味が悪に制裁を加えるという必殺仕事人系の作品。
    7篇の短篇集で読みやすい。
    制裁を加えられる側にもそちら側の道理(正しいか正しくないかは別として)があり、勧善懲悪のような単純なものではなくて面白い。

    憎しみ・怒り・嫉妬・恐れといった、人の心から生まれる強い負の思いが面妖なものを生じさせ存在させる。
    全体的に陰鬱でモノクロなイメージで、独特の雰囲気を醸し出している。
    昔放送されていた「日本昔ばなし」の怖い系の画みたいな作品、と言えば、ある一定以上の年令の人には伝わるかな。

  •  世の中には色々な人間がいる。色々な人間が色々なことを考え、色々なことをする。だから、時には法度や道理ではどうにもできないことだって起きる。

     下手人の見当はついているが、確証がない――。
     訳あって下手に手を出せない下手人がいる――。
     お屋敷で続く、不可思議極まりない人死――。
     身内の悩み事を解決してやってほしい――。
     妄執に囚われた人を救ってほしい――。

     あちらを立てればこちらが立たず。さりとて放っておく訳にもいかぬ。そんな八方塞な状況の始末を金で請け負うのは、いずれも脛に傷持つ小悪党一味。ひょんなことから一味に関わった戯作者志望の男は、光と闇を行き来しながら幾多もの世の情と無常を目にしていく――。

    江戸時代を舞台に、人の業や情が生み出した事件解決を図るはみ出し者たちの暗躍と活躍を描いた時代小説。
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     町にも村にも家族にも人の心にも、光があれば闇もある。それは何時の時代も変わらない。肥大した闇は時に、世間を騒がせる事件を起こすこともある。
     大概の事件は事件が解決すれば、真相が明らかになれば、それでよしだ。だが時に、それが更なる混乱・騒乱の引き金になることもある。
     真相を明らかにするだけでは解決しない一件の始末をつける策として、一味は闇を妖怪に仕立て上げ、真相を手八丁口八丁の目眩ましで覆い隠す。あとに残るは街談巷説。締めの言葉は、

    「――御行奉為」

     もしかしたら、現代に氾濫している街談巷説・都市伝説の類も、誰かがそう仕立てたからなのかも――?

  • 再々読くらい。小豆洗いのしょきしょき音がなんともいえない。

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著者プロフィール

京極 夏彦(きょうごく なつひこ)
1963年、北海道小樽市生まれ。小説家としてだけでなく、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員(肝煎)など妖怪研究家であり、他にも装幀家、アートディレクター、俳優など様々な顔を持つ。
広告代理店を経てデザイン会社を設立。1994年、そこで暇つぶしに書いた『姑獲鳥の夏』を講談社に送ったところ極めて評価を受け、同年、即出版・デビューに至る。瞬く間に執筆依頼が殺到する人気作家に上り詰めた。
1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、1997年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2002年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、2011年『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞など、数多くの受賞歴がある。
代表作に「百鬼夜行シリーズ」「巷説百物語シリーズ」「豆腐小僧シリーズ」など。

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