前巷説百物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1858
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (754ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620074

作品紹介・あらすじ

江戸末期。双六売りの又市は損料屋「ゑんま屋」にひょんな事から流れ着く。この店、表はれっきとした物貸業、だが「損を埋める」裏の仕事も請け負っていた。若き又市が江戸に仕掛ける、百物語はじまりの物語。

感想・レビュー・書評

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  • すっごい面白かった~~~~
    久しぶりに京極作品読んで、
    怪しい世界にどっぷり浸かりました。
    分厚いですけど、いろんな人にオススメしたい!

  • 最高!面白かった〜
    切ない読後感。旧鼠が「続巷説」の狐者異、「まだ生きるつもりかえ」というおぎんさんの言葉につながると思うとシリーズ構成の旨さに震えるし、犠牲になった宗右衛門さんに思いを馳せてしまう。

    御業の又市になる前の損料屋時代の話。
    若い又市もとても良い。本当に青臭く書かれているのがすごい。又市の御業乞食の原点がここにあった。

    読みやすい美しい文章はもちろん構成やキャラクター作りの旨さ、事件の面白さでぐいぐいその世界に引き込まれて物語に没頭してしまう。是非、初めは時系列ではなく刊行順に読み進めることをオススメ。極上の余韻と京極先生の職人技に浸れるはず。

    京極先生の本はレンガ本とか言われているけど面白すぎていつもあっという間に読了してしまうから分厚さに怯むことは一切ないな。

  • 目次
    ・寝肥(ねぶとり)
    ・周防大蟆(すおうのおおがま)
    ・二口女(ふたくちおんな)
    ・かみなり
    ・山地乳(やまちち)
    ・旧鼠(きゅうそ)

    又市がまだ願人坊主になる前の、双六売りだったころの若い頃の事件いろいろ。
    飄々とした又市ではなく、青臭くて理想の前で右往左往したあげく、自分の至らなさに打ちのめされる又市。
    ああ、だけど。
    青臭い又市、嫌いじゃない。

    妖怪の仕業としか思えない怪事件を、人の所業と断じるのが京極堂なら、人と人とのやり取りなら収拾がつかなくなるところを、妖怪の仕業にして丸く収めるのが又市なのである。
    神も仏も信じやしない又市が、何故妖怪を引っ張り出すのかというと、とにかく人死にを出したくないから。
    誰かのせいなら恨みが残るところを、妖怪のせいにすると「しょうがねえなあ」とあきらめもつく。
    善だ悪だ、損した得したを言い続けても詮無いところを、妖怪を出すことによって、力業でフラットに押しつぶす。

    百介と出会った頃は飄々とした風情ではあったけれど、百介と一線を画していたのは多分、好奇心でキラキラした目を向ける百介の心に、自分と同じ繊細さを感じていたからだと思う。
    そして、関わった人たちをいつまでも遠くから気に掛けていたのは、つい目を離した時に敵の手に落ちてしまったおちかの件があったからなんだ。
    又市よ、最後まで青臭いじゃねえか。

    双六売りの又市が、いつ小股潜りを名乗り、御行の又市になったのか。
    多くの仲間を失い、関係のない人たちを巻き添えにした痛みを抱えてなお、敵にも味方にも人死にはなるべく出したくないという又市の青臭さ。
    軽口の裏に隠された彼の真情が、このシリーズの通奏低音となっているのだと思いました。

  • 再読

    若い又市さんが、何とかしようと足掻いていてせつない。

  • 久しぶりの百物語シリーズ。
    久しぶりすぎて前作の内容を思い出せない。シリーズものを記憶できなくなってきたのは年かもしれない。一気読みしたほうがいい。
    巷説百物語につながるのでどうなるかわかってはいるものの。呪術2期と同じでちゃんと楽しめる。又市が相変わらず照れ屋で優しくていいやつ。
    自分は散々青臭いと言われてきても、百介には絶対言わないところが優しい。
    そんな又市の青春が見られます。

    何度も書くけど、一作目の潔さが1番好きです。登場人物への感情移入はそこそこでいいのよう。でも続き読みますけどね。
    夏なので京極夏彦どんどん読みます。

  • 2度目の読了なのに
    全く覚えがなかったので
    とにかく新鮮に読めた。
    こんなに面白かったっけ?

    京極夏彦の作品は京極堂シリーズから入ったので、
    時代もキャラクターも全く違うこのシリーズは面白くないって思い込んでいたのかな。

    ただ、最後の話はいただけない。
    人が死にすぎる。

    そこだけが残念。

  • 2021.10再読 若い!

  • 若い又市よかった。
    昔の失敗って言ってた真相とかわかって、シリーズの中でもかなり読み応えあり。

  • 巷説百物語シリーズ第4弾

    収録作品:寝肥 周防大蟆 二口女 かみなり 山地乳 旧鼠

  • 最初はこんなに読みにくいの、大丈夫かなあと思った。
    でも他の人のコメントを読んで、これは途中で投げたら、勿体無いかもと読み進むうちに、どっぷりとはまってしまった。
    現代にも通じる人間の心理を、なるほどと思いながら読了

    辛抱強く読み始めることを勧めます。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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