文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (722ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620081

作品紹介・あらすじ

江戸郊外のとある廃屋に、いつのまにやら棲みついていた1匹の妖怪、豆腐小僧。豆腐を載せた盆を持ち、ただ立ちつくすだけの妖怪である自分は、豆腐を落としたとき、ただの小僧になるのか、はたまた消えてしまうのか―。思い悩んだ小僧は、自らの存在理由を求めて旅に出る!軽快な講談調で、小僧が出会う鳴屋や死に神、鬼火との会話の中から現れてくる妖怪論。妖怪とは、いったい何なのか?妖怪入門としても必読の痛快作。

感想・レビュー・書評

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  • 妖怪とは何か。がわかる本。

    この本の魅力は、達磨先生による京極節妖怪解説もさることながら、豆腐小僧をはじめ、妖怪たちがコミカルで、愛らしいところである。

    また、現代から見た語りがテンポよく洒落ていて、筆者の言の葉を操る力を改めて感じる。阿呆加減を表現する言葉が、こんなにたくさんあるとは思わなかった(笑)。
    そして、当然のように、この厚さにも関わらず、頁をまたぐ文章は存在しない。

    理屈のある妖怪たちに出会うたびに、豆腐も持っているだけで何の意味もない豆腐小僧の概念について、様々な妄想を膨らませる。
    最後の見せ場では、豆腐小僧を応援する自分がいた。

    狸、狐の妖怪について、格式の違いや、古い日本の神様がでてきて(漢字も読めない)、なかなか頭に入ってこない。もっと日本の宗教史、文化史にくわしいければ、より楽しめたに違いない。

    この本のおかげで、科学に淘汰され、忘れられた妖怪たちをたくさん感得できた。
    袖引きはいつ、私の袖を引いてくれるのだろう。

    豆腐小僧は、今日も私のデスクの脇にちょこんと立っている。

    「訳の解らぬ怖いモノを、畏怖心、嫌悪感、不快感を細分化し、更に様々な解釈を加え、それぞれに規定して、爪を抜き牙を抜いて飼い馴らし、最後には笑い物にしてしまう-その笑いモノこそが我等妖怪なのだ」

  • 表紙は元のヤツのほうが好き。

    にしても、豆腐小僧が愛くるし過ぎる。
    豆腐小僧が人前に姿をあらわすシーンで、鳥肌がたった。

    ストーリー展開及び、語り口調に騙されるなかれ。
    結構深い考察といつもながらの蘊蓄にあふれた作品。
    わし、こんなんが読みたかってんや。

  • 長かったぁ。すらすら読める文じゃなくて、説明が多いからなかなか進まなかった(笑)
    豊富な説明で、妖怪について勉強できたけども。
    頼りないへなちょこだった豆腐小僧が、最後は頼もしく思えました。
    妖怪は絶対いる!会いたいのになぁ。

  • 嘘ちょっと待って表紙は張り子でないと!
    わざわざ探して買ったのに!

    馬鹿馬鹿と言われつつも、のっけから己の存在意義を問う哲学的な豆腐小僧と一緒に右往左往しているうちに。
    この一冊を読み終わると妖怪の成り立ち、種類、歴史、意義がすっかり分かる仕掛け。
    頭の痛くなりそうな小難しい論文を読むこともなく、です。
    世の論文が皆コンナだったらよいのに。
    …横着ですかそうですか。
    最後の達磨先生の名演説は一見の(一聴の?)価値アリです。

  • いちいち言い回しが面白いんだよなぁ。無駄に声に出して読みたくなる。京極作品の登場人物が話すベッタベタな江戸弁や大阪弁が大好きなんです。「何ほざいてけつかんねん」とか…罵り言葉なのにちょっと言われてみたいもの。
    作中の妖怪論は京極ファンならもう馴染み深いもの。でもそれを妖怪自身が喋るなんてお話を書いちゃうのは流石です。分を弁えた妖怪たちのなかで唯一自分のアンデンティティに疑問を持つ豆腐小僧のお話。自分探しの旅ですね。

    地味に時代が幕末なのも面白い。岡田以蔵や近藤勇が名前だけでも出てくるし。続編出るならその辺もうちょっと絡んできたりするんだろうか。

  • 文庫版が出たのと映画化したのに向けて、再読。これで読んだのは二度目になり、結末も分かっているのだがやはり面白かった。語り口調と、妖怪化け物についての蘊蓄のような説明が丁寧なのが良かった。豆腐小僧と達磨先生の禅問答のような掛け合いは面白くて好き。物も二つとして覚えられない豆腐小僧が、最後に頭を働かせて最後の混乱をおさめたのは感動した。相変わらず京極ワールドは素晴らしい。

  • 豆腐小僧を主人公とする面白おかしい話の中に、妖怪論が現れてくるという不思議な本。話としては割と馬鹿馬鹿しい類なのだが結構笑える。妖怪初心者にもわかりやすく、様々な妖怪について説明してくれる。京極流妖怪理論(?)を理解するには一番適した本かもしれない。ラストにかけての盛り上がりなど、『虚実妖怪百物語』にも近い部分があるとも思った。とても面白く、非常にオススメできる。次巻も読まねば。

  • 内容が薄いのに、本が分厚い。
    読者としてはあまりありがたくない構成である。もし、この少し恍けた豆腐小僧に愛着を持てたなら、もっとこの本を楽しめたかもしれない。私は、いまいち豆腐小僧になじめなかったので、頁を繰る手が終始スローだった。三毛猫に憑いた化け猫の方が好きだった。京極夏彦の得意な艶やかな女性。やっぱり好きだ。

    妖怪とは不便な物だ。
    本書の妖怪は、現世に物理的な影響をもたらす事ができないものとして描かれている。豆腐小僧たちは、自らの力で廃屋の扉さえ開ける事ができない。更に、人間が想像した姿で、想像した場所にしか現れることができない。何とも奥ゆかしい。外国のお化けのように、どこまでも追って来たりなんかしない日本の妖怪。日本の妖怪「らしさ」が、上手に描かれていた。

    もっとコンパクトにすることはできなかったろうか。
    豆腐小僧が阿呆である描写、扉を開ける事ができない描写…序盤から終盤まで飽きる事なく繰り返されている。しかし、読者は中盤で飽きている。双六になぞらえて、サイコロの形にしたかったからこの頁数にしたのではないかとすら疑いたくなる。読むのに三か月半もかかった。手強い。

  • なんとも愛おしい存在の豆腐小僧。「存在する」ことの意味や、「文化」の価値などを豆腐小僧に乗せて存分に語ってくださいますな。

  • 色んな妖怪が出てくるコメディではありながらも、妖怪とは、生死とは、恐怖とは、の考察がどんどん深まっていく。
    京極先生のコメディではいつも主人公格がボロクソにこき下ろされるのはなぜなんだ。見開きに1回は馬鹿って書いてる気がする。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家、全日本妖怪推進委員会肝煎。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞を受賞。著書に『幽談』『冥談』『眩談』『鬼談』『ルー=ガルー』『南極(人)』『厭な小説』『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』 『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『遠野物語拾遺retold』 ほか多数。

「2021年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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