世界が完全に思考停止する前に (角川文庫)

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  • 角川書店 (2006年7月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784043625031

作品紹介・あらすじ

大義名分なき派兵、感情的な犯罪報道……あらゆる現実に葛藤し、煩悶し続ける、最もナイーブなドキュメンタリー作家が、「今」に危機感を持つ全ての日本人を納得させる、日常感覚評論集。

みんなの感想まとめ

現代社会の複雑さや矛盾を捉え、自己の思考を一人称で表現する稀有なジャーナリストの随筆集です。著者は、単純な善悪の二項対立では解決できない現実を直視し、感情や葛藤を交えながら独自の視点を提供します。彼の...

感想・レビュー・書評

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  • 森達也さんは、切れ味鋭いとか、客観的でわかりやすいとか、そういう表現者じゃない。逡巡し、矛盾を抱え、右往左往している。そしてときに感傷的だったりもする。だから私は彼のことが信頼できるんだと思う。
    世の中の出来事は、善と悪、賛成と反対という二項対立で割り切れない複雑なことで溢れてるから。
    森さんは他者への想像力をめぐらせ続け、同時に一人称で思考し表現し続ける。誰かが使った言葉ではなく、自分の言葉で。
    ドキュメンタリーが客観的で事実そのままだというのは嘘だという。ドキュメンタリーこそ主張がある、主観的な表現物(であるべき)だと。なるほどねー。ほんと、そうだわ。
    「A」を観たという高校生に沖縄で声をかけられたエピソードは良かった。

  • 一人称で語り続ける稀有なジャーナリスト、森達也のアンソロジー。でも、朝日や週刊金曜日のもつ定型性や暴力性はスルーなの?立ち場を持つ思考停止のかたちと揺れ?

  • 少し、勘違いをしていたみたいだ。

    わたしは彼のことを、時事問題を新たな視点から
    論じてくれる評論家のような人だと思っていた。
    しかし、実際の彼は映画監督であり、
    それ以上でもそれ以下でもない、という意識で
    文章を書いているようだ。

    だからこそ、失礼だとは思いながらも言わせてもらえば
    この本は世の中に出版するものにしては、
    テーマに対して考え方や内容が稚拙である感が拭えなかった。

    それでも、この本が売れているということは、
    共感する人たちがいるということなのだろう。

    何も考えていない人が、新たな気づきを得るために
    読む分には良いかもしれないが、そうでない人には
    浅薄な考えをただ並べたものにしかみえないのでは
    ないのだろうか。

    わたしは著者の考えが他人とずれているとも思えないし、
    彼のように考えている人は寧ろ多いと思う。
    大多数の人は、安易で一見わかりやすく語りかけてくる
    著者のことばに、手放しで賛同してしまうのだろうか。

    もしそれが事実であるならば、怖ろしくて考えたくもないが
    世界は既に思考することをやめている。 

  • 森達也の随筆集。解説で姜尚中が述べているように、森達也は"一人称の思考と感性"を体現しており、全体主義的な日本では珍しいタイプの知識人だ。彼の個人の視座に立った文章は、今の日本に疑問を抱く多くの人に感慨を与えると思う。

  •  たまには硬い本を読んで勉強をしたいと思うことがあって買ったのが10年以上前で、しかも文庫なので、元の本は2004に書かれており、時事問題を扱っているので今ではうっすらと記憶にあるような話題が多い。でもあまり硬くなくて読みやすかったし、難しくもなかった。人々の感覚の「麻痺」を強く指摘していて、今ではもっとひどくなっている。特に麻痺しているのはオレ自信で、もはや社会問題にほとんど関心がなく、消費税が何に使われていても、どれだけ上がってもどうでもいいとしか思えない。感覚としてはどうでもいいのだけど、実際問題このままではよくないので頭のいい人に頑張ってもらうしかない。

  • 図書館

  • イラク戦争や、北朝鮮拉致問題、
    オウム事件などについての矛盾や欺瞞、
    そういった、「メディアでは語られないもの」について、
    「語られていないものがある」という自覚を持つこと。

    寄稿された文章が中心で、重複する内容も多いため、
    途中で投げだそうかとも思ったが、
    読んでいるうちに、どんどん引き込まれてしまった。

    ある意味正論ではあるが、「では正しいって何?」という
    問題設定から入らなくてはならなくなる。

    そういう問題設定を促す読み物なのかもしれない。

    表現されている時点で、ノンフィクションというものはなく、
    ノンフィクションというものがあるとすれば、
    それは表現ではなく情報だ、という見方が根本かもしれない。

    その情報すら、意図的に、もしくは無意識的に、
    選別された結果である可能性が高いのだが。

    [more]
    (目次)
    世界は今、僕らの同意のもとにある。
    (作られる聖域、戦争は嫌だという「感情」 ほか)

    いつになったら、日本は大人になるんだろう。
    (タマちゃんを食べる会、で、何だったんだろう、あの牛丼騒ぎって。 ほか)

    メディアは、どこまで無自覚に報道し続けるのだろう。
    (メディア訴訟は黒星続き、消された五分間 ほか)

    二十一世紀のメディアを生きる人々
    (戦場のフォトグラファー、精神科救急研修医。 ほか)

  • 世界が完全に思考停止、したのか。

    単行本としては2004年に出たもの。著者が警告した世界になっているのではないか。思考停止しているのではないか。「一人称の主語」から離れ、「我々は」「私達は」「我が国は」で語っていないか。悪を罰することを楽しんでいないか。不特定多数の主語となって、正しくない人や物事を裁いていないか。この人のことばは、きっとますます忌避されているだろう。でも著者が、この世界にいる限り、私も「私は」で考えたい。私がどうするのか。

  • 著者の本は好きです。

    が、これはあんまり好みじゃなかった。

    多分、時系列でエッセイをまとめたものでなんか物足りなかった。

  • なんでも、かんでも、反対ばっかり。
    死刑反対、オウム 北朝鮮 擁護、でイヤな感じ。
    私の中では、小田嶋隆さんを同じようなくくりにしています。でも、小田嶋さん方が明るい、シャレが効いてる。
    と思って読んでましたが、途中でプロレス好き、であることを知りました。
    その事だけで、前言を撤回して、森さんを大好きになりました。

  • 同著者の「下山事件」は私には難しくて最後まで読めなかったが、こちらは数ページのコラムがたくさん入ったものなので読みやすく、また著者の考え方の特徴を知ることができた。

    内容に同調できる部分とできない部分があったということは置いておいて、書き方が弱気だと思う。

    自分は大した人間ではない。
    自分の意見が全く正しいとは思っていない。

    といった自虐が、随所に書かれており、なんだかんだで批判や人の目を気にするタイプだなと感じた。

    追記:
    >森達也さんは、切れ味鋭いとか、客観的でわかりやすいとか、そういう表現者じゃない。逡巡し、矛盾を抱え、右往左往している。そしてときに感傷的だったりもする。だから私は彼のことが信頼できるんだと思う。

    というレビューを書いている人がいて、納得した。
    なるほど、そうかもしれない。

  • アザラシの命の尊さを声高に叫びながらホタテの命をゴミのように扱ったり、在日外国人に選挙権を与えずにアザラシに住民票を交付することの矛盾に対して、不感症にはなりたくない。

    考えさせられる。

    四半世紀以上生きてきて、まだまだ知らないことがたくさんある。

  • 世の中納得いかないことだらけで、嫌なニュースが溢れていて、多くの人が怒っていて、そのことについて私自身も色々な思いを抱くにもかかわらず、うまく言葉に出来ない。けれど、主流に流されずに、とりあえずそのモヤモヤを自覚すること、首を傾げることだけは止めちゃいけないと思った。
    この本を読んでいるとなんだか涙が出そうになった。この世の中を形成しているのは、「あの人たち」とかじゃなくて「私たち」だから。

  • はじめて読んだのは高1の時。
    自分達の選んだ党の党首、首相が決めたことは選んだ自分達にも責任があるという考え方は大変センセーショナルだった。政治参加はなんて重いことだと関心した。今でもよく読む。社会参加への思想の根幹。

  • 森サンにお会いする前に読んでおきたかったと…
    かなり後悔しています。

    やっぱり凄い人だなぁと。
    こういった考え方ができるのは、森サンしか
    いないんじゃないかって思う。

    自分とは全く違う視点から、物事を見る。
    何かを観察する力。
    教えてもらいました。

    私も死刑制度に関しては、疑問を持っています。

  • 世界、社会に対する「無自覚」や「無関心」といった思考麻痺の恐さ。

  • これは、私の人生を変えた本の中の一冊ですね。衝撃だった。

    当たり前で気付かないような、日常の一部過ぎて皆が通り過ぎてしまうようなことに気付く森さん。
    それを重く書くのではなくカラッと(←カタカナがポイント)笑わせて、ずんっ…と読者に何かを残す問い方をしてくる。
    いや、ちがうかもな、問うてもいないのかもな。ぶつぶつ呟いてる感じ。でもそれが残るんだよね、ずんっ…て。


    森さん、テレビでしか拝見したこと無いんですが、カタカナで笑いそう。笑い声がカタカナなイメージ。カラカラ笑いそう。あ、イメージね、イメージ。


    気になった方は86頁から3頁だけ、立ち読みすると良いと思う。「タマちゃんを食べる会」。


    ちょっと、生きるというか、世界を見渡す目が変わりそうな一冊。


    カラカラカラ。

  • 前半は、全うすぎて読んでて疲れる、私って全うなことを聞き続けてると疲労しちゃう、と思ってたけど、オウム裁判の判決のあたりから、後半は面白かった。メディアについて考えて本出してる人、いろいろいるんだな。

  • やっぱり好きです。森達也。
    まだまだ読みます。

  • (「BOOK」データベースより)
    地下鉄サリン事件から11年、9.11から5年。イラク戦争から3年…。過剰な善意や偏ったヒューマニズムが蔓延する中、いま僕たちはかつてないスケールの麻痺を抱えて生きている。一方テロへの不安から社会は異質の者への憎悪を加速し、管理統制下の道を辿り続ける。この現実を前に僕らは「一人称の主語」で思考しているか。他者へ想像力を馳せているか。いま最も信頼できるドキュメンタリー作家が煩悶しながら問いかける、まっとうな「日常感覚」評論集。

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著者プロフィール

森 達也(もり・たつや) 広島県呉市生まれ。映画監督。作家。テレビ番組制作会社を経て独立。1998年、オウム真理教を描いたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞。佐村河内守のゴーストライター問題を追った16年の映画『FAKE』、東京新聞の記者・望月衣塑子を密着取材した19年の映画『i―新聞記者ドキュメント―』が話題に。10年に刊行した『A3』で講談社ノンフィクション賞。著書に、『放送禁止歌』(光文社知恵の森文庫)、『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『A2』(現代書館)、『ご臨終メディア』(集英社) 、『死刑』(朝日出版社)、『神さまってなに?』(河出書房新社)、『虐殺のスイッチ』(ちくま文庫)、『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』(ミツイパブリッシング)、『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』(講談社現代新書)、『千代田区一番一号のラビリンス』(現代書館)、『増補版 悪役レスラーは笑う』(岩波現代文庫)、『集団に流されず個人として活きるには』(ちくまプリマー選書)、『歯車にならないためのレッスン』(青土社)、『COVID‐19』、『極私的映画論』(以上、論創社)など多数。編著に『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会』シリーズ(論創社)など。2023年9月1日、関東大震災の5日後に千葉県の福田村で起きた行商団9人の虐殺事件をテーマにした映画『福田村事件』が公開された。

「2025年 『人はなぜ他者を差別するのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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